11/08/2006

ついに出た!飛び級の変化球―映画「デスノート」―

映画「デスノート」が公開3日間で観客動員数約97万5000人、興行収入約12億円に達した。


公開3日間は3連休だったので、通常の土・日とは違うが、「LIMITOF LOVE 海猿」の9億6500万円)を抜いたとみていい。


ここで、両作品の公開までの道のりをふりかえってみよう。


LIMIT OF LOVE 海猿」は三部作から成る。
第1作は映画「海猿」。第2作は連続テレビドラマ。そして第3作が映画「LIMIT OF LOVE 海猿」。


フジテレビと東宝を中心とした伊藤英明、加藤愛主演の「海猿」は、映画2本によって真中のドラマを挟む、いわばサンドイッチ型だ。


映画「LIMIT OF LOVE 海猿」公開までに、映画とドラマを通して作品世界と登場キャラクターにじゅうぶんに馴染んでもらうといった、観客熟成タイプの方法でヒットさせた。


映画「デスノート」は二部作から成る。
第1作は、映画「DEATH NOTE デスノート 前編」。これは6月に公開されたばかりで、まだDVD・ビデオになっていないが、10月27日に日テレ系の金曜ロードショーで放映された。


通常よくある、

(1)映画公開→(2)DVD・ビデオ→(3)有料放送→(4)テレビ放映

の順序を、一気に(1)の次に(4)へと飛び級した格好だ。


こうして映画「DEATH NOTE デスノート 前編」がテレビで放映された約1週間後に、映画「DEATH NOTE デスノート the Lastname」を公開した。


まだDVDにもなっていない前編がテレビで放映され、後編の公開が近いために、視聴率は良かったようだ。


そして、ひとたび前編を観れば、当然のように続きが観たくなる。


例えば大好きな連続ドラマが週1回の放映で、次週が待ち遠しいときに、ドラマ全巻が揃って手元にあれば、明日の仕事が朝早くても、つい次の回のドラマを観たくなってしまうもの。いわば推理ものタイプでヒットさせたのが映画「デスノート」なのである。


つい先を知りたくなる。まさにそんな気持ちにさせるのが、後編公開1週間前に前編をテレビで放映するという「変化球技」なのだ。


ということは「デスノート」は連続ドラマ向きなのだ。(実際に2006年11月8日現在、日本テレビで深夜に「デスノート」のアニメ版が放映されている)


例えば全12巻のDVD作品というのが最も適した形だが、それを前編・後編に分けて映画にする「変化球技」を使ってまで、欲しかったもの。


それは「映画のヒット」だ。


「踊る大捜査線」シリーズや「海猿」シリーズや漫画・アニメ「ワンピース」でヒットを飛ばしつづけるフジテレビを尻目に、他のテレビ局はなんとしてもヒット作がほしい。


どうしたらヒットさせることができるか。


その答えのひとつが日テレが投げた「飛び級の変化球」だ。


これには賛否両論あるだろうが、なんでもやってみるのもひとつの道だ。


視聴率さえ取れれば、ヒットさえさせれば、なんでもOKの風潮は、なにもテレビ局に限った事ではない。


ユーザーが増えれば、会員数が増えれば、アクセスが増えれば、なんでもOKといったようなことは、どこの業界にもある。


大事なのは、そのである。


「デスノート」前編・後編の観客が、次の日本テレビ関連の映画だからという理由で、映画館に足を運ぶかどうか。


たとえ、原作が面白いから、話題作だからという理由で映画「デスノート」を観た人たちであっても、面白い原作をさらにおもしい映画にするところといえば日テレ、という認識を彼らに持ってもらえたかどうかだ。


その答えは、日本テレビが関わる次回作で明らかになるだろう。


★なんでもやってみるのもひとつの道

★たとえ入り口は作品自体の魅力のみであったとしても、出口では、
 作品をどこが作ったのかを意識してもらえるようにする。
 →【ブランディング】


映画「DEATH NOTE デスノート 前編」作品レビュー


映画「DEATH NOTE デスノート the Last name」作品レビュー

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10/08/2006

映画ヒット作に共通のキーワード

先日、米ペンシルベニア州のキリスト教系一派「アーミッシュ」の学校で襲撃事件があった。


アーミッシュ(Amish)とはアメリカ合衆国のペンシルバニア州やオハイオ州に居住するキリスト教の一派であり、近代以前の生活様式を営む人々のことをいう。


電気や電話を使用せずに、動力としては風車や水車や馬車を使う。ボタン類のない質素な服装でいることが多いようだ。また、写真を撮ったり撮られたりすることを避けることが多いともいう。


映画に登場するアーミッシュとして有名なのは、ハリソン・フォードが出演している映画『刑事ジョン.ブック/目撃者』である。


事件を目撃した子供がアーミッシュであったため、刑事役のハリソンフォードは村に身を寄せるというストーリーで、事件とそれ追う刑事という「暴力」と、質素な共同生活をするアーミッシュの村という「非暴力」の対比を際立たせた秀作となっている。


アメリカ合衆国と、そこで暮らすアーミッシュの人々というのは、わかりやすい対比の構図を作ることができる。


ではどのような対比か。
それは「暴力と非暴力」「都市と村」といったものである。


これらキーワードを用いた作品に、シャマラン監督の『ヴィレッジ』がある。

映画『ヴィレッジ(THE VILLAGE)』作品レビュー


『ヴィレッジ』の村がアーミッシュだとはされていない。だが、村の生活様式はアーミッシュを彷彿とさせる。


アーミッシュとは違うであろうところのひとつは、外部との交流である。


アーミッシュの成人は車を運転しないが、旅行等では車や飛行機も利用するというから、共同体の外との交流は普通にあるようだ。


一方、映画『ヴィレッジ』の村は、共同体の外とは一切関係を持たない。外から村へ人がやってくることもないし、村から外へ人が出て行くこともない。


また『ヴィレッジ』の村では貨幣を使わないことからも、森に囲まれた村人たちは外部との交流を絶っていることがわかる。


アーミッシュにしても、映画『ヴィレッジ』の村にしても、世俗とはかけ離れたかのような共同体に象徴される「対比の構図」は映画づくりにはよく用いられる。


じつは対比の構図は多くのヒット作に用いられているのだ。


例えば以下のようなものだ。

●大企業の御曹司と普通の娘(身分違いという対比)
 【韓流ドラマにありがち】

●大富豪と娼婦の恋(身分違いという対比)
 【「プリティ・ウーマン」】

●一流企業勤務の美しいお嬢様とアキバ系ヲタクの
(系の違いという対比【映画「電車男」作品レビュー】

●過去からやってきた貴族と現代NYキャリアウーマンの恋
(時代・身分の違いという対比)【「ニューヨークの恋人」】

●会えばけんかの、身長が高めの女の子と身長が低めの男の子の恋
(身長差という対比)【映画「ラブ☆コン」作品レビュー】


もっと身近なものでは、いわゆるバディ(相棒)モノと呼ばれる作品がある。西部劇や刑事ドラマにおける相棒といったものだ。


ほら「海猿」シリーズでも、2人1組として活動する潜水士が、お互いのことをバディと言っていたのを覚えている方は多いだろう。


こういった作品では、主人公ふたりはとうてい相容れないかのような正反対のキャラクター設定となっていることが多い。


これをお笑い芸人で考えてみよう。


日本のお笑い芸人は、たいていコンビで活躍する。コンビの片方はボケ。もう片方はツッコミだ。もし両方ボケ、または両方ツッコミであったならどうだろう。なにかとやりにくいにちがいない。


さらに、芸人同士でキャラクターがかぶらないようにすることも大事だ。
「歌って踊れるデブ」というおいしいポジションを得た芸人(タレント)はそれで仕事が入ってくるようになるが「歌って踊れてモノマネができる芸人」がいつ現れるともわからないので心配する。


なぜ心配するのか?


それは、際立ったポジションを確立することで、他と対比して自分を売り込むチャンスが奪われるかもしれないと考えるからだ。


つまり「対比」される一方というポジションを確立したい、確立したら奪われたくないと思うからである。


AときたらB。BときたらA。AかBのどちらかに真っ先に自分の名(コンビ名)があがればしめたもの。


お笑い芸人にみるのと同じように映画でも「対比」というのはたいへんよく用いられている。


わかりやすい対比を設定して、キャラクターに肉付けすれば、あとは勝手にストーリーが進んでいく、という言い方もあながちうそではない。


そのくらい「対比」設定というのは有効だということだ。


映画を観るときに頭の片隅にでも「対比」というキーワードを入れておこう。意外な作品も対比をうまく使っていることに気付くことだろう。

B000B84MOQ刑事ジョン・ブック 目撃者
ピーター・ウィアー ハリソン・フォード ケリー・マクギリス
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2005-10-21

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10/07/2006

会社とスタッフが共に歩む~「フラガール」~

映画「フラガール」作品レビュー


石炭を掘っていた会社が温泉集客施設を作る。なんとも大胆なシフトだ。しかしやらないわけにはいかない。会社の存続と労働者の生活がかかっているのだから。


映画「フラガール」には描かれていないが、フラダンスの伴奏を担当するバンドマンも元炭鉱で働いていた人たちだったという。


炭鉱夫で楽器が演奏できた人がどのくらの割合でいたのかわからないが、いたとしても楽器演奏は趣味のレベルだったのではないか。


毎日シャベルやツルハシを持って穴を掘っていた人が、弦楽器の弦を指でおさえなければならない。演奏のまえに楽譜の読み方から学ばなかればならなかったかもしれない。


しかも当時(昭和40年代)はフラがどんな踊りなのかを知る人は田舎町では皆無に等しかったようだ。


半裸で腰を振ってヘラヘラ笑うおかしな踊りとしか思われていなかったフラの伴奏をする決心をすることが、炭鉱で働いてきた者にとってどれほど大変だったことだろう。


男は汗水たらして穴を掘り、女は男を助けて家を守る。という生活を長く続けてきた男達にとって、女たちの踊りを楽器の演奏でサポートするいわば脇役(実際は音楽と踊りは対等であるはずだ)かのような伴奏をしなけらばならないというのを屈辱と感じた人もいたかもしれない。


楽器を演奏するよりも炭鉱で穴を掘っていたほうが何倍も楽だと心底思ったかもしれない。


それでも楽器を練習した。


自分にはとうていできないと思っていたことでも、必要に迫られればできるのだ。


とはいってもどうしても楽器の演奏が向かない者もいる。そういう人は植物担当として南国の木々を世話した(映画「フラガール」には炭鉱夫からハワイアンセンターの植物担当になった男が登場する)。


植物担当のほうが楽器を演奏するよりも楽かというそうでもない。


東北の田舎町の寒さに、オープン前で給湯設備がうまく機能しないときなど、炭鉱町をリアカーを引いて周り、ストーブを借りてきて、南国産の木々の周りに置いて暖めたという。


このように、フラダンスの伴奏となる演奏も、南国風情を醸し出す南国木々の世話も、元炭鉱夫がしたのである。


炭鉱から温泉レジャー施設運営へ。


とうてい無理だと思うことでも会社はシフトした。炭鉱労働者をただ「きる」のではなく、元炭鉱労働者をハワイアンセンターの従業員として採用するよう努めたのである。そのために一から楽器の練習をさせ、炭鉱町の娘たちにフラを教えたのだ。


常磐ハワイアンセンターが今日まで営業しているのは(現在は「スパリゾートハワイアンズ」と名称変更している)、外からフラダンサーを連れてくることなく、外からバンドを連れてくることなく、自社の従業員を育てあげ、一緒に成長してきた歴史があるからだ。


あなたの(あなたが勤めている)会社は、自社の従業員を大事にしているだろうか。


あなたでなくてはならないと思わせるものが会社にあるだろうか。


明日から会社がこれまでとは別の新形態のビジネスに転換するとき、全くの素人となるあなたを引続き使ってくれるだろうか。


★ 顧客のほうを向くには、まず会社で働く人々の心を掴まなくてはならない。

★ 会社とそこで働く者は、共に歩むこと(供ではない)。

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09/08/2006

東宝の「ラフ」もジャニーズも使ってるアノ手法


映画「ラフ(ROUGH)」は東宝シンデレラガールの長澤まさみ主演の青春アイドル映画である。


「タッチ」「ラフ」とあだち充原作漫画の実写化作品でヒロインを演じた長澤まさみ。


というよりも、長澤まさみをより一層いかに魅力的に撮るかを中心に考えて作っているように感じるのが「タッチ」「ラフ」といった東宝作品群なのである。


長澤まさみの女優としての輝きはホンモノで、たとえ脚本や演出がグダグダであっても、主演女優の魅力でそんなことはたいしたことではないと思わせてしまうほどの魅力が彼女にはある。


そもども映画「ラフ」は、映画「タッチ」に比べればたいそう脚本や演出が良くなった。


それでも、長澤まさみという女優の魅力が突出している、長澤まさみによる長澤まさみのための長澤まさみを観にいく作品には違いない。

ならば長澤まさみだけを撮りつづけていればいいかというと、そうでもない。


今は命綱ともいえる長澤まさみの魅力を最大限にスクリーンいっぱいに表現しようとしつつも、受け継ぐもの、つまり次のスターを育てていかなければならない。


ジャニーズでいえば、有名人気アイドルグループの後ろで踊るジャニーズジュニアである。


先輩たちのステージのバックダンサーとして登場させ、メインのアイドルグループを目当てでやってきたファンたちの目にそれとなく触れさせることで、次のアイドルグループ誕生への布石をうっているのだ。


これと似たことを「ラフ」でもやっている。


それは第6回東宝シンデレラの黒瀬真奈美の登場である。彼女は「ラフ」で主人公達が寄宿する上鷺寮の寮母の娘・東海林緑という役で出演している。


絵が好きで寮の庭でいつもラフデッサンをしていていて、これが「ラフ」というタイトルの意味を観客に伝える役目を果たしている。


たいてい帽子を被って寮の庭の一角で静かにラフデッサンをしている東海林緑は、ふとしたときに主人公二ノ宮亜美の表情の変化をズバっといい当てる。


二ノ宮亜美が自分の気持ちを自分ではっきりと認識するきっかけになるこの短いけれどポイントを抑えたこのシーンに黒瀬真奈美を配置しているところが、新たなヒロイン誕生への布石なのである。


特に帽子を被らせているのがいい。
彼女が寮の庭にいつもいるので帽子を被ることに違和感を感じさせずに、観客にこの娘をもっとよく顔を見たい!と思わせる「じらし効果」があるからだ。


観客は長澤まさみを見にきたのであるが、いつのまにか庭の女の子もちょっと気になってくる。


そして作品のエンドロールが流れた後のオマケシーンでは、東海林緑が高校に入学して、寮母である母親に自分の晴れの制服姿を披露する。


もちろんこのときは帽子を被っておらず、いつも庭に座ってしずかにしていた東海林緑が寮の庭にいる母親にむかって笑顔で走ってくるのだ。


こういったシーンを最後に入れていることこそ、東宝がシンデレラガールを育てることにたいへん熱心であることがうかがいしれる。


長澤まさみという女優が注目され、すばらしいと絶賛されればされるほど、人気が出れば出るほど不安になるのものだ。


もし長澤まさみがいなくなったら? 


芸能界を引退してしまったら?
 

どんなに順風満帆でも、次の手はしっかりうっておく。


ジャニーズがよく使うこの手法をぜひ活用しよう。


「ラフ(ROUGH)」作品レビュー


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07/21/2006

「サイレントヒル」の評判がいいワケ

映画「サイレントヒル」のクチコミでの評判が上々だ。

ウェブログの映画レビューをはじめとするネットのクチコミをみてまわると、おおむね評判がいい。

「サイレントヒル」はホラーであり、かなりグロテスクな描写もあって惨たらしいと思えるようなシーンもある。

それにもかかわらず、映画館はカップルや若い女性の姿が多いという声もきこえてくる。

私が足を運んだ映画館でも、ホラー作品の上映館では普段あまり見かけない客層(ファミリーや若い女性客)が多かった。

ゲーム「サイレントヒル」は4作あり、全世界でシリーズ累計530万本以上を売り上げた。そのためゲームファンの関心が高かったことからウェブログをはじめとするネット上での作品への感想・レビューが多くUPされたようだ。


では、なぜ「サイレントヒル」は評判が上々なのか。

それは、ゲームをプレイしたことがある人にとって最も大事なところがしっかり押さえられているからだ。

最も大事なこと、それは「雰囲気」だ。

ビデオゲーム(テレビゲーム)は映像も音もある。それだけに作品の世界観を小説よりも限定されている。

小説は基本的に文章だけなので、読者の脳内世界に浮かび上がった作品世界という雰囲気は読み手の数だけ多種多様だ。そのため、小説が映画化された場合、作品世界感について自分がイメージしたものと多少ちがっていたとしても、ある程度は許容範囲となる。

ところが原作が映像を含む作品の場合、今回の例ではビデオ(テレビ)ゲームの映画化ということになると、小説の映画化とおなじ許容範囲とはならない。

ゲームをプレイしたことがある人が、自分が感じ取った作品世界の雰囲気のイメージと合うと判断できる許容範囲は小説のそれよりもはるかに狭くなる。

なぜなら、ビデオ(テレビ)ゲームは文字のほかに映像も音もあるため、作品世界のイメージがほぼ固められているからだ。


映画「サイレントヒル」は評判がいい理由のひとつは、ゲーム版の雰囲気をとてもよく表現しているところにある。

監督はゲーム版がたいへん好きで、映画化にかなり力を入れたようだ。するとゲーム好きな人が映画化にあたってなにを一番重視するかを監督はよく理解していたことになる。

そういった熱心なファンの期待にじゅうぶんに応えることは作品の宣伝にきわめておおきな効果がある。映画の感想やレビューを書いてUPするのは、もともそ映画好きか、その作品を好きな人がおおいからだ。

こんにち、映画の宣伝を真にうけて観にいく作品を決める人はずいぶん少なくなった。

映画作品のテレビCMで、作品を観た観客の感想という形をとって宣伝しているのをよくみかけるのは、人が信頼しやすいのは宣伝マンの言葉ではなく、自分に近い一般の観客だということをある程度知っているからだ。

とはいえ、映画のテレビCMなので作品に肯定的な感想を述べる観客のカットしか使っていないのはあたりまえだが……。

いまどき、制作会社や宣伝会社からお金を貰って宣伝している有名人や評論家やライターの言葉を鵜呑みにする人をみつけるのは日本で太陽族をみつけるよりも難しい。

観客のリアルな感想はどうなの? というのを皆は知りたいのだ。

映画「サイレントヒル」については原作がビデオ(テレビ)ゲームのため、積極的に作品について感想を述べる(書く)、マーケティングのイノベータ理論でいうところの「アーリーアダプタ 」が重要なのだ。

アーリーアダプタは、ある商品・サービスが良いと感じたら、いち早くそれを手に入れ、感想をまわりの人々に話すからだ。

作品の性質を見極めて、よい宣伝になりうる可能性が最も高いポイントをしっかりおさえること――ゲームにおける「作品世界の雰囲気」――が大切なのだ。

というわけで映画「サイレントヒル」は、ゲームをプレイしたことがない人にとっては、主人公の身のまわりでいったいなにが起こっているのかわからないまま物語が進んでいくので戸惑うことになる。

しかし、こうした戸惑いは不安感を煽られて主人公と同じような気分を味わえるので、それを味わえるならばゲームをプレイしたことがない人でもじゅうぶんに作品を堪能できるだろう。

「サイレントヒル(SILENT HILL) 」作品レビュー

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10/23/2005

カットバックで迫力倍増―「ステルス」―

インパクトのある広告を作りたい。もしくは手の込んだ広告を作ったのでより一層インパクトのある方法を使ってひとりでも多くの人に観てもらいたい。

そんなときに手本になる映画をご紹介しましょう。
今回の作品はこちら。

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「ステルス(STEALTH)」
監督:ロブ・コーエン
アメリカ/2005年/120分

〈ストーリー(概要)〉
アメリカ合衆国。近未来。
アメリカ海軍のテロ対策プロジェクトのひとつであるステルス戦闘機による任務には3人の優秀なパイロットが選ばれた。3人のチームに新しい仲間が加わることになった。それは最新鋭の人工知能を搭載した無人ステルス戦闘機だった。
ある日、雷にうたれた無人ステルス機は命令を無視して単独行動をはじめる。それを阻止しようとするパイロットたちのステルス機が次々と飛行不能になっていく。パイロットリーダーのベンはひとり、無人ステルス機を追跡する。

作品レビューはこちら
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女性パイロットのカーラは損傷を受けた自機(ステルス戦闘機)が操縦不能になり、緊急脱出します。

まだパラシュートを開きません。かなりの高度から脱出したので、しばらくは重力のままに降下していきます。

しかし、ちょうどカーラの上空でステルス戦闘機が木っ端微塵になってしまいました。戦闘機の災に包まれた細かい破片が雨あられのようにカーラに降り注ぎます。

もし破片に当たったら怪我どころでは済まないかもしれないし、開く前のパラシュートに当たって壊れたら……。

それに、パラシュートを開いて、災に包まれた破片が当たったら、あとは地面に激突するだけになってしまいます。

そこでカーラはパラシュートを開かなかればならないギリギリの高度まで待ちます。その間も高速で落下しながら、降り注ぐ破片を避けようとします。


「戦闘機の災に包まれた破片が自分に向かって降り注いできます」
「破片に当たった! なんとか体勢を整えています」
「降り注いでいます! すごい数です。避けられない」
「パラシュートを開くギリギリまで待ちます」
「高度計をセットしなおしました」
「まだ降り注いでいます。高度ギリギリです!」
「パラシュートを開きます!」
「破片がパラシュートに当たりました! 貫通!」
「地面に落ちます!」

といったような意味の内容の通信が、作戦本部に入りつづけます。

災に包まれた破片を必死に避けようとスカイダイビング中の迫力ある映像の間に、作戦本部でそれを聞いてもどうすることもできない司令官たちのカットが幾度も挿入されます。

しかもカーラが降下している場所は、アメリカ合衆国とは国交がない国です。なんとか無事に着地できたとしても、救援隊を送ることはできません。


「ステルス」の空中シーンの背景はすべてCGで制作されているそうです。

このカーラの脱出・落下シーンはとても迫力のある映像となっています。これだけでも映像はすごいのに、さらに迫力を増す仕掛けがあります。

その仕掛けとは、カーラの脱出・落下の音声実況をただ聞きつけるしかない作戦本部のカット挿入です。

現場と作戦室とのふたつの視点を観客に提供することで、迫力のある映像だけでなく、作戦本部の指揮官の身になって想像もさせる、という2重のハラハラ感を演出しているのです。

これは映画ではよく使われるカットバックまたはクロスカッティングといわれる手法です。カットバックとは、場面のシーンを交互に撮影(映写)することで、臨場感や緊張感やハラハラ感等の効果をもたらす撮影技法です。


いい商品がある。すごくオススメの商品がある。では商品の映像だけをテレビで流せばOKでしょうか。

例えばこんなのはどうでしょう。
ラジオやポットキャスティングで特徴的な音楽とメッセージを流しておきます。そして今度はその特徴的な音楽と共に商品の映像を流すのです。

これは、予告(音声)と本編(映像)のスムーズな連動による演出効果を狙った例です。


カットバック技法とはつまり、視点を2つ以上持たせるということです。

映像だけでなく、音声も流す。

商品のAという使い方だけでなく、Bという使い方も提案する。


映画の基本技法――カットバック。

これをビジネスや人生にもどんどん活かしていきましょう。


【要点】……………………………………………………

●映画の技法――カットバックを活用しよう。

●見せたいものがあるなら、そのものズバリを提示するだけでなく、相手の想像力も刺激する工夫をしよう。

●ふたつ以上のものを交互に提供して、臨場感や緊張感をアップさせよう。


∇無料レポート
「『ファインディング・ニモ』が教えてくれる、わかりやすくする7つの方法」


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10/02/2005

人気者になるには?―「となりのサインフェルド」―

人気者の特徴は?

学校のクラスの人気者を思い浮かべてみよう。いつもクラスメイトを笑わせていたり、サッカーがうまかったり、勉強はあまりできないけれどバンドを組んで活躍していたりと、いろいろな人気者を思い浮かべることができるでしょう。

○○くん(さん)といえば「○○」だ。というように、人気者には特徴があります。

髪型がちょんまげだとか、いつも赤いシャツを着ているとか、東京都内の学校なのに高知弁を話すとか。

人気者の特徴は、その風貌だけにではなく、その活躍の仕方にもあります。


では人気者になるにはどうしたらよいのでしょう?

人気者の特徴をしっかりと掴んで取り入れればいいのです。


ここでマイケル・リチャーズを紹介しましょう。

彼はアメリカンコメディドラマ「となりのサインフェルド」に登場する大人気キャラクターであるクレイマーを演じる役者さんです。

彼が演じるクレイマーは、ドラマの主人公ジェリー・サインフェルドが住むアパートのお隣さんで、しょっちゅうジェリーの部屋に遠慮なくやってきては食べ物を分けてもらったり、日用品を借りたりします。

合鍵も持っているクレイマーは、ほんとうに唐突にドアを開けて入ってきます。

この登場シーンで彼はいつも大げさな動き(アクション)を披露します。一度だって「普通」に登場しません。

またクレイマーはいつもゆったりとした服を着ています。お気に入りのジャケットを着ていることが多いのですが、ビシっと着ている
のではなく、ゆったりと着流しているといったかんじなのです。


マリケル・リチャーズはこのクレイマー役で大ブレイクしました。

クレイマーという役を演じるにあたって彼は、人気者になるための2つの特徴としっかりと取り込んでいます。


∇ひとつは、独特で大げさな「動き(アクション)」です。

登場シーンだけでなく、クレイマーの「動き」はいついかなる時も独特です。長身の彼が体をクネクネさせたり、ピクピク痙攣みたいにしてみせてたり、そうかと思うと颯爽と登場してみせたり(それでもなぜか笑ってしまう)と、実にさまざまな「動き」を披露してい
ます。
こうした「動き」がすべてクレイマーというキャラクターを形成しているのです。


∇もうひとつは、クレイマーの格好・衣装です。

彼はドラマの撮影にはワンサイズ大きな服を着ていたそうです。いつもゆったりと着流したかのような服装はパッと見た目においてクレイマーというキャラクターを視聴者に印象づけています。
ストーリーの紹介や登場人物の紹介はこちら


マリケル・リチャーズの特徴についての記事はこちら
「ワンサイズ大きい服を愛用しているのは誰?」


マイケル・リチャーズが演じるクレイマーが登場するアメリカンコメディドラマの詳細はこちら
『となりのサインフェルドblog』


【要点】…………………………………………………………

●人気者には特徴がある

●人気者の特徴は、その風貌だけにではなく、その活躍の仕方にもある

●人気者の作り方――名前を聞いた人がすぐに「絵・画」と「動く映像」を思い浮かべることができるようにする。

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08/15/2005

広く浅く?-「アイランド」-

ひとりでも多くの方に知ってもらいたい。
ひとりでも多くの方に来店してもらいたい。
ひとりでも多くの方に買ってもらいたい。

でもその前に「中心となるもの」があるでしょうか。

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「アイランド(THE ISLAND) 」

マイケル・ベイ監督/アメリカ/2005年/127分

放射能に汚染されていない最後の楽園・アイランドへいつの日か抽選にたって行くことを、無菌室のような建物待ち望みながら集団生活をしている人々がいる。
そのなかのひとりのリンカーンは、アイランドが存在しないことを知り、ジョーダンを連れて生存のために脱出する。

作品レビューはこちら
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「アイランド」には様々な要素が詰め込まれています。

○SF
近未来。クローン。空中滑走バイク。


○宗教・文化
・アダムとイブ 
聖書では、はじめのヒトはアダム。つぎにアダムのあばらの骨のひとつを取って作ったのがイブ。「アイランド」ではリンカーンとジョーダンのことをさす。

・蛇 
エデンの園でアダムとイブを禁断の果実で誘惑した生き物は蛇。「アイランド」では脱出したリンカーンとジョーダンがはじめに出会う生き物が蛇。

・約束の地
旧約聖書ではカナンの地のこと。「アイランド」では唯一汚染されていない島のこと。

・選ばれし民
聖書ではユダヤ民族のこと。「アイランド」では無菌室のような住宅棟で臓器移植用に生かされているクローンたちのこと。
 
・出エジプト
聖書ではモーセが、虐げれているイスラエル民族をエジプトから連れ出して約束の地であるカナンに向けて出発することをいう。「アイランド」では、一度脱出したリンカーンがふたたび住宅棟に戻り、ほかのクローンたちを解放することをさす。


さらに「アイランド」には派手なアクションシーンもあります。

これは、SFファンの心もくすぐり、キリスト教文化になぞらえて普遍性をもたせ、派手なアクションシーンで観客に楽しんでもらおうというものでしょう。

SFならSFの命題、たとえば「ロボットに心はあるか」「タイムとラベルで過去と未来を変えられるか」といったことを深く掘り下げていくといった方向ではないようです。

またキリスト教文化を背景に人間の苦悩・成長といったドラマを深く描くといった方向でもないようです。

さらに、単純にアクションを楽しむといった方向でもないようです。

いろいろな要素を詰め込むというよりも、いろいろと付けてみましたといったほうがいいでしょう。

そういうわけで「斬新さ」や「キレの良さ」といったものは感じられません。

それでも作品としてそこそこな出来だと思わせてしまうのは、派手なアクションシーンにその秘密(というほどのものでもないかな)があります。

最近の映像効果技術の発達と、ハリウッドの豊富な資金力によって、他の国や地域ではなかなか作れない映像を見せてくれるのです。

いろいろ具が入っていて、何鍋といえばいいのかわらないけど、とりあえず秘伝のタレをかけて食べればOK。この秘伝のタレがかなり「高価」だけど、とりあえずどんな具材でもそれらしい味にしてしまう「効果」があります。

たくさんの人に観てもらいたい。そのためについ広く浅くしてしまいがちです。広く浅くというのはつまり「これだ!」という中心・特徴・色がないということです。

必要なのは中心・特徴・色です。これらの周りにSF・宗教・文化・心理・ユーモア・ジョークといった肉付けをしていくのがベストです。


【要点】

●広く浅くは、どこにも引っ掛からない可能性があることを心得よう。

●いろいろな味の鍋を食べてもらいたくても、ごった煮ではそれぞれの味を楽しめない。

●カレーが食べたいお客さんがラーメン屋にいく?
 
●寿司とカレーとピザのメニューがあるラーメン屋を想像してみよう。

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07/11/2005

負の連鎖を断ち切る―ドラマ「電車男」―

ドラマ版「電車男」の放送がはじまりました。

ある意味で、映画版よりもダークになっています。

それはヲタクという特徴あるキャラクターが主人公なので、注目されがちな彼の容姿よりも、23歳のひとりの男性がおかれた状況から観客の感情移入を促がそうという狙いのためでしょう。

映画版「電車男」はこちら↓
…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…
∇「電車男」

村上正典監督/日本/2005年/101分

元ネタ:2ちゃんねる掲示板のスレッド

〈物語〉
電車で酔っ払いからお嬢様系女性を助けたアキバ系青年。後日その女性からお礼の品が届く。青年(電車男)は彼女(エルメス)と親しくなりたいが慣れないことでどうしていいかわからない。
そこで馴染みのあるインターネットの掲示板で相談してみることに。すると数々のアドバイスや意見や叱咤激励が寄せられる。
電車男は掲示板に集う人々に助けられてエルメスとデートを重ねていく。

映画「電車男」作品レビュー
夢と現実のバランス―「電車男」―
…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…


さて「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」という映画作品が
あます。

次々に不幸に見舞われる3姉弟妹が力づよく生きていく物語です。

「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」作品レビュー

不幸が次々に襲いかかるほどに、それでもくじけずに力づよく生きていく3姉弟妹に観客は声援をおくるようになります。

これと似た効用がドラマ版「電車男」にもあります。

ではドラマ版「電車男」は、ある意味で映画版よりもダークというのはどういうことなのでしょうか。

それは、ドラマ版の電車男は「技能」や「技術」をもっていないか、もしくは持っていてもそれを使いこなしていないことと、死へのハードルを越えようとするほどに思いつめていることの2つを指します。

ドラマ版電車男(以下「ド電車男」)は人材派遣会社の営業マンです(会社名「ワーカホリック」ってちょっとヤバくないですか?笑)

映画版電車男は会社のコンピュータシステム関連の仕事をしていました。どんな仕事内容かはくわしくわかりませんが、多少なりともパソコンやネットやコンピュータの知識と技術が必要な仕事です。

それがド電車男では、いわゆる営業マンという設定になっています。どうみてもド電車男には向かない職種……。

ド電車男の部屋にはガンダムのプラモやアニメのキャラクターグッズがたくさん飾られていて、パソコンヲタクという匂いはほとんどしません。

もしかしたら、今後エルメスにパソコン系の仕事が合っていることに気付かされて、めでたく転職するというプロットがあるのかもしれませんね。

そしてゆくゆくは仕事と恋(愛)の両方を手に入れるというハッピーエンドに! ってなかんじでいくのでありましょうか。

23歳男。営業職。ヲタク。
妹には避けられ、見ず知らずの女性に落し物を渡してあげては露骨に嫌な顔をされ、同僚には嫌味を言われ、小さな女の子には罵られ、担当している派遣スタッフの女性には生きている価値なしとまで言われる。

単調な、なにも起きない毎日には慣れているはずだった。でも、なぜか誕生日に、一度にいろんな辛いことが重なって起ったのです。

親父がケーキを作っているのをみて、家族だけはおれの誕生日を覚えていてくれた! と思うのも束の間、それはド電車男の誕生日を祝うためのケーキではありませんでした。

普段なら、しょうがないよそんなもんだ、と淡々と思うだろうけれど、さすがに誕生日は、一年に一度ぐらいはちょっとぐらいはいい夢みさせてくれてもいいはず……。

それなのに、よりによって誕生日にいろんな辛いことが重なって、家族さえも心の支えになってくれそうもない。

このように、ド電車男の周りの外堀をひたすら埋めていくんです。北側も南側も。東側も西側も。

もうド電車男にはなにもない。あるものといえば「若さ」だけ。でも若いだけの奴なんていっぱいいる。

すると、たとえ自分がヲタクじゃなくても、視聴者にとってド電車男はもうただの他人じゃないんです。

八方塞がりに思えて、涙ながらにビルの屋上から飛び降りようとさえする男が、たとえヲタクであろうと、外堀が埋められていくのを見てきた視聴者は、それが他人事とは思えなくなっているのです。

エルメス(ブランド)のティーカップが届いて、お礼の電話をどうしてもかけられないというド電車男に、ネットの住人のひとりは、おまえには失うものなんてなにもないだろ、といったことを書き込みます。

「砦なき者」
野沢尚の小説の題名ですね。

野沢さんの小説じゃないですが、失うものがない者というのはある意味で最強です。
なにもなければ、あとは獲得するだけです。たとえ獲得できなくても、もともと何もないのですから、失うものもありません。

なにも持っていないし、いいことなんてない。一年に一度の誕生日にさえほんのわずかな「いいこと」なんてないばかりか、辛いことが重なって……。

ド電車男はビルの屋上から飛び降りようとしますが、思いとどまります。

このシーンがドラマの第1話目にあるといのがポイントです。

ネットの集団自殺が後を絶たないことからも、ひとりで思いつめている人が、ド電車男のようにビルから飛び降りようとするけれども、ギリギリで思いとどまることがあることでしょう。

たとえ飛び降りようと金網をよじ登らなくても、心の中で飛び降りようかなとちょっとでも思う人はもっとたくさんいるかもしれません。

そうです、それを実行するには、もうひとつのハードルを越えなければなりません。

ネットの集団自殺とは、ひとりでは越えられそうもないこのハードルを集団の力で越えてしまう、そんな負の力が作用する現象のひとつではないでしょうか。

電車男がひとりで飛び降りることをやめたのはラッキーです。もし毎日の愚痴や辛いことをネットの掲示板に書きつらねていたら……。ネットの住人たちによる負の力に後押しされて「ハードル」を越えていたかもしれません。

ところがド電車男は、若い女性を助けてお礼の品が送られてきたけど、どうすればいい? とネットの掲示板に書き込みます。

ネットの住人の多くは、単調な変化のない日常をおくっています。彼等はネットの掲示板を介して電車男に関係しているとはいえ、テレビの一般視聴者の多くと共通するキャラクターです。そこに「女性を助けた青年」から助言求む! の書き込みがなされるのです。

そこには、きっかけによって変わろう必死にともがく男がいます。

そうだ! 一歩踏み出すんだ! とネットの住人達の多くは応援します。

それはネットの「負」の後押しではなく、ネットの「正」の後押しなのです。

単調な日常。変わらない日々。一歩生み出す勇気。変わることへの不安。このあたりは「Shall We Dance?」と共通してますので、もしかしたら電車男も米でヒットするかもしれません。アキハバラという名は世界に知られていますから注目を集めやすいでしょうし、基本はシンデレラストーリーですからリメイクもしやすい!

なにはともあれ、ドラマ版電車男は、四面楚歌状態で外堀を埋められて追いつめれた城主(電車男)がネットの「正」の力に後押しされて幸せを掴み取る男性版シンデレラストーリーなのです。


【要点】

≪ヒーローの作り方≫

●不幸の連続で外堀を埋める

●失うものがない者がなにかをつかもうとするきっかけをつくる

●獲得のために必要な変化への不安をていねいに描く

●応援者が参加できる環境をつくる(ネットの掲示板)


≪その他≫

●辛いときこそ前向きな行動を

●前向き・変化・一歩踏み出す勇気は、負の連鎖を絶ち切り、負の増殖を抑える

●ネットでも実社会でも、他人の言うことにふりまわされずに、正の後押しを受け られるよう調整する

●電車男は変化への不安を書き込むが、日常の愚痴や泣き言は書き込まない

●あくまで正(前向き)の不安であって、負(後ろ向き)の弱音や愚痴ではない

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07/07/2005

夢と現実のバランス―「電車男」―

「電車男」がトゥルーストーリーかどうか。

そんな議論もあるとか。

たとえ実際にあったことを元にしたドラマや映画であっても、いくらかの脚色や演出はするでしょう。

では、映画版「電車男」はどのくらいリアルなのでしょうか。

…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…
∇「電車男」

村上正典監督/日本/2005年/101分

元ネタ:2ちゃんねる掲示板のスレッド

〈物語〉
電車で酔っ払いからお嬢様系女性を助けたアキバ系青年。後日その女性からお礼の品が届く。青年(電車男)は彼女(エルメス)と親しくなりたいが慣れないことでどうしていいかわからない。
そこで馴染みのあるインターネットの掲示板で相談してみることに。すると数々のアドバイスや意見や叱咤激励が寄せられる。
電車男は掲示板に集う人々に助けられてエルメスとデートを重ねていく。

「電車男」作品レビュー
…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…

映画版「電車男」では、まずはキャスティングに「夢」を持たせています。

電車男役は山田孝之さん。テレビドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」や「H2」に出演しています。

彼はいわゆるイケメンです。元の素材がいいんです。その山田孝之さんが衣装と演技で見事にオタク青年になっています。

電車男役をリアルなオタク青年にしてしまうと、なかなか一般ウケしづらかったでしょう。

その点、山田孝之さんなら「実は美男子」ということで、安心してみれるんです。

ドラマ版「電車男」ではそんなにイケメンの俳優さんでなくてもOKです。なぜなら、ドラマは毎週少しづつストーリーが進んでいきますので、視聴者は徐々に登場人物に感情移入していくことができるからです。

映画上映時間はせいぜい2時間ほどですので、なるべく早い段階で「つかみ」はOKといきたいところです。そこでイケメンの山田孝之さんの出番となったのでしょう。これは正解ですね。

「電車男」が実話だとしても、はたして電車男はどんな容姿をしていたのかはわかりません。
でも、彼はいわゆるオタク系青年だということですので、映画のキャスティングにはある程度の「夢」という名の演出を施しているのです。

さて、もっと注目してほしいのはヒロインのエルメスです。エルメス役は中谷美紀さん。

なぜ彼女なのか? それは、エルメスは中谷美紀似、という書き込みがあったからだといいます。

ここが電車男のスゴイところです。

オタク系青年が好む女性像は? と訊かれて、たいていの方が思い描くのは、現実に存在する女優やタレントさんではなく、マンガやアニメの登場キャラクターでしょう。

「○○○というアニメの○○○ちゃん」といったふうに。

でも電車男は、エルメスは中谷美紀似だというのです。

ここがポイントです。

中谷美紀さんなら、どんな男でもたいていは受け入れやすいでしょう。彼女はいわゆる一般ウケもするきれいな女優さんだからです。

もし「アニメ萌萌系少女とオタク青年の恋愛物語」だとしたら、ここまで電車男が話題になることはなかったでしょう。

「オタク系青年とお嬢様系美人との恋愛物語」

それは、なかなかありそうもないと思える話だからこそ、人々の注目と応援を集めることができたのです。


【要点】

●リアルにこだわりすぎない

●夢と現実のバランス感覚を養う

●あったらいいけど、まずありえそうもないと思える組み合わせを試し
 てみる

●感情移入や応援をしてもらうには、時間のかけ方によって工夫が必要


そういえば今日7月7日は七夕ですね。
なかなか出会えそうもない二人が恋に落ちるラブストーリー。電車男と七夕はいい相性かもしれないですね。


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06/01/2005

馴染みになる方法―「バタフライ・エフェクト」―

馴染みの客。それは「顧客」ともいえます。

馴染んでみもらうには、お客さんに親しみを感じてもらい、いつも身近
にいるような感覚を持ってもらう必要があります。

映画作品を例にみてみましょう。


∇「バタフライ・エフェクト(THE BUTTERFLY EFFECT)」

 エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー監督/アメリカ/2004年/114分

〈Story〉
少年の頃にときどき記憶がなくなって失神することが度々あった大学生のエヴァンは、7歳からつけはじめた日記を読んでいるときに、運命の分かれ目である過去の一部を変更する方法を発見します。
エヴァンは最愛の人、家族、友人を救うために何度も過去を書きかえていきます。

「バタフライ・エフェクト(THE BUTTERFLY EFFECT)」作品レビュー


これは、「時間」と「記憶」を題材に「日常」という海に「感動」という波をおこした斬新SFラブストーリーです。

タイムトラベルものですが、通常のSF作品とはちょっと違う方法で時間を旅します。

たいていのタイムトラベル作品では「タイムマシン」が登場します。博士が開発したタイムマシン――たとえば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアン(車)。「タイムライン」で大企業が秘密裏に作りあげたタイムトラベル装置。

どちらも庶民には開発できっこなさそうだし、そもそも開発費だって用意できそうもありません。

まぁSFなので、ありえっこないマシンが登場してもいいのですが、バタフライ・エフェクトでは身近なものを使って過去にいきます。

身近なものとは、日記です。

一度ぐらい日記をつけたことはだれもしもあるでしょう。それがたとえ3日坊主で終わったとしても……。

Eメールやホームページやウェブログというのも日記の性質と似ています。

日記を読み返すと、過去のある時点でのある出来事に思を馳せることができます。

脳は過去へ時間旅行しているのです。

そう考えると、現代の日常には日記的なものが溢れていることに気がつくでしょう。

日記を読み返すという時間旅行なら、あなたもしたことがあるでしょう。

どこかの博士が設計図を書き、どこかの大企業が資金を出して開発したタイムマシンではなく、あなたの部屋の本棚や押し入れの奥にしまってある日記――こんな身近にタイムトラベルツールがあったなんて!

SFという突拍子もない世界の出来事が、日記という身近なツールによって一気に親近感を抱きやすい出来事に変わるのです。


またバタフライエフェクトはタイムトラベルの方法が身近(日記)なだけでなく、もうひとつ工夫があります。

それは、観客の「知りたい」という欲求を刺激するという工夫です。

主人公エヴァンは子供の頃の記憶が一部ありません。少年の頃の、記憶を失ったある出来事とはいったい何なのか?

エヴァンの現在につづく線の一部が抜け落ちているのです。抜け落ちた部分を書き変えようとするのですが、そもそもその抜け落ちた部分自体が謎となっているため、観客は次の3つの興味を抱きます。

(1)抜け落ちた部分でなにがあったのか?

(2)抜け落ちた部分をどう変えるのか?

(3)抜け落ちた部分を変えることで、未来はどうなるのか?

たいていのタイムトラベル作品は(2)と(3)が観客の興味の対象です。
しかし「バタフライ・エフェクト」では(1)も謎となっているのです。

例えるならこうです。

「ジグソーパズルの抜け落ちた個所に、形は同じでも色の違う様々なピースを当てはめます。当てはめたピースによってジグソーパズルの絵柄が描き変えられてしまいます」

抜け落ちたピースを探すところがはじめるのが「バタフライ・エフェクト」なのです。

このように、観客の知りたいという欲求を上手に刺激し、観客のだれもが持っているであろう日記(的なものを含)を使うことで、主人公に親近感を持ってもらえるようにしているのです。


【要点】

●SFといえども、日常にあるもの(日記)を使って身近に感じてもらう。

●わたしにも似た経験や感覚がある(日記を読んで過去へ思いを馳せた)
 と思ってもらう。→ 親近感 → 馴染みへ。

●謎で興味を持ってもらう。

●謎を解くカギは、親近感を抱きやすいもの(日記)にする。

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04/12/2005

あなた自身の物語の作り方―「エターナル・サンシャイン」―

テストの時間。問題を解き終わって暇そうにしている生徒へ向けて先生が言います。

「提出するまえに見直しをしましょう」

めんどくさぁ~い。やっとテストが終わった(自分にとっては)のに、退出可能時間になるまでの間に見直しなんて、気がすすまないなぁ。

辛く長い中間試験(期末試験)が間もなく終わろうとしている。そんなときならなおさら面倒に感じますよね。

最後の問題を解いたら、試験のために覚えた熟語や公式は頭の中からすっぽり忘れ去ったっていい。でもほんとうに忘れ去りたいのは熟語や公式ではなく、それらを覚えるために費やした、長く辛い勉強の日々の記憶ですね。

でも、先生は勉強をがんばってしたからこそ、最後に見直しをしましょうといいます。

見直しってそんなに大事なの?

映画作品を例にみてみましょう。
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∇エターナル・サンシャイン(ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND)

ミシェル・ゴンドリー監督/2004年/アメリカ/108分
第77回アカデミー賞脚本賞受賞

〈Story〉
ジョエルは喧嘩別れした恋人が嫌な記憶を消してしまったことを知る。自
分も記憶を消そうと恋人が利用したラクーナ社(Lacuna Inc.)を訪れる。
この会社を利用すると一晩自宅で寝ている間に消したい記憶だけを消去で
きるという。
こうして喧嘩ばかりの日々を消していくのだが、その過程で恋人クレメン
タインへの愛を再確認したジョエルは記憶の中の恋人を守ろうとする。

「エターナル・サンシャイン」作品レビュー
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ヒロインのクレメンタインは、別れた相手のジョエルと、ジョエルに関する記憶を消してしまいます。それを知ったジョエルもクレメンタインに関する記憶を消そうとします。

ジョエルは脳内の記憶を消していく過程で、クレメンタインと一緒の時間を追体験します。

ふたりでいてもすれ違いや喧嘩ばかりをしていた記憶……。消してしまいたいと1度は思った記憶……。

でもやがて、ふたりの幸せなひとときの記憶を追体験していきます。

こうして辛い記憶と楽しい記憶の両方を改めて体験してみて気づいたこと。それは――クレメンタインを失いたくない! という気持。クレメンタインに関する記憶がすべて消されてしまうまえに彼女を助けたい!

そこでジョエルはクレメンタインを守るために奔走します。


子供に絵本を読み聞かせたことはありますか? 
毎晩のように、同じ絵本を読んでくれとせがまれたことはありますか?

同じ絵本を何度も聞いてたのしいのかな? とふと思うかもしれません。

でも、自分が子供だった頃、パパやママにいつも同じ絵本を読んでもらっていたという方も多いでしょう。

子供は同じ絵本(物語)を何度も聞くことで、自分なりの物語をつくっていきます。

想像して、物語をつくる。これはだれでも行っていたことなのです。

何度も物語を聞い(観直し)て、新たな物語をつくるのです。

観直しとは、逆戻りではありません。輝く未来へと続く地図を手に入れることをいうのです。

数年前に映画館で観た作品がテレビで放映されるというので、何の気なしに観ていると、「こんなシーンあったかな?」とか「あぁこんな意味もあったのか」とか、いろいろと発見することがあります。

映画を観た人の数だけ物語があるのと同じように、映画を観た回数だけ物語が存在します。

数年前に映画館で観た作品でも、もう1度観直したときには、また新たな物語が誕生するのです。

【要点】……………………………………………………………………………

●観直しは逆戻りではない

●観直しは新しい物語をつくる作業

●観直した数 = 物語の数

●物語は無数に存在し、また作り出すことができる

☆絵本を読み返してみよう 意外な発見があるかも

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04/09/2005

マーケティング侍―「ラスト・サムライ」―

巷ではギター侍が大人気です。ネーミングがいいですね。

腰物(刀)の代わりにギターでタレントを斬る「ギター侍」。拙者ギター侍。と自己紹介からはじまります。キャラクターが確立していますね。

ほかに「ヒロシ」もネタをするときに音楽が流れるとやや斜めに立ってうつむき加減に「ヒロシです……」というふうにキャラクターにしっかりと入り込みます。このスイッチの切り替えがポイントです。

映画やテレビアニメでも変身モノは数多くあります。人には変身願望があります。この欲望をうまく使ってひとりのタレントでありながら、ふたつのキャラクターをうまく使い分けているのがギター侍でありヒロシなのです。

ひとりでありながらふたつのキャラクターを持つ人。これはいわゆる俳優さんのことですね。

松平健も「あばれん坊将軍」の徳田慎之介(たぶんこんな字)という真面目で正義感に溢れた侍キャラクターがしっかりと定着しています。だからこそ、金ピカの衣装に身をつつみ「マツケンサンバ」を歌う姿に皆が衝撃を受けつつも、そのギャップに心を奪われるのです。

それにマツケンサンバは、幕末に庶民の間で流行した「ええじゃないか踊り」に似ているようにも思います。

つまり、「変身による意外性」と「不安を吹き飛ばす踊り」の2つが見事に融合した踊り、それがマツケンサンバなのです。

あばれん坊将軍はやはり聡明な殿様(設定では徳川幕府第8代将軍吉宗)なのですね。

では、聡明な侍といえば?

映画作品を例にみてみましょう。
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∇「ラスト・サムライ (THE LAST SAMURAI) 」

エドワード・ズウィック監督/2003年/アメリカ/154分

〈Story〉
明治維新直後の新政府軍隊に西洋式訓練をするために日本にやってきた
ネイサン大尉は、反乱軍との戦いで負傷し、敵・勝元に捕らえられる。
勝元の村で一冬を越すうちにネイサンは武士道精神に触れる。南北戦争
で負った心の傷や苦悩の日々から解放され、魂の安らぎを感じるネイサ
ンは、やがて勝元に味方して武士道精神を貫こうと決意し、新政府軍と
戦う。
作品レビュー
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日本の侍・勝元は、ネイサン大尉を生かしたまま捕らえ、自分の村で一冬を越させるようにします。

戦いに勝つにはまず敵を知ること。そこで通常とは違った手法で情報収をするのです。なぜなら、だれもが行っている手法では、他と同じ情報しか得られないからです。

そこで勝元は新政府軍に雇われたネイサン大尉を手元に置きます。ネイサン大尉との交流を通して、いろいろと学んでいきます。

情報を聞き出すというよりは、ネイサン大尉から学んでいくんです。ネイサン大尉も勝元や侍の村に住む日本人からいろいろなことを学んでいきます。

まず勝元がネイサン大尉の傷の手当てをして食事や服を与え、自由に村を歩かせます(といっても一応ひとりだけ付き添い・監視役が付きます)。

捕虜の待遇としては悪くはない。それどころか村での禁酒生活でアルコール中毒から立ち直れたネイサン大尉。ちょっとしたアルコール中毒者のための更正プログラムに参加したかのような効果もありました。

やがて侍の精神に触れたネイサンは、その「心」に感銘し、南北戦争で負った精神的苦痛から解放されて立ち直っていくのです。

勝元はまずネイサンに与えたのです。そしてネイサンは徐々に変化していき、やがて勝元と行動を共にするようになります。

勝元がネイサン大尉を手元に置いたのは、つまりマーケティングです。

こういった意味で、「ラスト・サムライ」は最もハリウッドらしくないハリウッド映画ですが、実は最もアメリカらしい作品ともいえるのです。

これに気づかせてくれたのはこちらの記事です。

     ↓

(Bohdi Tree Book Club)さん 
「『ラスト・サムライ』とマーケティング」

映画の観方は人それぞれ、という言葉の意味をしみじみと感じることができるすばらしい視点ですね。

皆さんも映画を見たら家族、恋人、友人、仕事の同僚と一緒に、作品の感想を話合ってみてください。きっといままで気付かなかったことを教えてもらえますよ。

映画のレビューサイトを見て回るというのもいいですよ。思わぬ「めっけもん」に出会えることがありますから。

「めっけもん」。これを映画という名の地図に散りばめられた宝の手がかりと例えてみましょう。手がかりをみつける確率を上げるには、地図の読み取り方をたくさん知っておくことが必要です。

いろいろな映画レビューサイトを見て回れば、他の人の「読み取り方」を知ることができます。

さらに確率を上げるためには、人の読み取り方をもらってくるだけでな
く、こちらから与えちゃいましょう。

与えるとはつまり、自分の読み取り方を提供するのです。

映画レビューとう名の、あなた版の「読み取り方」をホームページやブ
ログやメルマガで提供するのです。

すると、あなたのレビューで「読み取り方」を学び取った人は、お返しに「こんな読み取り方もあるよ」と教えてくれます。

それがメールだったり、HPの掲示板だったり、ブログのコメントだったり、トラックバックだったりします。

なにより、自分の感想・意見などを書くと、考えが整理されます。それまで自分の中に漠然とあった思いや考えを表現するためには、人に読んでもらうための編集をしなければなりません。

これは自分と他人との2つを意識する作業なのです。他者を意識すると、そこに「関係」が生まれる土壌ができます。つまり、畑を耕すみたいなものです。

耕した畑に、あなたの映画レビューという名の意見や感想の詰まった種をまきましょう。

種から芽が出ればだれかに気づいてもらえます。そしてやがて実がつきます。

その実をとって食べた人がおいしいと感じてくれたならば、お返しに新しい種をくれるかもしれませんし、実をくれるかもしれません。

例えですが、幸運なことに、ちょっと手間をかければだれでも土地を得ることができます。

土地があるのに耕やしもせず、種もまかず、水もあげずないでは芽は出ません。芽がでなかければ実もなりませせん。

今回はちょっと話が横道に入ってしまいましたね。

でも、これってけっこうポイントですよ。下の「要点」には載せませんが「畑の話」というラベルを貼って頭の片隅にでも入れておいてくださいね。

すでに土地を耕して種もまいて芽も出てるよ! っていう方はぜひこのブログどしどしトラックバックしてくださいね。
コメントにもなるべく返信していますが、いぞがしいときもあります。トラックバックだけもしてくだされば、あとでチラッとあなたのところを見にいきます。よろしく☆

【要点】……………………………………………………………………………

●情報収集は大事

●聞き出すのではない

●学ぶのだ

●そのためにはまず与えること

●お互いが学ぶ環境をつくる

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03/31/2005

人はないものねだり―「ナショナル・トレジャー」―

テレビ番組でお部屋改造というのがあります。
収納の達人やインテリアデザイナーがなるべく身近にあるものを使って
依頼者の部屋を生まれ変わらせるというものです。

そこで活用するのが百円ショップ。百円ショップで買ってきたものをい
くつか組み合わせて部屋のインテリア用品を作るのが人気です。

百円ショップの商品はどこでも買える物ばかりですが、これらをいくつ
か組み合わせると「まぁ素敵!」と思わず言ってしまうようなインテリ
ア小物に大変身します。

映画作品を例にみてみましょう。
…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…
∇「 ナショナル・トレジャー(NATIONAL TREASURE)」

ジョン・タートルトーブ監督/2004年/アメリカ合衆国/131分

〈Story〉
太古の秘宝がアメリカ独立戦争時に行方知れずになった。歴史学者のベ
ン・ゲイツは伝説の秘宝のありかの謎を解く鍵がアメリカ独立宣言書に
あることを知る。ベンは相棒と博士と共に秘宝を探しもとめる
作品レビュー
…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…---…

いわゆる宝探しの冒険物という位置付けの作品ですが、実はアメリカ映
画お約束のプロパガンダ作品という観方もできます。

おっといきなり脱線してしまいました! これについては↓のレビュー
をご覧あれ。

(まつさんの映画伝道師)さん 「ナショナル・トレジャー」


さて、主人公ベンとその仲間たちはお宝を探しています。お宝探しとい
ってすぐ思いつくのがハリソン・フォード主演のインディ・ジョーンズ
シリーズ。それにアンジェリーナ・ジョリー主演のトゥーム・レイダー
シリーズ。どちらも世界の秘境を旅してお宝を探します。そこにアクシ
ョンも加わっています。

宝探しというジャンルではすでにインディ・ジョーンズとララ・クロフ
ト(トゥーム・レイダーの女性主人公)の二大巨頭がいます。他に有名
な作品では「グーニーズ」やディズニーの「パイレーツ・オブ・カリビ
アン」もあります。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」作品レビュー
  

宝探しという市場でいうと、新たに参入して成功する余地はすでにほと
んどありません。

そこで「ナショナル・トレジャー」では従来の宝探しモノの定石を踏ん
でいません。

〈1〉派手なアクションシーンはない

〈2〉ジャングルなどの秘境に行かない

秘境もアクションもない宝捜しの冒険モノ。ではどこを冒険するのか。
冒険の舞台はアメリカの歴史的名所です。博物館や遺跡で撮影するとい
うのは、いくら映画撮影をしやすいアメリカ合衆国とはいえ、かなり大
変だったことでしょう。なにしろ歴史遺産が万一傷づいたり壊れれたり
してしまったら、ということで撮影許可がおりづらかったのではないか
と思います。

アメリカの歴史的名所は、あたりまえですがアメリカ国内になります。
それも街中に。つまり、お宝は日常のなかに眠っているのです。

あなたの近所の公園に「○○古墳」とか「○○城跡」なんて碑や看板は
ありませんか。
あなたの畑を掘ってみたら「○○王金印」なんて彫ってある印鑑みたい
なもの出てきたことありませんか?

金印は出てこなくても、古墳や城跡ならけっこう思い当たる場所がある
でしょう。

そんな日常の風景のなかに、お宝が眠っている! となれば、ちょっと
ワクワクしませんか?

アメリカって他の国々にくらべると歴史はそんなに長くありません。な
ので自国の歴史をより一層大事にして、その価値をより高くしたいとい
うおもいが強いでしょう。

すると、アメリカ国内にお宝があるというのは、アメリカ人にはとても
うれしいものなのです。

荒れ果てていたあなたの畑から温泉が出たら? 村全体が温泉で潤って
あなたは次期村長や青年団長に推薦されるかも?(って都会住まいの方
は想像してくださいね)。

なにも東京や大阪にだけ楽しいことがあるわけではありません。そうは
言っても都会には田舎にはない楽しい遊びスポットやイベントがたくさ
んあります。

東京に下北沢という若者に人気の街があります。地方からはじめてこの
街にやってきた人が、夜の12時を過ぎても街の通りに人通りがたくさん
あって、それに店がいくつも開いている。なにより道が明るい! とた
いへんおどろいたという話を聞いたことがあります。

都会には人が集まります。人が集まればいろいろな活動があります。そ
のとおりだからこそ、逆に地元(田舎)に都会の人も羨むお宝が眠って
いるとわかったらどうでしょう?

人はないものねだりです。都会住まいが長い人が、空気がきれいで静か
なカントリーに美肌になる温泉があると聞けば、行ってみたいと思うで
しょう。ゆっくりそこで暮らしたいと思う人もいるでしょう。

お宝は遠くにあるとは限りません。意外と身近にあったほうが驚きとイ
ンパクトが強くなります。

【要点】……………………………………………………………………………

●お宝が遠くにあるとはかぎらない

●身近にあるもの(百円ショップ)でも、組み合わせでお宝(インテリ
 ア小物)にもなる

●憧れているもの(都会・都会の人)が憧れるもの(田舎・温泉)を、
 自分がすでに持っていると気がつくと、なんともうれしくなる

●人はないものねだり

●憧れているAさんの背中ばかり見ていた。でも振り返るとそこにはAさ
 んがいて、私の背中ばかり見ていたという

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03/20/2005

直感を信じる―「ロング・エンゲージメント」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

いろんな人の意見に耳を傾けるも必要です。でも最後に頼れるのは自分の直感です。

人は自分の決断や行動に自信がなくなることがあります。するとだれかかに後押ししてもらいたくなったり、いろんな人の意見を聞いてみたくなったりします。

そこで登場するのが「コンサルタント」。相談業というのは今も昔も需要があります。人に話をしていると、自然と自分の考えを整理できることがあります。また人のアドヴァイスを聞くと、新たな発見があることもあります。

でも、いろんな人の言うことを聞いているうちに、どれもがもっともらしく思えてきて、ますます決断できなることがあります。

映画作品を例にみてみよう。
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∇「ロング・エンゲージメント(UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES )」
ジャン=ピエ―ル・ジュネ監督/2004年/フランス/133分
原作:セバスチャン・シャプリゾ
   『長い日曜日( Un Long Dimanche de Fiancailles )』

〈Story〉
第一次大戦末期のフランス、ブルターニュ地方。マチルドは婚約者マネックの戦死を知らされる。しかしマネックの最期を見た人間がいない。
「彼になにかあれば、私にはわかるはず」という直感からマネックの捜索をつづける。さまざまな証言を得るも、マネックの消息は不明のまま。それでもマチルドは探しつづけ、やがてマネックを知る重要な人物に会うことができる。
ソンムの戦いでのフランス軍塹壕。自らの掌を負傷した5人の兵士が、負傷は故意であるとして軍法会議で死刑を宣告される。掌を負傷した5人の兵士はフランス軍とドイツ軍との間のビンゴ・クレピュスキュルと呼ばれる場所に丸腰で放り出される。それは死を意味していた。やがて両軍との間で激しい戦闘がはじまる……。
作品レビューはこちら
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主人公の女性マチルドは、一緒に暮らす親戚に、戦死した婚約者のことは早くわすれて新しい恋をしない、といったことを言われます。親戚はマチルドのことを想ってそう言ったのです。でもマチルドは「彼になにかあれば、私にはわかるはず」という直感を信じて婚約者を探しつづけます。

もしマチルドが婚約者の悲報を聞いてそれまでだったら?

もしあなたが今度の事業はうまく行かないだろうという噂を聞いたら?

マチルドは、大好きな婚約者マネックは生きている! また会えるんだ!という信念を持ってひとりでも探しつづけます。

マチルドは映画のなかで言っています。

「奇跡はおきるんです」

奇跡はただ待っているだけでは起きません。人の噂を鵜呑みにしても起きません。

マチルドがそうであるように、直感を信じて行動することによって奇跡が起こるのです。いえ、奇跡を起こすのです。

映画はフィクション、つまり作り物ですから、マチルドは奇跡を起こします。映画だからうまく行くんだと思う方もいるでしょう。

そのとおり。作り物だから奇跡が起きる=うまくいくのです。

でもビジネスにかぎらず人の営みはフィクション、つまり作り物です。

人が作り上げたものが現実になっていくのです。

人との良い関係を作りだすのもあなた次第。
奇跡を作り出せるかどうかのカギはあなたが持っているのです。

【要点】……………………………………………………………………………

●己の直感を信じる

●直感を信じて行動する

●奇跡は(普通は)待っていても起きない

●奇跡は起こすもの

●人が作り出すものが現実になっていく

●奇跡を作りだせるかどうかはあなたにかかっている

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03/03/2005

使いやすさとリアリティのバランス―「Uボート 最後の決断(In Enemy Hands)」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

潜水艦映画というジャンルには有名な作品が多い。映像技術の発達によって派手な水中戦闘シーンを撮影できるようになったため、多くの制作費をかけて潜水艦映画が作られてきた。

「U-571」、「レッドオクトーバーを追え」、「クリムゾンタイド」、「K-19:THE WIDOWMAKER」(作品レビューはこちら)、
どれも当時の最新映像技術を使い、有名俳優を起用して制作された潜水艦映画だ。

だが実は潜水艦映画は比較的低予算で作ることができる。潜水艦内のシーンを多くすれば、セットだけでほどんどの撮影が可能だからだ。

映画作品を例にみてみよう。
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∇「Uボート 最後の決断(In Enemy Hands)」

トニー・ジグリオ監督/2003年/アメリカ/98分
〈Story〉
1943年。大西洋。ドイツ軍潜水艦Uボートの脅威が薄まりつつある戦況。アメリカ軍潜水艦ソードフッシュはUボートを沈めるも、自艦の損傷激しく総員退去命令が下る。わずかに生き残ったアメリカ兵はUボートの捕虜となる。やがて艦内で伝染病(髄膜炎)が蔓延。ドイツ軍兵が次々と倒れていく。海上からはアメリカ軍駆逐艦による攻撃を受け、Uボートは海中深く潜行する。弾薬不足、補給艦なし、艦の損傷、乗組員負傷・病伏、長時間潜行による酸素不足。Uボート艦長はついに、乗組員の生還のために捕虜のアメリカ兵と協力してUボートを動かすことを決意する。
作品レビューはこちら
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潜水艦同士の戦闘シーンや駆逐艦との戦闘シーンはあるのだが、最近の潜水艦映画の戦闘シーンの迫力にはとうてい及ばない。質素でチープな印象さえ観客に与えてしまうだろう。

それでいいのだ。この作品はCGを使って派手な水中戦闘シーンを撮るつもりはない。焦点となっているのは人間ドラマだからだ。

潜水艦内部での乗艦員のドラマがしっかりしていれば、潜水艦の外の様子を映像で示さなくてもよい。要は観客の頭の中に潜水艦の外の世界の地図が描かれればいいのだ。

人間ドラマをしっかりさせるほかにも作品世界をよりリアリティのあるものにする方法はいくつもある。

ひとつは、リアルにすることだ。リアルに? なにを言っているんだ。リアルにするその方法を知りたいのに、と思われる方もいるだろう。

具体的に説明しよう。
「Uボート 最後の決断(In Enemy Hands)」においては、アメリカ兵は英語(米語)を話し、ドイツ兵はドイツ語を話すのだ。

ハリウッド映画のすごいところは、どんな異国のストーリーでも自国の観客が観やすいようにリメイクすることだ。

「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」では、アメリカ人にとって観やすいように主人公ほか主要な登場人物を日本人からアメリカ人に変更している。そうすることでアメリカ人は字幕をほどんど読まずに映画を観れるのだ。

ハリウッド映画ではドイツ人であろうとフランス人であろうと日本人であろうとロシア人であろうと、たいていは英語を話すのだ。

例えばトム・クルーズがコテコテの関西弁を話したらどうだろう? そんなことはハリウッド映画では朝飯前である。

しかし「Uボート 最後の決断(In Enemy Hands)」ではUボート乗組員のほとんどはドイツ語しか話せない。英語を話せるのは艦長と副艦長ぐらいだ。

映画の後半、生還のためにドイツ兵とアメリカ兵が協力してUボートを動かすシーンでは、緊迫した状況で艦長がドイツ語で命令を発したためにアメリカ兵はそれを理解できい。ドイツ人艦長はすぐに英語で命令を言い直す。それでやっとアメリカ人は理解するのだ。

また「単位はメートルだぞ」というセリフもある。国が違えば単位も違うという細部をきちんと描いているのだ。

ちなみに「U-571」という潜水艦映画でも、Uボート艦内のバルブに書かれたドイツ語をひとりの兵士が英語に通訳してわまるというシーンがある。

Uボートの乗組員はドイツ語を話し、アメリカ海軍の潜水艦の乗組員は英語を話す。このリアリティを映画でも採用するのだ。

ターゲットの観客にとって観やすいかというのも大事だが、リアリティがあるかというものもまた大事だ。特に映画の場合は作品の世界観に浸れるかどうかというのは、作品への感情移入にとって大事なポイントだ。

競合他社や競合商品がひしめきあっているところへ新たに参入しようとするなら、他がまだやっていない隙間をみつけよう。

例えば激安競争には終着駅がある。限りなく安くしつづけることはできない。いつかは「ただ=無料」という名の終着駅があるからだ。終着駅を過たら今度は商品自体の価値ではなく、その商品を使うことで生じる利用料という名の車庫に入れるしかない。

つまり、同じ方向を見ていては限界があるというこだ。

【要点】……………………………………………………………………………

●競合他社や競合商品がひしめきあっているところ(潜水艦映画)へ新規参入しようとするなら、他がやっていない隙間(人間ドラマ)をみつけよう

●使いやすさ(登場人物すべてが英語を話す)をとるか、リアリティ(それぞれの国の言葉で話す)をとるか

●使いやすさとリアリティのバランスはその内容と目的による

●使いやすい⇒潜水艦による派手な戦闘シーン、戦争スペクタクル

●リアリティ⇒潜水艦という舞台を使った人間ドラマ

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02/20/2005

みんなでワイワイ―「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

アメリカ合衆国でなぜ「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」が大ヒットしたか。

その答えのひとつは「みんなでワイワイ盛り上がれる」からだ。
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∇「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」
清水崇監督/2004年/アメリカ/99分
作品レビューはこちら
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この作品はアメリカではPG13指定となっている。つまり13歳未満の年少者が入場する際は保護者の同意が必要なのだ。

早い話が子供でも観れるということだ。そして13歳以上、日本でいえば中学生以上は保護者の同意がなくても劇場で作品を観ることができる。

ティーンエージェーが同世代の友達同士で映画でも観にいこうという話になる。さてどんな作品がよいものか。

映画の好みは人それぞれだが、若者同士で集まった場合はとりあえずみんなでワイワイ盛り上がれるかどうかが一番のポイントだ。

すると「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」はどうだろう? これほどピッタリな映画もそうはない。

主人公のカレン役のサラ・ミシェル・ゲラーさんはアメリカンドラマ「パフィー~恋する十字架」に主演したこともあり、アメリカのティーンエージャーの人気者だ。ほかに「ラストサマー」にも出演しており、いわゆる恐怖(叫び系)の作品とイメージがピッタリの俳優さんだ。

とりあえず映画館でキャーキャーいってみんなで盛りあがれそうだという印象を持つだろう。そして実際にかなり盛り上がっているようだ。

ティーンエージャーが求めるひとつは、ベースボールやバスケットボールやXスポーツを観戦するような「盛り上がり」だ。

子供が気軽に観れて、それでいてみんなでワイワイ盛り上がれるというのはヒットしやすいのだ。

ワクワクドキドキということでは「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」は日本が舞台なので、異国のお化け屋敷に足を踏み入れるようときのように、好奇心と探求心が刺激される。


ではティーンエージャーに受け入れられる要素をまとめてみよう。

〈1)馴染みのある俳優が登場(サラ・ミシェル・ゲラー)

〈2〉みんなで盛り上がれる

〈3〉未知の領域へ足を踏み入れるワクワクドキドキ感(好奇心・探求心)


これらをみて、なにかにちょっと似ていると思った方もいるだろう。

そう、ディズニーリゾートだ。馴染みのあるキャラクター、みんなで盛り上がれるアトラクションやショーの数々、そしてディズニーやピクサーの物語世界へ足を踏み入れるワクワクドキドキ感。

ディズニーリゾートと違うのは、たいていの人はJUONワールドに住みたいとは思わないし、リピーターにはなりたくないと思うことだ。

上記3つのうち、どれかひとつ欠けてもディズニーリゾートにはならない。たとえば(3)が欠けると、日本でいうと馴染みの街でとりあえずみんなで盛り上がれるところ――カラオケだ。またはボーリング場、野球場あたりだ。(カラオケボックスで合コンという場合は、未知の相手への好奇心や探求心はあるだろう)

カラオケや野球観戦とはいわば日常だ。非日常の世界でワクワクドキドキみんなで楽しく盛り上がれるというがエンタテインメントでの成功要因のひとつだ。

製作のサム・ライミさんはこのあたりのことは百も承知で日本人監督を起用したのだろう。

まさか日本にディズニーリゾートに(ちょとでも)似ているネタが落ちていたとは……!

サム・ライミさんの目はかなり冴えているようだ。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●盛りあがって楽しめる時間と場所を提供する

●馴染みがあって(サラ・ミシェル・ゲラー)、みんなで盛り上がれて(お化け屋敷・ドッキリ)、未知の世界へ足を踏み入れるかのようなワクワクドキドキ感(異国・日本)がある。これがエンタテインメントで成功する要因のひとつだ

●身近にディズニーリゾートに匹敵(するかもしれない)ネタが転がっていないか探してみよう

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02/16/2005

新鮮な恐怖(2)―「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」―

(カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

∇前回の記事「新鮮な恐怖(1)―「呪怨」(日本版)―」

今回とりあげる作品はこちら
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∇「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」
清水崇監督/2004年/アメリカ/99分
作品レビューはこちら
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「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」はアメリカ人にとって怖い。どんな恐怖なのか。

「身近にあったけど実はよく知らない異世界にまぎれ込んでしまった恐怖」

身近にある日本――車やテレビやビデオゲームといった日本製品はそこら中にある。普段それが日本製だと意識していない。それほど自然に日本製品はアメリカ人の日常生活の一部になっている。

では日本人はどうか。
髪型はちょんまげで顔には丸眼鏡をかけて首からはいつもカメラをぶら下げていつも集団でいる人たちでしょ。

……「ちょんまげ」を知っているだけマシかもしれないが、こんなイメージを持っている人もいるだろう。

日本人の典型的なイメージを強調したキャラクターは映画の中でもみることができる。例えば「Mr.インクレディブル」だ。Mr.インクレディブルがヒーローとしての活動を禁じられてから働いているのは保険会社で、彼の上司は日本人だ(おそらく)。なぜならその男性の上司はチビで眼鏡をかけていてMr.インクレディブルにこんなふうに言うのだ。正義がなんだ、おまえは歯車として会社の利益のための働け! ――と。

アメリカ人の抱いている日本人のイメージとは? そもそもイメージが浮かばない人のほうが多いだろう。

日本製品は身近にありながら、それを作った人達については実はよく知らない。日本文化に特別に興味がない人にとっては、知りたくもないし、知る必要もない。すくなくとも危険ではないという認識はある。

だが、身近にあって実は知らない世界がある。そこはあなたの知らない世界がある。知っていると思っていたところが、実は全くの異世界であり、あるときあなたがそこへまぎれ込んでしまったら? (「あなた」とはここではアメリカ人のこと)

ところで、作品では主要な登場人物がアメリカ人になっているのがポイントだ。言葉が通じない。字も読めない。そんな状況だけでも充分に怖いのだ。さらにもっと怖いことがある。それは理不尽な恐怖だ。

「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」ではある家に足を踏み入れたら幽霊に襲われる。これは日本に限ったことではなく、西欧にも古い洋館やお城に入ったら幽霊の襲われるという物語はある。

だがこれらと違いは、法則があるかないか、といことだ。西欧のお化け屋敷にはたいてい呪い等を解く方法がある。アイテムをみつけだしたり、幽霊の願いをかなえることで助かる方法があるのだ。

だが「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」では呪いを解く方法をみつようとする間もなく登場人物は次々と襲われて命を落としていく。主人公のカレンは生き延びて呪いの元となって出来事を知るのだが、だからといって助かる方法がみつかるわけではない。

ハリウッド映画では危機に陥った主人公は、助かるために必要な知恵や道具を獲得して、ときには友人や知り合いのサポートを受けて危機から脱出する。

危機から脱出する方法を自ら捜し求めてやっとみつけたヒントをもとに数々の苦難を乗り越えていくのだ。つまりハッピーエンドへ向かう段階があり、失敗や苦労をしながらもひとつずつクリアしてくと、成功の法則や方法を見つけることができるのだ。ハッピーエンドの典型例の映画作品↓
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ホーンテッド・マンション(THE HAUNTED MANSION)
ロブ・ミンコフ監督/2003年/アメリカ
作品レビューはこちら
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しかし「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」では、どうやっても法則や方法がみつからないまま死人だけが増えていく。主人公はいつまでたっても解決方法がみつからないままに映画が終わってしまう!

法則がないという恐怖を題材にした映画に「ファイナルディティネーション」(Final Destination/ジェームズ・ウォン監督/2000年/アメリカ映画/97分)という作品がある。これは死という運命がどこまでも追いかけてくるというもので、未来を変えられるかというお決まりのキャッチコピーもつく。

ハリウッド映画には「未来を切り開いていくのは自分だ。運命は変えられる」というお題目がある。これに対する「運命とは決ったものだから変えれない」というストーリーは一種の恐怖なのだ。なぜならそれはアメリカ的価値観と生き方を否定するものだからだ。
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運命は変えられない系ホラー映画作品
∇「ダークネス(DARKNESS)」
ジャウマ・バラゲロ監督 2002年 スペイン 作品レビューはこちら
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では「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」にみるアメリカ人が感じる恐怖をまとめてみよう。

○日常に潜む恐怖。身近にあった異世界へまぎれ込んでしまった恐怖。

○生き延びる法則や方法が存在しない恐怖

「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」は続編の製作が決定している。お化け屋敷のようなビックリ演出で注目を集めた次は、登場人物のドラマによって内面を描くのかどうかに注目だ。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●ドキドキすることや未知なものは遠くにばかりあるのではない

●身近にあって今まで気にもとめていなかったものほどインパクトは強い

●法則という名の常識を突き破ると、恐怖という名の驚きとインパクトを与えることができる

●注意を引くには、お化け屋敷的方法――びっくり――も効果的だ

●注意を引いたたら次は人間を描いて内面を伝える(会社なら事業内容や業績を知ってもらう。企業活動によって信頼を得る)

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02/12/2005

大切な無駄 ―「アイ,ロボット」―

〈カテゴリ:マーケティング〉

科学技術が発達してビジネスや日常生活が便利になればなるほど見落としてしまいがちなことがある。

それは「感情」だ。

映画作品を例にみてみよう。【注】作品内容のネタバレあり
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作品名「アイ,ロボット(i,ROBOT)」
    
アレックス・プロヤス監督/アメリカ/2004年/105分
原作:アイザック・アシモス『われはロボット』

【Story(ストーリー)】
2035年、シカゴ。3原則によって、人類はロボットと共存していた。USロボティックス社の新型ロボット「NS-5」が発表される。
ある日、ロボット工学の権威である博士が謎の死を遂げる。博士と面識があったデル・スプーナー刑事は死の謎を解こうとする。

作品レビューはこちら
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3原則(3Laws Safe)とは?

一、ロボットは、人間に危害を加えてはならない。
一、ロボットは、人間から与えれた命令に服従しなければならない。
一、ロボットは、前掲第一条及び第二条に反するおそれのない限り、自己を守
  らなければならない。


この原則により、人は安心してロボットを利用していた。そんななかにあって主人公のスプーナーはロボット嫌いなのだ。

2035年のシカゴにおいてロボット嫌いというのはかなりの変わり者だ。しかも、作品内容のネタバレになってしまうが、スプーナーの身体の一部は機械なのだ。

身体の一部が機械になっているにもかかわらず、スプーナーは機械嫌いなのである。

なぜそうなのか。スプーナーはかつて車ごと水没したことがある。もう1台の水没していく車の中には子供が乗っていた。たまたま近くを通りかかったロボットが水中に飛び込んで人間を救おうとした。そのロボットは状況を計算した結果、助かる確率がより高いほうを車から救出したのだ。そうして助け出されたのはスプーナーだったのである。

スプーナーとしては、自分よりも危険な状況にあった子供を助けてほしかったのだ。

ロボットと人間の違いは? 
答えのひとつは、人間には無駄があるというこだ。無駄と聞くと悪い印象を受けるかもしれないが、人間には意味のある無駄や大切な無駄というものがあるのだ。

車にガソリンを入れて、たまには洗車機に入れる。そして家のガレージに入れてまた明日。

こうすれば車を長く使えるだろう。使えなくなったら捨てて、新しい車を買えばいい。車に求めるのは、なるべく故障しなくて安いガソリンで燃費よく走ることだ。

商用車ならこれでいいだろう。だが車には他の使い方がある。家族と海や山へ出掛けたり、友人とキャンプに行ったりするのに使うのだ。

仕事終わりに一杯飲む、温泉に入る、音楽を聴く。これらは仕事の効率という面からみれば、まったくの無駄である。しかし、無駄があるからこそ人間なのだ。

無駄――つまりもっとも人間っぽいところを充分に理解しなければ人の心は掴めない。

「アイ、ロボット」という映画作品を観る観客はなにを求めて劇場にやってくるのか。CGで描かれたロボットだろうか。いやそうではない。人間を観にくるのだ。ロボットがなんでも世話してくれる便利な世界にあって最もローテクで変わり者であるスプーナーの人間っぽさに観客は感情移入するのだ。

なぜならスプーナーはロボットにはない「感情」を持っているからだ。そして2035年のシカゴにおいて最も「感情」を大事にしている人間だからだ。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●便利や効率を追い求めると「無駄」をなくそうとする

●ほんとうに「無駄なもの」と、忘れてならない大切な「無駄がある」

●無駄があるからこそ人間なのだ 

●最も人間っぽいところ――それは感情である

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02/10/2005

新鮮な恐怖(1)―「呪怨」(日本版)―」

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

2月11日(金)から「THE JUON/呪怨」が公開される。これは日本の「呪怨」のハリウッドリメイク作品で、サム・ライミが製作する。監督は日本人の清水崇のままで、ロケも日本で行っている。主要な登場人物はハリウッドの俳優という、いままでのリメイク映画とはちょっと雰囲気の違った作品だ。

「THE JUON/呪怨」は2004年10月22日に全米3245館で公開され、オープニング3日間で約4000万ドルを稼いで全米No.1を獲得した。全米NO.1は日本人監督初である。宮崎駿監督も北野武監督も海外で高い評価を受けているが興行成績はまだまだである。全米NO.1とはつまりメジャーになったということだ。そういう意味では北野作品も宮崎作品もアメリカ合衆国ではマニア市場で知名度が高いにすぎないといえる。

実は「THE JUON/呪怨」を私はまだ観てない。にもかかわらず今回取り上げるのはなぜか。それはこの作品にはアメリカ人が求める新鮮な恐怖とはなにか?を知るヒントがあるからだ。
アメリカ人が日本のホラーに何を求めているのかを知ることは、人々の要望を的確に読みとる訓練になるのだ。

「THE JUON/呪怨」の大元は、あまりの怖さに噂になって発禁寸前となった伝説のホラー・ビデオだ。このビデオが映画になったのが「呪怨」(清水崇監督/日本/2002年/1時間32分)だ。

「呪怨」のストーリーは、日本の郊外の一軒家に足を踏み入れた者たちが幽霊に次々に殺されていく、というもの。

ものすごく怖いと噂だったが、サム・ライミ監督(後ほど紹介します)が絶賛したと聞いて、もしかしたら怖くないのではないかと思った。

実際、ちっとも怖くなかったのである。とはいっても「リング」も「仄暗い水の底から」もたいして怖くなかった私は、おそらく怖いと感じるポイントがこれらの作品が狙っているところとは違っているというのもあるだろう。だが収穫もあった。

そもそも、怖くなくて得したことがる。あまり怖くないのでじっくりと作品を観れたのだ。そのため「恐怖」を題材に「人が求めるもの」について考えることができたのだ。もし心底怖がっていたら悠長に考えてなどいられないだろう。

「呪怨」はその後「呪怨2」も制作されたが、ここでは「呪怨」を取り上げる。

「呪怨」にはいわゆるストーリーらしきものはない。とにかく郊外の一軒家に一歩でも足を踏み入れた者たちが次々に死んでいく、または幽霊に遭遇して恐怖におののく、というものだ。

これは富士急ハイランドのアトラクション「超・戦慄迷宮」に近いものだろう。つまり用意された箱(一軒家・病院)の中で驚きと恐怖の演出をいくつも施すという種類のものだ。
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富士急ハイランド 「超・戦慄迷宮」

ウォークスルー型ホラーハウス。使われなくなった古く大きな病院内を歩いていくとうスタイルのお化け屋敷。

歩行距離 700メートル
所要時間 約50分
建   物 2階建て(一部中2階)
延床面積 約3000平方メートル
料   金 500円(フリーパス使用不可)
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ストーリーに見るべきところはほとんどない。「呪怨」は「恐怖の演出」が売りなのだ。何をどうしたら怖がってもらえるかがポイントだ。「呪怨」を観たサム・ライミ監督は、こんなに怖い映画を観た事がない、と言ったという。

そもそもサム・ライミ監督のホラー系の作品は怖くないというのはよく知られている。
例えば「ザ・ギフト(The Gift)」(サム・ライミ監督 2000年 アメリカ)も怖くはない。
映画レビューはこちら

サム・ライミ監督は「スパイダーマン」「スパイダーマン2」の監督して有名だが、そもそも彼は「死霊のはらわた」(83)というホラー・スプラッタ系の作品で頭角をあらわした人物だ。
「スパイダーマン2(SPIDER-MAN2)」映画レビューはこちら

「死霊のはらわた」は題名からして怖そうだ。この作品は、山小屋にやってきた若者のグループが森の悪い霊に次々に血祭りにあげられていくというものだ。おそろしげな特殊メイクと鮮血が飛び散るといったスプラッター系のホラー作品なのだが、作品には「恐怖」のほかに「笑い」の要素が入っている。

怖すぎると笑ってしまうことがあることからもわかるように「恐怖」と「笑い」は隣りあわせだ。

「死霊のはらわた」を観ると、監督の狙いはもしかしたら「笑い」にあるのではないかとも思えるのだ。ホラーという舞台で「笑い」を描く特異な才能の持ち主。「死霊のはらわた」にはサム・ライミ監督の「おちゃめ」がいっぱい詰まっているといってもいい。

そんなサム・ライミ監督が絶賛した「呪怨」と聞いて、怖いどころか笑ってしまうのではないかと期待していた。――はたしてそのとおりになった。


〈笑いの要素〉

(1)幽霊が白塗りの男の子
(3)怖がっているのは登場人物

幽霊のひとりが顔に白塗りをしたかわいい男の子なのだ。おかんの白粉を使って家でかくれんぼして遊んでいるかのようで、この男の子が出てくるたびに、白粉だけに白けてしまった。これは狙ってのことだと思われてもしかたがない。

また幽霊に遭遇した登場人物の恐怖におののく様子が怖くないどころか滑稽にみえる。
怖がらせる対象は観客であるはずなのだが、腰を抜かして声にならないほど怖がっているのは幽霊に遭遇した登場人物なのだ。せっかく幽霊が出てきたのにひたすら怖がっている登場人物を長く映しているので、観ているうちにその怖がりようが滑稽におもえてくるのだ。

「ヒロシ」をご存知だろうか。「ヒロシです」ではじまる自虐ネタで人気者になったお笑いピン芸人だ。もしネタを披露しながらヒロシが笑ったらどうだろう。カメラさえ見ずに悲しい顔で自虐ネタを披露するから観客は笑うのだ。

笑わそうとしている人間がネタのまえに、またはネタの披露中に笑っては台無しだ。同じように怖がらせようとしている人間がいちばん怖がってしまっては台無しだ。

おばちゃんが話す前に自分で大笑いして、話を聞こうとしているほうはおばちゃんがなにを面白がって笑っているのかわからない、というのをテレビやなにかで見たことがある方もいるだろう。

「いやいやおばちゃん、なにがそんなにオモロいんかいな」てなもんである。

こういうおばちゃんのキャラクターとシチュエーションは面白い。こういう種類の笑いを楽しむのが「呪怨」の裏の楽しみ方だ。

では、こんなにも笑える作品である「呪怨」がアメリカ人にとってものすごく怖いのはなぜだろうか。

サム・ライミ監督は「呪怨」に「笑い」の匂いを嗅ぎ取ったのだろうが、それはあくまできっかにすぎない。彼はおそらくほんとうに「怖い」と思ったのだろう。――「アメリカ人にとって怖い」と感じたのだ。
      
これについては次回に話すことにしよう。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●笑わせようと(怖がらせようと)おもったら、自分が笑って(怖がって)はいけない

●おばちゃんキャラクターならばそれでも「笑い」になる

●サム・ライミ監督は「呪怨」のどこを怖いと感じたのか

●「呪怨」はまさにアメリカ人にとって怖いのだ
     
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∇呪怨(じゅおん)

強い怨念を抱いたまま死んだモノの呪い。それは死んだモノが生前に棲していた場所に蓄積され、「業」となる。その呪いに触れたものは命を失い、新たな呪いが生まれる。
「呪怨」公式サイトより引用)
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∇清水崇(しみず たかし)

1972年群馬県生まれ。近畿大学芸術学部を経て、関西テレビ「学校の怪談G」の短編を脚本・演出。ビデオ版「呪怨/呪怨2」を監督・脚本。「富江re-birth」で劇場用映画監督デビュー。
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∇他のサム・ライミ監督作品
「ダークマン(DARKMAN)」 1990年 アメリカ 映画作品レビューはこちら
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02/06/2005

砂丘でサンドボード

〈カテゴリ:マーケティング〉

鳥取砂丘を滑り降りるスポーツとしてサンドボードが好評らしい。

サンドボードはスノーボードとほぼ同じ形のボードに両足(素足)を乗せて固
定して、砂の斜面を滑り降りるというものだ。

サンドボードがオースラリアから日本に入ってきたのは2001年で、スノーボー
ダーの夏の遊びやトレーニングとして競技人口が増えているという。

鳥取砂丘には一度行ったことがある。ずいぶん昔のことなので今はどうなって
いるかわからないが、そのときはスキー場にあるようなリフトに乗って砂丘へ
渡った。

海辺の砂浜を歩いたことがある人はわかると思うが、砂の上というのは予想以
上に歩きにくい
ものだ。まして走るとなると、アスファルトの上を走るよりも
何倍も筋力と体力を使う。

「はじめの一歩」(森川ジョージ著)という大人気のボクシング青春漫画があ
る。鴨川ボクシングジム所属のボクサーたち4名ほどが夏の合宿に海へ行くと
いう話が載っている。

はじめて合宿に参加した主人公の幕ノ内一歩は、先輩たちと一緒に砂浜でラン
ニングするのだが、いつのまにかみんなから遅れてしまう。

海に来て女の子をナンパして遊んでばかりいた先輩たちだったが、砂浜で一緒
に走ってみて、実は過酷なトレーニングをこなしているとわかり、一歩は先輩
たちの凄さに感心する。

浜辺を走ったことがない方でも、ボクサーがよく砂浜でランニングするという
のを聞くと、砂の上を走るのはかなりの体力を消耗するということを想像しや
すいだろう。

私が砂丘に行ったときも友人たちと走り回って遊んだのだが、やはり走りにく
くて何度も転んだ。砂が口に入ってジャリ(←「砂利」とかけたわけではない
が……)っとした感触を味わったものだ。

おまけにローカットの運動靴を履いていたので靴の中はすぐに砂だらけになっ
た。

そんなとき友人のひとりがどこからかダンボールの切れ端をみつけてきて尻を
乗せて丘を滑りはじめたのだ。その圧倒的な降下速度には目を見張るものがあ
り、みんなこぞってダンボールに乗ったが、切れ端は小さく、滑り降りる途中
で転んで砂だらけになっていた。

そのときだれもが、もっと大きなダンボールがほしい、もっとたくさんダンボ
ールがほしい、と思っていたにちがいない。そうすればみんなで滑り降り競争
をして遊べただろう。

砂と海しかない(観光用のラクダもいた)鳥取砂丘で1番ほしいものはなにか
といえば、あのときはダンボールの切れ端だった
のである。

もちろん鳥取砂丘でなければ、ダンボールの切れ端などいらない。ダンボール
ならモノを入れたりできるが「ダンボールの切れ端」など使いようがないから
だ。

そんな「いらないモノ」でも、場所が違えば皆の羨望の的になるのだ。

鳥取県のスキー場といえば「大山」だが、全国的にみれば中国地方はスキー場
が少ない。だが鳥取には砂丘という天然資源がある。サンドボードは夏のスポ
ーツとして大いに楽しめるだろう。

サンドボードの良い点はなんといっても気軽にできること。ウェアもブーツも
いらない。でもゴーグルはあってもいいかもしれない。

鳥取砂丘に行ったらぜひ挑戦してみたいものだ。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●なんの役にも立ちそうにないものでも、どこかで役に立つことがある
 (ダンボールの切れ端)

●たとえ魅力がないように思えるものでも、場所や時が違えばたいへん
 に魅力あるものとなる

●アウトドアスポーツをしてみよう。自然を活かすスポーツは、すでにある
 ものと、なにかの組み合わせによって、たのしみときもちよさを与えてく
 れる。
 (砂 + ダンボールの切れ端 = 滑走の楽しさ・気持よさ)

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「はじめの一歩―The fighting! (1)」森川ジョージ 講談社
はじめの一歩―The fighting! (1)

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25席の妖精―「ネバーランド」―

〈カテゴリ:マーケティング〉

ものの良さを伝えるには、まずはそのものの良さを感じることができる人に知ってもらうのが一番です。
なぜなら、良いと感じてくれた人はまわりの人にその良さを伝えてくれるからです。

映画作品を例にみてみよう。
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作品名「ネバーランド(FINDING NEVERLAND)」

マーク・フォースター監督/2004年/イギリス・アメリカ/100分

●名作「ピーター・パン」誕生の実話に基づいて描いたヒュー
 マンドラマ

〈ストーリー〉
1903年のロンドン。新作が不評の劇作家ジェームズはある日、作品の構想を練るために公園にでかける。そこで、父を失った4人のデイヴィス兄弟とその母親シルヴィアに出会う。
ジェームズは彼らとの交流で作品のイマジネーションを膨らませて「ピーター・パン」の脚本を書きはじめる。

作品レビューはこちら
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サー・ジェームズ・マシュー・バリは少年たちと出会って「ピーター・パン」の着想を得ます。脚本を書き上げて舞台の稽古をはじますが、登場するキャラクターに犬や妖精がいるために役者は戸惑い、劇場主は作品の評判をますます気にして資金繰りに頭を悩ませます。

ジェームズはぜったいにうまくいく、と言って劇場の25席を確保します。

そして「ピーター・パン」初演の日。ぞくぞくと観客が集まるなか、確保した25席の客はひとりもやってきません。このままでは空席になってしまう、と開劇場主は開演時間真近に25席を売りに出そうとします。

そのとき、ジェームズが招待した観客たちがやってきます。それは孤児院の子供たちでした。孤児院が劇場から遠いところにあったため、開演ぎりぎりの到着となったのでした。

当時の劇場での公演はたいていは上流階級(有閑階級)の人々が観客です。初演で観客に受け入れられればその作品は成功するのです。

そんな上流階級(有閑階級)の観客に混じって子供たちが客席に座ったのです。それも観客席にまんべんなく散らばって座ったのです(25席分)。

さて舞台の幕開けです。すると部屋のなかに犬の着ぐるみを着た役者が四つんばいになって登場します。いったいなんだろう、と顔をしかめる大人がいるなかで、犬はクンクンと部屋の中をかぎまわっています。すると劇場のあちこちでクスクスッ、キャッキャという笑い声がします。子供たちが犬を見て笑っているのです。子供たちの楽しそうな様子があたたかい空気となって劇場を包み込みます。それまで険しい顔をしていた大人たちは子供たちと同じ目線になって劇を観はじめました。

するとどうでしょう! 大人たちも「ピーター・パン」の世界にグイグイ惹き込まれて少年少女の心を取り戻していったのです。

劇中では、ある夜、子供たちの寝室にピーター・パンがやってきて、さぁ信じれば君も飛べるよ、といいますが子供たちはなかなか飛べません。ピーター・パンはいいます。「そうだ! 魔法の粉を振り掛けるのを忘れていたよ」

ティンカーベルの魔法の粉を振りかけられた子供たちは次々に体が浮いてネバーランドへ飛び立ってきます。

サー・ジェームズ・マシュー・バリがピーター・パンだとすると、25席の子供たちは妖精です。

ジェームズは「信じればかならず行ける」と言います。そして25席の妖精たちは大人たちに魔法の粉を振りかけます。すると大人たちも子供の心を取り戻してネバーランドに旅立っていくのです。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●ものの良さ(ピーター・パン)を伝えるためには、まずはそのものの良さを感じることができる人(子供たち)に知ってもらうのが一番

●良いと感じてくれた人(子供たち)は、その良さをまわりの人(大人)に伝てくれる

●伝えるとはつまり宣伝。やみくもにお金をかけるのではなく、まずは良さををよく理解してくれる人をみつけて、点と線のつながりではなく、面のつなりで広く伝わるように配置する(サポーターを配置する)

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02/03/2005

入り口(玄関)での案内で負担を減らす

〈カテゴリ:マーケティング〉

WEBサイトでもお店でも入り口での案内をわかりやすく的確に行いましょう。

日帰り温泉施設に行った時のことです。その施設を訪れるのははじめてでした。温泉施設に着くと、まずは大きなきな鳥居のような門があました。どうやら建物の玄関は階段を登った先にあるようです。そして大きな門の下には温泉施設の案内板がありました。

・温泉施設の名称
・営業時間
・料金
・レンタル用品の案内
・その他案内と注意事項

まずはここで施設の内容を知ることができるようになっていました。ひととおり読み終わり、いざ階段を登って建物の入り口にやってきました。しかし建物の玄関でしばらく足が止まってしまいました。

なぜなら、案内図などを探して周囲を見まわていたからです。

ここで、一般的な日帰り温泉施設での行動順序をご紹介しましょう。

1 玄関で靴を脱いで靴専用のロッカーに入れる

2 靴ロッカーのカギを持ってカウンターに行き、入館手続きをする

3 カウンターで脱衣所のロッカーのカギを受け取ったり、館内での飲食など
  で使えるバーコード付リスト(腕にはめるもの)を受け取ったりする

4 脱衣所に行く

5 温泉に入る

たいてい上記の行動順序だというのはわかっていますが、それでもはじめて訪れた施設で最初に知りたいのは、どういった手順で施設を利用すればよいのかということです。

玄関に「館内マップ(地図)」と「施設利用の手順」が示してあれば、お客さんは施設を利用するまえにあらかじめ情報を得て安心できます。

こうした館内マップや施設利用手順案内板の他にも、施設員がお客さんを出迎えて案内するのもよいでしょう。

お客さんはたいていは「こんな手順でいけばいいだろう」と推測してくれます。しかし、温浴施設等をはじめて利用する方もいます。海外からやってきたお客さんもいるでしょう。

推測させるというのは、それだけお客さんに負担をかけているということなのです。

風呂に入って疲れを癒そう、リラックスしようと思ってやってきた人に負担をかけないようにしましょう。
すべきことは、お客さんの目的(リラックスしたい)達成を助けることです。

はじめ(入り口・玄関)に必要な情報を与えて、お客さんの負担をなるべく減らすようにしましょう。

また、ウェブサイトの場合、必ずしもトップページから訪問者が来るとはかぎりません。たとえそうでもサイトに興味を持った訪問者はとりあえず「ホーム」をクリックして玄関にやってきます。そういうわけで、入り口・玄関というのはとても重要な場所なのです。

ほかに、はじめからウェブサイトへの入り口をひとつに限定する方法もあります。この方法では訪問者をスムーズに誘導することができます。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●お客さんの負担を減らす

●そのために、入り口・玄関であらかじめ必要な情報を与える

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02/02/2005

オマケ―「いま、会いにゆきます」―

〈カテゴリ:マーケティング〉

聞いた話では、名古屋の喫茶店でコーヒーを注文すると、茶菓子がオマケで付いてくるそうです。午前中にはトーストが付いてくるところもあるとか。

お菓子のオマケ。これも人気があります。オマケがほしいのでお菓子を買う人もいます。

オマケはあくまでオマケなのですが、オマケというより「メイン」になっている場合があります。
事実上はメインであってもオマケとしておけば、オマケなのにスゴイ! と感じてもらえます。

人はあって当然、または受けて当然と思っているモノやサービスについては、あまり注意を向けません。もちろん、あって当然と思っているサービスの質が悪いと感じれば、二度とお店にやってきれなくなるでしょう。

オマケ付チョコで言えば、チョコがあって当たり前なのです。チョコの味や大きさがそこそこであればそれでいいのです。オマケ付チョコで重要なのはオマケの内容なのです。100円~300円ぐらいの値段で売られているチョコレ
ートの味の差というのはほとんど気になりません。それがチョコレートの味をしていればそれでいいのです。

オマケ付チョコを買うお客さんの目的はオマケです。オマケをより魅力あるものにすれば興味をもってもらえるのです。

一見するとオマケとは関係ないように思える例で考えてみましょう。いつものように映画作品を紹介します。
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作品名「いま、会いにゆきます」
    
土井裕泰監督/日本/2004年/
原作: 市川拓司『いま、会いにゆきます』(小学館刊)

〔Story(ストーリー)〕
ある雨の日、妻に先立たれた夫(秋穂巧)と息子(秋穂佑司)の前に妻が(秋穂澪)あらわれる。亡くなったはずの澪は記憶を無くしていた。巧と佑司は澪をやさしく迎え入れて一緒に暮らしはじめる。
澪は生前、手作りの絵本のなかで、自分が死んだら雨の季節に戻ってくるという物語を描いていた。
巧は記憶がない澪に、2人が出会った恋物語を話してきかせ、佑司は母のぬくもりを感じてしわせな日々を送っていた。
やがて雨の季節が終わり、澪は去っていく。

作品レビューはこちら
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この作品はいわゆる「感動モノ」です。子供、病気、死という要素を使っています。大ヒットしている作品で、涙なしには観られない作品だと言われています。

しかし、感動モノというだけではここまで大ヒットしなかったかもしれません。ヒットの要因は主に3つです。

〈1〉配役のうまさ(女優の竹内結子を起用)
〈2〉子供、病気、死という涙を誘う題材を使う
〈3〉SFちっくな仕掛けを使う

オマケとして重要なのは〈3〉番です。いわゆる「感動モノ」というだけでは観客が限定されます。しかし、口コミで

「感動モノなんだけど、終わりのあたりにちょっとしたネタ明かしがあるよ」
「感動モノなんだけど、終わりのあたりにちょとした仕掛けがあるよ」

と聞いたなら、それがいったい何なのかと気になることでしょう。

泣けることはまちがいなく(あって当然と思っている効果=感動の涙)、それ以外にちょっとしたネタ明かしがある(オマケ)というのです。

ただのチョコじゃない。ちょっと凝ったオマケが付いているらしい。オマケのおかげでますますおいしいチョコになるんだって!☆

チョコの味までもおいしく変えてしまうオマケがあるなんて聞いたら、もう気になって仕方ありませんよね。

「いま、会いにゆきます」は涙の定番(基本)に付け加えたオマケで、感動をもっと劇的にしたのです。

涙の定番(基本)要素 + SF的オマケ = 劇的な感動

オマケでタネ明かしをすることで、それまで感動の影にかくれていた謎が一気に解けるようになっています。つまり、サスペンスの要素をもっているのです。上の式に書き足すとこうなります。

涙の定番(基本)要素 + 謎とサスペンス +SF的オマケ = 劇的な感動

あって当然と思っている感動に、謎の答えを知りたいという好奇心(関心)と謎解きの役割を持ったオマケを付けているのです。こうして作品の内容を充実させて、より感動が広く深くなるようにしているのです。

「いま、会いにゆきます」は、オマケを使って本来メインである商材の魅力を高める良い例となっています。題名もストレートでありながら深みがあるものとなっています。この作品を観ることをおすすめします。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●オマケを魅力あるものにする

●オマケでメインの商材の魅力を高める

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01/21/2005

フリーマガジン

〈カテゴリ:マーケティング〉

フリーペーパー、もしくはフリーマガジンと呼ばれる無料のチラシや雑誌が盛
況だ。

雑誌を買っても中身の半分ほどが広告ばかりで、なんだか広告を見せられるが
ためにお金を出したかのように感じたことがある方も多いだろう。

フリーマガジンはその名のとおり無料である。広告が載っていても損した気分
にはならない。それどころか飲み屋やカラオケ屋やレストランの割引クーポン
券が付いていたり、懸賞ページがあったりしてお得感がある。

なかには部屋のマガジンラックに飾っておきたくなるような、無料とは思えな
いおしゃれなフリーマガジンもある。

例えば「メトロミニッツ(metro min.)」というフリーマガジンがある。
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「メトロミニッツ(metro min.)」
―――――――――――――――――
これは、東京メトロの主要23駅にあるメトロマガジン専用ラックで毎月20日に
無料配布されるフリーマガジンだ。

トピック主義を採用しており、ちょうど一駅の間(時間)で読めるトピックを
多数載せている。

東京メトロという地下鉄で配布されるフリーマガジンなので、ちょうと一駅で
読めるトピックをどうぞ、という構成だ。これはなかなかうまい編集だ。マガ
ジンの1ページの半分かそれ以上を写真が占めており、文章はひと駅間で読める
分量に収まっている。

駅で雑誌を買う目的のひとつは移動時間の暇つぶしだろう。都会では電車の乗
り換えが頻繁で、駅間距離も地方の在来線に比べれば短い。さらに地下鉄では
車窓から外の景色を眺めることはできない。例えるならば超ショートムービー
劇場に毎日たくさんのお客さんがやってくるようなものだ。2,3分で電車を降り
る人もいれば、30分ほど乗っている人もいる。乗客それぞれが興味あるトピッ
クをいくつか選んで読めるようになっているこのトピック主義は利便性を考え
たなかなか使える構成方法だ。

またこのフリーマガジンは電車の中で読んでも格好悪くない。というのは無料
とは思えないちょっとおしゃれなデザインをしているからだ。マガジンの表紙
のデザインの基本は毎号同じで、円形の写真のなかに一言二言コピーが載って
いるというシンプルかつスタイリッシュな作りになっている。
手に持ったときの紙質はけっして高級ではないのだが、程よいレトロ感があっ
てヨーロッパの街角の雑誌スタンドに置いてありそうな雰囲気を醸し出してい
る。部屋のマガジンスタンドに飾りたくもなるだろう。

けっこう人気があるらしく、いくつかの駅では配布日から数日もすると無くな
ってしまうらしい。

フリーペーパーやフリーマガジンが盛況というのは、無料だから人気があるの
ではない。
街頭のティッシュ配りをみればわかるように、たとえ無料でも興味
や必要のないものを人は欲しがらないのである。
無料だからこそ、読者の利便や嗜好にじゅうぶんに配慮するのだ。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●読者がどんな状況でどんな目的でマガジンを手にするかを想定する
 (電車に乗るとき、移動の暇つぶしに)

●利便性に注目する(ひと駅で読める分量にする)

●これらは読者の身になって想像しなければならない
 (イマジネーションマーケティング)

●フリーペーパーやフリーマガジンは内容(コンテンツ)よりも利便性が
 重視される(クーポンチケット、ひと駅で読める分量)

●「無料だからこんなもの」ではなく「無料なのにこれは使える、無料とは
 思えないマガジンだ」と、口コミされるようになろう

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01/18/2005

リバイバル―「カンフーハッスル」―

〈カテゴリ:マーケティング〉

リバイバルとは、おおまかな意味では、一度顧みられなくなったものが再び見直されたり脚光を浴びたりすることである。

あのブームはとうに過ぎ去った。あれは使い古されてもう使えない。あの人はすでに時代に取り残された――。こんなふうに多くの人に思われている人やモノにもう一度注目してみよう。なぜなら流行というのは、変化しながらも一定の周期で繰り返されるものだからだ。

ファッションの世界でも、20~30年をひとつの期間として流行が繰り返される傾向がある。これは、70年代、80年代のファッションや歌やデザインがこのところ注目を集めていることからもわかるだろう。

昔の料理に味付けして新しい料理として出せば、それは人気メニューになるかもしれない。味付けにしても塩味、味噌味、醤油味といろいろある。料理法にしても、煮たり焼いたり蒸したりとさまざまだ。素材(題材)の味付けと料理法のバリエーションは無数にある。どう味付けするか、どう料理するかは、時代の流れと人間の感情・欲望をよく観察して決めるとよい。

ここで映画作品を例にみてみよう
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「カンフーハッスル(KUNG FU HUSTLE 功夫)」
周星馳 (チャウ・シンチー)監督/中国/2004年/103分

●奇想天外エンタテインメントカンフーアクション笑劇作

【Story(ストーリー)】
中国。冷酷無情なギャング団「斧頭会」が街を牛耳っていた。しかし貧民層はそんなことはお構いなしに日々の生活をおくっていた。
ある日、豚小屋砦というアパートに、斧頭会のメンバーだという男(シンとその相棒)がやってきて小銭を騙しとろうとする。そこへ本物の斧頭会がやってくるが、アパートの住人たちに一蹴される。
斧頭会の組長からおくり込まれてきた刺客を、豚小屋砦の住人たちは死闘を繰り広げて倒す。ついには伝説の殺し屋が登場する。カンフー達人たちの闘いに触れたシンの中では、眠っていたなにかが目覚めはじめていた。シンは幼い頃に手に入れた功夫秘伝書の如来神掌に開眼する。

映画作品レビューはこちら
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70年代~80年代にカンフー映画が多く作られ、多くのカンフーアクションスターが誕生した。その後、カンフー映画として一般によく知られてきたのは主にジャッキー・チェン(成龍)主演のアクション映画である。ジャッキー・チェ
ンはハリウッドに進出して、中国武術とコメディを取り入れたアクション作品をヒットさせた。これによりハリウッドの「名声の歩道(Walk of Fame)」入りを果たしている。

ほかに李連杰(ジェット・リー)が「リーサルウェポン4」に出演してハリウッドに進出した。その後いくつもの映画に主演している。彼はわずか11歳で中国の全中国武術大会で個人総合優勝を果し、以後5回優勝している。

ハリウッドで活躍するジャッキー・チェンやジェット・リーが注目されている一方で、70年代から80年代に活躍したカンフースターは高齢になってきていることもあり最近はほとんど映画に出演していなかった。そんなカンフースターたちを起用したのがカンフーハッスルだ。かつてのカンフースターをただ起用しただけではない。そこに「最新のVFX技術」と「笑い」を加えたのだ。

カンフーハッスルをわかりやすくいうと、漫画の世界がそのまま映画になったというものだ。「北斗の拳」や「ドラゴンボール」などの拳法漫画の動きや技を映像化したのだ。そのため、これらの漫画に親しんだ日本人にとってはとりたてて目新しくはないのだが、それはいままで漫画を読んで「絵」として入ってきたものが頭の中のイメージとなって残っているからだ。それが今度はアニメーションではなく、実写とVFXとの融合による映像として見れるというのである。漫画の「ありえない」動きや技が映像に! と聞けば、話のタネにでも見てみたいと思うだろう。

アジア各国においても「カンフーハッスル」は大ヒットしている。日本の漫画はアジア各国に広く浸透している。子供の頃にテレビで見たアニメやコミックで漫画的世界に親しんできた世代にとって、カンフーと漫画的アクションと笑いとの融合であるカンフーハッスルは注目したくなる作品なのである。

カンフーハッスルのチャウ・シンチーは前作「少林サッカー」の大ヒットで注目を集めた監督だ。少林寺拳法とサッカーを組み合わせて日本の漫画「キャプテン翼」ふうのシュートを映像化した。

チャウ・シンチー監督はカンフーの大ファンだという。いくらカンフーが好きだといっても、70年代80年代のカンフー映画の真似をしただけではヒットは難しい。そこでまずは少林拳法とサッカーとVFX技術とを組み合わせたのだ。

こうして誕生した「少林サッカー」の大ヒットによってハリウッドの資金を手に入れたチャウ・シンチー監督が、今度は大好きなカンフー映画を撮ることになった。ハリウッドの資金とスタッフを得ることができたので、往年のカンフ
ースターを起用しつつ、最新のVFX技術と笑いの要素を使って多くの人が楽しめるエンタテインメント作品を作ることができたのだ。

一度顧みられなくなったものに、時代に合うよう味付けて、料理をしてみよう。


【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●時代遅れと思われているものを見直そう(カンフースター)

●使い古されたものに、時代に合った味付けをする(VFX視覚効果)

●他との組み合わせを考える(カンフー、笑い、漫画)

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01/03/2005

作務衣(さむえ)

〈カテゴリ:マーケティング〉

作務衣(さむえ)とは、禅宗の修行僧の作業着です。作務とは、普段の労働作業の
ことです。最近の作務衣はたいてい上着とパンツに別れています。

先日ある温泉宿に行くと、浴衣のかわりにこの作務衣があった。上着とパンツ
に別れているので、いわゆるパジャマに近い感覚で着ることができる。それに
もかかわらず労働作業のときに着る服でもあるので動きやすく、そのまま外出
もできるという、ちょっと洒落た着物だ。

たいていの旅館や温泉宿では浴衣が置いてある。雰囲気があってよいのだが、
実用的かというそうでもない。ちょっと動くと襟元がズレたり、寝ているうち
に浴衣がはだけたりするからだ。

その点、作務衣は日本情緒を感じさせつつ、動きやすく機能的(お腹のあたり
にポケットが付いていた)でもある。
普段着として一着あってもいいなぁとふと思ったほどだ。

温泉宿はどこもお客さんを呼ぼうといろいろ手を尽くしているだろう。露天風
呂を新設したり、貸切風呂時間を設定したり、ペットと泊まれる宿にしたりと、
サービスの充実に前向きだ。

これらの他にも、ちょっとした心遣いでより良いサービスを提供することがで
きる。

どこも浴衣だからうちも浴衣ではなく、そこにこそチャンスを見出すのだ。ど
こもそうしていることの中には、すでに時代遅れになっているものだったり、
ほかにかえるのがただ単に面倒だったり、業者間の付き合いがあったりといっ
たことで、長いあいだ手付かずである場合がある。

古くからの慣習のなかでも、慣習や伝統を活かしつつ、もっと良くできないか
とスタッフみんなで考えてみるとよい。
その際、スタッフの担当部署等に関わらず、一見すると馬鹿らしく思える意見
や見方にこそ注目すべきだ。より良いサービスのヒントが詰まっている場合が
多いからだ。
逆を言えば、あたり障りのないだれもが頷く案は、どこでもだれでも思いつく
ものであり、アイデアとは云えない。
支配人やマネージャーやオーナーといった、フタッフをまとめる立場の人は、
一見すると馬鹿らしい案でもとりあえず言ってみようという雰囲気をつくるこ
とに力を注がなければならない。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●どこもそうしていることを、もう一度見直してみる

●すべてのスタッフの意見をきく

●必要なのは、突飛で馬鹿らしいと思える意見や案だ

●あたり障りのない案はいらない

●業務とスタッフをまとめて引っ張って行く人は、一見すると馬鹿らしく思
 える案でもとりあえず言ってみたくなる雰囲気(環境)づくりに力を注ぐ

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12/29/2004

お父さんの書斎―「Mr.インクレディブル」―

〈カテゴリ:マーケティング〉

お父さんの書斎は家のどこにあるだろうか。もしかしたらないかもしれない。あったとしても納戸に机と本棚を置いただけの窓がない小部屋かもしれない。

書斎だからといって、かならずしも本やパソコンが置いてあるとは限らない。ゴルフクラブやテニスラケットや将棋セットやテントやバーベキューセットやミニチュアカーのコレクションなどが所狭しと置いてあるかもしれない。

お父さんの書斎になにがあるだろうと考えてみることは、ターゲットに向けて何が売れるかということを考える際に役に立つ。

ピクサーの映画作品「Mr.インクレディブル」を例にみてみよう。
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「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」
ブラッド・バード監督/アメリカ合衆国/2004年/115分

[Story(ストーリー)]
スーパー・ヒローとしての活動が禁じられて15年、世界有数のスーパー・ヒーローだったMr.インクレディブルは妻と子供たちと一般市民として生活しています。

元ヒーローたちが次々と行方不明になっていたある日、Mr.インクレディブル宛に1通の手紙が届きました。スーパー・ヒーローとしての能力を必要としてるというその手紙に応え、Mr.インクレディブルは再びスーパースーツを身にまといます。しかしそれはスーパー・ヒーローを滅ぼそうとする者の罠だったのです。エラスティガール(インクレディブル夫人)と子供たちは、夫(父親)の危機を救おうとします。やがてインクレディブル一家は世界を救うために力を合わせてたたかいます。

∇映画作品レビューはこちら
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Mr.インクレディブルの書斎は、やはり納戸のような部屋で、どうやら窓はないようだ。そんな部屋の壁一面には、自分がスーパー・ヒーローとして活躍した様子が載っている新聞や雑誌の切り抜きがたくさん張り付けてある。

Mr.インクレディブルのかつての仕事はスーパー・ヒーローであった。自分の仕事が好きであり、また誇りでもあるのだ。だが今はスーパー・ヒーローとしての活動を禁じられており、保険会社でオフィスワークをしている。

そんなある日、スーパー・ヒーローの能力を必要としている、という手紙が届く。Mr.インクレディブルは喜んでこの仕事を引き請けるのだ。

誇りを持っているかつての仕事。その能力を必要としてくれるのはうれしいものだろう。

たとえ仕事とは無関係であっても、自分の好みや趣味に合った人やモノとの出会いはうれしいものだ。

毎日仕事で夜遅くに帰宅して休日出勤もあるお父さん。息子や娘から見るとなんの趣味も興味もなさそうに見えるかもしれない。たまの休みはパチンコと酒で過ごす、そんなお父さんの書斎をちょっとみてみよう。

埃をかぶったスキー板や釣り竿が壁の隅に立て掛けてあるかもしれない。日焼けした表紙の小説全集が本棚の奥からそっと顔をのぞかせているかもしれない。

財布の紐はカミさんにしっかり握られているかもしれないが、これだけは好きで集めているモノがある、という人はけっこういるものだ。

たとえ書斎がなくて、あったとしてもただの物置になっていて、お父さんは晩酌のビールしか楽しみがないんじゃないかと思うかもしれない。それでも好きなものはビールだ、というのは確かだ。

趣味とよべるようなもはないお父さんは消費者としては弱いと思えるかもしれい。だがそれこそ最高の消費者(お客さんからやがては顧客)になる可能性を大いに秘めている。

たとえば毎晩のビールを欠かさないというお父さんにっては、ビールを飲むひとときこそが楽しみなのである。そのひとときをもっと楽しめるものがあったなら、大きな興味を持ってもらえるだろう。

晩酌をもっと楽しめるモノとしては、例えばかつての(いまでもかもしれない)ヒット商品に、小型の家庭用ビールサーバーがある。

消費のカギは女性が握っているとよく云われる。それもまた一理ある。だが、一見すると消費をまったくしなくなったように思える層に喜んでもらえるちっといいモノを提供できれば、それは口コミで広がっていく可能性はとても高いだろう。

口コミは女性が得意と思われがちだが(たしかにそのとおりではある)、男性、とくにお父さんたちが同僚や取引先でちょっとした世間話のネタにできるモノやサービスというのは絶大な口コミ効果を期待できるのである。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●お父さんの書斎をみてみよう

●普段買い物をほとんどしない層ほど、気に入ったモノには愛着をもってくれる

●男性の口コミ効果にも注目しよう

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12/17/2004

iPod

〈カテゴリ:マーケティング〉

以前、銀座のアップルストアで「iPod」をみたことがある。
店員さんが「iPod」についていろいろ説明してくれた。そのときたまたま近く
に展示用の実物がなかった。するとその店員さんはポケットあたりから自分の
iPodを取り出して見せてくれた。

店員さんの私物だというそれはまっさら綺麗というわけではなかったが、その
iPodはよく使い込まれて愛用されているのがわかった。

アップル社の製品を使う人は「信者」に近い感情を持っているとよく言われる。
信者というとなにやら宗教のようだが、そうでなくても製品(モノ)の使いや
すさやデザインやワクワク感を信じている人がいるというのはすごいことだ。
それは、製品のブランドが信頼されていることを意味する。ブランドとは
「約束」や「信頼」を表してもいる
からだ。

その店員さんは、プライベートでもビジネスでもiPodをいつも持っているのだ
ろう。自分がよいと思うものを実際に使って、プライベートでもビジネスでも
出会った人に製品のすばらしさを伝えたくなる。そんな魅力をもった製品
(ブランド)はそう多くはない。

Apple Store,Ginza(アップルストア 銀座)

「iPod」


Apple iPod 20GB (Click Wheel) Mac&PC [M9282J/A]
アップルコンピュータ


by G-Tools

Apple iPod mini 4GB (シルバー) M9160J/A
アップルコンピュータ
2004-07-24


by G-Tools
こだわる大人のiPod―ワンランク上の使いこなし&グッズ
出雲井 亨
日経BP社
2004-10


by G-Tools
iPod & iPod mini徹底活用ガイドfor Macintosh & Windows
毎日コミュニケーションズ
2004-09


by G-Tools
できるiPod mini & iPod―Windows XP & Mac OS X対応
小寺 信良 できるシリーズ編集部
インプレス
2004-08


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12/05/2004

横浜・三渓園

〈カテゴリ:マーケティング〉

【横浜・三渓園】 
(明治の豪商・原三渓によって造られた、重要文化財が多い日本庭園)

17,5万平方メートルの敷地に花々が咲き、池を鯉が泳ぎ、重要文化財の建物が佇んでいる。庭園の周囲は緑の木々に囲まれて、まるで静かな山の中にいるかのようだ。

庭園の奥へ行く途中には、木々の葉が半円形のトンネルのようになった小怪がある。すると坂道の案内板に「展望台→」とある。少し息を切らしながら登って行くと、古く四角い形のコンクリート建造物の展望台に着いた。そこから見えたのは……高速湾岸線と、精油所や工場などのパイプや煙突などの工業地帯
だった。

てっきり三渓園全体が見渡せるのかと思っていたけど……。

展望台は剥き出しの古いコンクリート製で、まるでいままでいた日本庭園の世界から、現実の有様を見せつけられたのかのようだ。

ふと、これは意図しているのでないかと思った。移築された古い日本建造物に美しい庭園という風景と、工業地帯の日本の風景を対比させることで「日本の姿」を見てもらいたいという思いがあるのかもしれない。

美しいだけの観光名所ではない。タイムスリップ感を味わて、しばし考えさせられるそんな場所――それが三渓園だ。

ただ売れればいい、お客が来ればいい、というのではなく、ちょっと意外な要素を組み込む。すると客は「あそこは他とはなにかが違う」と感じて印象に残りやすくなる。

良い印象になるか悪い印象になるか、ちょっと意外な要素をどういったタイミングで演出するかがポイントだ。

三渓園の展望台のような場所がもしディズニーリゾートにあったらどうだろう。ディズニーの世界を楽しんでいたゲストは、一気に夢から醒めて(冷めて)しまうだろう。

ちょっと意外な要素がはたして必要か? 必要ならそれはどのような時と場所で、どのような組み合わせで演出するのか?

もちろん、こういったことをとことん考え抜く前に、強く関心を惹きつけるしっかりした商品やサービスをもっていることが前提だ。

4月は桜がきれいですね。
関東有数の桜の名所としても有名です。園内の茶寮では「さくらアイス」も食べれます。
所在地 横浜市中区本牧三之谷58-1   入場料 大人500円

三渓園 明治数寄者の風雅
岡本 茂男
集英社 1989-08


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∇桜のDVD


桜 ~SAKURA~
オムニバス

流象天遊 ~美しき日本 百の風景より~ 古代魚アクアリウム-アロワナ・ピラルクたちの神秘- さくら 名所を彩る美しい季節の魔法 紅葉-もみじ- 世界の秘境 ハイビジョン・ミュージアム

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∇桜写真集

丹地保堯写真集 桜の木 The Cherry Tree
シンフォレスト 1999-02-25

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∇桜とえいばこの曲

桜坂
福山雅治 坪倉唯子 MISA NAKAYAMA 山根麻衣
ユニバーサル 2000-04-26


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12/04/2004

「場」の力 ~蕎麦屋 銀座・泰明庵(たいめいあん)~

〈カテゴリ:マーケティング〉

泰明庵――銀座・泰明小学校の近くにある蕎麦屋だ。1階と2階に客席があるが、昼時は相席になる程の人気店だ。手頃な値段でおいしい蕎麦をたべさせてくれる☆ 

店に気取った雰囲気はなく、店員さんはてきぱきと気持良く注文を受けたり、お冷をすぐに注ぎ足してくれたりする。こういったサービスがよいことや、蕎麦がうまいことはもちろんなのだが、また今度も食べに行きたくなる理由はなんなのだろうか? 

その答えは「場の雰囲気」とでも言おうか。一杯の蕎麦を食べるという目的の人々がやってきて、知らない人と相席になる。相席の相手と特に言葉を交わさずとも「この人もそば好きなのかなぁ」などとちょっと思いつつ、蕎麦を食べる者同士という小さな思いがふと心の片隅に浮かぶ。人が集まる「場」の雰囲気がよいと感じれば、人はまたそこへ行きたいと思ふ。

「場」が持つ力については、ディズニーリゾートがよい例だが、蕎麦屋だって「場」の力をしっかり持っているのだ。

銀座にお寄りの際は、ぜひおいしいお蕎麦をどうぞ☆


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12/03/2004

江ノ島の茶屋

〈カテゴリ:マーケティング〉

神奈川県藤沢市に江ノ島という、弁才天がまつられている観光名所がある。島の裏側の岩場では釣りや礒遊びができる(台風や満潮時は岩場に下りれないことがある)。

この岩場へいくには、急な階段を降りなければいけない。帰りには(船に乗って本土へ戻る方法もある)またこの急な階段を登るのだが、これがけっこうキツイ。急な階段がいくつも続くのだが、その途中に茶屋がある。茶屋の席からは海を眺めることができる。

息を切らし、少し汗ばんで登ってくると、茶屋の入り口でお姉さん(おばちゃん?)が、「どうぞ休憩なさっていってください~。冷たいお飲み物ございますよ~」と客を呼び込んでいる。

ふつうの温泉地のみやげ物屋通りなどで客呼び込みにあっても、よっぽどお腹がすいるか、だれかへのみやげものを買おうとおもっているのでなければ素通りすることがほとんどだ。だが、呼び込みの声につられて茶屋のほうに目をやると、茶屋の窓の先に青い水平線がチラリと見えるのだ。

階段を登り、すばらしい景色に出会う。ここでちょっと一服。これこそ、客の状況に合わせて適切なモノやサービスを提供するというコンテクストマーケティングのわかりやすい例だ。

江ノ島の茶屋――そこは人、場所、状況に合ったモノやサービスを提供する基本を、汗と筋肉痛によって実感できる場所だ。

神奈川県へお越しの際は行ってみてはいかがだろう。
ちなみに、参道の突き当たりの朱の鳥居を右に行く裏参道は、島の裏側への近道だ。途中の景色もなかなかよい☆ 

コンテクストマーケティングについての記事はこちら


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際立つということ

〈カテゴリ:マーケティング〉

際立つとはどういう意味でしょうか。

――――
きわだ・つ きは― 3 【際立つ】

(動タ五[四])
他との違いや区別が明瞭である。目立つ。
主によいことの場合にいう。

(三省堂提供「大辞林 第二版」より )
――――

あるカテゴリーの中で、他との違いや区別が明確になれば、それは人々の記憶に残り、やがては「ブランド」となる可能性が大いにあります。

ハリウッド映画を例にみてみましょう。
ハリウッド映画というカテゴリーの特徴は「家族」が重要な要素になっているということです。

家族とは言い換えれば、精神的拠所である「HOME」(単に建物としての家を意味するのではなく、自分と自分が属する家族や親戚、友人、仲間が集まる、精神的な安らぎを得られるところ)です。

欧米諸国ではこうした、精神的な安定や心の安らぎの拠り所となる役割を担ってきたのは主に教会(キリスト教文化)です。

しかし、ハリウッド映画でありながら「家族とキリスト教文化」をメインにしていない作品があります。

――――
「ラストサムライ (THE LAST SAMURAI)」 
エドワード・ズウィック監督/2003年/アメリカ/154分

●異文化に触れ、人との出会いを通して立ち直っていく男の物語

作品レビューはこちら
――――

「ラストサムライ」は欧米的なバックグラウンド――家族とキリスト教文化――とはかけ離れたところを描いています。

典型的なハリウッド映画との違いはなんでしょう。4つ挙げてみましょう。


〈1〉主人公ネイサンの家族につてのバックグランドが描かれていない。

〈2〉欧米的な精神的拠り所の主なものである教会(キリスト教文化)が基になっていない。

〈3〉日本の武士道精神がテーマになっている。

〈4〉アメリカ合衆国以外の人々についても、自らの価値観を持って生きよ、というメッセージを持っている。


典型的なハリウッド映画は〈1〉と〈2〉が満たされてつつ、アメリカ合衆国を中心とした価値観を広めて、国や地域の文化を尊重する姿勢を示しながら自国(アメリカ合衆国)を中心とした結束と繁栄を目指すという性格を多かれ少なかれ持っています。

しかしながら「ラストサムライ」は〈1〉と〈2〉が満たされず、さらにアメリカ合衆国以外の国の文化や精神をテーマとしています。また、それぞれの国や地域の価値観を大事に持って生きることの大切さを伝えています。

「ラストサムライ」主演とプロデュースはハリウッドの一流スターのトム・クルーズです。「武士道精神」は彼が信じる新興宗教の教えと共通するものが多いという話もあり、また日本文化に大きな興味を持ち、黒澤明監督のファンでもあるといいます。

そういうわけで、トム・クルーズが主演だけでなくプロデュースをしている作品は、典型的なハリウッド映画とは明確に違う「際立った」ものとなっています。

そのためか、トム・クルーズが関わる映画は彼が一流スターであるにもかかわらずアメリカ合衆国内ではかならずしも大ヒットというわけにはいっていないようです。

国内(アメリカ合衆国)よりも国外、たとえば日本でのほうがヒットする作品もあります(例:「バニラ・スカイ 」)。

それでもトム・クルーズ出演・プロデュース作品はハリウッド映画というカテゴリーに分類されることは確かです。カテゴリーの中にあって他とは違って目立つ作品に関わり続けるトム・クルーズは「際立」っています。

これはいわば「トム・クルーズ」というブランドなのです。


【まとめとポイント】

●際立つとは、他との違いや区別が明瞭であり、目立つこと。主によいことの場合にいう。

●自社(の製品・商品・サービス)がどのカテゴリー内にあるのかを再確認する。

●所属するカテゴリーの「主な要素と特徴」がなにかを把握する。

●主な要素と特徴から、自社(の製品・商品・サービス)を思いきって外してみたらどうか? と考えてみる。


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11/19/2004

顧客になるには―「コラテラル」―

〈カテゴリー:ディズニー&ピクサー魔法のヒント/マーケティング〉

まず、顧客とはなんでしょうか。

一般には、顧客とは、得意客やひいきにしてくれる客のことをいいます。

Aさんはあるお店で商品を買いました。すると、顧客カードが発行されました。

店員さんは笑顔で言います。
「ぜひ次回のご来店の際にご提示くださいませ。当店では万全のカスタマーサ
ービスを提供させていただいております」

Aさんは思いました。
自分は今後この店で買い物やサービスを受けるつもりは今のところないけれど、
もう店の顧客になったのだろうか?
「また買い物にきてくださいね」という店側の願いはわかるのだが、なんだか
顧客という名の「得意客にされてしまった」かのようだ。

Aさんがその店で買い物をしたのは、たまたまそこに必要な物を売っている店が
あったから。それ以上でも以下でもありません。他に数あるお店のなかからそ
の店を選んだわけではないのです。

顧客になるかどうか決めるのは、生活者(その商品を利用した経験や今後の利
用意向の有無に関わらない人々。または客)です。

生活者や客が、またあの店から商品を買いたい、サービスを受けたいと思い、
2度3度と足を運んだり、商品を注文したりすることで、顧客になっていくの
です。

店が、生活者や客を顧客にするのではありません。生活者や客が自ら顧客にな
るのです。
店にできることは、生活者や客に顧客になってもらえるようにすることです。

では、どうやったら顧客になってもらえるのでしょうか。
それには主に2段階あります。

映画作品を例にみてみましょう。
------------------------------------
作品名「コラテラル(COLLATERAL)」
マイケル・マン監督/アメリカ合衆国/2004年
作品レビューはこちら
------------------------------------

ロスエンジェルスでタクシー運転手をしているマックスはある晩、女性検事の
アニーを乗せた。

アニーは行き先を告げると、道順も指定した。少しでも渋滞を避けて早く目的
地に着きたかったからだ。

マックスはアニーとは違う道を行くことを提案した。アニーは自分が指定した
道のほうが早いと言ったが、マックスも自分が提案した道のほうが早いと言っ
て、さらにこう付け加えた。もし遅かったら運賃を安くするから――と。アニ
ーはそれに頷いた。

結果はマックスがいうとおりになった。マックスが提案した道を行くことで渋
滞を避けることができたのだ。

アニーはマックスに尋ねた。もしわたしの言うとおり車を走らせていれば、タ
クシーは渋滞にはまってあと数ドル多く手に入れることができたのに、なぜ、
もっと良い道を提案したのか。しかも、運賃を割り引くというリスクを負って
までして――と。

マックスは、たまたま青信号が多くて運良く渋滞を避けることができただけだ、
と照れたように言うのだった。

これがきっかけでマックスは自分の夢(高級リムジンサービスの会社を興すこ
と)を話して聞かせた。顧客が心地良く感じて、目的地についても車を降りた
くない、そんなサービスをする会社を目指している――と。

なるほどタクシーの内部はきれいに掃除されており、車体もピカピカに磨かれ
ている。アニーはその後も会話を続け、マックスが心を和ませるひとときを持
つために使っている「南の島の写真のカード」を譲り受けた。

タクシーを降りたアニーはマックスに名刺を渡し、あなたが将来会社を興し
て入用になったら、と笑顔を残して去って行った。


アニーは1台のタクシーに乗りました。マックスのタクシーを選んで乗ったの
ではありません。たまたま乗ったのがマックが運転するタクシーだったのです。

そこでアニーは客の利益を第一に考えて運転するマックスに出会いました。聞
けばマックスの夢は高級リムジンサービスの会社を興すことだいいます。アニ
ーは、マックスが経営する会社のサービスならまた受けてみたいと思ったこと
でしょう。


〇アニーがマックスに名刺を渡すまでには大きく分けて2段階あります。

第1段階 →客の利益を第一に考える姿勢と行動に驚き、感心する。

第2段階 →マックスという人物に興味を抱く


〇アニーがマックスの顧客になりたいと思うまでのプロセスを示すと以下のよう
になります。

マックスのサービスに感心する
    ↓
マックスに興味を抱く
    ↓
マックスの人柄や考え方や信条や方向性や夢を知る
    ↓
マックスの考えや方向性に共感する
    ↓
マックスに名刺を渡す(顧客になりたいと思う)


【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●生活者や客が自らなりたいと思うのが「顧客」

●他との違いを提示して、店や会社に興味を持ってもらう

●店や会社の、考えや方向性(理念)をわかりやすく伝える

●それは、広く共感できるものにすること
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10/18/2004

常識を破る

〈ディズニー&ピクサー魔法のヒント/マーケティング〉

ビジネスコンサルタントと名乗る人が、こんなことを言っているのを聞いたこ
とがあるでしょう。

「ビジネスで成功したければ常識を破れ!」

(こう言ってる人ほど、いつもあたりさわりのない黒か紺のスーツ姿だったり
するかも^^;)

「常識を破る」とは「他の多くの人とは違うことをする」ということでもあり
ます。そのためには「他の多くの人はどうしているのか」を知る必要がありま
す。

普通はこうするよ。普通はこう思うよ。という「普通」のラインがどこ辺りに
あるのかを知らなければなりません。
「普通」のラインを図で表してみましょう。


  「やりすぎ」「余っている」
↑↑ここから上が「普通以上」
----------------------------------------
☆☆ここが「普通」とみなされるライン☆☆
----------------------------------------
↓↓ここから下が「普通以下」
  「もっとするべき」「足りない」


「普通」のライン、つまり「常識」がわからなれければ、それを破ることが
できません。

たいていの人は、自分は「常識」がわかっていると思っています。しかし、
Aさんにとっての常識はBさんにとっての非常識である場合があります。

例えば駅やデパートなどにあるエスカレーターで、急いでいる人のために、
あなたは左右どちら側を空けておくでしょうか。

右側を空けておく(急いでいない自分は左側に寄る)と思った人は関東圏に
お住まいか、馴染みのある人でしょう。

左側を空けておく、(急いでいない自分は右側に寄る)と思った人は関西圏
にお住まいか、馴染みのある人でしょう。

このように、常識とは国や地域でさまざまに違うものなのです。常識がわか
っているとしている範囲は、たいていは自分が属している生活文化圏に限ら
ています。

山の東側に家を建てた人に見える範囲は、東側の景色だけです。
山の西側に家を建てた人に見える範囲は、西側の景色だけです。

東西両方面の景色を見るためには、山の頂上に家を建てて、ぐるりと周囲を
見回さなければなりません。

たいていの人は頂上に家を建てようとはしません。自分の家から見える範囲
の常識だけわかっていれば、生活に困ることはないからです。それに、自分
にとっての常識の範囲は限定されていればいるほど都合がよいのです。なぜ
なら、人には安全・安心の欲求があるからです。

自分が属するコミュニティの常識をよく知っていれば、それに合わせてうま
くやっていくことで、グループに受け入れらて、安心して暮らすことができ
るでしょう。また、グループやコミュニティの常識を破ることなく、だれか
の助けになる活動に参加すれば、尊敬され、感謝される確率が高くなります。
これは尊敬・自尊の欲求に関連してくることでもあります。

しかに世の中には、常識を破ろうとする人がいます。常識を破るとそこには
「間」「空間」「隙間」といったものが生まれます。これらの「間」を、走
り幅跳びに例えてみましょう。「間」とは、競技者がジャンプする「地点」
といえます。

走り幅跳びをする場合、まず競技者は一定の加速度で走ります。これは常識
の世界が続いていることを表します。やがて加速度が最高潮に達した瞬間の
地点で、競技者はジャンプします。

「常識という走り」のある一点で、走るという常識を破ってジャンプするの
です。この、ジャンプする瞬間の地点が常識を破る「間」なのです。「間」
は新しい変化(走り→ジャンプ)を生み出します。地上を移動していたのが、
空中を移動します。ジャンプした競技者はやがて重力によって地面に着地し
ます。このとき、走り続けていく場合よりも大きなエネルギーが着地点に発
生するのです。

もちろん、「常識を破る走り幅跳び」ですから、ジャンプ地点を踏んだ瞬間
に前方へ跳ばずに、競技者が地中に吸い込まれてもよいでしょう。これは、
いわゆる「落とし穴」ですね。

また、前方にジャンプせずに、垂直方向にジャンプしてもよいでしょう。実
際には慣性の法則で垂直にジャンプすることはありませんが、これこそまさ
に常識を破るということなのです。

スキーのジャンプ競技で、さまざまなジャンプの仕方を楽しめるDVD作品があ
あります。「え? そんなジャンプってあり!?」といった驚きと、次にど
んなジャンプをするのか、という期待を持てる、常識を破ったエンタテイメ
ント作品です(架空のスキー競技を扱ったパロディCG作品です)。
-----------------------------------------------------------------
「スキージャンプ・ペア オフィシャルDVD + 公式ガイドブック 」
(初回限定生産) 」
-----------------------------------------------------------------

世の中には「常識を破る達人たち」がいます。しかも、みなさんの意外と近
くにいます。これについては次回にお話しましょう。

今回は「常識を破る」について参考になる映画作品をご紹介します。
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「メメント(MEMENTO)」
監督・脚本:クリストファー・ノーラン/2000年/アメリカ/1時間53分
2001年サンダンス映画祭・最優秀脚本賞
ロンドン批評家賞 ALFS最優秀脚本賞
カタロニア国際映画祭・批評家賞

ストーリー(Story)
短期記憶が失われる“前向性健忘症”の男(レナード)が、ポラロイ
ド写真のメモと全身に彫った刺青(タトゥー)を手がかりに、妻殺し
の犯人を探す。
----------------------------------------------------------------

レナードは、10分間という短時間の記憶しか保つことができません。そのため、
作品は独特の構成になっています。
独特の構成とはつまり、逆回転(リバース)です。10分間ほどのシークエン
ス毎にストーリーが過去へ遡って進行していきます。10分間ほどのシークエ
ンス内は順行して、ひとシークエンス終わると、ひとつ過去のシークエンスに
遡行するのです。


     ←遡行(シークエンス2番)←遡行(シークエンス1番)
時間軸(過去)―――――――――――――――――――――順行→(未来)


つまり、主人公レナードの短期記憶(約10分)がひとつのシークエンスに
なっていて、その提示順序が1番、2番と過去へ遡行しているのです。

普通の映画作品の場合、ストーリーは過去→現在→未来という時間軸に沿って
進行します。

これを常識とするならば、「メメント」はこの常識を破っているのです。もち
ろん、常識を破るだけの必然性(主人公レナードの前向性健忘症)があります。

ストーリーの時間軸を巧みに配置・展開する監督にクェンティン・タランティ
ーノ監督がいます。
この監督は、基本となる時間軸に沿ったストーリーをしっかり構築したうえで、
観客の興味を惹きつけてキャラクターに感情移入させるという達人技をもった
人です。
時間がない方は、「レザボア・ドッグス(Reservoir dogs)」と「パルプ・フ
ィクション(Pulp Fiction)」のどちらかだけでも観てみるとよいでしょう。
-----------------------------------------------------------------
クェンティン・タランティーノ監督作品(一部)

「レザボア・ドッグス(Reservoir dogs)」
「パルプ・フィクション(Pulp Fiction)」
「ジャッキー・ブラウン(Jackie Browon)」
「キル・ビル(Kill Bill) Vol.1 & 2 ツインパック 」
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【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●常識を破るためには「普通」を知らなければならない

●さまざまな地域やコミュニティやグループの「常識」を見渡せる位置に立つ
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10/13/2004

ネーミング~宇多田ヒカルの全米デビューアルバム~

〈ディズニー&ピクサー魔法のヒント/マーケティング〉

宇多田ヒカル(歌手)の全米デビューアルバムが発売された。
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Exodus [FROM US] [IMPORT] Utada
-----------------------------------------------------------------

日本国内では絶大な知名度がある宇多田ヒカルだが、全米では無名の新人だ。
全米デビューアルバムでは、名前の表記を「宇多田ヒカル」や「UTADA HIKARU」
とはせずに「UtaDA」としている。

なぜ「UtaDA」としたのか。「HEY! HEY! HEY!」という歌番組に出演した本人
が説明していたところによるとこうだ。

これは性別がわからないようにするためだという。「UtaDA」だけだと、男か女
かわからない。そして「UtaDA」というネーミングは、それ自体がブランド名の
ようにも聞こえて(見えて)きたらいいな――と。

「UtaDA」は、例えば「ICHIRO」のように母音が3つあって、かなり特徴的だ。
一人でも多くの人に強い印象を与えるために、独特(ユニーク)で比較的短い
ネーミングを使う
というのはなかなか有効だ。

欧米人にとって日本人の名前は覚えづらいらしい。例えば欧米人が初対面で、
富岡誠一郎という名前を聞いて、はたして次回会ったときまで、この名前を覚
えていることができるだろうか。

こういった場合、富岡誠一郎さんは自己紹介の際に「please call me Tom(ト
ムと呼んでくだい)」と付け加える。そうすると、呼びやすくて覚えやすいの
で、気軽に声をかけてもらいやすくなる。こうして少しでも会話すれば、人の
記憶に残りやすくなるのだ。

トムというのはどこにでもたくさんいるので、これに説明の言葉が付くように
なると、なお覚えやすい。たとえば「カラテマスタートム」だ。富岡さんは学
生時代に柔道をやっていたと話したところ、なぜかこう呼ばれるようになった
としよう。たとえそれでも、とりあえず人々の記憶に残りやすいだろう。カラ
テマスタートムと紹介されるたびに、カラテの構えをちょっと真似してみせた
あと、いや実は柔道なんですよ~とつづければ、会話のとっかかりができてな
にかと便利だ。

CDアルバムの場合は、消費者ひとりひとりと話すわけにいかない。そういうわ
けで、ネーミングは覚えやすく、特徴がなければならない。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●ネーミングは覚えやすくする

●ネーミングは特徴的にする

●ネーミングは強く深く印象に残るようにする
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インパクトは静止画のイメージで残りやすい―「スウィングガールズ」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

夏の楽しかった思い出は? そう聞かれてなにを思い浮かべるだろうか。

例えば小学生のケイタくんが夏休みに家族で東京ディズニーリゾートに行った
としよう。そのときに撮った写真が机の上の写真立てに入っている。ケイタく
んはバズ・ライトイヤー(ディズニー・ピクサー映画作品「トイ・ストーリー」
のキャラクター)と一緒に笑顔で映っている写真だ。

これを見るたびに、ディズニーランドの楽しい思い出がいくつも蘇ってくるの
だ。

たとえ写真を撮っていないくて、楽しかったときのことはいくつかの断片的な
静止画として記憶していることがある。

強烈な印象を持つ出来事は動画としてではなく、静止画である場合が多い。

映画作品を例にみてみよう。
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「スウィングガールズ(SWING GIRLS)」
矢口史靖監督/日本/2004年/105分
作品レビューはこちら
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作品中に「イノシシ」が出てくるシーンがある。主人公の友子たちが山中で
イノシシに遭遇するシーンだ。
このとき、音楽にのせて、いくつかの静止画を一定間隔で切り替えていくと
いう手法がとられている。

友子たちにとってすれば、山中でイノシシに遭遇するという衝撃的な出来事を、
静止画を用いて表現しているのだ。

矢口監督の過去の作品である「ウォーターボーイズ」には「燃えるアフロ」
というシーンがある。ここではスローモーションが使われている。アフロヘア
が燃えるぐらいだから、当人にとってはかなりの衝撃的な出来事である。この
インパクトの大きさをスローモーションで表現しているのだ。

インパクトのある瞬間が静止画として人の記憶に残るとすれば、次に考える
ことはこれだ。

社のイメージ、またはブランドイメージを一枚の写真に収めると、はたして
なにが写るだろうか。

もし何も写らないならば、それだけインパクトが弱いということだ。

成功しているブランドの多くは、たいてい「一言」で表すことができる。例え
ば「BMW」は「スポーティ」、「Audi」は「安全」といったようにだ。

「一言」によって喚起されるイメージは、人の脳内で一枚の静止画として浮か
ぶ。こうなればそのブランドは、他とは違う、際立った特徴をもつものとなる
のだ。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●インパクトは瞬間の静止画として記憶に残る

●ブランドとしての静止画(写真)がはっきり浮かび上がるか

☆そのブランドは一言で表すことができるか
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09/25/2004

ヒーロー―「スパイダーマン2」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

ヒーローはみんなに応援される存在です。応援されるのはなぜでしょう。みん
なが支持してくれるからです。なぜ支持されるのでしょう。それはヒーローの
考えや行動にみんなが共感してくれる
からです。

ヒーローは強いからヒーローなのではありません。人より優れた能力を持って
いるからヒーローなのでもありません。

映画作品「スパイダーマンシリーズ」でも、主人公ピーターは人より優れた能
力を持っていますが、それがヒーローである直接の要因ではありません。
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「スパイダーマン2(SPIDER-MAN2)」
サム・ライミ監督/2004年/アメリカ
原作:スタン・リー
作品レビューはこちら
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恋に悩みながら、授けられた特殊能力を正しいことのために使わなければ、と
いう使命感を持ちつつも、普通の人と同じように人生を送りたいという思いも
ある。そんな複雑な思いのなか、最愛の人には自分のことをわかってもらいた
い。しかし、彼女に危険が及ぶことをおそれて、自分がスパイダーマンだとい
うことは話せない。すれ違う二人の想い……。

青年の人生と恋の苦悩の物語に、観客は共感するのです。観客はピーターの特
殊能力のすごさに拍手を送るのではなく、特殊能力を正しいことのために使う
ピーターに拍手を送るのです。
つまり、支持して応援するのです。

ディズニー/ピクサーの新作映画作品「Mr.インクレディブル」ではスーパーヒ
ーローが主人公です。
----------------------------------------------------------------------
「Mr.インクレディブル」(2004年12月4日公開)
ディズニー/ピクサー映画作品
スーパーヒーローとしての活動を禁じられたMr.インクレディブルと彼の家族
の活躍を描いた冒険物語。
----------------------------------------------------------------------

この作品は、超人的な能力をもっているが故に、その能力を使うことを禁じれ
たス―パーヒーローの家族の冒険物語です。

どんなにすばらしい能力(商品やサービス)を持っていても、それだけでは真
のヒーローにはなれません。そのすばらしい(商品やサービス)をどう使うか
? これによって人々の共感を得られるかどうかが決まる
のです。

うちの店(わが社)の商品は、競合他社と比べても頭ひとつ抜きん出ている
すばらしい商品があるのに、なぜ人々に支持されないのか? そんなふうに
思ったことがあるなら「ヒーローの資質」はなんなのかを上記2作品を観て
考えてみてください(「Mr.インクレディブル」は2004年12月公開)。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●強く、優れた能力を持っているからヒーローなのではない。

●ヒーローになれるかどうかは、人々の共感を得ることができるかどうかに
 かかっている。

☆すばらしい能力(商品やサービス)をどう提供するのか。それによって、
 ブランドはなにをするのか。が明確に伝わらなくてはならない。

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08/22/2004

愛・帰属意識―「モンスターズインク」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

こんな話を一度は聞いたことがあるだろう。
「人」という字はヒトとヒトがお互いに寄り掛かり合っている。だから、人は
ひとりではなく、お互いに支え合いながら生きていくものなのだ――。

人は人とのつながりを求めている。人と人のつながりによって、親友との出会
ったり、家族を持ったりするようになる。やがてグループやコミュニティを形
成していく。

「モンスターズインク(Monsters Inc)」の主人公サリーはモンスターズ
インクという会社のトップ社員だ。モンスターズシティのみんなから尊敬され
ている人気者でもある。
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「モンスターズインク(Monsters Inc)」作品レビュー
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自分が属するコミュニティや世界(モンスターズシティ)で英雄的地位にいな
がら、みんなに親しまれているサリーは「愛・帰属意識」の欲求は完全に満た
されている。

だが、人間の女の子ブーと出会うことでサリーは、自分の輝かしいキャリアと
地位を失う危険にさらされる。それは相棒のマイクのキャリアにも関係するこ
とで、それまで良き相棒関係を続けてきた二人の友情を壊してしまうかもしれ
ない。それでもサリーは、ブーを人間の世界に帰してあげようとする。

観客はそんなサリーに深く感情移入して、応援したくなるのだ。

自分がどのコミュニティに属するのか、コミュニティの中でどのようなポジシ
ョンにいるのか、というのはたいへん重要に思えるものだ。モンスターのサリ
ーだってそうなのだから、人間ならなおさらのことだろう。

グループやコミュニティや共同体は、人に安心感を与えてくれる。だが依存す
ればするほど、たとえコミュニティの方針などが、自分の良心や信念と違って
いると感じたとしても、その思いは心の奥底に深く押し込んで蓋をしてしまい
がちだ。

かつての日本では、より大きなコミュニティに属することが良いことだと言わ
れていた時代があった。コミュニティがどういう性格のもので、どういった考
えと方向性を持っているかは重要視せず、ただ大きくて、みんなによく名前が
知られているコミュニティが良いとされていたのだ。

こういった基準では、それが自らの意思と行動で属したコミュニティと言える
だろうか。

自らの意思と行動で属したコミュニティが、自分の良心や信念と違った方向へ
行こうとしていると感じたならば、コミュニティを良くしようとなんらかの働
き掛けをするだろう。そうした行動が全く無駄だと感じたなら、自分の良心と
信念に合うコミュニティに入りなおせばよい。

コミュニティについて参考になる映画作品こちら↓
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「ザ・ファーム 法律事務所(THE FIRM)」
シドニー・ポラック監督/1993年/アメリカ合衆国
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「刑事ジョン・ブック 目撃者(WITNESS)
ピーター・ウェアー監督/1985年/アメリカ合衆国
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大事なことは、良心と信念に従い、自らの意思と行動で、よりすばらしいコミ
ュニティに属することだ。
そうは言っても、自分に合うすばらしいコミュニティにそうそう出会えるわけ
ないと思うかもしれない。

だが、幸いなことに、みなさんはもうすでに、すらばしいコミュニティに属し
ている。

そう、「地球」というすばらしいコミュニティに属しているのだ。

前号で少し触れたが、人は、そこそこ満たされ「欲望」の上限がみえてしまう
と、人は新たな種類の「欲しい」という感情が生まれる。

それは、必要最小限のモノだけがあればいい、という考え方だ。シンプルで機
能的で耐久性のあるよいモノが欲しいということになる。
こういった条件を満たしたモノがあれば、すこしぐらい高価に感じても「欲し
く」なるのだ。

条件を満たした上でさらに、もうひとつモノに「意味」があるとなおよい。こ
の「意味」とは人間の欲求――愛・帰属意識――に関するものだ。

ある製品(モノ)を買うことによって、すでに属している、より大きなすばら
しいコミュニティに貢献できるとしら??

製品(モノ)を買うことに、こうした「意味」が付け加えれるならば、その製
品を使いつづけるかぎり、コミュニティに貢献している実感を持つことができ
る。

そのためには、機能的で実用的で耐久性があるしっかりした製品(モノ)でな
くてはならない。

「製品(モノ)の良さ」と「意味」の2つが必要なのだ。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●人は人と関わって生きている。

●人は、より偉大で信頼できるコミュニティに属したいという欲求がある
 (愛・帰属意識)。

●信頼できるコミュニティに貢献している実感を持つことができる製品やサー
 ビスを提供する。

★「製品(モノ)の良さ」と「意味」が必要。
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08/14/2004

感情について知るには映画がいい

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

モノやサービスを買おうと決心するまでには、人はさまざまな材料を集めて論
理的に考える。だが、最終的には「感情」によって決心するのだ。

人はどのようなときにどうのような感情を抱くのか? 感情を目に見える数値
のデータにすることはできないが、ある一定の法則を見出すことはできる。

法則を解き明かすカギは「映画」だ。なぜなら、映画は「感情」について研究
を重ねてきた歴史そのものだからだ。

映画は内容(コンテンツ)がすべてだ。内容とはストーリーだ。人が映画を観
て泣いたり笑ったり怒ったり不機嫌になったり眠ったりするのは、ストーリー
に心を動かされるからだ。心が動かされる、なにかを感じる――つまり、ある
種の「感情」が生まれるのだ。

映画は「感情」を売る商品とも言える。映画製作者は、約2時間にわたるストー
リーで観客に狙いどうりの「感情」をいかに抱かせることができるかに苦心す
る。

では「感情」を知るための法則を解き明かすカギとはなんだろうか。
そのひとつは「人間の欲求」である。

心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求を7つの階層に分けている。

[1]サバイバル
[2]安全・安心
[3]愛・帰属意識
[4]尊敬・自尊
[5]知識欲・理解欲
[6]審美的なものへの欲求
[7]自己実現欲求

「感情」を知るためには、人間の欲求を理解しなければならない。

いわゆるマーケティングの手法は有効だ。しかし、一般的なマーケティング
では、ビジネスにおいて最も重要なことが疎かになりがちだ。

重要なのは「人の感情」を知ろうと努めることだ。

そして、「人の感情」を扱ってきたのは映画である。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●モノを買ったりするのは人。人の感情を知ること
●人の感情についてよく研究してきたのは映画
★感情を知るヒントは「人間の欲望」にある。
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∇参考・用語引用書籍
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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08/08/2004

独自性を意識する――映画「マッハ!!!!」

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

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作品名「マッハ!!!!!!(ONG-BAK)」
プラッチャヤー・ピンゲーオ監督/2003年/タイ/108分
[ストーリー]
村の守護神である仏像の首が奪われた。村の青年が都会(バンコク)へ仏像を
取り戻しにいく。
作品レビューはこちら
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「マッハ!!!!」はタイの格闘アクション映画だ。
タイと聞いてあなたはなにを思い浮かべるだろうか。

バンコク、渋滞、プーケット島、アユタヤ遺跡、ムエタイ、トゥクトゥク……。

なかには、ニンジャ、サムライ、ゲイシャ、フジヤマを思い浮かべた人も……
あまりいないだろう。

だれでも、タイについてのイメージがある。人によってイメージはさまざまだ
が、タイと聞いて真っ先に思い浮かぶイメージが、ちょんまげ姿の侍が日本刀
を構えている姿だとうのは普通はあり得ない。

欧米諸国の人のなかには、アジアの国々のイメージはどこも一緒で、タイと日
本の違いをイメージすることが難しく、すべて同じになっている人もいるかも
しれないが……。

イメージとは漠然としものだが、大きな力を持っている。人が抱くイメージを
上手に受けとめることができれば、あとはそれをどうズラしたり、入れ替えて
みたりすれば魅力的になるのかと、いろいろと研究できるのだ。

「マッハ!!!!」の主人公の青年は古式ムエタイの達人だ。ムエタイはタイの国
技で、世界最強の格闘技とも言われている。

人々がもつタイのイメージのうち、ムエタイを使い、CGもワイヤーもスタント
マンも早回しも使わずに撮影したこの作品は、しっかりと戦略が練られている。

コンピュータの発達によってCGなどの映像特殊効果技術が映画作品に取り入れ
られることが多い最近の流れをしっかり観察して、あえて流れに乗らずに、ア
ナログな手法を使っている。これによって宣伝がしやすく、注目も集めやすく
なったのだ。

二番煎じの真似事では人々の興味や注目は集められない。真似することは悪い
ことでない。真似は対象を分析・研究する有効な方法だ。それによって自社や
商品の独自性はなんなのかが明確になるからだ。

関連する・参考になる映画作品レビューはこちら↓
「リターナー」
「千と千尋の神隠し」

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●独自性を意識する。
 (自社の独自性はなにか。商品の独自性はなにか。)

●差別化ではない。差別化とは、ちょっとした「差」だ。わずかな「差」はす
 ぐに縮まる。

★真似は対象を分析・研究する有効な方法。それによって自社や商品の独自性
 はなんなのかを明確にする。

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06/11/2004

ブランドメッセージとその伝え方―「リロ&スティッチ」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

晴れた日は風が気持ちいいです。ふとハイキングやちょっとしたお散歩にでか
けたくなりませんか☆

そんなとき、みなさんはどんな靴を履いてますか? 履きやすい靴を選んでい
ると、いつのまにかいつも同じメーカーの靴ばかりになっていたり……。
アディダズ、プーマ、ニューバランス、ナイキ。どのメーカーの靴も、特徴の
あるマークがついています。メーカーなんて意識しないで買っていたら、靴に
はみんな「N」マークが付いていた! なんて方もいるかもしれません。
 
たとえ運動靴という日用品でも、いつも同じメーカーの商品を選ぶには意識す
るしないに関わらず、きっと理由があるはずです。価格、ネーミング、配色、
デザイン……等。

なんにせよ、商品自体がきちんとした良いモノやサービスであることが基本で
す。
そしてさらに、わかりやすいブランドメッセージが伝わってきたらどうで
しょう。そのブランドメッセジージに共感すれば、きっと次に買うときもまず
は同じメーカー(ブランド)の靴をチャックしてみようと思うでしょう。

さらに、わかりやすくて共感するブランドメッセージは、そのブランドの行動
を通して伝わってくるものでなければなりません。

巨額の制作費を投入して作ったテレビコマーシャルを繰り返し放映するだけで
はあまり効果的ではありません。それよりもブランド理念やブランドメッセー
ジを具体的にどのような方法で実践しているのかを伝えるほうが効果的で重要
です。

なにも巨額な制作費がかかるテレビコマーシャルを放映しなくても、しっかり
したブランドメッセージは地道な行いを通して口コミで広まっていくのです。

ディズニーで考えてみましょう。
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「リロ アンド スティッチ(Lilo&Stitch)」
クリス・サンダース、ディーン・デュボア監督/2002年/アメリカ/
ウォルトディズニーピクチャーズ/86分/
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作品レビューはこちら

この作品では、ウォルト・ディズニー・スタジオはハワイの観光局とグローバ
ル提携しています。両者はこの提携を相互のグローバルマーケティング活動に
最大限に活用することができる、としています。

ディズニー社は世界を代表するファミリー・エンタテインメント・ブランドで
あり、ハワイは世界でもっとも人気のある家族旅行先のひとつです。

両者に共通するテーマ・コンセプトは「オハナ=家族」です。

主人公が調和やバランス、愛、家族を獲得する過程を描いたこの作品は、ハワ
イを舞台としている。ハワイは癒しの島、パラダイスとして観光に力を入れて
います。

「リロ&スティッチ」 はしっかりしたテーマ(オハナ=家族)を持ち、ハワ
イの観光局とグローバル提携するという行動を通して多くの人に作品を見ても
らおうとしているのです。

ハワイ観光局としても、ディズニーが「家族」というテーマをしっかりもって、
良質の商品(作品やディズニーリゾートその他)を提供しつづけていることか
ら、グローバル提携したのでしょう。


【まとめ】-----------------------------------------------------------

●すばらしい商品(モノやサービス)あがること

●しっかりしたテーマや理念があること

★すばらしい商品があることが基本で、さらに、わかりやすいブランドメッセ
 ージが伝わってくること。

★ブランドメッセージは、行動を通して伝わってくること。

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05/10/2004

期待していないこと~顧客満足のために~「モンスターズ・インク」

カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

「フルCGアニメーションとかいうらしいが、しょせん子供だましさ」
そんな声を聞いたことがあるかもしれない。CG、アニメは子供向けでとても
じゃないが高尚な大人の観賞に耐えられるものじゃない――。

こういったことを言う人こそ、ディズニーやピクサー作品の一番の良きファン
になる可能性を持っている。

なぜなら、CGやアニメーション作品について全く期待していないからだ。全く
期待していないものが、ちょっと良かっただけで「意外といいじゃないか」と
思うことがあるからだ。

人は期待していたものがたいしたことないと感じると、大きく落胆する。逆に
たいして期待していなかたったものが、ちょっと良かっただけで、
満足度は高くなり、なんだか得した気分にもなる
ものだ。

CGアニメーションと聞いて特になんとも思わないお父さんが、休日に小学生の
息子と娘に、映画館へディズニーアニメやピクサーアニメを観に連れて行って、
とせがまれたとしよう。妻は大学時代の恩師のコンサートへ友人たちと出掛け
ている、そんな状況だ。

いまから出掛ければ、その「なんとかモンスター」とかいう怪獣映画らしいも
のを観て、子供にアイスでも食べさせて帰ってくれば、ちょうど妻が帰宅する
時間になるだろう。そう思ったお父さんは子供たちを連れて映画を観にいくこ
とにした。

その夜、帰宅した妻は「モンスターズ・インク」のサリーとマイクのぬいぐる
で遊ぶ子供達の出迎えを受けた。子供達から「パパったら映画観て泣いたんだ
よ」と知らされる。

妻は、ほんとうかしらと思いつつも、夫にも結婚前にはよくみられた子供っぽ
いところがまだ残っていたことにふと微笑みつつ、そういえばコウタ君のママ
が勧めてくれた映画の名前がたしか「モンスターなんとか」だったかしら……
と気になった。

次の日、駅前のスーパーマーケットで偶然コウタ君のママに会って立ち話のつ
いでに、例の「モンスターなんとか」について訊いてみた。どうやらマリナち
ゃんのところは家族みんなで観に行ったらしい。
「夫がきのう子供たちと観に行っておもわず泣いちゃったらしいのよ」
するとコウタ君のママは「ウチの旦那も啜り泣いてたのよ」と照れくさそうに
はにかんだ。
――モンスターなんとかってそんなに泣けるのかしら……?

以上の流れをまとめてみよう。

○子供が興味を持つ
  ↓ 
○期待していないお父さんが子供を連れて観にいく
  ↓
○思わず感動して泣く
  ↓
○それを知った妻が知り合いに話す
  ↓
○妻は知り合いから、さらに噂を耳にする

期待していないサービスを受けると、人は得した気分になり満足する。
そして満足したこの気持をだれかに伝えたくなる。

普段映画なんて観ない、めったに涙なんて流さないあの人が、映画で、しかも
CGアニメで泣いたらしい。こうした話題が口コミで広まっていく。

意外性があるものはインパクトが強く、人の記憶に残りやすい。記憶に残りや
すい事柄は話題になりやすい。

こうして、ある商品やサービスの噂が広まっていく。だが気をつけなくてはな
らないのは、悪い噂は、よい噂よりも早く広まりやすい、ということだ。

客は、当然受けられると期待しているサービスを受けることができないと、
不満足になる。

お父さんは、CGアニメーション作品に、自分が楽しめるだろうという期待はゼ
ロだった。期待していたのは、子供達がたのしめるだろうということだ。

「モンスターズ・インク」を観た子供たちは大喜びだ。これで当然受けられる
と期待していたものはそのとおりになったわけだ。さらに、自分は作品を観て
涙を流してしまった。感動の涙だ。お父さんは自分が期待していなかったモノ
やサービスを受けたと感じて満足した。

この満足感をだれかに伝えたい――。こうして良い噂は口コミで広まっていく
のだ。

●まず、当然受けられると思っているサービスをしっかり提供する。
 次に、客が期待していないサービスを提供する。

この2つができれば、それは顧客満足につながっていくのだ。
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「モンスターズ・インク(MONSTERS,INC.)」
ピーター・ドクター 、デビット・シルバーマン監督 2001年 アメリカ 
ディズニー・ピクサー

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05/07/2004

わかりやすく~4分以内で説明せよ~「モンスターズ・インク」

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

あなたが新たに事業や会社を興すとしよう。既存の会社と全く同じ商売をしよ
うとしないかぎり、なにかしらの違い(差別化、個別化)があるはずだ。いま
までにないモノやサービスを提供しようとするのだから、まず人々(生活者)
に、あなたの事業や会社について知ってもらわなくてはならない。

□ピクサー社が制作した「モンスターズ・インク(MONSTERS,INC.)」
(ピーター・ドクター 、デビット・シルバーマン監督 2001年 アメリカ ディズニー
・ピクサー)という作品を例にみてみよう。
  
作品の簡略なストーリー↓

「モンスターズインク。そこは人間の子供の悲鳴をエネルギーとして採取する
会社である。ある日、人間の子供(女の子)がモンスターシティに入り込んで
しまう。モンスターズインクで業績トップのサリーは女の子を守り、人間の世
界に帰してあげようとする。」

映画のタイトルになっている「モンスターズ・インク」という会社はいったい
何をしているところなのかを最初に示す必要がある。なぜなら、いままでにな
い世界を舞台にストーリーを展開するのだから、観客にまず映画の世界観を知
ってもらわなくてはならないからだ。

では「モンスターズ・インク」では、どのように映画の世界観を観客に知って
もらうのだろうか。

さっそく作品のセットアップ(作品の世界観を観客に伝える役割がある)をみ
てみよう。

**********************************************************************
○「モンスターズ・インク」のセットアップ
〈状況〉モンスターズインクでの新人研修中

新人のひとり(モンスター)が人間の子供の部屋へ侵入する業務のシミュレー
ションで最悪のミスをする。そのミスがなぜ悪いのか?
    ↓
モンスターズインクの社長が登場してそのミスがなぜ最悪かを説明する。
・子供がモンスターズシティに入るから
・人間の子供ほど有害で危険なものはない
・人間の子供に触れられると死ぬ

だが、モンスターズシティには子供の悲鳴が要る。なぜなら、悲鳴は大切なエ
ネルギー源だからだ。

◆モンスターの世界にとって子供は危険な存在。
◆モンスターズインク社員の仕事は危険な仕事だが、必要な仕事だ。
◆モンスターズインクが必要としているのは、大胆で強くてタフで怖いモンス
 ターである。その手本は、ジェームス・P・サリバンだ。

**********************************************************************

実際にDVD等で作品を鑑賞してもらうとよりわかりやすいが、独特の世界観を
これ以上望めないほどの簡潔さで見事に紹介しているのがわかるだろう。

ある事柄を観客に知ってもらうには、なるべく観客に近いキャラクターを登場
させる。
このキャラクターに観客の疑問を代弁させるのだ。

新人達が学ぶモンスターズインクの業務とその意義を、観客も一緒に学ぶこと
で、

・モンスターズシティにとって子供はどのような存在なのか
・モンスターズインクはなにをしているところなのか
・モンスターズインクの社員として子供部屋に侵入する仕事がいかに意義の
 あることなのか

をスムーズに理解できるようになっている。
さらに、セットアップの最後で、モンスターズインクが必要としている社員の
お手本として、作品の主人公であるジェームス・P・サリバンの前フリ紹介が
行われている。

モンスターズインクの紹介は、セットアップだけでなく、その後のシーンでも
観ることができる。それらについては後に紹介していくことにしよう。

重要ポイント↓

●まず、あなたや、あなたの事業や会社について知ってもらう

●だれにでもわかりやすく、簡潔に説明する。

(「モンスターズ・インク」のセットアップ時間は、約3分20秒)

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05/05/2004

客のほうを向く―「ニューヨークの恋人」―

〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

「あなたはどういった方ですか?」「あなたの会社は何をしていますか?」と
いう問いに対して、わたしはABC社の社員です、と答たとしよう。

これは、問いに対する充分な答えではない。ABC社が日本国内で有名な会社
である場合は、相手にある程度の推測をしてもらうことを期待できるだろう。
どのような推測かといえば、例えばABC会社が繊維分野での売上が業界2位だ
としたら、「あの人は繊維関係の会社に勤めているんだろうなぁ」といった推
測だ。

だが相手が繊維分野にさほど詳しくない人だったらどうだろう? アメリカ人
や中国人だったらどうだろう? そもそもABC会社のことを知らない可能性が
高いだろう。

わたしはABC会社の社員です。という答えは、相手に2つの負担をかける。そ
れは相手に推測させ、ABC会社についての説明をさらに求めさせる、というも
のだ。

自分はABC会社の社員なので、ABC会社のことはなんでも知っている(つもり)
。ABC会社は繊維業界第2位の売上があるので、ABC会社は有名だ。こうった
思い込みでは「外」に対しては通用しない。

ABC会社のことを全く知らない人々は世の中にはたくせんいて、その人々が将
来、ABC社の大事な顧客になるかもしれないのだ。

将来の大事な顧客を得る機会を少しでも多く持つためにどうすればよいのか。
答えはシンプルだ。

●客のほうを向く

これを映画作品で考えるとわかりやすい。映画作品を制作する際は、観客がい
かに満足できるかを考える。向いている方向は観客だ。というのは映画作品は
基本的には「コンテンツ」を売る、または「ストーリーを売る」商売であって、
特定の商品を売るものではない。特定の商品を売りたい場合は、例えばテレビ
コマーシャルを制作する(もちろん映画作品はモノやサービスの宣伝媒体とし
ても有用だ)。

テレビコマーシャルの制作者にとってみれば、あえて大雑把な言い方をすれば、
クライアントがOKを出せばそれでよいのだ。テレビコマーシャルの目的は、狙
った客層に製品を売り込むことだが、コマーシャル制作者の目的は、クライア
ントのOKをもらうことなのだ。

映画作品を例に考えてみよう↓

映画作品「ニューヨークの恋人(KATE & LEOPOLD)」(2001年 アメリカ ジ
ェームズ・マンゴールド監督)
〈ストーリー〉
125年の時を超えて現代のニューヨークに現れた英国貴族の男性が、超現実主
義者のキャリアウーマンと出会い、恋に落ちる。

この作品で、英国貴族の伯爵がダイエット・マーガリンのCM撮影に出演する
ことになる。ところが、商品のダイエット・マーガリンを一口食べた伯爵は、
その不味さに顔をしかめる。こんなものを、うまいとウソをついて大衆を騙す
ことなどできない、とその場を去るのだ。

伯爵は、ダイエット・マーガリンを実際に口にするであろう消費者を騙すこと
はできないという。伯爵は大衆(消費者)のためを思ってその場を去ったとう
のもあるだろうし、なにより人を騙したくなかったのだ。

自分が使いたくもない商品や食べたくもない食品を、すばらしいから、おいし
いからと言って親友に勧めたらどうなるだろうか。

もしかしたら親友はあなたとは違う価値観や味覚の持ち主で、勧められた商品
や食品を喜んで買ったり食べたりするかもしれない。

それとて、あなたが親友の嗜好をある程度知っているからこそ、それに合わせ
せて商品や食品を勧めることができるのだ。

そういった親友の身になって、親友のために考えた行動ならよいが、そうでは
なく、ただなんでもいいから売りつけたいという思いで行動していたら、やが
て親友を失うだろう。

ビジネスも同じだ。客のほうを向いていなければ、顧客もやがては去っていく
のだ。

重要なのは「向いている方向がどこか」だ。社長か? 親会社か? クライア
ントか? それとも客か?

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04/22/2004

美穂の旅

「美穂の旅」 ********************************************************* 
▼株式会社テグレット技術開発が運営する、
 インターネット・Eメールを利用した仮想旅行サービス。
 (登録料、情報料共に無料)

 「美穂の旅とはあなたの分身が、世界中を旅行して、旅行先からあなたに
 メッセージを送ってくる仮想旅行システムです。ユーザ登録を行うと、あなた
 の分身を旅行に出発させる事が出来ます。 」
 (引用元:「美穂の旅」
***********************************************************************

〔1〕プレミス(Premise)
   ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア

―――――――――――――――――――――
ユーザーの分身が世界各国を旅する仮想旅行サービス。旅の様子をEメールで伝
えてくれる。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
ユーザーの分身それぞれの旅のストーリーが展開する。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ユーザーの分身
 ユーザーが自由に名前をつけることができる。また、分身の大まかな性格を
 指定することもできる。

△旅先で出会う人々

△旅先で出会う旅行者たち
 美穂の旅会員の分身たち。


〔4〕・1 ダイアニサイアック(Dionysiac)
      夢中になる、主人公に共感を得る。

―――――――――――――――――――――
旅行(ストーリー)の主人公はユーザーの分身である。


4〕・2 成功のための3つの要因
―――――――――――――――――――――
〈1〉ストラクチャー
〈2〉独創性
〈3〉マーケティング

ここでは〈2〉と〈3〉を取り上げる。
〈2〉独創性
○新鮮味があるか 
⇒今までなかった世界(インターネットの世界)を利用した仮想旅行システム
 です。

○オリジナリティーに溢れているか
○それはユニークか
⇒ユーザーが他のことををしていても、ユーザーの分身が旅行を続けていく
 (ソフトに係りっきりでいなくても進行するストーリー)。

○フック(観客の興味を惹くものは)はあるか
⇒世界各国各地についての興味。どんな人々がいて、どんな暮らしをしている
 のか。どんな気候風土か。どんな食べ物があるのか。どんな文化や風習があ
 るのか……等。

だれでも自分に興味がある。自分(分身)が旅先でどんな経験をするのかと興
味がわく。

〈3〉マーケティング
○ユーザーが欲していることはなにか?
⇒未知への興味(旅行)
⇒サバイバル(冒険)
⇒知識欲・理解欲(世界各地の歴史、文化を知りたい)
 
○旅行(ストーリー、作品)とユーザー(観客)との間にどのようなコネク
 ションを設定するか。

⇒旅行(ストーリー)を作品と考えると、観客が作品との間にコネクション
(つながり)を見出せるようにするが大切だ。
「美穂の旅」では、作品=旅行をするのは自分の分身だ。作品と観客の間には、
 旅のはじまりの時点で、すでにコネクションが成立している。
   

〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
人生の旅人――だれもが物語の世界の住人といえるでしょう。
 
物語の基本形の1つに、ロードムービー型というのがあります。主人公には動
機があり、目的を持って旅をします。旅の途中でさまざまな出来事に遭遇した
り、さまざまな人々に出会ったりします。最終的には目的地に着いて旅は終わ
りです。

「美穂の旅」で自分の分身を旅に出発させる動機は人それぞれでしょう。忙し
くて実際には旅行にいけないから。自分は子供で、思いたったらすぐに旅立つ
なんてことはできないから。ほんとうに世界各国を旅するのはめんどうだけど、
なにか新しい知識を得たり、冒険気分を味わったりしたい……等。

旅の目的もまた人それぞれです。そのため、「美穂の旅」では分身が「どこで
なにをするのか」をユーザーが指定することはできません。ユーザーは分身を
旅に出発させるだけです。分身は勝手に行き先と旅行期間を決めて出発します。

目的を定めないというのがポイントです。これが、より多くのユーザー(観客)
に受け入れられる理由でしょう(「美穂の旅」の会員数は約100万人)。

これについて映画作品と比較してみます。映画作品の主人公は目的を持ってい
ることがほとんどです。例えばヨットレースに挑戦する青年が主人公だとしま
しょう。青年の目的は恋敵(サブプロットの要素)でもあるライバルにヨット
レースで勝ち、優勝することです。観客が主人公の青年に感情移入できなけれ
ば、青年がヨットレースで優勝しようが予選落ちしようがどうでもいいことに
なります。
 
映画作品では観客が主人公との間にコネクションを見出すことが重要です。
ネクションが確立すれば、主人公と一緒に目的達成への旅に出ることができる
からです。
 
逆の言い方をすれば、主人公の目的とは、観客が主人公との間にコネクション
を見出させるための「仕掛け」ともいえます。
目的があると、観客が主人公に
コネクションを見出しやすくなります。目的にむかって行動する主人公の動機
や、主人公を取り巻く状況を知ることで、主人公に感情移入できるかどうか決
まるからです。

「美穂の旅」が目的を定めないのは、それが「旅」だからです。実際の旅には、
目的がある場合があります。(例:ピサの斜塔に登って記念写真を撮る)。し
かし、特にこれといった目的はないが、気分転換に旅行したい、ということも
あるでしょう。旅することが目的ともいえます。
こうした「旅」の性質をふまえ、さらに人それぞれの「旅」のスタイルを考慮
すると、分身の旅に目的を設定しないほうが、より「旅」らしいといえるでし
ょう。目的を定めないことで、より多くのユーザーを獲得することができるの
です。

ここで、「美穂の旅」が現代にマッチしている要素を2つ挙げます。ひとつは、
分身が勝手に旅行する、というものです。ユーザーは分身を旅に出発させると、
ほかにすることはありません。あとは分身からの報告(Eメール)を待つだけで
す。Eメールが着たら、旅の様子を写真などで知ることができます。旅先で出会
った分身のお友達(ほんとうの人間)とメールをやりとりすることもあるかも
しれません。分身が教えてくれたお店(WEBサイト)などを見たりすることもで
きます。ですが、旅は基本的に分身任せです。
 
なにかおもしろそうな事をしたい、おもしろそうな事を知りたい、という意欲
はあっても、いそがしくてどこかに行くためのまとまった時間はとれない、そ
れどころか家でTVゲームをする時間さえない、といういそがしい人でもだいじ
ょうぶです。分身を旅に出せば、あとは自分がどこでなにをしていても、分身
が勝手に旅行してくれます。そして、1日に1~3通ほどのEメールで旅の様子
を伝えてくれるのです。

家族や恋人や友人からのEメールはうれしいものです。自分がよく知っている人
からのメールだからです。ならば自分の分身からのEメールだったら? 自分の
ことを一番よく知ってるのは自分ともいいます。自分が旅に出発させた分身から
のメールに違和感や嫌悪感は抱かないでしょう。

このように、忙しい人でも旅行ができて、一番の知り合いからEメールが届くの
です。

もうひとつは、マーケティングです。「美穂の旅」は広告収入で運営されていま
す。旅に出た分身が訪れた世界各地に関係するイベントや物の広告などが、「分
身からのお知らせ」という形のEメールによってユーザーのもとに届きます。

分身がストーリーという名の旅をしながら、その状況に合わせて広告が入るので
す。
これはコンテクストマーケティングのひとつです。コンテクストマーケティ
ングとは、人それぞれの状況(時間・場所・行動)に合わせてサービス(情報・
商品)を提供するマーケティング手法です。

商品が安いからというだけではモノは売れなくなっています。モノの背景にある
物語を体験することで商品に興味や愛着がわいて商品を購入することがあります。

(例:ディズニー関連グッズ。クレヨン社の婦人服[※1])

人それぞれの状況(時間・場所・行動)をリサーチするには、たいへんな時間と
労力が必要です。そこで、用意したストーリーというフィールドで旅をしてもら
い、旅の過程に合わせてユーザーにサービスを提供するという、コンテクストマ
ーケティングにストーリーを組み合わせた手法を用いています。細かく言うと、
コンテクストマーケティングのひとつの手法としてのストーリーマーケティング、
もしくは物語マーケティングというものです。

こうした手法のわかりやすい例はディズニーや機動戦士ガンダム(※2)に見る
ことができます。どちらの作品も世界観がしっかり確立していて、数々の有名な
シーンやセリフがあり、個性的で有名な登場人物がいます。
長く愛される作品にコネクションを見出した(感情移入した)観客は、作品のコ
ンテクスト(文脈)に沿ったタイミングや状況で提供されたサービスに大きな関
心を向けやすいようです。

ディズニーや機動戦士ガンダムの例で見るように、コンテクストマーケティング
に、しっかりと構築したストーリーを組み合わせる手法は、現代に最も適応した
効果的なマーケティング手法のひとつといえるでしょう。

以上2つが時代にマッチした要素です。

また、分身は訪れた先で、ほかのユーザーの分身と出会うこもあります。そして、
分身のお友達(という設定)のほかのユーザー(本物の人間)にEメールを出す
こともできます。訪れた先でまれにおみやげを手に入れることもあります。これ
は広告主が提供する賞品であったりします(「美穂の旅」は広告収入で運営され
ています」)。
 
このように、仮想旅行でありながら現実世界とも接点があります。「美穂の旅」
は男性会員に比べて女性会員の比率が高いそうです。男性は自分の趣味の世界に
どっぷり浸かる傾向が強いとも言われます。サラリーマンの夫が趣味で古いおも
ちゃを集めはじめ、借金までして集めているという話もあるみたいです。その点、
女性はもちろん趣味を楽しみますが、それはあくまで現実の範囲内であることが
ほとんどのようです(なかには家計費をブランド物を買うために使ってしまう主
婦もいるとか……)。
 
仮想世界に深く入り込んで旅するのではなく、現実世界とも繋がっているという
のが、女性に受け入れられやすい点なのかもしれません。(そもそも分身は勝手
に旅するので、ユーザーが仮想旅行にどっぷり浸かりっきりになりようがありま
せんネ)

ストーリーは小説や演劇や映画作品にだけあるのではなく、あらゆるところに存
在します。
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「美穂の旅」は株式会社テグレット技術開発が運営する仮想旅行サービスです。
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※1 クレヨン社の婦人服
   株式会社クレヨン。婦人服専門店。架空の女性音楽家「ロイス・クレヨ
   ン」を中心としてストーリーを構築。

※2 機動戦士ガンダム
   TVアニメ作品。劇場アニメ作品。1979年にTV放送開始。1981~1982年
   に劇場公開。モビルスーツという人型(ヒトガタ)ロボットのパイロット
   になった少年の物語。その後、ガンダムシリーズが多数放映される。
   (創通エージェンシー・サンライズ BANDAI)
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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