08/18/2009

映画「モンスターVSエイリアン(MONSTERS VS. ALIENS)」


「モンスターVSエイリアン(MONSTERS VS. ALIENS)」
監督:ロブ・レターマン
2009年/アメリカ/94分


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【モンスター紹介】

▽スーザン ジャイノミカ
 隕石に遭遇して15m21cmに巨大化。

△ボブ
 体はゼラチン質でできており、なんでも消化してしまう。

△コックローチ博士
 天才的な頭脳を持ったゴキブリ。

△ミッシング・リンク
 半猿半魚の生物。

▽ムシザウルス
 小さな虫が放射能をあびて100mに巨大化。


「モンスターVSエイリアン」のドリームワークス・アニメーションといえば「シュレック」が有名です。「シュレック」は緑色の怪物として人々におそられているという設定でしたね。


どうもドリームワークス・アニメーションはモンスターという題材が大好物のようです。


「モンスターVSエイリアン」では、普通の人間をいきなりモンスターにしてしまいます。


一般女性のスーザンを隕石に遭遇させて15mに巨大化したモンスターにしてしまうのです。


スーザンにしてみれば、モンスターになった自覚はなく、ただ体が大きくなってしまっただけ。彼女は元の生活に戻ることを切望します。


しかし、エイリアン来襲による危機にモンスター仲間たちと立ち向かううちに、これまで幸せだと自分に思い込ませていたことが、実はそうでもないことに徐々に気づきはじめます。


それは恋人デレクとの関係です。


デレクはふたりの幸せのためといいながら、自分のキャリアアップのために結婚式直前に新婚旅行先をいきなり変更しちゃうほど自分勝手な男。


そんなデレクに対してもスーザンは致し方ないと目をつむります。


男性のために我慢する典型的な女性像として描かれる前半のスーザン。


しかし巨大化してモンスター扱いされ、エイリアンと戦う経験をしてからの後半のスーザンは、婚約相手デレクの本質を見極められるようになります。


なによりスーザンが変わったのは、自分の願いや思いといった感情に素直になれるようになったことです。


あれほど元の生活に戻りたいと切望していたスーザンが、あれほど新しい名前を使うことを嫌がっていたスーザンが、モンスター仲間たちと共にエイリアンとの戦いを経験した後は、あたらしい名前を自ら名乗り、婚約者デレクに逆に三行半(通常は夫から妻に対する離縁状)をつきつけました。


正確にはスーザンとデレクの結婚式は教会ごと途中で崩壊しましたから、まだ夫婦ではなかったわけですが……。


それはさておき、こうした男女関係のあり方を軸にひとりの女性が困難に遭遇しながらもアイデンティティを確立していく物語はたくさんありますが、モンスターとエイリアンを題材にやってのけてしまったのはスゴいですね。しかもわずか94分間に収めています。


また、スーザンが突然巨大化する要因がエイリアン来襲の要因なっており、その要因をスーザンは手放したいと願い(元の生活に戻るため)もう一方でエイリアンはその要因を手に入れたいと願っています。


ところがその要因によって生まれ変わった(アイデンティティを確立した)スーザンは、あれほど要らないとおもっていて、やっと手放すことができたその要因を再び手に入れようとします。


その要因というのは物語構築上の用語で「マグフィン(Maguffin):悪者が欲しがっていてヒーローが持っているもの」を指します。


これほどわかりやすく、そして巧みにマグフィンが機能的に用いられているのは、観ていて気持ちいいですね。


ほかにも「エクスターナル・コンフリクツ(External Conflicts)外的葛藤(主人公を危険や不安に陥れようとする敵や第三者によって作りだされる困難)=エイリアン来襲」により「リレーショナル・コンフリク(Relational Conflicts)(相対的葛藤)→婚約者デレクとの関係」や「インターナル・コンフリクツ(Internal Conflicts)内的葛藤(矛盾または未解決な問題)→自分の気持ちを素直に表現できないスーザン」といたコンフリクツ(物語構築上の障害)を通してスーザンの「キャラクター・ディベロップメント(Character Development)(キャラクター・アークを作り出す、キャラクターのゆるやかな変化)」を促すあたりも、非常に上手です。


このように、物語づくりの教材としても最適です。


もしもシノプシスに書き出してみたら、これ以上ないほどにシェイプされた物語の設計図が浮かび上がることでしょう。


テーマが深く、子供も楽しめ、名作モンスター作品にちなんだキャラクターを登場させるいい意味での憎らしさもある「モンスターVSエイリアン」は、幅白い層にマッチする作品です。


作品として安心して観れる、ある一定以上の水準値をしっかりクリアしています。


さすがドリームワークス・アニメーションですね。


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ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)
ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)Linda Seger

おすすめ平均
stars本書はあくまでも、「リライト」であった。
starsそういうことだったのか!
starsストーリー構成ならこの本
starsリンダ・シガーのこの本は基本書。
starsとりあえず、持って置いてください。

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04/21/2009

ツルモク独身寮

ツルモク独身寮 (1) (ビッグコミックス)
ツルモク独身寮 (1) (ビッグコミックス)窪之内 英策

おすすめ平均
stars名作青春恋愛漫画
stars名作漫画
stars昔の月9ドラマのような話
stars第1巻目
stars本当に面白い!登場人物が個性的すぎ!

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作者:窪之内英策

今回は1991年に映画化もされた傑作漫画「ツルモク独身寮」を紹介しよう。

高知の工業高校を卒業した18歳の宮川正太は東京にやってくる。東京の郊外にある木工家具製作会社「ツルモク家具」に入社。それと同時に会社の独身寮に入寮する。

同室の先輩である杉本京介田畑重男と寮生活をおくり、仕事にも励みながら、隣の女子寮に住む先輩女子社員の姫野みゆきとも仲良くなっていく正太。

インテリアデザイナーになる夢を抱きながらも工員として仕事に追われる日々。

やがて、田舎に残してきた彼女・桜井ともみが上京。正太、みゆき、ともみの三角関係へと発展する。


私がはじめて「ツルモク独身寮」の漫画を読んだのは、高校生のときだったかな。

当時すでに有名作品であったツルモク独身寮の題名だけは知っていたこともあり、ふと手にとって読みはじめるとページをめくる手がとまらなかった。

圧倒的な世界観。

上手な絵。

軽快なテンポ。

すべての登場キャラクターが生き生きとしてあたかも実在しているかのような完成度の高さ。

物語にしっくりハマるギャグとそれを生み出す絶妙な「間」。

耳に残るフレーズやセリフの数々。

友情、恋愛、青春、将来への不安、挫折、夢、希望、親子の愛……。

あらゆる物語のあらゆる要素がそこにあったのだが、当時はただただ「おもれぇなぁこの漫画」といいながらページをめくるのであった。

しかし、それからずいぶん後(10年以上経って)になってから、衝撃の事実を知るようになる……。

雑誌かなにかにツルモク独身寮のことが書いてある記事をみかけた私は、おもわず「えっ! マジで?」を声を上げそうになった。

なぜなら作者である窪之内英策が「ツルモク独身寮」を描いたのは彼が二十歳そこそこの頃だと知ったからだ。

ありえないありえないありえない。いや、もしそうだとしたら……イヤハヤめっちゃおそろしい……。

その話はほんとうで、漫画「ツルモク独身寮」の単行本にはところどころオマケのコーナーみたいな箇所があって、そこに作者の近況が描いてあり、それによって作者の年代もわかるのであった。

当時高校生だった私はおそらく物語内容に夢中でオマケコーナーを飛ばしてしまっていたのだろう。

「ツルモク独身寮」を読んでからずぅっと私は、「ツルモク独身寮」の作者はベテラン漫画家だと勝手に思い込んでいたのだ。

実際は窪之内英策さんは1986年に週刊少年サンデーに掲載された『OKAPPIKI EIJI』でデビューした後の、はじめての連載漫画が「ツルモク独身寮」だというではあ~りませんか。

しかも窪之内英策さんは「ツルモク独身寮」の主人公宮川正太と同じ高知県出身で、自身も家具メーカーに勤務して寮生活をしていたことがあるというではあ~りませんか(2回目)。

つ・ま・り「ツルモク独身寮」は原作者である窪之内英策さんのリアルタイムの青春をフィクションという手法を用いた漫画の世界に投影した傑作だったのであ~る!

たいていの青春物語は、おじさんやおばさんが書いて(描いて)いる。

だから、どうしてもズレが生じる。

かといってほんとうにリアルタイムの青春を謳歌する若者が書け(描け)ば、ひとりよがりすぎてそのままではとてもじゃないが作品としては成立しない。

現代は携帯電話の普及によるケータイ小説の出現によって若者のリアルタイムの物語が比較的世に出やすくなったとはいえ、そのほとんどは個人の日記の範囲を出ない内輪のモノローグになっている(物語はダイアローグでなければならない)。

これは、等身大の自分の描きたい出来事が身近すぎて、他者(読者・観客)が求めるものとの距離をはかりにくいというのがそうなってしまう理由のひとつだが、ごく稀にこの距離をうまくはかれる才能を持った若者が現れることがある。

リアルタイムの青春と距離をはかる能力。

このふたつを併せ持つ若者めったにいないのに、さらにキャラクター造詣と物語構築力、さらに笑いの「センス」と「間」、それに絵のうまさまで持ち合わせるとは……。

青春モノは、せつなさといとしさと技術だけでは心に響かない。リアルタイムで経験している作者の「その時」にしか出せない「色」や「勢い」といったものが加味されて、はじめて傑作となる。

そういった意味で、世の中にはめったに青春モノの傑作は誕生しないのだが、そんななかでも「ツルモク独身寮」は間違いなく青春ラブコメ漫画の傑作といえる。


私が学生の頃に寮生活をしていたときのこと。こんなかんじのことがあった。

男子寮は未曾有(みぞう)の「荒れ様」といわれていた。

そう思っていたのは教師たちだけという噂もあったが、寮生のひとりとして贔屓目にみても、さまざまな問題が浮き彫りになっていたといっていいだろう。

「クローズZERO」や「ドロップ」といった、不良たちにの暴力による抗争とうわかりやすくい荒れ模様とは違う、肉体的にも精神的にもキツい出来事が多発するようになっていた(詳細はピーが入るのでカット)なかで、どうしたら良い寮になるか、を話し合うようにと、寮生全員が集会室に集められて意見をいうようにいわれたことがあった。

かったりぃ~という雰囲気が蔓延しながらもピリピリした空気のなか、ひとりの寮生がスッと手を上げた。

意見を言うように促された彼はゆっくりと立ち上がり、こう言った。

「ツルモク独身寮みたいな寮にしたらいいと思いまぁ~す」

集会室が笑いと拍手に包まれた。

寮生たちがひとつになった瞬間はあとにもさきにもこれっきりだった(たぶん)。

「ツルモク独身寮」――おそるべし。


物語構成    ◎
キャラクター   ◎
笑い       ◎
世界観      ◎
奥深さ      ◎
青春       ◎

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01/31/2008

幕末志士 美男子コンテスト開催!?


乙女淑女の皆様。おまたせいたしました。

幕末志士の美男子コンテストを開催します!


●エントリーナンバー1番。沖田総司クン。

幕末志士の中で美男子といってまず名が挙がるのは新撰組一番隊隊長の沖田総司クンです。

長身で美男子。それでいて子供っぽいところがあった彼は、年下男子好きにはたまりませんネ。

でもでも、ある説では沖田総司くんは今でいうような美男子ではなかったとも。背が高めの愛嬌ある少年っぽい雰囲気のお兄ちゃんだったのではないか、というのがその説。

アラ残念。でもそういう子も嫌いじゃないわよ~(お姉ェキャラ?)


●エントリーナンバー2番。土方歳三クン。

ドカタっていうぐらいだからマッチョ系で体を動かすことが大好きな運動系さわやか男子に違いないワ。

いいえ。土方と書いてヒジカタと読みます。たしかに多摩で石田散薬の行商をやっていたときはおなごにモテモテでたいへんだったみたい。

でも新撰組ではNO.2の副長として近藤サンを盛り立てる女房役、いまでいう官房長官みたいな位置にいた人なの。

でも実は、新撰組の実権を握って実務をこなしていたのは土方歳三クンだと言われてるのよ。

情報を集めて戦略を練り、厳しい局中法度を定めて新撰組を大きくしていったのは土方クンあってこそ、というのが有力説ね。

土方クンは鳥羽・伏見の戦いの前から、近代軍備の必要性を痛感していたらしいの。

新撰組といえば人斬り集団と言われて、なにかっていうとすぐに刀を振りかざしていたイメージだけど、土方さんはこれからは刀じゃダメだと考えていたってわけ。

鳥羽・伏見の戦いの後、江戸へ。旧幕府脱走軍と合流して会津など東北で歴戦。

榎本武揚っていう旧幕軍の海軍の親玉と一緒に蝦夷地へ。蝦夷地って北海道ね。そうよ大泉洋の地元! その函館五稜郭での戦いで戦死……。

五稜郭の頃にはフランス式軍装に身を包んでいて、いわゆる私たちがイメージする新撰組隊士の服装とはかけ離れた格好だったの。

とはいえ京都時代だって新撰組幹部は私服が多かったっていうけどね。

そんなトシ(馴れ馴れしい呼び方)は甘いマスクなんだけと男気が醸し出ているような、なかなかの男前よ。

函館にて撮られたといわれる写真がコチラ


●エントリーナンバー3番。桂小五郎(木戸孝允)クン

桂クンなの? それとも木戸クンなの? どっちがエントリーされたのよ?

どっちもよ。そもそも二人は同一人物。桂小五郎クンが改名して木戸孝允クンになったの。

京都で新撰組や見回り組から身を隠して活動してたときには、橋の下で寝起きして、まさかそんな男が長州の桂小五郎とは思われないように変装したり、ときには女装もしていたりしたらしいのよ。

女装してバレないって、よっぽど肌が綺麗か、繊細そうな顔をしてなきゃ無理よね。

そういうことから考えても桂小五郎クンはいい素材を持っていたのねきっと。

でも、犬猿の仲だった薩摩への恨みつらみを語りだすと延々と止まらなかったというから、意外とネチネチ系の優柔不断男だったのかも。

そうはいってもけっこう男前だと思わない?


幕末志士美男子コンテストのグランプリを選ぶのはあなた。

といいたいところだけど、グランプリはもう決まってるの。

グランプリは……馬庭実行クン。

それってエントリーされていない人じゃないの!

だって、新撰組隊士の馬庭実行クンってカワユス系美男子なんだもん。

------------------------

さて、馬庭実行とは誰なのか? そんな新撰組隊士はいたかな? 

それもそのはず、小池一夫原作漫画「赤い鳩 アピル」に登場するキャラクターだからだ。

この漫画。たいへん興味深い。

新撰組隊士の馬庭実行は外国人宣教師ヘボン(ヘボン式ローマ字で有名)に出会う。そして日本と古代ユダヤを結ぶ接点をめぐる旅に出ることになる。

失われたユダヤの部族が海を渡り日本にやってきていたのではないかという説がある。

ヘブライ語と日本語には同じ発音で同じ意味の単語がいくつもあるという。

幕末とユダヤ。

なんとも知的好奇心をそそられるではないか!☆

もしも「LOOSER」がお気に召してもらえたなら。

もしも幕末の歴史に興味があるなら。

もしもユダヤと日本の関係に興味があるなら。

「赤い鳩 アピル」はきっとその期待を裏切らないだろう。

4883156370赤い鳩(アピル) (1)
小池 一夫 池上 遼一
スタジオ・シップ 1995-02

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08/31/2007

映画「ベクシル 2077 日本鎖国」

監督:曽利文彦
日本/2007年/109分

監督への道。ふたりのCG職人が歩む道でわかる「ベクシル」というソフトの成り立ちと歩む方向。だから曽利文彦氏は監督なのだ。国内の評価?「そんなの関係ねぇ(小島よしお)」とばかりに世界への道を歩いていってほしい。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
バイオテクノジーとロボット産業でハイテク技術大国となった日本は世界市場を独占。やがてハイテク技術が規制の対象になると日本は国連を脱退して鎖国をはじめた。
それから10年の間、日本人どころか日本国土の本当の姿を見た者はひとりもいない。
そして2077年。米国特殊部隊SWORD所属の女性兵士ベクシルは、日本への潜入作戦に加わる。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
▽ベクシル
女性兵士。米国特殊部隊SWORD所属

△レオン
男性。軍人。米国特殊部隊SWORDのリーダーで中佐。鎖国前の日本で対テロ部隊を指揮。ベクシルの恋人。

▽マリア
女性。日本に潜入したベクシルを助ける。かつて日本でレオンとも面識がある。

△サイトウ
大和重鉱総務局長

△キサラギ
大和重鉱社長


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
監督への道。ふたりのCG職人が歩む道でわかる「ベクシル」というソフトの成り立ちと歩む方向。だから曽利文彦氏は監督なのだ。国内の評価?「そんなの関係ねぇ(小島よしお)」とばかりに世界への道を歩いていってほしい。

■ 監督――それには意味がある

監督の曽利文彦氏は映画「ピンポン」で長編デビューしたCG・VFX(Visual Special Effect 主にコンピュータ・グラフックスの技術を使ったデジタル処理技術)職人。根っからの映像屋だ。映画「タイタニック」にCGアニメーターとして参加もしている。ほかにも原作がある映画「APPLESEED アップルシード」をプロデュースした。

▼「アップルシード(APPLESEED)」作品レビュー

そんな映像職人の曽利文彦監督が今度はオリジナル作品を作った。それが「ベクシル」だ。

こうなると、もうただの映像職人ではない。――監督だ。

なぜ、監督であることをわざわざ強調するのか。それには意味がある。


■ ふたりのCG・VFX職人の歩む道(山崎貴氏の場合)

日本の代表的なCG・VFX(以下CGとする)職人というと、たいていふたりの名が挙がる。

ひとりは山崎貴氏。

伊丹十三監督作品「大病人」「静かな生活」などでSFXをを担当。「ジュブナイル」で映画監督デビュー。「リターナー」そして「ALWAYS 三丁目の夕日」で日本アカデミー賞の最優秀賞発表において13部門中の12部門で最優秀賞を獲得。これによって日本を代表する映画監督になったとされる。

ちょっと待ったぁ~!

おぉ~と、ちょっと待っただぁ!(「なるとん紅鯨団より。とんねるずの貴さん)

すくなくとも、私には山崎貴氏は生粋のCG職人にみえる。

「ALWAYS 三丁目の夕日」において昭和30年代の町並みや建物のミニチュア、それに住宅、商店などのセットとCGを組み合わせたあの映像はなかなかものだった。

だが、監督ではない(と思うヨ)。

山崎貴氏の作品ではたいてい「脚本・監督・VFX 山崎貴」とクレジットされている。これを見ると「脚本・監督もですからね」と必死にアピールしているように見えてしまう。よほど「ただのCG屋」だと思われたくないのかな、と妙な勘ぐりをさせてしまう、そんなクレジットだ。

私は世界で日本映画が広く見られるようになってもらいたいと思っている。だから映像技術を持った山崎貴氏にはある程度注目していた。

「Returner リターナー」は散々だったが、それは致し方ない。はじめは真似ばかりでも、そこで試行錯誤を重ねていけば、きっと世界に見せれる日本のソフトを作れる日がくるだろうと思っていたからだ。

だからこそ「Returner リターナー」のレビューはずいぶんと辛辣な内容になったが、それもこれも次回作への期待度の高さゆえの応援歌であった。

▼「Returner リターナー」作品レビュー

すくなくとも「Returner リターナー」は、なんとかしてソフトを作れるようになろうともがく、がむしゃらな姿があった。

しかし、残念なことに第3作「ALWAYS 三丁目の夕日」で山崎貴氏にはソフトを作るつもりは無く、CG職人として生きるかたい決意をしたことがわかった。なにを目指して何になるかは人それぞれなのでそれまでだが、残念に思う。

このあたりのことは長くなるので、以下のレビューにて。

▼「ALWAYS 三丁目の夕日」作品レビュー

「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいな作品があってもいい。なんとなっくジーンとくるシーンもあった。何度も笑った。なにより、マーケティングのツボはうまいこと抑えているなぁと感心した。

だが、テレビに例えるならスカパーの水戸黄門チャンネルみたいなところで一部マニア向けに放送でもしていてくればよかったのに、地上波のゴールデンタイムで放送してしまった。

それがおかしいことだという一部の声さえかき消されているも同然の状況にこそ、閉塞する現代日本が象徴的に表れている。そういう意味では、製作者の意図とはかけ離れているが、極めて風刺的な様相を呈した作品、それが2丁目だか1丁目だかの朝日だか木漏れ日だかである。

とにもかくにも山崎貴氏は世界へ向けて発信できるソフトを作る道とは真逆へ歩きだしてしまった。いや、猛スピードで走りだしてしまった。それが残念だ。


■ ふたりのCG・VFX職人の歩む道(曽利文彦監督の場合)

もうひとりは曽利文彦監督。

先にも話した(書いた)とおり、曽利文彦監督はCG畑を歩いてきて実写「ピンポン」で監督デビューした。

実写映画であったのが重要なポイントだ。実写とCGの融合という作業を通して曽利文彦監督はずっと考えていたのだろう。

実写でできること。CGでできること。そのふたつを考え続けてきたのだ。

そうでなければ「ベクシル」は撮れない。

それは日本に潜入したベクシルが見た東京のシーンに表れている。

そもそもCGは、ロボットや乗り物といったメカや、ビルや巨大建築物といった建物と相性がいい。もちろん「ベクシル」にも飛行機やロボットやファイタースーツといったCGと相性のいいものが登場する。

しかし、実はCGと相性が悪いものがかなりの割合で登場する。それはベクシルが見た東京のシーンだ。ネタバレになってしまうので控えようと思ったが、作品の予告でもたしか東京の町の様子の映像が流れていたのでまぁいいだろう(予告などで東京の様子を明らかにしないほうが宣伝効果はより高かったと思うがそれは置いておこう)。

とにもかくにも、その東京のシーンは、太平洋戦争後間もない日本の町の様子に似ている。寄せ集めの廃材で作った屋台で人々が食事をし、台風がきたら吹き飛ばされそうな平屋の家々で人々は生活している。

それは、ロボット、メカ、ビルといったものとは正反対のアナログ世界とでもいおうか。

CGが苦手とするアナログな題材を、あえてフルCGで描き出す。そんなことしないで得意なところだけCGで作ればいいと思いがちだが、それは職人の発想と感覚と判断だ。

得意なところだけをCGで作っても、それはCG技術の見本市にすぎない

そうではなく、あくまで作品を、物語を、ソフトを世界中の人々に観てもらうために、あえて不得意とされる部分もフルCGで描いている。

CGという、一見すると冷たく無機質な印象を与えがちな技術を用いて、人間らしく生きようと一生懸命に生きようと人々が生活する町――東京――を描いた。ここに、物語の伝えたい事柄とCG技術の融合が図られたのだ。

東京のシーンがあることで、曽利文彦監督がCG技術を使って描きたい(伝えたい)ものが「人間」だというのがわかる。

伝えたいものがあるとはつまり、物語ることであり、ソフトを作ることであり、作品を撮り、映画を作ることである。

だから曽利文彦氏は監督なのだ。優秀なCG職人であると同時に、映画監督なのだ。

だから、世界へ向けて発信するソフトを作るんだ。という揺るぎない意志と、はかりしれない研究と試行錯誤の数々を乗り越えてきたことが、スクリーンからあふれてくる。

そういえば、戦後すぐあたり(「ベクシル」)と昭和30年代(「ALWAYS 三丁目の夕日」)という年代のズレはあるとはいえ、同じく戦後日本の東京を再現したかのような映像を作っても、こうも進む道が違っているのはたいへん興味深く思う。

昔を美化して懐かしむ人々と、たとえヒトのかけらしか残っていなくても最期までヒトらしく生きようとする人々との、いったいどちらが「人間」を描こうとしているかは一目瞭然である。


■ リアルすぎず。デフォルメアニメすぎず

3Dライブアニメという映像表現技術を使って作られているため、登場キャラクターの動きもたいへんナチュラルにみえる。

けれども、顔はどちらかというとアニメちっくである。

これはおそらく狙ってそうしたのだろう。「アップルシード(APPLESEED)」(プロデュース)のときもそうだったが、登場キャラクターの顔はリアルすぎないようになっている。

やはり、リアルすぎるとかえって気持ち悪く感じることがあるからだろう。そんなにリアルにしたいなら、実在の俳優を使えばエエやん、といわれればそれまでだからだ。

そもそもスクウェア(現スクウェア・エニックス)の映画「ファイナルファンタジー」で フルCGでなんでも描けばいいってものではないというのは、記録的な大コケによって、たいへん高価な教材となった教えてくれたのだから、フルCG作品での登場キャラクターの顔をどうするかは大きな悩みどころだったわけだ。

リアルすぎず。デフォルメアニメすぎず。なかなかいいあんばいだと思うゾ。


■ シンプルさで惹きつける

近未来。10年間鎖国してきた日本はどうなってる?

どうなってるか見たい、知りたい、行ってみたい(?)。――と思う仕掛け。これでつかみはOK。CGだからマニア向けと思って食わず嫌いになっている人を少しでも振り向かせたい。なるべくたくさんの人に観てもらいたいという願いがうかがえる。

ただでさえマニア向けと思われがちなCG系作品なのだから「シンプル」であることは観客層の限定を避けるうえで大いに意味がある。

それなのに、たしか予告などで東京の様子をチラッと明らかにしていたと思うのだが、それがもったいない。宝箱は開けないほうがいいのだから。

チラっと見せて興味をあおるのも手だが、ベールに包まれていたほうが興味や期待はより大きく膨らむ。そのぶん、期待していたものと違えば評価もさまざまになるが、それは致し方ないこと。ここは一発勝負! をしてほしかった。


■ その他

巨大生物といったらいいのか、いろんな物体(ガラクタ)が寄せ集まり、長い筒のような形になって他の金属片などを追いかけて食らい、同化しようとする「ジャグ」というものが登場する。

生物風な肉付け(目、口など)はなされていないのが、かえって不気味だ。まるで意志を失った物体が集団で動くものを襲って取り込んでいくというのは、ゾンビを連想させた。

米国のゾンビが、当時のヒッピー文化に対する年配者たちの反応を表していたことは有名だが「ベクシル」における「ジャグ」が日本の何を表しているかを考えてみると、なんともゾッとするホラーにもなるかもしれない。そいういうあたりも日本社会の縮図を垣間見せるという意味で、ソフトとして機能するようになっている。

ちなみにゾンビが当時のヒッピー文化に対する年配者たちの反応を表しているとはどういうことか? これについてはこちらに書いてある。

▼【深夜の課外授業】ゾンビでわかるアメリカ合衆国

それと、私が観たのは日本語版で、字幕版があるのかどうかわからないが、米国特殊部隊員のベクシルは米国人同士で話すときも日本語を話した。東京で出会ったマリアと話すときも日本語だ。

ベクシルが日本語を話せる設定だとしても、米国人同士で話すときは英語で話して字幕を付けてほしかった。こういう細部は意外と大事。

だが「そんなの関係ねぇ(小島よしお)」といってしまいたいほど「ベクシル」にはチャレンジ精神と意欲に満ち溢れている。

ただしストーリーには「奥深さ」と「熱い想い」はあるものの、それを形にするストーリー構築技術がいま一歩ならぬ、いま数歩ほしい。つまり、ストーリーの魅せ方がこれからといったところだ。それは数を重ねていけばうまくなっていくので心配ないだろう。

そもそも、世界が注目するCG・アニメといった分野でソフトを作り出そうという意志と行動だけでもアッパレである。

世界は日本の何に注目するか。なんだかんだいってニンジャ、ゲイシャ、アニメ、ジャパンマネーといったところがリアルなところだ。だから、まずはそういった分野を利用しておもいっきり目立つしかない。話はそれからであるのに「ベクシル」はソフトを作ろうと、CGもストーリーも同時進行で作ろうとした。

その姿勢と行動力だけで、アッパレ3つ! である。

それに脚本には「半田はるか/曽利文彦」のふたりがクレジットされている。少なくとも、ひとりだけでやろうとせず、たとえふたりでも複数の目で脚本を作り上げていこうという姿勢があるようなので、次回作にも期待が持てる。

ちなみに声優として参加の松雪泰子さんは、声だけでも存在感バリバリですな。

「ベクシル」は日本映画では数少ない、世界へ向けて発信できるソフトだ。

世界を意識しているので、日本国内では「?」となってしまうだろう。それは致し方ない。世界へ出て行くときは、国内ではたいていそんなもんである。

国内の評価? それこそ「そんなの関係ねぇ(小島よしお)」とばかりに世界への道を歩いていってほしい。そうすればいずれ国内の評価もそれに続いていくだろう。

曽利文彦監督をおおいに応援したい。


デート       △
フラっと      ◎ 
脚本勉強     △ 
演出       ○ 
キャラクター   △ 
映像       ◎ 
笑い       - 
ファミリー    - 
友情       ○
謎解き      ‐
意欲       ◎
チャレンジ    ◎
将来性      ◎


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08/17/2007

映画「レミーのおいしいレストラン(RATATOUILLE)」

監督:ブラッド・バード
アメリカ/2007年/120分

「魔法の鏡」職人(作家)ブラッド・バードによる「誰でも名評論家」になる方法。おいしい料理と素晴らしいCGアニメは引き立て役。すべては観客の心の中に浮かぶ「ふたつのモノ」のためにある。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
優れた臭覚と味覚を持つねずみのレミーは、シェフになることを夢見ている。
ある日、自分のヒーローである天才料理人グストーの店にたどり着いたレミーは、料理人見習いのリングイニが台無しにしかけたスープを見事に作り直す。
そのスープが客に好評で、店はひさしぶりに注目を集めるようになる。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△レミー
ねずみ。優れた臭覚と味覚を持つ、料理の天才。

△リングイニ
男性。料理が苦手な見習いシェフ。

▽コレット
女性シェフ。リングイニの教育係。グストー信奉者。

△スキナー
男性。グストーの料理長。儲け第一主義。
心のこもっていない高級な料理を提供するだけの店

△イーゴ
男性。料理評論家。フランス料理界で最大の権威を持つ。

△エミール
ねずみ。レミーの兄。

△グストー
男性。天才シェフ。亡き人。ベストセラー「誰でも名シェフ」の著者。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
「魔法の鏡」職人(作家)ブラッド・バードによる「誰でも名評論家」になる方法。おいしい料理と素晴らしいCGアニメは引き立て役。すべては観客の心の中に浮かぶ「ふたつのモノ」のためにある。

■ ○○もおだてりゃ木に登る?

作品を作るのはタイヘン。評論するのはラク。

あれこれ評論するならおまえが作品を作ってミロのヴィーナス。

ホントそうですね。だから、作品を作る人と評論する人とで、どっちがスゴいかといえば、もちろん作品をつくる人です。

スゴいのは作品をつくる人だけど、作品はだれかに評価されてはじめて価値が決まる。

評価のモノサシが興行収入だったり、有名人の感想だったり、観客100人アンケートの結果だったりします。

そんなことはオマケみたいなもので、大切なのは「自分の評価のモノサシ」を持っている人がもっとも作品を楽しめるということです。

とはいっても他人の評価は気になるもの。そこで登場するのが評論家という人たちです。

Aという作品の評価は、Aという作品を観た人の数だけあります。観客ひとりひとりによって、評価というのは違います。

けれども、いち早く良い評価をたくさん集めたいというのが映画製作会社や映画宣伝会社の願いです。そのため、有名人や集客力を持つ人や権威を持つ人から良い評価を得ようと、作品づくりとは違う部分でガンバッてしまうのです。

なにをガンバるかといえば、評論家受けがいい作品をつくろうとか、評論家が機嫌よくなるよう接待しようとかガンバるわけです。

そんなふうに顔色をうかがってもらえるような、業界で最大の権威を持つ評論家ともなれば、なんだか自分が偉くて何でも思いどおりにできるような気になってしまうもの。

天才料理人グストーの著書「誰でも名シェフ」を、映画作品で言い換えれば「誰でも名評論家」ともいえるのではないでしょうか。

有名で権威あるとされる評論家の評論に振り回されることなく、自分の価値観で自分にとってすばらしい作品に出会うこと。

それが大切だということを「レミーのおいしいレストラン」は教えてくれます。

さておぼえているでしょうか。私は「夕凪の街 桜の国」のレビューで以下のように書きました。

--ここから--

映画がスクリーンに映し出す「映像」は、あたかもそれ自体が主役かのように思えるかもしれない。だがそうではない。「スクリーンの映像」は「心の中の映像・感情」のための引き立て役にすぎない。

映画という形式に限らず、あらゆる物語では、観客の心の中に映し出される「映像:感情」こそが、主役なのである。


--ここまで--
▼「夕凪の街 桜の国」作品レビュー

Aという作品を観たときに、あなたの心になかに映し出される「映像:感情」こそが主役だというわけです。

フランス料理界で最大の権威を持つ料理評論家イーゴがグストーのレストランでラタトゥイユを食べた瞬間に彼はどんな風景を見たでしょうか。そして料理を作ったシェフがレミーだと知って、どうしたでしょうか。

イーゴは一見すると悪役のようですが、そうではありません。料理を愛する気持ちはだれにも負けない。たまたまそこにフランス料理界最大の権威を得てしまったために、大好きな料理を食べて楽しむことを忘れてしまっていた、ちょっとかわいそうなふつうの人だったのです。

ちょっと忘れていただけ。だからイーゴはラタトゥイユを食べてそれを作ったのがレミーと知っても、あのような深くすばらしい評論を書けたのです。

「ブタもおだてりゃ木に登る」(←サルでは?)ともいいますが、木に登っているブタは自分がブタだとは思っていません。(ブタはかわいいですけど)。

木に登ればどこまでも続く水田を見渡すことができて気持ちがいいかもしれません。でも、水田は農家の人が作ったものです。種まきも日々の稲の世話も収穫もぜずに、木の上でごはんがうまいのまずいのと言えば、ブタのくせに、と言われてしまうでしょう。そもそもその木だって農家の人が植えたものかもしれません。

じゃぁ、おまえは何なのだといわれると、多少耳が痛いのでありますが「コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)」という欄に文字を綴ってはいても、私は評論家ではありません(まぁ好きなように呼んでもらって結構ですが……)。私はライターです。映画の記事を書けば映画ライターというわけ。

皆さんだって、たとえばブログに記事を書けばライターです。私は、多くの皆さんと同じひとりの観客であり、同じひとりのライターなのです。

ただちょっとだけ、自分の評価のモノサシらしきものを持っている、ひとりの観客でありライターというわけです。

ウェブログ(以下ブログ)が人気の時代。だれもが自分の感想・意見・評論を気軽にネットに発表できるようになって、文字通りAという作品を観た人の数だけ評価があることが「ブログに映画感想を載せる」という具体的行動によって、いっそう明確になりました。

何者にも、何事にもとらわれることなく、自分の感想や意見をあらわすことができる時代になったのです。

多くの人々は、自分と近い目線の人の「生の声」を聞きたいのです。だれかに遠慮したり、だれかをよいしょした「作られた声」は、これまで掃いて捨てるほどあったのですから、いまさらそれが増えたところでありがたみはほとんどないでしょう。

人はタダでなにかを貰えば気持ちが動くもの。ましてなにかを貰ってはなおさらのこと。

だから私は積極的には試写会にいきません(たまには行きますけどね。一般より早く観れるのはやはりうれしいもの。でも試写会で観た場合はその旨を明記している……ハズ。「かもめ食堂」は試写会で観たなぁ)。

▼「かもめ食堂」完成披露試写会の記事

たとえAという作品を観るために1円でも支払えば、あとはそれをどう評価しようとその人だけの感想・意見となります。

しかし、タダ(無料)だったり、なにかを貰ったりしたら、もうそれはその人だけの感想・意見ではありません。作品自体の内容よりも、それに付随するもの(タダで観せてくれた、金銭や物をくれた)のほうに「力点」が移ってしまうからです。

――おだてられて木に登るブタにならないよう、自戒を込めて。


■ 「魔法の鏡」職人(作家)ブラッド・バード

ブラッド・バード監督は社会派です。「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」でアメリカ社会を映し出す魔法の鏡として機能する作品を発表。

そして「レミーのおいしいレストラン」では、映画作品によって映画作品をとりまく状況を映し出す魔法の鏡を登場させるというスゴ技を披露してくれました。

▼「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」作品レビュー


■ サラッとあんなことやこんなことも入ってます

ざっと目についただけでも、人間の欲求のうち「帰属意識」「友情」「恋」「自己実現」「サバイバル」が織り込まれています。

ねずみのレミーは毎日がサバイバルです。人に姿を見られただけで追いかけまわされて死の危険に直面します。

さて、レミーの父親はねずみグループのリーダーです。レミーは優れた臭覚によって、食べ物が安全かどうかをかぎ分ける重要な役割を共同体内で与えられています。

レミーのねずみ社会での地位は悪くありません。というより、かなり良いほうでしょう。親が群れのリーダーであり、自分もみんなに必要とされているのですから(帰属意識)。

でも、レミーはシェフになりたいという願いを持っている(自己実現)。

ねずみがシェフになれるわけがないと言われるのが普通。けれどレミーはリングイニと出会うことでそのチャンスを得ます。

リングイニとの共同作戦を通して、信頼する友を得ることができます(友情)。

一方、人間のリングイニは、先輩シェフのコレットと恋に落ちます(恋)。

これだけの基本欲求をバランスよく、それでいてさりげなく的確なタイミングで織り込む技術は超一級ですね。

それがスゴいとあまり気づかれずにサラッと物語が展開していくというのが、ほんとうにスゴいんですね。

だから、作品を見終わってから「レミーのおいしいレストラン」のスゴさが後からどんどん沸いてきます。

たとえどこがどうスゴいのかをうまく説明することができないばかりでなく、スゴいとはっきり気づかなかったとしても、他の作品を観たときに、無意識のうちにも「レミーのおいしいレストラン」と比べてしまうことがあることでしょう。

そのときにハッとするわけです。レミーってスゴ! ってかんじに。

サラッとストーリーが展開しているように思えるけれど、後からジワッとくる。これもひとつの「余韻」といっていいでしょう。


■ これぞ映像革命!

ピクサーは作品ごとに大きな挑戦をしてきました。毛のある生き物を主人公とする「モンスターズ・インク」。水中の生物(魚)を主人公とする「ファインディング・ニモ」。そして、料理を題材とする「レミーのおいしいレストラン」です。

どの作品も、制作当時はCGアニメで表現することがたいへん難しいとされたキャラクターや世界観や題材を、あえて主軸にして作品を作ってきたのです。

また「Mr,インクレディブル」で垣間見せたCGとスピードの相性の良さは「カーズ」で大きく花開きました。

それが「レミーのおいしいレストラン」では料理という難しい題材で、すばしっこく動き回るねずみのスピードを見事に映像化してみせているところに繋がっているのですね。

▼「モンスターズ・インク(MONSTERS,INC.)」作品レビュー

▼「ファインディング・ニモ (FINDING NEMO)」作品れビュー


■ その他

タカはピクサー作品が好きで、よくピクサー作品をおすすめしています。

ピクサー作品は多くのことを教えてくれます。

その一部を、こんな↓レポートのカタチで紹介もしているぐらい、ピクサー作品はおすすめです。

▼『ファインディング・ニモ』が教えてくれる、わかりやすくする7つの方法』

どんなに良い作品だよといっても、アニメ作品は絶対に観ない、実写しか観ないという人もいます。

何を観て何を観ないかは人の勝手ですが、実写作品だって、最近はCGがたくさん使われていて、ほとんどCG作品みたいになっているものがあります。

そうすると、実写だからとか、アニメだからとか、そういったことに果たしてどのくれらいの意味があるのでしょうか。

高級フランス料理だからうまい。高級懐石料理だからうまい。それもあるでしょう。けれど学園祭の屋台のヤキソバだって、うまいものはうまい。

ねずみが作った料理だって、うまいものはうまい。

実写だろうとアニメだろうと、自分が観たり、自分が体験したりしなければ「自分の評価のモノサシ」を持つことはできません。「自分の評価のモノサシを持つ」とは、言い換えれば「自分の価値観を持つ」ということ。

人生を有意義に送る方法のひとつは、自分の価値観を持つことです。

そうそう「レミーのおいしいレストラン」観ていると、お腹が空きますヨ。

▼関連記事「レミー、実はしゃべる」

▼関連記事「レミーのおいしい作品づくりの秘密」

デート       ◎ レミー超カワイイ!連呼で彼女のご機嫌UP
フラっと      △ ピクサー作品だと認識して観にいこう 
脚本勉強     ◎ とうに堂々の王者の風格
演出       ○ 
キャラクター   ◎ 
映像       ◎ これがホントの映像革命
笑い       ○ 
ファミリー     ◎ 
友情       ◎
謎解き      ‐
評論家      × 耳が痛い! とはいえ評論家向けともいえる。


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07/30/2007

アニメ「鋼の錬金術師」


お笑い芸人コンビ品川庄司の品川祐さんが、あるバラエティ番組に出演していたときのこと。

目を輝かせ「鋼の錬金術師」を超すばらしい作品だと絶賛!

品川祐さんは処女小説「ドロップ」を発表し、評判もなかかいいと小耳に挟んでいたのよん。

皆さんも「鋼の錬金術師」って作品名ぐらいはどこかで聞いたことがあるんじゃないかな。

おっきな鎧にフンドシ姿の弟と、小さめの身長の兄が繰り広げる冒険活劇。それが「鋼の錬金術師」ね。

で、題材は「錬金術」。

錬金術といえば、中世ヨーロッパで流行ったっていう、卑金属を金などの貴金属に変える技術のこと。そのほかにも人体を不老不死に変える技術のことも指していたとか。

人体をうんぬんっていうと、ほら「フランケンシュタイン」が思いうかぶよね。

これはヴィクター・フランケンシュタ博士が錬金術を用いて作った人間。つまり人造人間の話なわけよ。

「鋼の錬金術師」でもホムンクルスという人造人間が登場する。

このように錬金術っていうのは、物語作家にとっては想像力を刺激される題材なのだね。

「鋼の錬金術師」では、錬金術の才能ある兄弟が亡くなった母親をとりもどすべく、禁忌とされる人体練成を行うところから物語が始まるのだ。

この兄弟、たしか10~11歳ぐらいなのだが、その歳でヴィクター・フランケンシュタ博士と同じことをやろうとしたというワケ。

ところが錬金術では「等価交換の原則」というのがある。これは、人は何かの犠牲無しには何も得る事ができないというもの。

兄弟2人で、人を1人よみがえらせようとしたんだけど、だれもうまくいったためしがない禁忌の所業なわけで、当然のように失敗する。

このとき、弟は体すべてを、兄は片腕と片足を持っていかれるんよ。

弟の魂だけはなんとか近くにあったおっきな鎧に定着させることができた兄は、失った片腕と片足にはオートメール(機械鎧)を付ける。

こうして失った弟の体と、兄の片腕片足を取り戻すために「賢者の石」を探す旅に出る。

その旅を通して兄弟は気づく。等価交換の原則なんて嘘っぱちだ――と。

仮にこんな試験があるとしよう。10人が10人とも10時間を試験勉強に費やしても、試験に合格するのは1人。

もし「等価交換の原則」が絶対だとしたら、10人全員合格するか、10人全員不合格にならなくちゃぁならない。

でもね……「等価交換の原則」はあくまで「原則」だから、嘘はついていないんやね。

原則とは別名「建前」ともいって、なくちゃぁ困るけれど、在って無いようなもの。

はじめは「等価交換の原則」をまっすぐに信じていた少年である兄弟も、旅を続けるうちに「原則」の意味を知るようになる。

そもそもアニメ作品の冒頭にはこんなナレーションがある。


「人は何かの犠牲無しには何も得る事ができない。それが、錬金術における等価交換の原則だ。その頃僕らはこれが世界の真実だと信じていた」


冒険作品はたいてい、主人公が世界の真実を探す旅に出る。

これが正しい。こうすれば幸せになれる。そういったものを探す旅の目的とする物は、宝箱だったり賢者の石だったり青い鳥だったりする。

世界には多くの真実がある。どれが偽モノでどれが本モノということではなく、結局は自分という世界の真実を自分で作らなければならないということを発見して旅は終わる。

これが冒険作品の基本なわけで、「鋼の錬金術師」もこの基本どおりになっている。

有名作品ですし、よく勉強していることが伝わってくる作品ですから、興味を持った方は読んだり観たりしてみてはいかがでしょう。

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08/06/2006

ゲド戦記(TALES from EARTHSEA)

監督:宮崎吾郎
日本/2006年/115分
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記』

スタジオジブリの「悲劇」を露呈しつつも、ブランド力を知らしめた作品。名前・言葉・言霊の題材が興味深い。主人公の成長を意識的に描こうとする姿勢がいい。必要なのはストーリーづくりのノウハウ。これからでも遅くはないのでノウハウを作ることからはじめよう。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
多島海世界アースシーでは竜が現れたり家畜が次々に疫病で死んだりとさまざな異変が起こり始めていた。
エンラッドの王子アレンは父王を刺して国を出る。
一方、世界の災いの源をつきとめるべく旅に出ていた大賢人ハイタカは道中でアレンに出会う。ふたりは共に旅をする。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△アレン
エンラッドの王子。

▽ハイタカ
魔法使い。大賢人。

△テルー
少女

△クモ
魔法使い

△テナー
女性。農家でテルーと暮らす。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
スタジオジブリの「悲劇」を露呈しつつも、ブランド力を知らしめた作品。名前・言葉・言霊の題材が興味深い。主人公の成長を意識的に描こうとする姿勢がいい。必要なのはストーリーづくりのノウハウ。これからでも遅くはないのでノウハウを作ることからはじめよう。

■ はじめに

観客動員数は好調なのに、ネットや私の周りでは厳しい批評や意見が多かったのであまり期待していなかったのが功を奏したのか、監督の思いや気持ちはなんとなくわかるような気がして私はけっこう楽しめた。

――がしかし、いくつか大事なポイントが抜けてしまっている。さらにスタジオジブリのシステム上の問題についても考えてみよう。

その前に「なんとなくわかるような」というところから説明をはじめよう。


■ 映像には向かない「対話」

宮崎吾郎監督はハイタカとアレンのちょうど中間の年齢だ。アレンの心の闇もわかるし、ハイタカのように何かしら語るべき言葉も持っている。そんな両世代の端渡り的な位置にいる監督は、おそらくほぼ私と同世代だろう。

だからこそアレンの気持ちもなんとなくわかるような気がするし、ハイタカが若者に何かしらを諭す気持ちも少しずつ想像がつくようになってきている気がする。

原作の『ゲド戦記』は未読なのだが、聞くところによると第3巻では幾度もハイタカとアレンの対話があるという。
対話は小説において威力を発揮する。言葉の世界(小説)での対話は言葉で作った世界にさらなる深みと重さを持たせ、その内容を読者の心の隅々まで染み渡らせる効果がある。

しかし映像作品における対話は、物語を失速させる要因にもなりうる。


■ バックグラウンドをどこで描くか

映像作品制作の基本は、動き=アクションをつなげて物語を作るのだ。

登場人物は語れば語るほど物語は停滞する。そのため、いかに登場人物のバックグランドを観客に伝えつつ物語を前へ前へ進めようかと制作者は苦慮する。

たとえば映画「NANA」では作品の前半にはナナのバックグランドは明かされない。後半のコンサートのシーンに過去の映像を流すことで「進行するコンサート」と「登場人物の過去」の二つを同時に観客に提供するという技を使っっている。

これによりナナへの感情移入が強力に補完されて、観客は「NANA」という世界との一体感を味わうことができる。

つまり、ナナのバックグランドを描く場所をちゃんと提供しているのだ。すでに大ヒットしている原作漫画で皆がナナの過去についてある程度知っているにもかかわらず、映画ではバックグラウンドを描く場所をどこにしようかと考えたのだ。考えたからこそ、原作漫画では第一巻で描かれていた内容をあえて映画の冒頭にはもってこなかったのだと推測できる。


■ バックグラウンドを匂わしただけ

ところが「ゲド戦記」のアレンにしてもハイタカにしてもテナーにしても、彼らのバックグランドはどこにも描かれていない。匂わしているだけだ。

おそらく、日本では原作を読んだことがない人が多いであろう。そんな作品の登場人物のバックグランドをどこにも描かずに匂わすだけというのは……これを斬新というべきか。

「名探偵コナン」の江戸川コナン君が難事件を解決しようとするのはなぜか。それは天才高校生探偵(姿は小学生)だからだ。――探偵だからである。

もしふつうの男子高校生が見ず知らずの難事件を解決しようとしたら、観客の頭には疑問が浮かぶ。なぜこの男子高校生は難事件を解決しようとしてるのか――と。

観客が感情移入できるだけの理由を提供する。これが映画に限らず、物語の基本だ。

しかしながら「ゲド戦記」ではアレンがなぜ父王を刺して国を出たのかが描かれていない。

満ち足りた環境にありながらなにかが足りないと感じる、だから生きている実感を得るために、父王の世界から自由になりたい。というのがアレンの動機なのだろうが、映像作品ではたとえ短いシーンであってもきっちりと父と子の関係を描かなければならない。

そうでなければ、はじめて登場していきなり父王を刺すアレンにいったい誰が感情移入できよう。ただなんとなくそういう若者の心の闇の一端もわかるような気もするよ、とやさしい人は言ってくれるかもしれないし、はたまた物語の根底にはよく登場する「オイディプスコンプレックス」という言葉を聞いたことがある人には「おそらくこれはオイディプスなんちゃらってことで処理してほしいのだね」と寛大な理解を示してくれるかもしれない。

だが、観客にそんな気を使わせる作品でいいのだろうか?


■ テーマはいい。きっかけプロットをつくろう。

監督が伝えたいテーマはいい。
問題は、それをどう伝えるかだ。

小説で効力を発揮する対話ではなく、映像で効力を発揮する動き=アクションでそれを伝えなくてはならない。

アレンとハイタカが旅をするきっかけも曖昧だ。たいてい見ず知らずの二人が出会い、行動をともにするにはイベントが必要だ。力をあわせて危機を脱する→目的が同じ。もしくは目的は違うが協力したほうが有利という理由があってはじめて行動を共にする。

またアレンが本来の自分を取り戻すきっかけになるはずのテルーとのエピソードが主に「歌」だけというのもいただけない。たしかに歌はいいかんじだ。
けれど、歌がよくて涙を流して感動した。それで自分を取り戻すきっかけになった、というのだったらコンサートに行けばいいだけのことである。

きっかけのイベントがどれも静的なのだ(狼に襲われ倒れたアレンを助けたハイタカ。テルーの歌)。
アレンがはじめてテルーを助けるシーンにはアクションがあるが、なぜ無気力だったアレンがテルーを助けたのかはしっくりしない。

だれもが頷けるきっかけをアクションで魅せてほしかった。

とはいえ、主人公の成長を描こうとする姿勢は、「千と千尋の神隠し」や「魔女の宅急便」の流れを汲んでいてたいへん好感が持てる。


■ 名前

ハイタカの真の名はゲド。

真の名を知ることによって相手を支配することができるのが魔法だ(という設定)。

「千と千尋の神隠し」で千尋が「千尋」から「千」に名前を変えられたのも、真の名を忘れさせて思いのままに油屋で働かせるためだった。しかし千となった千尋は逆に油屋での働きを通して自分をしっかりもった千尋へと成長した。

そもそも世界は言葉できている。

これまで幾度か話した例だと思うが、あなたはなぜ赤信号で止まるのか、と考えてみればわかりやすい。冬眠から目覚めた熊が山から人里へ降りてきて、赤信号だからと横断歩道で止まるだろうか。

自然界に信号など存在しない。赤信号では止まる、というのは人間が作った約束事だ。人間たちが住みやすいように「赤信号では止まる」という言葉による約束事を守ることで成り立っている世界。それが人間の世界だ。

もちろん自然界にも約束事はあるが、すくなくとも人間がつくる世界は言葉で成り立っているのである。

また、人間の世界だけでなくすべての世界のはじまりは「ことば」ともいえる。


■ ことば

新約聖書のヨハネによる福音書第1章1節にはこうある。

「はじめに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった」

旧約聖書の創世記第1章3節にはこうある

「神は『光あれ』と言われた。すると光があった」

はじめにことばがあり、ことばを発することによって創造されていく様子が聖書に記されている。

ユダヤ教はことばを大事にしており、そのユダヤ12部族のうちの失われた部族が実は日本にきていたとする説がある。

さらに古ヘブライ語と日本語には似通った言葉がいくつもあるという。
たとえば「はや(HAYA)」と「はやい(速い)」はおなじ「速い」という意味。また「モノ(MONO」と「もの(物)」はおなじ「物」という意味といったぐあいだ。

その真偽はさておいても、日本にも「言霊」ということばがある。日本もことばを重視してきた伝統があるのだ。

「ゲド戦記」にかぎらす「千と千尋の神隠し」や「天空の城ラビュタ」などにも登場人物が名乗ったり、相手の名前を力強く呼んだりといった名前にまつわるシーンがいくつもある。これはスタジオジブリの特徴なのだろう。

特に「ゲド戦記」は名前が重要な意味を持つ。そのあたりはとても興味深く楽しめた。


■ スタジオジブリの「ムラ」のワケ

「ゲド戦記」を観ると、なぜスタジオジブリの宮崎駿監督作品に「ムラ」があるのかの答えがみてくるかのようだ。

これについては長くなるのでこちらにまとめた。興味ある方はぜひ読んでいただきたい。

「ゲド戦記」で露呈か!ジブリの悲劇!?-宮崎駿作品群の「ムラ」のワケ-


■ ひとこと(おわりに)

宮崎吾郎監督の登場で踏み出した新たな一歩を、大いに応援したいと思う。

個人的には「ゲド戦記」はかなり楽しめた。だからこそもったいないように思えてしょうがないのだ。

なにがもったいないのかはこちらにまとめておいた。

「ゲド戦記」で露呈か!ジブリの悲劇!?-宮崎駿作品群の「ムラ」のワケ-


最後に、この夏の大作アニメーション3作品のわたくし「たかのランキング」を発表しよう。

第1位 「カーズ(CARS)」作品レビュー
ぶっちぎり!

第2位 「ゲド戦記」
応援の意味を込めて

第3位 「ブレイブストーリー」作品レビュー

特別賞 「ワンマンバンド(One Man Band)」作品レビュー
アニメ業界の風刺的な面白さとピクサー精神を描く必見作。


俳優ファン △ 
ファミリー  △ 
デート    ○
フラっと   ○
脚本勉強  △
演出     -
笑い     - 
リアル    -
謎解き    - 
人間ドラマ △
社会     ○ 

■その他、ゲド戦記関連レポート

「ゲド戦記」の心理学
映画「ゲド戦記」を精神科医樺沢紫苑さんが徹底解明している。
名前・言霊に関する記述がたいへん詳細で豊富。スタジオジブリ映画「ゲド戦記」関連で最強のレポートだ。ここまで書かれちゃもうこっちは書くことないよーってなぐらい濃い内容である。さらにビジネスにも応用できる話も付いているぞ。

映画【ゲド戦記】の告知戦略に学ぶ ― 顧客の気持ちの流れを3つの基準で、まるっと見通すカンタンな方法。
ゲド戦記の告知戦略について書かれた一本。ネットをはじめとするビジネス・マーケティングに重点を置いている。

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07/27/2006

ブレイブストーリー(BRAVE STORY)

監督:千明孝一
日本/2006年/111分
原作:宮部みゆき「ブレイブ・ストーリー」

奇しくもタイトルがすべてを表してる。借り物競争をやめ【勇気をもって研究して】ストーリーから作りこんでほしい。さらに奇しくもピクサー短編映画「ワンマンバンド」のストリートミュージシャンを地でいっちゃったのは愛嬌というしかない……。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
小学生のワタルは両親の離婚による父親の家出と母親の自殺未遂で自分の運命を変えるため、転校生ミツルとの出会いで知った運命を変える世界への扉を開けて旅立つ。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△ワタル
少年。小学校五年生。

△ミツル(芦川美鶴)
少年。転校生。

▽カッツ
町の保安官。

△キ・キーマ
運送業者(?)

▽ミーナ
サーカス団員。空中ブランコ担当。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
奇しくもタイトルがすべてを表してる。借り物競争をやめ【勇気をもって研究して】ストーリーから作りこんでほしい。さらに奇しくもピクサー短編映画「ワンマンバンド」のストリートミュージシャンを地でいっちゃったのは愛嬌というしかない……。

■ どなた向け?

たぶんお子様向けなのかな。宮部みゆきの同名小説は未読だけど、たぶん原作はもう少し大人向けなのかもしれないね。

イマドキのお子様にかぎらずだけど、子供の目を侮ってはいけましぇん。

ほら「機動戦士ガンダム」だって、単純な勧善懲悪ロボットアニメだったらあんなにファンはできなかったハズ。細かい内容はたとえよくわかなかったって、お子様にだって他とは何かが違うゾって雰囲気は敏感に感じ取れるんだよね。

ロールプレイングゲームみたいな。

人間じゃないキャラクターを登場させるみたいな。

剣と魔法の世界で冒険させるみたいな。

「~みたいな」ってばかり言ってないでちゃんとしゃべれぇ。と叱られちゃうかもしれないね。でもね「~みたいな」というのがピッタリなんだ。

子供にゃぁこんなかんじでどぅスか? みたいな……さてさて、この作品はいったいどういった層(誰)に向けて作ったのやら。

私は他のアニメ系作品と比較するという楽しみがあるから観たけれど、そうでなかったらいったいどんな層が観にいけばいいのか悩むような作品だね。


■ 子どもは敏感

小学生の主人公ワタルくんは父親が家を出ることを知って愕然とするんだ。まるでさっきまで晴天だったのに、突然に天から槍が降ってきたみたいにビックリしちゃう。

両親と一緒に住んでいる少年がいくらなんでも寝耳にミミズ、いや寝耳に水みたいに驚いてしまうなんて。そんなに鈍感な子はイマドキなかなかいないよぉ。

それでいて父親の家出の理由というのがとってつけたようなものなんだ。

住んでいる集合住宅の外観や内装や学校への道などはとてもリアルなのに、そこで生活している人たちの内面がどうにもステレオタイプ(固定的・画一的)なんだね。

なんだかワタルくんがひとり漫才で延々とスベリ続けているみたいで、ちょっと気の毒になってきちゃう。


■「がんばってたで賞」もあやうい

日本のアニメといえば、すぐに思いつくのはスタジオジブリと日本テレビ。仮にこれらを富士山としましょ。

富士山越えを狙いたいのはGONZOとフジテレビ。「フジテレビ」っていうぐらいだら「富士」山は越えたいもの。

フジテレビは東映アニメーションとのアニメ「ワンピース」でのヒットはあるものの、世界的な有名作があるスタジオジブリ/日本テレビの富士山をぜひとも越えたい。

そこで「青の6号」「最終兵器彼女」「銀色の髪のアギト」をはじめ多数のアニメ作品で有名なGONZOとともに、夏の一押しアニメに!と投入した作品。それが「ブレイブストーリー」なのだ。

富士山越えをしたい。だから一生懸命作りました。がんばりました。

でもね、がんばる方向がちょっと違うんでなぃの?


■ 原作ありきってどうなの?

スタジオジブリのいくつかの作品にも原作があるから、じゃぁウチもそれに負けないようにというので大御所・宮部みゆきさんの小説を、ということになったのかな。

原作は読んでないのでなんともいえないけど、すくなくとも原作から脚本を作ったわけでしょ。エンドロールによると脚本担当はたしか2人(ちがってたらごめんなさい)。

一概に人数の問題じゃないけれど、ストーリー担当がわずか2人。

はやい話が、ひとりの大作家先生におんぶにだっこってかんじだね。

日本では作家さんに頼りすぎ。小説がおもしろいのは、それが小説だから。小説を映像作品にする場合は、映像専門のチームでしっかり映像に向くように脚本からじっくり作らなきゃ。そうしないと、小説までつまらないと思われてしまうかもしれないんよ。

そもそも、いつまでも原作に頼ってちゃ富士山越えは難しいよ。


■ 富士山越えても……

たとえ富士山を越えても、海外にはもぉ~とたかぁ~い山があるのだ! その山の名は……ディズニー/ピクサー。

ピクサーの作品づくりの期間は通常4年。そのうち半分の2年間をストーリーとキャラクターづくりに費やすという。はじめにストーリーを組み立てるんだ。

どこかからストーリーを借りてくるんじゃないんよ。「はじめにストーリーを組み立てる」のさ。

そしてCGの技術力の高さと優秀な人材がいるピクサーが、必然性のあるCGの使い方をしてるっていうんだから、こりゃあもういまの装備じゃぁ登山道入り口で帰らせられちゃいますぞ。

必然性のあるCGの使い方ってどんなの? はこちら↓

「カーズ」レビューの【CGとスピードのマッチングの良さ】


■ 剣と魔法の世界にもお約束を!

たとえばSFの世界はなんでもアリだからこそ、制約をきっちりつくるのだ。

人はなんでもアリの世界では不安で落ちつかないから。

たとえば剣と魔法の世界だけど、体力ゲージと魔法ゲージがいっぱいにならないかぎり普通の人と変わらないとか、そういったお約束事がないと、なにが起こってもアリになってしまって、まるでいつまでも陸地がみえないままパラシュートで風まかせに延々と流されていくかのようで不安が大きくなって楽しむどころではなくなってしまうのだ。

有名傑作漫画「ベルセルク」の主人公ガッツはモンスターみたいなものと闘いつづけているけど、特殊能力があるわけじゃぁない生身の人間だ。人間ばなれはしてるけど、人間なのだ。この設定だけで「ベルセルク」が傑作といわえる所以の一部がわかるよね。


■ ツッコむのもめんどいわ~

「ブレイブストーリー」には、いろんなアニメやゲームを彷彿とさせるところが多々あるんだ。でもひとつひとつツッコんむ楽しさという種類のちりばめ方じゃぁない。

あえてどんな作品の真似っ子に見えるのかというと、ドラゴンボール、スターウォーズ、ドラゴンクエスト……等々。

なんだかツッコむのがめんどうというよりも、はずかしくなるんよね^^;


■ 研究ではなく寄せ集め

いろんなアニメやゲームを研究してヒット作を作ろうとしたんだけど……。という言い方をするのはやさしい、イイヒトなんだろうけど、ズバリいっちゃうね!

研究したんじゃなくて寄せ集めたの。

研究っていうは、この場合でいうと、過去のいろんな作品の特徴をいっぱい調べて書き出して、それをグループに分けたり並べ替えたりして整理する。そこから傾向や法則を導き出して、それについて考えたり意見を出し合ったりしてどうしてヒットしたかを明らかにすることなんだ。

でも、今作でやったのはたぶん……いろんな作品の特徴を寄せ集めてみました……みたいな(笑)

そもそも研究する目的のひとつは、隙間をみつけること。他がやっていないことがないかと探すこと。それがこれから作ろうとしている作品の特徴になるんだからさ。


■ ヒットがほしくてたまらない

フジテレビジョンのヒットメーカーといわれるプロデューサー亀山千広さん。ドラマ『ロングバケーション』『ビーチボーイズ』『踊る大捜査線』で手腕を発揮して、映画でもヒットを飛ばしたい。実際に映画でも『踊る大捜査線 THE MOVIE』シリーズ』『スウィングガールズ』とヒット作や話題作をおくり出しているんだ。

とにかくヒットがほしい。これはだれだってそうだろうけど、特に劇場アニメ-ション作品においては日本テレビに差をつけられているフジテレビとしては、なんとしてもヒット作がほしい。

でも、いちからストーリーを練ってじっくりとはしていられない。すぐにほしい。じゃぁ大御所作家先生の原作とアニメで有名なスタジオでいっちゃいましょう! てな雰囲気がするんよね。

日本のアニメーションは世界でも注目度が高いのだからもったいないよ。

アニメでほんとうにちゃんとしたヒット作・話題作・みんなが楽しめる作品を作りたいなら、即席の借り物競争みたいな真似は避けたほうがよかった。

ストーリー担当チームをつくって、じっくり腰を据えてオリジナルストーリーづくりをしなきゃ、とてもじゃないけどピクサーの背中さえも見れないよ。


■ ワンマンバンドに出演してる?

そんな「ブレイブストーリー」の様子は、ピクサーの短編映画「ワンマンバンド」のストリートミュージシャンであるベースとトレブルが少女が持つ一枚のコインを得るために繰り広げる演奏合戦を彷彿とさせてくれるんだ。

ベースとトレブルは結局、たった一枚のコインさえも手に入れることができなかったね。

それと「ワンマンバンド」にはセリフがないんだ。顔の表情と身振り手振りと音楽だけで表現している。映像のもつ特質をよぉ~く研究してわかっているからこそできることだね。

一方「ブレイブストーリー」はクライマックスでしっかりと作品のメッセージを語っている。小説ではなく映画なのだから、映像でじわぁ~と伝わるようにがんばってほしかったな。

役者(キャラクタ)にしゃべらせればいいのだったら、それこそ小説のほうが向いているのだから。

「ワンマンバンド(One Man Band)」作品レビュー


■ たか子の顔が浮かぶ

声優に有名俳優が名を連ねてて、主人公ワタル役は松たか子さん。少年役に女性の声優さんというのはけっして珍しくないけれど、どうしても「ワタル」じゃなくて「たか子」の顔が浮かんじゃうのだ。

アニメーションは特にキャラクターが大事。ワタルだけどたか子というのでイメージが安定しないのがいまいちキャラクターに入りこめない原因だね。

アニメーション作品では宣伝のため声優に有名タレントを起用するのがあたりまえになっているけれど、それって裏を返せば作品に自信がないからと受けとめられもする。

日本は声優文化(?)があるのだから、そういった土壌のベテランや才能豊かな声優さんを起用して、脇役のひとりに実は話題のタレントが! というぐらいがちょうどいい。

今作でいうと、キ・キーマ役に大泉洋さんぐらいにしておけばバランスがGOOD。そうできなかったのは、ほかがみんな有名タレントを起用してるからうちも、という理由なのだろうね。そういった流されやすい体質を匂わすのは、作品の質をも観客予備軍にある程度予測させちゃうことになるのにね。


■ ひとこと

今回は久しぶりに辛口になっちゃった。

でもね、なにかコメントするというのは少なくとも関心があるから。ノーコメントというのが一番ヒドいから。

宮部みゆきさんの本はいくつか読んだことがるよ(「ブレイブストーリー」は未読だけど)。
有名な作品で「クロスファイヤー」。読者にページをめくらせるのがとても上手な作家さんだと思った。そして実際に巧い。でも映画版も観たけど、こちらは矢田亜希子ちゃんが出ているだけの作品で、小説の良さを感じられなかった。

やはり、小説と映画は違うというあたりまえのところからはじめなければならんぞぉ。

映画「ブレイブストーリー」を観るかぎり、原作作家宮部さんはゲームが好きなのかな。好きだとしたらそれが邪魔をしている。好きだということは、自分が世界に入りきってしまう可能性がある。冷静に物語を構築することが難しくなるんだね。

仮にこれがひとりではなくチームでストーリーを作っていると、だれかがストーリーに熱く入り込んでも、だれかは冷静に分析・判断することがきる。ところがひとりだと「時間をあける」というぐらいしか冷静な目でみるチャンスがないんだ。
好きこそが及ぼすウィークポイントが目立ってしまったのかも。

なんだかんだいいつつ小説「ブレイブストーリー」は未読なのでなんともいえないけどね。

さて映画「ブレイブストーリー」だけど、お金はそこそあるのだろうから、じっくりとストーリーづくりかたはじめてほしい。そのときはもちろん私も力になるよ(笑)

観客不在という意味では、観客に「無礼」(ブ)な物語ともいえなくもない。

いやいや、タイトルは奇しくも「ブレイブストーリー(BRAVE STORY)」だったね。

ぜひ、借り物競争をやめ、勇気をもって研究してストーリーから作りこんでいってほしい。

さぁまずはキミ【が】勇者になることからはじめよう☆ 

……キミってだれ?(笑)

俳優ファン  - 有名タレントの声がきければOKなら
ファミリー   △ 最近の子どもの目は肥えてるから……。
デート    × 
フラっと   ×
脚本勉強  △ 反面教師としてならマル
演出     - 
笑い     × パロディでもないし笑えない
リアル    - 日本CG・アニメ界を表している意味ではリアル?
謎解き    - 
人間ドラマ - ありがち
社会     △ 町の様子はなかなかリアル 
CG      △ もっと活躍できる場所があるのでは? 使い方の問題。

4043611110 ブレイブ・ストーリー (上)
宮部 みゆき
角 川書店 2006-05-23

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07/14/2006

「美しいものが嫌いな人がいて?」~ガンダム~

「キャスバル兄さん……」

「美しいものが嫌いな人がいて?」

「ほんと、好きだったよ、坊や......」

「軟弱者!!」

「俺を踏み台にしやがった」


これを読んでピンときた方はかなりの「通」ですね。

これはいま巷で流行っている(?)と噂のガンダムしりとり

別に末尾の文字からはじめなくてもOK。古今東西ガンダム編みたいなものです。

使用例としては、同世代の主に男性数人が一泊キャンプでの消灯後のバンガローまたはテントにおいて、なかなか寝付けないときにすると……盛り上がってますます寝れなくなります(笑)

さて、いったい何の話をしているのか? と思われる方のために説明しますと、これらのセリフは「起動戦士ガンダム」というテレビアニメ(映画もある)での登場人物の有名なセリフなんです。

ガンダムファンはどのセリフがどの場面で誰が言ったものかを答えずにはいられなくなるという魔法のセリフみたいなものです。

ガンダムが人気なのには理由があります。ガンダムはロボットアニメという枠では捉えきれないほど奥が深いんです。単純に善悪に割り切れない内容で、世界観もしっかりしていて登場人物に厚みがあるからです。

ガンダムは、勧善懲悪の単純ロボットアニメとは違うんですね。そのあたりを書くと無料レポート1本分にはなってしまいますので今回はひかえますが、ガンダム世代と言われる方だけの集まりがあるときは、飲み会などでする「ガンダム有名セリフしりとり」はけっこう盛り上がりますのでやってみてはいかがでしょう。

私がやったときはかなり盛上がりましたヨ。

ガンダムの登場人物の名前をド忘れしたしまったかつて少年(少女)だった方。モビルスーツの造形は思い出せるのに名前が思い出せない方。少年(少女)の頃はあんなにガンプラ(ガンダムのプラモデルの総称)を作ったのに……としょぼんとする、そんなあなたに朗報です。

ガンダム専門ストアがアマゾンに登場!

ガンダムストア


とりあえず1年戦争はおさらいしておかなくちゃってかんじですね。ある程度オトナになってから観かえすと、少年(少女)の頃にはわからなかった奥の深いやりとりやシーンに、そういうことだったのか! と何度もうなってしまうことでしょう。

とくにジオン、ザビ家、シャアの関係のあたりなど、なんとな~くわかっていたような、わかってないような点にも新たな発見もあるはず。

機動戦士ガンダムDVD-BOX 1


モビルスーツでは、私はこれ↓がいいなぁ。

「俺を踏み台にしやがった」でお馴染みの……

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04/06/2006

アニメ「NANA」

「NANA」のアニメ第1回(5日)がテレビ放映されましたね。

「NANA」は矢沢あい原作の漫画で、実写映画にもなりました。


アニメ「NANA」のはじまりは、奈々が恋人の大学合格をきっかけに上京するところからはじまりました。

過去を振り返るかのような奈々のナレーション付で、北国から雪降る夜に新幹線に乗って上京する。

なんだか懐かしい雰囲気を感じますね。といってもいわゆる「上京」をしたことはありませんが…。

「上京」と聞くと、京都に行くことをイメージしますが、一般には東京に行ってそこで生活することをいいますね。

新幹線の中で奈々は、ギターを持った女の子ナナに出逢い、彼女の隣の席に座ります。

お互いに同じ年齢で同じ名前で、さらに同じ目的地へ向かうことを知ったナナは「なんだ同じ上京組か」といって、ビールで乾杯します。


さぁ、ここまで読んだアナタは「NANA」ヒットのヒントにいくつ気がつきましたか?


では、ヒットのキーワードを抜き出してみましょう。

「上京」
「過去を振り返るナレーション」
「北国」
「雪」
「夜」
「新幹線(列車)」
「隣の席」
「上京組」


どのキーワードも、どこか「懐かしさ」を感じさせるものですね。

「隣の席」のどこが懐かしいの? と思った方もいるかもしれません。

でも「学校」「教室」「席替」とくれば……ほら、頭の中には金八先生かユーミンか岡本真夜が思い浮かぶかもしれませんよ。


「NANA」がなぜヒットしたか?

その秘密のひとつは「懐かしさ」です。

キーワードの中に「上京組」があります。これはナナのセリフです。

地元のバンドが解散してひとりで上京するナナは、一見すると我が道を行く強い女性のように見えますが、実は依存しやすい弱い部分を持っています。

それを表すのが「なんだ同じ上京組か」というセリフです。

バンド解散によってひとりで上京するナナは、偶然出会った、自分と同じ名前(発音)の奈々と行き先が同じことを知って、「上京組」という「枠」で捉えます。

それはまるで日本の高度経済成長期の昭和30年代に「金の卵」といわれて田舎から東京に集団就職のために電車に乗ってやってきた「上京組」を彷彿とさせます。

こうしてアニメ「NANA」の第1回目のふたりの出会いのシーンですでに、一見するとクールで強い女性のナナが実はナイーブで依存しやすく、そのため独占欲が強いことの予告がされているのです。

こういったキャラクター設定もありがちですが、よくあるキャラクターというのはそれだけ需要があるということですから、これもヒットのキーワードのひとつですね。

このように、懐かしさを感じさせるキーワード(「集団就職」「金の卵」「上京組」)も巧みに意識させているあたりは上手ですね。

たとえ実際には体験していなくてもなんとなく感じる「なつかしさ」をいっぱい詰め込むことで、若い人には見向きもされない傾向が強い「●●」と意識させにくくしているというあたりが、ヒットを生み出す職人技なのかもしれません。

このあたりの詳しいことは長くなりますので、こちらにまとめました。

大ヒットにはワケがある! 『NANA』大ヒットの秘密を解き明かす特別緊急レポート!
「『NANA』と『下妻物語』(+「R2-D2」)に共通する大ヒットの秘密とは?」


さて、アニメ「NANA」の絵柄と声はどうだったかというと、そんなに悪くないですネ。

絵柄は漫画に近く、ナナ奈々の声もほぼ合っていました。もちろん声のイメージは人それぞれですケド。


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07/27/2005

冷と熱のシフト・ヒロインの作り方―「NANA」―

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矢沢 あい

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漫画「NANA」(原作:矢沢あい)。

最新刊12巻まで読み終わりました。

「NANA」はふたりの女の子が主人公です。ナナと奈々(ハチ)。二十歳のふたりは同じ日に同じ電車で出会い、東京にやってきます。

そして、偶然に同じ部屋を借りようとして再会します。ふたりはルームシェアすることにします。

主人公がふたりということで、作品はふたりの視点をいったりきたりします。

しばらく奈々(ハチ)の視点でストーリーが進んだかと思うと、ある巻からはナナの視点に移り、またしばらくすると奈々の視点に移ったりします。

三人称の視点に固定するのではなく、適時に視点をシフトさせて、それぞれの心の中に入っていけるようになっています。

そうすることで、読者はナナと奈々(ハチ)のうち、自分が感情移入しやすいキャラクターに寄り添ってページをめくることができるのです。

そんな仕組みを持つ「NANA」のふたりですが、どちらかというと奈々(ハチ)のほうが感情移入されやすいようです。

というのは、奈々はナナよりも一般的なキャラクターだからです。

ナナはバンドのボーカルをしています。いつか音楽で飯を食っていけるよう、だれにも文句を言われないデッカいバンドにしてやる! という熱い思いと目標を持っています(実際にはバンドの売り出しや宣伝のために、気のすすまないことも受け入れなかければなりませんが……)

一方、奈々にはこれといって特技も目標もありません。あるのは、素敵な恋がしたい、だれかに愛されたい、という強い思いです。

奈々はナナのバンド活動を応援します。というよりも、NANAの生き方を応援するのです。

ナナと暮らすうちに、奈々は愛されることの他に、愛することの大切さも身にしみて感じ、学ぶようになります。

楽器を演奏するわでもなく、曲を作るわけでもなく、まして歌を唄うわけでもありませんが、奈々はバンドの練習に顔を出して、みんなの世話をします。

いつしかバンドのメンバーたちも、奈々の明るい存在に力づけられていきます。

バンドのみんなが集まることになれば、少しでもみんなのために、という思いから、料理本を買ってきていろいろと試行錯誤をしながら料理をせっせと作ります。

そうするうちに、奈々はいつのまにか料理の腕がメキメキと上がっていくのです。

だれかに誇れる特技なんてもっていなかった。ただだれかに愛されたいと強く思っていた娘が、だれかを愛することの大切さを知って、自分にできることを一生懸命する。

いつのまにか、料理が上手になっていて、玉の輿といわれるような結婚をする約束をするまでになった奈々。

それでも、いろいろと悩み、いつもバンドのメンバーのことを気にかけている奈々。

天然なところもあるけど、もちろん計算だってする。自分の都合にいいような振舞いで友人を傷つけていると自己嫌悪になる奈々。

こういった奈々は、けっして特別な存在ではなく、どこにでもいる平凡な女の子のひとりなのです。

ナナと奈々。ふたりのキャラクターを設定して、偏らない視点を保持しつつ、ふたりのキャラクターの対比によって、読者に親近感を持ってもらいやすい環境をつくりだしています。

「NANA」は映画になります(主演は中島美嘉・宮崎あおい)。

【要点】…………………………………………

●ふたりの主人公を設定して読者の間口を広げる

●選択肢を増やす → 商品ラインナップを増やす

●選択肢はそれぞれに関連するものにすること

●定期的に視点をシフトさせることで、偏らない冷静な観方を提供する

●冷と熱でメリハリをだす「冷静な観方 → ←熱い感情移入」

●メリハリをつけて、マンネリを避ける 


≪関連記事≫
「スターウォーズ」と「NANA」に共通する人気の秘密

「NANA」映画レビュー


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12/08/2004

Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)

B0009DC7YUMr.インクレディブル
ジョン・ウォーカー,  三浦友和,  渡辺美佐,  ジェイソン・リー
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2005-06-15

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ブラッド・バード監督/アメリカ合衆国/2004年/115分

●アメリカ社会を映し出す魔法の鏡。映像技術、ストーリー、キャラクター、世界観構築をバランス良くまとめるストーリーテラーとしての卓越した技術。これを例えるなら「魔法」です。魔法で作ったエンタティメント作品であるとともにドキュメンタリーとしての映画の効力も併せ持っている、アメリカ社会を描く作品です。

Story(ストーリー)
―――――――――――――――――――――
スーパー・ヒローとしての活動が禁じられて15年、世界有数のスーパー・ヒーローだったMr.インクレディブルは妻と子供たちと一般市民として生活しています。
元ヒーローたちが次々と行方不明になっていたある日、Mr.インクレディブル宛に1通の手紙が届きました。スーパー・ヒーローとしての能力を必要としてるというその手紙に応え、Mr.インクレディブルは再びスーパースーツを身に
まといます。しかしそれはスーパー・ヒーローを滅ぼそうとする者の罠だったのです。エラスティガール(インクレディブル夫人)と子供たちは、夫(父親)の危機を救おうとします。やがてインクレディブル一家は世界を救うために力
を合わせてたたかいます。


Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△Mr.インクレディブル(ボブ・パール)
家族を愛する、元スーパー・ヒーロー。家庭では夫であり父親。

△エラスティガール(Elastigirl)(ヘレン・パール)インクレディブル夫人
普通の暮らしを望む、伸縮自在のボディを持つ元スーパー・レディ。家庭にでは妻であり母親。

△ヴァイオレット
長女。特殊なバリアーで身を守り、透明にもなれるスーパー・ガール。

△ダッシュ
長男。時速300kmで走り抜ける、スーパー・ランナー。

△ジャック・ジャック
次男。赤ん坊。スーパー・パワーはまだ不明。

△フロゾン
Mr.インクレディブルの元相棒。氷を自由に操る。

△エドナ・モード
特殊(スーパー)スーツ・デザイナー。

△シンドロム(バディ・パイン)
発明王。元スーパー・ヒーローオタク。

△ミラージュ
謎の女性。Mr.インクレディブルに仕事を依頼する。

▽オムニドロイド9000”
シンドロムが生み出したロボット


Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
アメリカ社会を映し出す魔法の鏡。映像技術、ストーリー、キャラクター、世界観構築をバランス良くまとめるストーリーテラーとしての卓越した技術。これを例えるなら「魔法」です。魔法で作ったエンタティメント作品であるとともにドキュメンタリーとしての映画の効力も併せ持っている、アメリカ社会を描く作品です。

ピクサー初の人間(スーパー・ヒーロー)が主人公の作品です(過去の作品はモンスター、魚などが主人公でした)。
過去のピクサー作品とはちょっと雰囲気が違います。アクション描写もどちらかというと過激なほう。上映時間も過去最長です。なぜなら、新しい監督を外から招き入れたからです。その人はブラッド・バー
ド監督です。彼の過去の作品には「アイアン・ジャイアント」(1999) (The Iron Giant)」 スペシャル・エディション(※1)があります。

「Mr.インクレディブル」では人間(スーパー・ヒーロー)が主人公といっても、その造形や質感は適度にアニメちっくです。世界屈指のCGアニメーションスタジオのピクサーは、本物の人間そっくりなCGを作ることもできるでしょう。けれどもあえて1960代のテレビアニメのようなキャラクターにしています。なぜって、せっかくアニメーションなんですから、わざわざ人間そっくりにする必要はないからです。人間そっくりにするなら、本物の人間(俳優さん)を起用すればいいのですから。

アニメちっくだと言っても本物の人間と同じぐらい、あるいはそれ以上に人間味あふれるキャラクターが登場します。特にエラスティガールは色気があってなんだかエロちっくな雰囲気さえ漂わせ、ときには不安になりながらも妻として母親として、そしてスーパー・ヒロインとして大活躍します。

スーパー・ヒーローが主人公なので、それぞれに特殊能力があります。Mr.インクレディブルは怪力、エラスティガールは伸縮自在のボディ(漫画「ワンピース」のルフィみたいな、もしくは「怪物くん」の伸びる手足)、ヴァイオレットは特殊バリアーと透明になれるボディ、ダッシュは目にもとまらぬ動きです。

アニメーションに限りませんが、映画はたいていフィクション(つくりもの)なので、なんでもアリです。でも、なんでもアリであるからこそ範囲をきっちり決めたほうがよいのです。
インクレディブル一家やほかのヒーローでも、一人でなんでもできる万能ヒーローはいません。みんなそれぞれ特殊能力を持っていますが、それ以外は普通の一般市民と同じなのです。

そして、ひとりひとりのヒーローについて、どんな特殊能力を持っていて、どんな人柄なのかをわかりやすくちゃんと教えてくれます(紹介と説明がわかりやすい)。その役割を持っているのが特殊スーツデザイナーのエドナ・モードです。彼女はスーパー・ヒーローのための特殊スーツをデザインして作っています。エド
ナ・モードが、自分が作ったスーツをエラスティガールに紹介するシーンがあります。これは特殊スーツの性能を観客に説明すると同時に、特殊能力についてここであらためてまとめて紹介するという役割を持ったシーンなのです。(エドナ・モードは「ヘルパー」という役割を持ったキャラクターです)

主人公はスーパー・ヒーローの一家ですが、彼らは日常でだれもが経験するような問題(ヴァリオレットの恋、ダッシュが自分の能力を活かせないもどかしさを感じている)を抱え、ひとりの人間として悩んだり考えたり行動したりしています。

そんな姉弟が父親を助ける過程で自分の能力を発揮して、新しい能力を発見します。自分の新たな可能性を見い出して自信を持てるようになるのです。

各キャラクターが内的葛藤(Internal Conflicts)を持っています。使うことを禁じられていた特殊能力(タレント)を思いっきり使って自信を持つことで内的葛藤を解消していく様子が、各キャラクターの「見せ場(ヴァイオレットの特殊バリアー、ダッシュのスーパーダッシュ)」を通して楽しめます。

また「Mr.インクレディブル」はアメリカ社会を映す鏡になっています。スーパー・ヒーローたちは生まれながらにして特殊能力を持っています。これに対してシンドロムは一般人です。自ら発明した機械でお金を儲けています。

アメリカ合衆国は独立戦争によってグレートブリテン王国(イギリス)から独立した歴史があるので自由と平等を謳っていますが、現実にはワスプ(WASP)――アングロサクソン系白人プロテスタント――といわれる一部のアメリカン・エリートが、自分たちが特権を享受してきたという後ろめたさのようなものを持ちつつも、政治をはじめとする重要な分野で富と権力を独占しています。

これをスーパー・ヒーロー(世襲の特権階級)と捉えてみると、一般人のシンドロムは発明した機械(テクノロジー)を信じ、自らの才覚で道を切り開いていくフロンティアスピリットをも併せ持った、アメリカ合衆国の建前を具現化
したキャラクターだと言えます。

どちらが良い悪いというよりも、どちもアメリカ合衆国をよく表しているといえるでしょう。

シンドロムのセリフに、自分がヒーローになって充分満足したら、今度は発明品をみんなに売るのだ、みんなヒーローになったらもうヒーローはいらなくなるんだ、という意味のものがあります。

生まれながらの特権と、ほかの人がもっていないテクノロジーは使い方によっては世界を危機に陥らせます。

シンドロムはテクノロジーで儲けて自分で「悪(敵)」という対象をつくり、これを自ら倒すことでヒーローになろうとしますが、作った機械の制御ができなくってしまいます。
制御できなくなった「悪(敵)」を倒すのはスーパー・ヒーローの一家です。タレント(能力)持った個人が家族というチームワークで、作られた「悪(敵)」を倒します。

スーパー・ヒーローは活躍の場がなければその特殊能力をもてあましてしまいます。特殊能力を活かせないイライラから個々はばらばらです。必要なのは危機です。危機に対処するためには一致団結できるのです。そして危機をつくりだすのは「悪(敵)」です。

するとまた「悪(敵)」が必要になる。作品の最後のレゾリューション(解決)では、地底人が巨大メカに乗って現れて世界征服を宣言します(新たな「悪(敵)」の出現)。とまぁこの繰り返しなのです。人間(シンドロム)の次は地底人。その次は宇宙人でしょう(たぶん)。

特権階級とテクノロジー。作られた「悪」。アメリカ社会を映し出す鏡となっています。

こうしてみると「Mr.インクレディブル」はアメリカ合衆国のパロディ、または風刺といえるかもしれませんね。

世界屈指のCGアニメーション技術とバランスのとれた最高のストーリー構築技術との融合で一流のエンタティメントパロディを作る。ダッシュだったら「Cool!!(ダッシュが使う若者言葉。意味はカッコイイ! いかしてる! センスいいじゃん!」)と言うかもしれませんね。

他のピクサー作品のレビューでも触れていますが、コンピュータ技術の進歩だけでなく、柔軟で瞬発力のあるひらめき(発想)をバランスのとれたシナリオで作品に仕上げるといった、ソフトの合理的でシステマチックな進化が日本ににおいては必要です。

では作品の見所を紹介しましょう。
まずはテンポ。時代のスピードを反映するかのように、次から次にテンポよくストーリーが進んでいきます。どのシーンも複数の役割を持っていて無駄がなく、よく考えて練られたシナリオだということがわかります。

スピード感。ダッシュのスーパーダッシュのスピード感は見事です。あまりの早さに、ダッシュは自分でも気がつかなかった能力を発見してしまうほどです。ミサイルをかわそうとする飛行機のシーンは手に汗握る迫力です。ピクサーは車を主人公とする作品を制作しているようですが、CGとスピードの相性の良さという新たな題材をみつけたようですね。

視点。Mr.インクレディブルが一般人の生活に適応しなきゃと思いつつも、能力を使って活躍したい思いを、隣人の子供という視点をとり入れて表現しています。インクレディブルの隣の家のちいさな男の子は、なにかおもしろいすごい事がみれないかなぁっと、いつもMr.インクレディブルを見ています。彼との短いやりとりは、Mr.インクレディブルの心境を一言でうまく表現しています。

脂肪。一般人としての生活が長かったために、昔のヒーロー・スーツを着たMr.インクレディブルはお腹が出てしまっています。このあたりの細部も丁寧にとり入れています。

ユーモア・笑い。コントちっくな展開や、お約束の展開。思わず笑ってしまう小ネタの数々。笑いのスパイスも効いています。

キャラクター。Mr.インクレディブルが勤める保険会社での上司は、会社の利益を最優先する嫌味な役どころです。この上司は、正義がなんだ、そんなものよりも会社の利益、株主の利益だ! 歯車のひとつとして会社のために働け! とMr.インクレディブルを怒鳴りつけます。彼は背が低くて黒髪で眼鏡をかけています。ん? それっていかにも……そう、マイナスなイメージでの日本人のステレオタイプ(型にはまった画一的なイメージ)そのものですね。

キリスト教文化。ヴァイオレットとダッシュがタレントを活かすというのは、欧米の人々に新約聖書のマタイによる福音書25章14節から30節に乗っているタラントのたとえ話の教えを思い出させるでしょう。

「タラントのたとえ話」~~~
ある人が旅に出るとき、3人の僕(しもべ)にそれぞれの能力に応じて5タラント、2タラント、1タラントを預けた。5タラントと2タラントを渡された者はそれで商売をして倍にした。1タラントを渡された者は地を掘って主人の金を隠し
ておいた。
僕(しもべ)の主人が帰ってきた。5タラントと2タラントを渡されていた者はそれぞれ倍に増やしたことで主人に「良い忠実な僕よ」と、多くのものを管理するよう言われた。1タラントを渡されていた者は地に埋めておいたことで主
人に「悪い怠惰な僕よ」と言われた。1タラントは取り上げられ、10タラント持っている者に与えられた。
~~~~~~~~~~~~

題名とキャラクター名の日米の違いについて。
邦題は「Mr.インクレディブル」ですが、原題は「THE INCREDIBLES」です。原題は「すばらしき人々」もしくは「インクレディブル家の人々」といったかんじです。つまり、インクレディブル家を中心として、相棒のフロゾンをも含めたすばらしき人々の物語という意味です。

邦題では、Mr.インクレディブルというひとりのスーパー・ヒーローの伝記みたいに思えてしまうかもしれないですね。

またエラスティガールも、日本版のパンフレットなどでは「インクレディブル夫人」となっています。エラスティガールは大活躍しています。Mr.インクレディブルと同じぐらいか、もしかしたらそれ以上に☆ アメリカ合衆国では夫婦とは対等な男女が結婚という契約に基づいて一緒になるという考えが一般的ですので、エラスティガールはインクレディブル夫人であり、子供たちの母親なのですが、あくまでエラスティガールなのです。作品では一般人の生活に適応しようと家事に子育てに忙しくしているうちに、スーパー・ヒロインとしての積極性と行動力を忘れていましたが、デザイナーのエドナ・モードの言葉でエラスティガールとして、また妻として母親として立派に大活躍します☆

わかりやすさ、ストーリー構築技術、ひらめき、発想、ユーモア、テンポ、すべてにおいて独走状態です。

一方、アニメーションにかぎらずですが日本はソフトが弱い。ピクサー作品を観ると、つくづくそう思います。

「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」――必見です。


∇無料レポート
「『ファインディング・ニモ』が教えてくれる、わかりやすくする7つの方法」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
∇「Mr.インクレディブル」には死や暴力が一部含まれています。米国ではPG
 指定(大人と一緒に観賞するのが望ましい)です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1「アイアン・ジャイアント(The Iron Giant)」1999 アメリカ合衆国
  宇宙からやってきた巨大ロボットと少年が出会うアニメ作品。

アイアン・ジャイアント スペシャル・エディション
ブラッド・バード

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――――――――――――――――――――――――――――――――――
Mr.インクレディブル
アイリーン トリンブル Irene Trimble 橘高 弓枝

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the art of Mr.インクレディブル
マーク・コッタ・ヴァズ スタジオジブリ 那波 かおり

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12/01/2004

ハウルの動く城(HOWL`S MOVINGCASTLE)

宮崎駿監督/日本/2004年/119分
原作:『魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉』徳間書店

●心踊りながら絵本のページをめくるかのような世界に、戦争というテーマを織り交ぜようとした。際立つのは特徴的なキャラクターと、様々な表情をみせる空模様。

Story(ストーリー)
―――――――――――――――――――――
魔法と科学が混在する世界。愛国主義が色濃く、各地で戦争が続いている。亡き父が残した帽子屋で働くソフィーは街でハウルに出会う。それがもとでハウルをつけ狙う荒地の魔女に呪いをかけられ、ソフィーは90歳のおばあさんにされてしまう。
ソフィーは街を離れて荒地に行き、ハウルの動く城に掃除婦として住み込む。ハルルをはじめ火の悪魔カルシファーやマルクルと暮らすうちに次第にうちとけ、家族のようになっていく。
だが戦争は激しくなる一方で、ハウルにも魔法使いとして戦力になるようにとの国王から使者がやってくる。
自分勝手に生きてきたハウルはソフィーと出会うことで、守るべきかけがえのないものができる。


Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ソフィー
 帽子屋の娘。18歳の娘が荒地の魔女に魔法をかけられて90歳におばあちゃん
 になる。

△ハウル(ジェンキンス、ペンドラゴン)
 魔法使い。青年。

△カルシファー
 火の悪魔。動く城の暖炉に住む。動く城の動力源。

△マルクル
 ハウルの弟子。子供。

△荒地の魔女
 元キングズベリー王室付魔法使い

△サリマン
 キングスベリー王室付魔法使い

△ヒン
 犬。サリマンの手下。ソフィーになつく。

△カブ
 頭がカブのカカシ。


Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
心踊りながら絵本のページをめくるかのような世界に、戦争というテーマを織り交ぜようとした。際立つのは特徴的なキャラクターと、様々な表情をみせる空模様。
 
「ハウルの動く城」ではメロドラマをやるという噂を聞いていた。たしかに宮崎風メロドラマではあるのだが、そこに戦争というテーマを絡ませようとした。そのため、作品を貫く1本線がみえなくなっている。

「風の谷のナウシカ」は自然環境と地球の未来というしっかりしたテーマを持っていた。テーマを中心にして風の谷、腐海といった世界観を構築して、ナウシカというひとりの少女の姿を通してエンタテイメントとして楽しめる作品になっていた。

「風の谷のナウシカ」の原作漫画はかなり哲学的なテーマを扱っているようにみてとれる(特に最終巻は哲学問答かのようなところがある)。

「ハウルの動く城」の世界では愛国主義が色濃く戦争中である。「政治と戦争」といったテーマを取り込んでなにかしらのメッセージを伝えたいという思いがあるのだろうが、メロドラマとの連携はうまくいっているとはいえない。

スタジオジブリの映画作りの方法は、宮崎監督がおおまかな全体像をすべてひとりで決めて、スタッフにそれぞれ仕事を振り分けるというやり方だという。

宮崎監督は、だれかからヒントを得てそれがいいと思ったら、それまで1年ほど準備していた企画をすぐにやめて、一気にストーリーの全体像を作り上げてしまう、そんな人らしい。

直感と思いつきを一気に物語にできる瞬発力を持った宮崎監督の作品は、みんなでアイデアを出し合ってストーリーを作り上げたものではない。宮崎監督の想像力で構築された世界を表現したものなのだ。

宮崎監督のイマジネーションの世界は独特の雰囲気があり、多くの人々の心を掴むことができる。それは個性あるキャラクターと飛行機や空や街や乗物の造形力に依るところが大きい。

「ハウルの動く城」では特に空模様の描写がすばらしい。空というのは1日のうちでも時間によってじつに様々な表情をみせるものだ。空を何時間もじっくり眺めたことがなければ、あのように表情豊かな空を描くことはできないだろう。

キャラクターはどれも個性豊かだ。火の悪魔カルシファーやカカシのカブなど、特徴があって一度観たら忘れそうにない。

また、ソフィーや荒地の魔女の動きなどの年配者の描写にリアリティがある。これは宮崎監督がソフィーの歳に近づいてきたから描写が緻密になってきたというのもあるかもしれない。
このあたりの描写やセリフにはユーモアがあり、アニメーションといえども子供だけでなく年配者も楽しめるようになっている。

過去の宮崎監督作品群はどれも独特の世界観があり、特徴的なキャラクターが登場する。しかしストーリー構築のうまさにはばらつきがある。どうしてだろうと思っていたが、宮崎監督の作品は類稀なる瞬発力で一気に作られるというのでその謎がとけたような気がする。

日本には宮崎監督のように、思いつきやヒントを一気に物語にできる稀有な才能を持った巨匠がいる。こうした巨匠がジャパニメーションや漫画で才能を発揮してきた。例えるなら一握りの天才が支える国のようなものだ。三国志でいえば蜀の諸葛亮孔明だ。

これに対して欧米では、たいていチームを組んでストーリーを練り上げていく。

日本式と欧米式。どちらにもプラスとマイナスがある。どちらがよいわるいではなく、どちらの方式にせよ確かなことは、「ベテラン」「巨匠」という名の厚い雲が空を隙間なく漂っていたのではあたらしい才能がなかなか活かされないということだ。

ベテランは技術は豊かだが、ひらめきと思いっきりに弱い。

ルーキーは技術は乏しいが、ひらめきと思いっきりに強い。

両者を活かす環境づくりが必要だ。巨匠はもう階段を登るのがキツイのだ(若くたって運動していなければキツイだろうが)。

ベテランで技術もひらめきもあって思いっきりがある、そんな稀有な才能の持ち主――それが宮崎駿監督だ。


∇「吉祥寺自由業日記」さんの『自意識という呪い』というタイトルのわかりや
 すくすばらしい記事をみつけました。

∇アニメの巨匠」については「スチームボーイ(STEAM BOY)」のレビューもどうぞ

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魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉
ダイアナ・ウィン ジョーンズ Diana Wynne Jones 西村 醇子

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ハウルの動く城 サウンドトラック
久石譲 新日本フィルハーモニー交響楽団

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4197202377
ロマンアルバム ハウルの動く城
アニメージュ編集部

ハウルの動く城徹底ガイド―ハウルとソフィーふたりの約束 ハウルの動く城 (1) ハウルの動く城―宮崎駿監督作品 The art of Howl’s movingcastle―ハウルの動く城 ハウルの動く城 (2)
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11/30/2004

ドラゴンヘッド

※この記事は映画「ドラゴンヘッド」公開以前に書かれたものです。記事の目的は、原作漫画を紹介しつつ、映画のヒットの可能性を探る(予測)するというものです。
映画「ドラゴンヘッド」はすでに劇場公開してDVDも発売しています(2004.11.30現在)
映画「ドラゴンヘッド」のレビューはありません(映画作品は未見のため)

●サバイバルという柱に、恐怖を描いている作品   

〔1〕Theme(テーマ)
―――――――――――――――――――――
恐怖


〔2〕ストーリ(Story)
―――――――――――――――――――――
修学旅行の帰りの新幹線がトンネル内で事故に遭う。生き残ったテルたちは暗闇と死体の山の中で精神的に追いつめられていく。トンネルが崩れ出し、テルたちは外へ脱出する。外は暗く荒廃した世界。テルたち東京へ帰ろうと歩き出す。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
■テル(妻夫木聡)

■アコ(SAYAKA)

■ノブオ


〔4〕・1 セットアップ
―――――――――――――――――――――
(セットアップの役割はストーリーを理解するのに必要なすべてのカギとなる情報を観客に与えること)

主人公はだれか      →テル
何についてのストーリーか →サバイバル・脱出・恐怖
どこを舞台としているのか →世紀末の日本、関東地方

どのような状況でストーリーが展開しようとしているのか。
→なにが起こったのか不明。

登場人物は何をしているのか
→なにが起こったのか知ろうとしている。生き延びるために行動している。


〔4〕・2 カタリスト(きっかけ)
―――――――――――――――――――――
(カタリストとは、ストーリーをはじめるための出来事のこと)

テルたちの乗った新幹線はトンネル内を走行中、なにかが起こった。テルは生き残るために決断を下す。

ストーリーをはじめる具体的な出来事がなんなのか
→不明


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
●サバイバルという柱に、恐怖を描いている作品

カタリスト(きっかけ)となる出来事が不明になっている。このため、読者(観客)は、いったいなにが起こったのか知りたい、という欲求を持ちつづけながら、次にどうなるのかとページをめくる(観つづける)。

トンネル内に閉じ込められた新幹線――。闇に包まれた車両には同級生たちの死体がある。こうした異常な状況下で生き残ったテルとアコとノブオは精神的に追いつめられていく。

ノブオはついに、狂ったとしか思えない行動をはじめる。やがて人間対人間の軋轢や葛藤や対立に発展していく。


カタリストが不明 (なにが起こったの知りたいという欲求)
   ↓
異常な状況   (異世界への興味・不安・恐怖)
   ↓
人間対人間の対立(人間についての興味・恐怖)


興味を持続させながら、特殊な状況に観客をとり込み、人間の変化が描かれる。こうしたなかでトンネルが崩れ出し、テルたちは脱出を試みる。

セットアップからインパクトが強く、観客を作品の世界に取りこみ、興味を持続させながら新たな対立構造(テルとノブオの対立)を描きつつ、トンネルから脱出する。この一連の流れが見事である。
 

〈ビジュアルバリュー 視覚的価値〉
テルたちの乗った新幹線はトンネル内で事故に遭った。電気は止まり、車内もトンネル内も真っ暗である。テルたちは懐中電灯をみつけ、車内や車外を調べる。懐中電灯の光だけで視界が限定されるため、恐怖心が煽られる。懐中電灯が照らし出すのは同級生の死体――。空腹と暗闇。そして汗。じっとしていても暑さで汗が滲み出る。いったい何がおきたのか。救助はくるのか。

映像の強みは光を自由に操れることである。暗闇、暑さ、を視覚的にうまく表現できれば、ひとつ世界を構築できる。その世界はビジュアル的に怖い雰囲気を漂わせることもできる。


〈恐怖〉
3つの恐怖

(1)音や光で作る怖い雰囲気
(2)特殊な状況下で露になる人間の恐怖心。
(3)人間の恐怖心が作り出す新たな恐怖

ビジュアル的にも精神的にも「恐怖」を描いている。映画が(1)番はもちろんのこと、(2)番から(3)番までをきちんと描くことができれば成功するだろう。
 
成功のための要素はいくつもある

・サバイバルの欲求
・特殊な状況下という世界観の構築(荒廃した街並)
・人間についての恐怖を描く(人間を描くドラマである)
・ホラー

たいていのパニックものは、主人公たちが通常ありえないような危機と遭遇して、いかにそこから脱出するかを描く。(例「ポセイドン・アドベンチャー」) 
「ドラゴンヘッド」で主人公たちは危機に遭遇するが、トンネルから脱出して終わりではない。そこから東京へ帰るために歩き出すことで物語はつづいていく。(トンネルから脱出で終わるのは「デイライト」

ここが従来のパニックものと違うところである。「ドラゴンヘッド」は脱出劇ではない。人間の「恐怖」を描くことが目的なのである。そいうった意味では本当の恐怖作品である。


〈キャラクター・配役〉
テル役に妻夫木聡さん。ウォーターボーイズではさわやかな青年を演じ、好感度の高い俳優さんである。「ドラゴンヘッド」の世界観のなかでテルの不安、恐怖、悲しみ、怒りなどをどのように演じるのか期待したい。

アコ役にはSAYAKAさん。出演した短編映画「おはぎ」がカンヌ国際映画祭で短編パルムドールを受賞。

どちらの俳優さんも知名度があるため、若い層に注目を集めるだろう。
 
原作は連載が94年から99年のため、20代から30代にも広く知られている。10代20代を中心に30代までは最も映画をよく観る層である。この層に広く知られている原作なだけに、日本国内での話題性はかなり高くなりそうだ。

企画・制作にかかわっているTBSは映画単体での収支を優先しているという。映画制作に企画から積極的に取り組んでいるTBS関連の映画という意味でも、気になる映画だ。

(原作漫画:週刊ヤングマガジン連載終了 連載期間94.9~99.12)

※セットアップ、カタリストは原作「ドラゴンヘッド」による。映画版「ドラゴンヘッド」のセットアップ等がどのようになるかは不明。


漫画(コミック)「ドラゴンヘッド」
「ドラゴンヘッド (1)」望月 峯太郎 講談社
ドラゴンヘッド (1)


映画「ドラゴンヘッド」飯田譲治監督
ドラゴンヘッド
ドラゴンヘッド


漫画(コミック)一覧


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08/07/2004

トレジャー・プラネット(TREASURE PLANET)

トレジャー・プラネット
佐々木優子 山寺宏一 郷里大輔 ジェイムズ・ニュートン・ハワード 加藤晴彦 小林聡美
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
2004-01-21


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ジョン・マスカー&ロン・クレメンツ監督/2002年/アメリカ 原作 : 「宝島」 ロバート・ルイス・スティーブンソン

●新たなファンタジーワールドで少年の成長を描いたアドベンチャー作品

〔1〕プレミス(Premise)
   ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア

―――――――――――――――――――――
少年が旅に出て成長する。


〔2〕ストーリー(Story) 
―――――――――――――――――――――
惑星モントレッサに住む15歳の少年が財宝の地図を手に入れて宝捜しの航海
に出る。さまざまな試練や苦難に遭い、失うものもあるが、旅を通して、かけ
がえのない自分の宝物を手に入れる。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ジム・ホーキンス
 惑星モントレッサに住む15歳。父は家族を捨てて出ていき、母が宿屋を営み
 ながらジムを育ててきた。

△ジョン・シルバー
 宇宙船レガシーの料理長

△アメリア船長
 宇宙船レガシーの船長。(猫タイプ)

△ドップラー博士
 宇宙物理学者。ジムの母親が経営する宿屋兼食堂(ベンボウ亭)の常連客
 (犬タイプ)。

△ビリー・ボーンズ
 宿屋の近くに不時着した小型宇宙船に乗っていた瀕死の男。

△モーフ
 何にでも姿を変えられる小さな生き物。

△ベン
 ロボット。おしゃべり。
 

〔4〕・1 キャラクター・アーク(Character Arc)
―――――――――――――――――――――
(ストーリーの中でのキャラクターの経験を通して起こる、キャラクターの
 性格や価値観の変化)

宇宙船レガシーの料理長ジョン・シルバーは財宝乗っ取りを企んでいる。その
ためには、財宝の場所を示す黄金の金属球を手に入れる必要がある。そこで、
少年ジムを手なずけようとする。

ジムはそんなジョン・シルバーに父親像を見出す。

ジムから慕われるようになったジョン・シルバーは親心に似た感情が芽生えは
じめていることに気づく。

財宝を手に入れるためにジムを利用していたつもりだったジョン・シルバーは、
クライマックスで、財宝かジムか、の選択に迫られる。


〔4〕・2 モチベーション・行動・ゴール
―――――――――――――――――――――
〈モチベーション(動機)〉
 黄金の金属球(宝の地図)を狙う海賊に住居兼食堂(ベンボウ亭)を焼かれ
 たため、ジムは財宝を求めて宇宙の航海へ出ようとする。
 
〈行動〉
 ドップラー博士の協力で宇宙船レガシーをチャーターして、財宝探しの航海
 に出る。
 
〈ゴール〉
 かけがえのない自分の宝物を手に入れる。
 

〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
新たなファンタジーワールドで少年の成長を描いたアドベンチャー作品。

作品のキーワードは、父と息子、愛、友情、成長だ。そして、作品の舞台は想
像上の宇宙だ。

SF作品では、新たな世界観を観客に提示すると同時にキャラクター紹介やスト
ーリーのきっかけ(カタリスト)を提示しなければならない。世界観がしっか
り構築されており、なつかつ、わかりやすく、すんなりと観客にその世界観が
伝わるようにするのはたいへんだ。

この点、「トラジャー・プラネット」は有名な原作「宝島」を元に、作品の舞
台を想像上の宇宙にしている。
ゼロからまったく新たな世界を構築することはできない。どんなに新しいと言
われる世界観や物事でも、すでにあるもののうち、複数の組み合わせの中から
新しい世界観や物事が作られるのだ。

すでにある世界観や物事が有名であればあるほど有利だ。というのは、すでに
ある世界観のどの要素を変更したのか、どの要素を追加したのかを観客に知ら
せるだけで、あとの世界観についての細かい説明をする必要がないからだ。

「トレジャー・プラネット」では新たなアニメーション技術を取り入れてると
いう。それは、手描きアニメーションとCGの融合だ。これによって、想像上の
宇宙空間や世界観を表現することができるようになった。

また、ディズニーアニメはキャラクターが特徴的だ。映画がヒットすればキャ
ラクター商品は売れ、様々な商業的価値が生まれる。

アメリア船長やドップラー博士がそれぞれ猫タイプと犬タイプなのも、キャラ
クターをより際立たせる効果がある。これは登場人物同士の関係性の変化――
お互い正反対のキャラクターに見える二人が、お互いを知り合い、慕い合って
いくようになる様子――を描くのに有利だ。
つまり、航海での様々な試練に遭遇することで、女船長で行動的な猫キャラク
ターであるアメリア船長が、学者で分析思考的な犬キャラクターのドップラー
博士に徐々に惹かれていく一方で、ドップラー博士もたくましい面を見せてア
メリア船長を守り、彼女に惹かれてゆくという過程(恋愛)を描いているのだ。

また、ジョン・シルバーのキャラクターが注目だ。財宝を手に入れるために身
体の一部を失いながら、料理長として船に乗り込んでいる。あくまでも目的は
財宝だが、ジムと出会うことで父親的な感情が生まれ、単に善悪では割り切れ
ない複雑な深みのあるキャラクターに成長していく。
際立った特徴を持ったキャラクターがストーリーを通して成長していくのが、
主人公のジムだけでなく、ジョン・シルバーやアメリア船長やドップラー博士
にも共通しているのだ。

ディズニーアニメはほんとうにテンポが良い。ジョン・シルバーが船を乗っ取
る掛け声をしてから、ジルとアメリア船長とドップラー博士が宇宙船レガシー
から小型船で退避するまでの息もつかせぬスピードと展開は全く無駄がない。

宝の地図。航海。嵐。海賊による船乗っ取り。島(星)に漂着。探検。財宝。

このように、航海を扱った作品にお約束の要素がすべて揃っている。
また、航海、父と息子、成長、変化と聞いてすぐに思い浮かべる作品がある方
もいるだろう。そう、「スター・ウォーズ」シリーズだ。宇宙を舞台とし、様
々な生物が登場するなど、似ていると感じる部分があるだろう。
 
あらゆる名作はすべて神話の要素を持っている、という説もある。「スター・
ウォーズ」は神話の構造を取り入れた作品であり、「トレジャー・プラネット」
は「宝島」を原作としているので、似ているのは当然ともいえる。

ジョン・シルバーは、実は昔に家を出て行った、ジムの父親だった!! とい
うのでは? と思った人も多いらしい。
そこまですると、スターウォーズそのまんまになってしまうと思ったのかどう
かはわからないが、ジョン・シルバーがジムのほんとうの父親だという設定で
はなかった。

全く無駄のないストーリー構成で、またしてもディズニーの職人芸を満喫した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン Robert Louis Stevenson 金原 瑞人
偕成社
1994-09


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トレジャー・プラネット オリジナル・サウンドトラック
――――――――――――――――――――――――――――――――――
∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
―――――――――――――――――――――――――――――――――
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08/05/2004

スチームボーイ(STEAM BOY)

スチームボーイ 通常版
バンダイビジュアル
2005-04-14


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大友克洋監督/2004年/日本

●監督の持ち味である緻密で凝った映像は健在。キャラクター不在でストーリ
 ーはなし。
 例えるなら、運転手のいない蒸気機関車が、乗客のいない客車を連結し、円
 周の線路を全速力で走り回っている、といったものだ。

Story(ストーリー)
―――――――――――――――――――――
19世紀、産業革命期の大英帝国。少年レイは、巨大な力が封じ込まれているス
チームボールを悪用されないように奮闘する。


Main Character (主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ジェームズ・レイ・スチム
 少年。発明一家に生まれる。

△スカーレット・オハラ・セントジョーンズ
 少女。オハラ財団創設者の孫娘。

△ジェームズ・ロイド・スチム
 博士。レイの祖父。

△エディ(ジェームズ・エドワード・スチム
 博士。レイの父。


Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
●監督の持ち味である緻密で凝った映像は健在。キャラクター不在でストーリ
 ーはなし。
 例えるなら、運転手のいない蒸気機関車が、乗客のいない客車を連結し、円
 周の線路を全速力で走り回っている、といったものだ。

19世紀、産業革命期の大英帝国(イギリス)の世界観を細部まできっちりと細
密画のように描いている。監督の美術・映像の表現技術は超一級だ。

それは前作「AKIRA」で世界に知らしめたものだ。「AKIRA」ではネオトーキョ
ーという独創的な世界観を構築して、圧倒的に緻密で斬新な映像表現で世界を
震撼させた。

なんだかわからないけれどもスゴイ! というのはマニア受けする基本である。
なんだかわからないけど、独特の世界観を細かいところまで描いている。その
映像的なスゴさと、万人には理解できそうもない孤高で奥深さを感じさせるも
の――これはマニアが好むものだ。

マニアマーケットをピンポイントで狙って作品を作っていけば、大ヒットはし
ないまでも、マニアマーケットではずっとヒットを飛ばしつづけていける。全
体でみても、マニアの圧倒的支持を受ける作品、監督というポジションを維持
していける。

確固たる地位を捨てて、こんどは多くの人に楽しんで観てもらえる作品を作ろ
うと一大決心をした……わけではないらしい。それは「スチームボーイ」を観
ればよくわかる。

おそらく、長引く制作期間(9年)と膨れ上がる制作費(24億円)によって、
マニアマーケットだけでは苦しいと思い、万人受けすることを狙って少年を主
人公にした冒険活劇にしたのだろう。

そうだとしたら、この狙いは見事にはずれた。マニア受けしずらく、かといっ
て万人受けもしずらい中途半端な作品になってしまった。

蒸気、機関車、飛行船、潜水艇というメカニックなものを描きたくて、そのた
めにキャラクターとストーリーを取って付けた、という印象を受ける。

〈∇キャラクターが確立していない〉
オハラ財団の少女スカーレットは、ことあるごとに登場するのだが、その発言
と行動に一貫性がない。次々に起こる状況変化に反射的になにかを言ったり、
行動したり、といったことが延々と続き、その言動に1本の基本線がまったく
感じられないのだ。そのため、スカーレットがただのヒステリー少女に見えて
しまう。
たとえば、そいういうキャラクターにわざと設定して、それが伏線(Pay Off)
として後に活かされる(Pay Offの解消)になればよいが、そのようなことは
なかった。

これは、キャラクター造形をまったく行っていないことによるものだろう。ス
カーレットを作品のなかでどのような役割を持たせるのか、その役割によって
他の登場人物にどのような影響を与えるのか。

「スチームボーイ」にとって、おそらくそんなことはどうでもいいのだろう。
蒸気を中心とした世界を描くことが第1目的なので、そのためのキャラクターや
ストーリーはどうでもいいと割り切っているとしか思えない。

〈∇ストーリーがない〉
ストーリーを例えるならば「運転手のいない蒸気機関車が、乗客のいない客車
を連結し、円周の線路を全速力で走り回っている」といったかんじだ。

一見すると、ストーリーが進んでいるようで、実は進んでいない。この原因は、
主人公レイに限らず、キャラクターの造形が行われていないためだ。

観客はキャラクターの行動や動機について十分にうなづけるものがなければな
らない。そうでなければ、主人公がなにをやってもその行動が薄っぺらく無意
味なものと思えてしまう。

キャラクターについて一番大事なことは「観客によるキャラクターへの感情移
入」だ。

ストーリーは、感情移入されたキャラクターの行動を通して動き出す。
そういった意味で「スチームボーイ」ではストーリーが進んでいかないのだ。

〈∇ストーリーの緩急がない〉
また、作品の中盤~後半~ラストまで、まったく息をつく間がない。これはマ
イナスな意味で「息をつく間」がないのだ。

後半はひたすらパイプの配管がめぐらされた機械室に蒸気が噴き出すシーンと
いったものが延々と続く。フルコースの料理だと思ったのに、メインディッシ
ュの肉(こってり系)しかでてこないレストランみたいだ。

ストーリーには緩急が必要だ。観客は緊張の連続に絶えられない。谷があるか
ら山がある。ずっと山ではどこが山かわからくなり、山も谷もなくなってしま
うのだ。

「スチームボーイ」は、まるで若いインディーズ監督が、溢れ出る才能とセン
スを、体力のつづくかぎぎり注ぎ込んだかのようだ。

〈∇テーマは悪くないが、新しさがない〉
テーマ(「科学の進歩は人類に幸せをもたらすのか」)は普遍的で使い古され
たものだけに、そこに斬新さが求めれる。

19世紀の大英帝国という時代と、テーマは合致しているが、なぜ「今」そのテ
ーマなのか。日本のアニメーション作品が描くテーマと場所としてなぜ19世紀
の大英帝国なのか。

逆に考えてみよう。イギリスの巨匠といわれる映画監督が、なぜ日本の幕末明
治維新期を描くのか――と。

日本にも蒸気機関がよく使われた時代もあった。その時代設定にしても良かっ
たのではないか。

だが、テーマにしても、どうでもいいのかもしれない。ただメカニカルな映像
が作れればよいのかもしれない……。

〈∇月が太陽になろうとした〉
たとえるならばこうだ。

月 ⇒大友克洋
太陽⇒宮崎駿

山に例えると、それぞれが山の頂上にいる。「月の山」を降りて「太陽の山」
に登ろうとしても、決して「太陽の山」の頂上に辿りつけない。頂上には太陽
がいるのだから。

宮崎駿監督の作品は大ヒットしている。
海外でも公開され「Miyazaki'sSPIRITED AWAY(千と千尋の神隠し)」はアカデ
ミー賞(2003年)第75回長編アニメ賞 と、ベルリン映画祭(2002年)第52回作
品賞(金熊賞)を受賞した。

月も太陽になりたいと思ったのか、それとも、太陽のおいしいところだけ利用
しようと思い付いたのか、どちらにしても、「天空の城ラピュタ」や「ハウル
の動く城」に似た個所が「スチームボーイ」にはある。

「ハウルの動く城」公式サイト 

宮崎駿監督は飛行機が好きだという。飛行機が飛び交うシーンをたくさん描き
たくて、豚の飛行機乗りを主人公とした「紅の豚」という作品がある。豚が主
人公というなんともニヒルでユーモアがあってCoolでなおかつ温かみのある作
品だ。そもそも題名が「紅の豚」。題名だけでつかみはOKだ。
ほかにも「ダーク・ブルー」という作品をスタジオジブリが洋画配給している。

自分が好きで好きでたまらないモノやコトがあるというのはとても良いことだ。
好きなことをやって飯が食えるのもいい。さらに多くの人にも楽しんでもらえ
たら最高だ。

これらすべてが揃うことは稀だ。時代というタイミングが合うかどうかという
のもあるし、自分が楽しいことを、はたして他人も楽しいと感じるかというの
もある。

こうした複雑な要因や状況が絡み合ってもなおかつ大ヒットするというのは、
ほんとうに稀なことだ。奇跡に近い。

好きでたまらないモノやコトを万人受けするように提供するには、自分の他に、
もうひとつの視点が必要だ。

宮崎駿監督は「もうひとつの視点」を大事に持って、最大限発揮できるよう心
掛けているのが作品から伝わってくる。

月が太陽になる必要はない。月には月の魅力がある。月を必要としている人が
いる。

〈∇よい仕事をする究極の職人〉
「スチームボーイ」の監督は、映像・美術監督というポジションでは最高の手
腕を発揮する。ストーリーテラーではなく、最高の技術屋・職人なのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
――――――――――――――――――――――――――――――――――
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―――――――――――――――――――――――――――――――――― 
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04/24/2004

アップルシード(APPLESEED)

APPLESEED
士郎正宗 荒牧伸志 小林愛 小杉十郎太
ジェネオン エンタテインメント 2004-11-25


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荒牧伸志監督/2004年/日本/103分 原作:士郎正宗『アップルシード』

○独自の世界観を構築し、斬新な映像をみせ、さらに人間の感情を描いている。
  CG・アニメーションというハードと、テーマ・感情というソフトを融合させ、
  日本でしかできないことを大胆かつ戦略的に実行した作品

〔1〕テーマ(Theme)
―――――――――――――――――――――
ヒトの未来。愛。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
西暦2131年、世界を壊滅させて非核大戦が終結。伝説の女戦士デュナンは麻酔
弾を受け、理想郷オリュンポスに連れてこられる。オリュンポスの人口の半分
はクローン人間・バイオロイドであった。政治を司るバイオロイド。軍部を牛
耳るヒト。軍部がバイオロイドを敵視するなか、ヒトの未来を揺るがす計画が
進行していた。
デュナンはかつての戦友であり恋人であったブリアレオスと再会する。だがサ
イボーグとなった彼は感情を露にすることなく、いまの自分の任務はデュナン
を守ることだと言うのみであった。
やがてデュナンは、ヒトとバイオロイドの未来の鍵となる「アップルシード」
の存在を知る。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△デュナン(ヒト)
 女戦士

△ブリアレオス(ヒト/サイボーグ)
 非核対戦でデュナンと離れる。のち、負傷してサイボーグとなる。

△ヒトミ(バイオロイド)
 オリュンポスに優秀なヒトを入植させる任務を受けている。

△アテナ(バイオロイド)
 オリュンポスの行政総監(大統領)

△クラノス将軍(ヒト)
 オリュンポス正規軍(軍)の司令官。バイオロイドを敵対視する。

△七賢老(ヒト)
 七人の老人。ガイアと共にオリュンポスの最終意思決定機関を構成する。

△ニケ(バイオロイド)
 アテナの部下。ES.W.A.Tを統括する。

△ハデス(ヒト)
 ラウノス将軍の部下。

△義経(バイオロイド)
 メカニック。ヒトミの友人。
-------------------------------
▽オリュンポス
 非核大戦後、地球全土を統合した、巨大人工都市

▽ガイア
 オリュンポスの都市機能を司る巨大コンピュータ。ヒト社会の安定を目的と
 として、七賢老との対話によってオリュンポスの最終意思決定を行う。

▽ランドメイト(LAND MATE)
 搭乗者の動きを正確にトレースする武装機器。ロボットスーツのようなもの。


〔4〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
独自の世界観を構築し、斬新な映像をみせ、さらに人間の感情を描いている。
CG・アニメーションというハードと、テーマ・感情というソフトを融合させ、
日本でしかできないことを大胆かつ戦略的に実行した作品。

いままで観たことない不思議な映像体験ができる。この作品は「モーションキ
ャプチャー」という技術で、実際の人の動きをCG化して、その映像をもとに
「トゥーンシェイダー」と呼ばれる技術を用いて、キャラクターをアニメのセ
ル画のような雰囲気で表現している。

キャラクターの動きは人間の動きのようになめらかで、表情などはアニメのセ
ル画で描かれる。この組み合わせは大胆で戦略的だ。このため、いままで観た
ことない独特の映像となっている。

全編フルCGアニメーションで、ヒットしている作品に特徴的なことは以下↓だ。

◇CGでしか描けない、またはCGで描いたほうが利点があるものをCGで描いている
 (例:ピクサー作品における「モンスター」「おもちゃ」「魚」)

つまり、CGで描くことに意味がある対象だけをCGで描いているのだ。。
かつて、全編フルCGで制作した、ある作品があった。その作品は人物をすべて
CGで描くというとてつもなく壮大なチャレンジに莫大な資金と投入した――が、
その作品はヒットしなかった。

はたして、CGを用いて実際の人間と見間違うほどにそっくりに描く必要がある
のか。本物の人間を起用したほうが早いのでは? と一瞬でも思わなかったは
ずがない……。
CGで人間そっくりに描いたんだぞ、といわれても、「すごいね!」の一言で終
わってしまう。もしかしたら「それで?」と言われてしまうかもしれない。

CGという技術はお金と時間をかければ本物と見間違うリアルな表現ができるの
で、新しい技術ができたばかりのころは、つい「リアル」の表面的な意味だけ
に注目してしまいがちだ。「リアル」の表面的な意味とは、実物にできるだけ
そっくりに描くことを目標・目的にするということだ。

絵画を例えにしてみよう。
歴史上での絵画の役割のひとつは、対象を具体象として示すことだった。王侯
貴族の肖像画などがそうだ(凛々しく描くなど多少の脚色はあっただろう)。
だが、19世紀中頃の写真技術の広まりは、絵画にとっての脅威となった。

そこで近代絵画は、写真技術のリアリティに対抗する表現を模索・実験するよ
うになる。

なぜなら、写真技術が広まったにもかかわらず、絵画が写真よりも客観的で正
確に対象を描写しようとしても、時間と労力を使うだけで、とうてい写真には
かなわない。ならば、絵画の特性を活かした手法を編み出していくために時間
と労力と資金をかけたほうがよいと考えたからだ。
こうした試みが近代絵画の発展の歴史だと言える。

「アップルシード」は、比較的新しい技術である「CG」と日本で独自の発展を
とげてきた「アニメーション」を融合させることで、実写作品にもアニメーショ
ン作品にもなかった「新しい表現」を実現させた。

まさに日本でしかできなかった偉業といっていいだろう。さらにである。さら
に「アップルシード」には今日的な深いテーマを持ち、人間の感情を描いてい
るのだ。

今日的な深いテーマとは「ヒトの未来」である。ヒトという種は妬みや怒りの
感情を強く持つと互いに傷つけ合って争いをはじめる。様々な人種がお互いに
傷つけ合うことなく生きていくにはどうしたらよいか。

かつては国家対国家の対立であったが、現代は民族・人種対民族・人種の対立
の時代だと言われる。国家、民族、人種、これらの根本である「ヒト」の未来
はどうなるのか、どうすればよいのか。

ユートピアといわれるオリュンポスでは、都市機能を司る巨大コンピュータで
あるガイアと、七人の老人から成る七賢老とが対話を続けている。たとえ結論
が出ているように思えても、対話を続けることが必要であり、重要だという。

現実の国際社会においても、国連という対話の場がある。しかし、国連の維持
費負担金が多い国の発言力が強かったり、一部の力ある国は自国の都合のいい
ように行動したりする。

こうした今日的な現実の縮図のようなものがしっかりと作品に組み込まれてい
るのだ。

また、SF作品でよく扱われる題材に「ロボットの反乱」がある。人間を助ける
目的で開発・製造されたロボットが、やがて意思を持ち、人間に反旗を翻えす、
といったものだ。そこには、人間にきわめて近い「感情」を持つようになった
ロボット(アンドロイド)の苦悩と哀愁が漂っていたりもする。

ヒトの未来、生きる意味、愛――。こうした題材を語るのに、ヒトでないもの
(アンドロイド)の視点で描く。すると、題材との距離を保つことができる。
距離ができたことで、対象を客観的に見ることができるのだ。こういった意味
で、ヒトとは? 生きるとは? 我々は、自分はどこへ向かっているのか?
といった哲学的なテーマにとってSFは格好の「場」なのだ。

SFの世界観を描くのに有利な国はどこか。それは日本だ。SF作品として有名な
「ブレードランナー」を観たSFファンの欧米人が日本の秋葉原にやってきて写
真を撮りまくり、「まさにブレードランナーの世界だ!」と目を輝かせたとい
う話も聞く。

「アップルシード」はSFの世界観を構築しただけでなく、そこにわかりやすさ
の工夫と、今日的テーマを加えている。
「アップルシード」は、
〈1〉独自の世界観を持つという「強み」を活かし
〈2〉あまり哲学的になりすぎずに、
〈3〉今日的テーマをもっている。

キャラクターについては、デュナンとブリアレオスの関係について簡潔に説明
しているのがよい(二人はかつて恋人であった。ブリアリオスは北アフリカ戦
線で身体を失い、サイボーグになった)。たとえ簡潔な説明であっても、かつ
て恋人同士であり、戦友であった二人の関係を想像することはできるからだ。

またデュナンが新しく出会うヒトミについても、クローン人間(バイオロイド)
であるが故の興味や感情(恋や愛について情報ではわかっているが、どんなも
のか実感したい)といったものが描かれている。これは妬みや怒りの感情が小
さく抑えられている優良種バイオロイドのプラスな面と対比して、ヒト=人類
の妬みや怒りの感情が大きいマイナスな面を強調しつつも、だれかに恋をした
り愛したりするいった「感情」のすばらしさを強調しているのだ。

独自の世界観を構築することや、斬新な映像をみせることだけでなく、人間の
感情を描いているというのが、それまでの日本のCGやアニメーション作品との
大きな違いだろう。
(因みに「千と千尋の神隠し」も世界観を持ち、感情を描いている傑作だ)

「アップルシード」はCG・アニメーションというハードと、テーマ・感情とい
うソフトの融合させ、日本でしかできないことを大胆に、戦略的に実行して完
成した作品だ。

日本公開前から世界配給が決定しているが、世界で公開されたら、センセーシ
ョナルを巻き起こすことは間違いない。
「アップルシード」を早く観るために日本に来日している世界各国の方々も少
なくないだろう。

作品の最後がまた良い。(詳しいことは書かないが)七賢老たちが「無理心中」
のようなことをしようとするが、最後の最後に思い直して「希望」を残すのだ。

不良債権問題等、バブル後の失われた10年と言われ、そのときからいまに至る
まで、そしていまも、根本的な問題解決に着手することなく後回しにして、な
んとか逃げ切ろうとしてきた人たちは、はたして次の世代に「希望」を残すつ
もりはあるのだろうか。

オリュンポスの七賢老はヒト社会の安定を目的としてガイアと対話を続けてき
たのだ。その七賢老さえも「無理心中」を図ろうとするのだから、対話するこ
とさえ避けて逃げ切りにやっきになってきた人たちは……。

今日的な深いテーマ・問題を、圧倒的な映像で描く。とにかく映像だけでも観
る価値は充分だ。とにかくスゴイ! という「オーラ」のようなものが確実に
存在する。なにがそんなにスゴイのか、是非とも作品を観てあなたが感じても
らいたい。

もしここに、年に1、2本しか映画を観ない方がいたら――「アップルシード」
をおススメする。 
――――――――――――――――――――――――――――――――――
∇ 「ブレードランナー(サントラ)」バンゲリス
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士郎正宗 荒牧伸志 小林愛 小杉十郎太

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04/15/2004

モンスターズ・インク(MONSTERS,INC.)

モンスターズ・インク
大平透 立木文彦 高乃麗 青山穣 ジョン・グッドマン 長島雄一
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
2004-04-23


by G-Tools
ピーター・ドクター 、デビット・シルバーマン監督 2001年 アメリカ ディズニー・ピクサー

●必要な労力を惜しまない、チャレンジ精神と戦略をもつ、全編フルCGアニ
  メーションの成功作品

〔1〕プレミス(Premise)
   ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア

―――――――――――――――――――――
怖がらせ屋のモンスターが、モンスターズシティに入り込んでしまった人間の
女の子を助けようとする。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
モンスターズインク。そこは人間の子供の悲鳴をエネルギーとして採取する会
社である。ある日、人間の子供(女の子)がモンスターシティに入り込んでし
まう。モンスターズインクで業績トップのサリーは女の子を守り、人間の世界
に帰してあげようとする。
 

〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ジェームズ・P・サリバン(サリー)
 全身を毛で被われた巨体モンスター。
 モンスターズインクで業務成績トップを誇る。

△マイク・マゾウスキ(マイク)
 球体形の、ひとつ目モンスター。サリーとは仕事上の相棒関係である。
 サリーと幼馴染でもあるようだ。

△ブー
 人間の女の子。モンスターズシティに入り込む。

△ランドール・ボッグズ
 トカゲ型モンスター。サリーの仕事上のライバル(業務成績第2位)。
 カメレオンのように体の色を変えることができる。

△セリア
 髪の毛に5匹の蛇をもつ、ひとつ目モンスター。
 モンスターズインクの受付嬢でマイクと熱愛中。

△ロズ
 ナメクジ型モンスター。モンスターズインクの書類担当責任者。
 

〔4〕・1 ルール
―――――――――――――――――――――
モンスターの世界には侵してはならなり3つのルールがある。

〈1〉人間界のものを持ち帰ってはいけない
〈2〉モンスターシティには人間の子供を入れてはいけない
〈3〉人間の子供を愛してはいけない


〔4〕・2 感情的気質/感情的反応
―――――――――――――――――――――
(登場人物の感情的気質はその人物を形づくり、感情的反応はその人物の肉づ
 けを行う)

観客が登場人物(サリー)との一体感を得れば、観客はストーリーの世界へス
ムーズに入っていくことができる。一体感を得るためには、サリーの感情的反
応をわかりやすく描くことが必要だ。

サリーはモンスターズインクの業績トップ社員としての誇りを持っている。だ
が傲慢になることがないため、社員みんなに好かれている(ランドールを除く)。
そんなサリーが人間の女の子のお守をすることになる。最初は女の子を恐れて
いたサリーだが、「ブー」と名前をつけて家に帰そうとする。その途中、ブー
がゴミ処理装置に入れられてしまったと思い込んだサリーは、動転して気を失
いそうになる。

仕事をバリバリこなし、同僚たちから好かれているサリーが、人間の女の子の
お守をすることになる。ブーと名前をつけて、家に帰してあげようとしたり、
ブーのことを心配したりする。こういったサリーの感情的反応に観客は感情移
入する。

また、人間の女の子に「ブー」と名前をつけたことは重要だ。作品中でもマイ
クがサリーに「人間の女の子に名前まで付けてはマズいよ」といった意味のセ
リフがある。名前をつけることで対象を認識し、名前を呼びつづけることで
「ブー」の存在が大きくなっていく。これは観客の感情的反応に大きく関係す
る事柄だ。


〔4〕・3 キャラクター・アーク(Character Arc)
―――――――――――――――――――――
(ストーリーの中でのキャラクターの経験を通して起こる、キャラクターの性
 格や価値観の変化)

仕事熱心で悲鳴獲得ポイントNO1のサリーは、その地位を維持するために精
力的に仕事をこなしていく。常に危険(とされている)と隣りあわせの仕事の
ため、トップの成績を誇るサリーはモンスターシティの人々からヒーローとし
てみられている。

そんなサリーがブーを出会うことで、仕事だと割り切って子供を脅かしてきた
ことについて考えるようになり、ストーリーの最後には今までとは違った目的・
内容の仕事をするようになる。

 
〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
全編フルCGアニメーションの成功作品である。

---------------------------------------------------------------
ある作品が赤字になる可能性が高い要素として、次の3つをあげることができ
る。それは、「水」「未来」「CG」である。

水を狙ったとおりに撮影するのは難しい。ビジュアルエフェクト技術やCG技
術でもまだまだ難しいという。海や川での撮影は天候に左右されやすく、日数
がかかり、俳優やスタッフも危険にさらされる可能性が高い。

SFものは世界観をゼロから構築しなければならない。セットやCGなどの制
作費が膨大になる可能性が高い。

CGアニメはアニメーターやCG技術者の人件費がかかる。制作日数のぶんだ
け人件費がかかるのだ。

----(『映画の達人』日経エンタテインメント!編 日経BPムック参考・参照)----

「モンスターズインク」は全編CGで描かれた作品である。全編をCGで描く
必要があるのか? この問いに対する答えは「必要がある」となる。

ストーリーの舞台はモンスターシティである。モンスターの世界を舞台として
いるのだ。仮にモンスターを人間が演じるとなると、着ぐるみと特殊メイクで
動物等の動きを真似する、という形になるだろう。制作費を安くしようとする
とデパートの屋上の怪獣ショーになる。制作費を沢山費やすには相当の覚悟が
必要だ。膨大な制作費をかけて「コント」作品として十分に楽しめる作品もあ
る(例 「猿の惑星(PLANET OF THE APES)」 ティム・バートン監督)←ここま
でやると逆におもしろいだろうという期待がおおいに持てるのだ。

モンスターをCGで描くことで、どのようなモンスターのどのような動きも表
現することができる。モンスターは最初から有名スターではないので、それぞ
れのモンスターに明確なキャラクターが備わっていなければならない。
モンスターズシティには多くのモンスターがいるが、基本的にサリーとマイク
の二人に焦点を絞っている。この二人を中心に、ライバルのランドールや受付
嬢のセリア等が登場する。これらの登場モンスターひとりひとりには動機や目
的がある。そのため、モンスター達のキャラクターが際立っており、ストーリ
ーの世界観を観客に知らせる手助けをしたり、ストーリーを前へ押し進めたり
している。

作品の初めのほうで、モンスターズインクの新入社員向けの案内テープが流れ
る。これによりモンスターズインクが何をしている会社なのか、何を目的とし
ているのか、会社(モンスターズシティ)のヒーローはだれなのか、といった
ことがわかるようになっている。
また、DVD版には「マンとモンの歴史」といったような題名のショート作品が収
められており、現在に至るまでの人間とモンスターとの関係を短い物語で紹介
している。

このように、ゼロから作り上げた世界観を違和感なく観客に紹介している。そ
して、モンスターシティが舞台であるので、全編CGである意味に納得できる
のである。しかもCGにかなりの気合が入っていることをうかがわせる。それ
はサリーのCGである。サリーはブーに「kitty! kitty!(kitten)=子ネコ」と
呼ばれてわかるように、ネコのように全身が毛におおわれている。髪や毛をを
CGで描くには高度な技術と作業が必要だという。それにもかかわらず敢えて
毛におおわれたモンスターを主人公にしている。ここで重要なことは、登場す
るモンスターすべてを毛のあるモンスターにしなかったということだ。意気込
みを伝えたい気持はあっても、毛のあるモンスターばかりが登場すると、毛を
描くというスゴさが色褪せてしまうし、制作費も制作日数も膨れ上がることに
なる。つまり、すべてのモンスターを毛のある種類にする必要はないのだ。必
要がないところまですべてCGで描いても、それは制作者の自己満足で終わる
可能性が高い。観客が何を望んでいるか考えることが重要だ。

サリーはモンスターズインクでトップの社員である。ブーと出会うまでは自分
の仕事について深く考えることはなかった。子供の悲鳴はモンスターズシティ
のエネルギー源であり、モンスターたちはそれを必要としている。そして、悲
鳴採取量トップを誇るサリーは街のみんなにヒーロー視されている。

だが、ブーと出会うことでサリーは仕事の輝かしいキャリアを失う危険にさら
される。それは相棒のマイクのキャリアにも関係することで、それまで良き相
棒関係を続けてきた二人の友情に変化が起こる。友情を大事にしたいサリーだ
が、自分の良心に従ってブーを守って、人間の世界に帰してあげたい気持もあ
る。友情、愛情、良心の狭間で悩みながらもブーを守るために行動しつづける
サリーには感情豊かで深いキャラクター性がみられる。

ディズニーアニメのキャラクターは動きが早い。展開も早い。このように感じ
るのは大人だけで、子供にとっては程よいスピードなのだろう。ゆっくりした
展開の、お決まりのパターンの作品に慣れ親しんだ大人には、展開の早さにつ
いていけないと感じるかもしれない。。キャラクターの細かい表情やしぐさな
ど、会話を聞き取る(読み取る)ことに一生懸命で見逃してしまうかもしれな
いシーンがある(例:マイクがコンタクトレンズを装着するシーン)。
なにげないシーンにもユーモアが効いていたりするので、2度、3度とじっく
り観ると新たな発見がありそうである。

子供部屋のクローゼットはモンスターの世界につながっている、というのはイ
マジネーションをかきたてられる。日本でいうと「押し入れ」を開くとそこに
トンネルがあり……(例:松本零士『千年女王』)といった具合だ。
ところで子供部屋にクローゼットがある家は世界にどのくらいあるのだろう。
クリスマスに、ウチには煙突がないからサンタクロースが来てくれないよぉ、
と泣く子供を想像していただきたい。同じように、ウチの子供部屋にはクロー
ゼットなどという気のきいたものはない。押し入れは引き戸だから扉じゃない。
だからサリーは来てくれない、と思う子供がいるかもしれない。対策として
(かどうかはわからないが)「モンスターズインク」ではサリーたちは日本の
部屋らしき場所に出入りするシーンがある(富士山らしきものが映っていたか
ら日本だろう)。またエッフェル塔が窓から見える部屋にも出入りするシーン
がある。ほかには、マイクが受付嬢のセリアとデートするために予約したとこ
ろは、ニューヨークでは高級レストランとされている(日本でも高級店という
位置付けだが)寿司バーである。こうしてアメリカ人以外の観客も意識して制
作していることがわかる。 
 
世界の子供部屋のクローゼットがドアになるという設定は、ドラえもんの「ど
こでもドア」を連想することができる。「押し入れの中のトンネル」や「どこ
でもドア」は子供ならだれでも一度は思い描く事柄だ。こういった思いつきを、
ひとつの物語に作り上げることは簡単ではない。多くの人に観てもらえるよう
にするには、物語の設計図が必要だ。設計図を書くためにはなにが必要かをつ
きつめて考え抜かなくてはならない。こういった作業はとてもたいへんでつら
いだろう。それでも、伝えたいメッセージや事柄があれば、より多くの人に観
てもらうためには労力を惜しまないだろう。逆にいえば、より多くの人に観て
もらわなくても内輪だけでそこそこでよい、というのであればいくらでも手抜
きはできる。
また、たいへんで辛い作業をすれば必ずよい作品ができるということではない。
そうではなく、多くの人々に観てもらえるよい作品をつくるためには、たいへ
んで辛い作業になることが多いということだ。どんなにたいへんで辛い作業を
しても、それが自己満足のための作業ならば、時間と労力と資金の無駄である。

「モンスターズインク」は必要な労力を惜しまない、チャレンジ精神と戦略を
もつ作品である。

〔全編CGの必要性については「ファイナルファンタジー」(スクウェア)と
 観比べると参考になる〕
――――――――――――――――――――――――――――――――――

モンスターズ・インク
森 はるな
講談社
2002-03


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モンスターズ・インク ― オリジナル・サウンドトラック
サントラ ビリー・クリスタル ジョン・グッドマン
エイベックス・ディストリビューション
2002-03-06


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モンスターズ・インク ブー救出大作戦

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テレビゲーム(ビデオゲーム)機種:ゲームボーイアドバンス


モンスターズ・インク モンスター・アカデミー

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テレビゲーム(ビデオゲーム)機種:プレイステーション

――――――――――――――――――――――――――――――――――
∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ネットでかりてポストでかえす「オンラインDVDレンタル」ぽすれん
―――――――――――――――――――――――――――――――――― 
メールマガジン→「ストーリー・アナリシス (Story Analysis)」


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04/12/2004

リロアンドスティッチ(LILO AND STITCH )

リロ&スティッチ
ティア・カレル ジェイソン・スコット・リー 石塚運昇 ヴィング・レイムズ 谷育子 飯塚昭三
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
2003-08-22


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クリス・サンダース、ディーン・デュボア監督 2002年 アメリカ ウォルトディズニーピクチャーズ

●テーマ・コンセプトを観客に伝える意欲と行動力に溢れている

〔1〕テーマ(Theme)
―――――――――――――――――――――
家族


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
少女リロは姉のナニと暮らしている。リロには友だちがなく、さびしい毎日を
おくっていた。ある日、逃亡中のエイリアン626号がハワイに不時着する。
リロは626号をスティッチと名付け、オハナ=家族として接する。
 

〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△リロ
 両親を事故で亡くし、姉のナニと二人でハワイに住む。
 友だちがいないさびしい日々をおくっている。

△スティッチ(626号)
 逃亡中のエイリアン。博士によって造られた。
 
△ナニ
 リロの姉。
 

〔4〕・1 コネクション
―――――――――――――――――――――
〈愛・帰属意識〉
主人公と観客の間にコネクションを確立するには、観客の共感や関心を
高めるために、人間の基本的な欲求を奪い去り、主人公を危険にさらすのだ。
 
リロは両親を失い、友だちもいない 
⇒h家族を失う。人とのつながりがほしい。
 
262号(スティッチ)は博士によって造られた。
⇒はじめから家族がない。

家族を失った者と、はじめから家族がない(家族を知らない)者が出会うこと
でストーリーがはじまる。


〔4〕・2 フォーシャドゥイングとペイオフ
―――――――――――――――――――――
(フォーシャドゥイングとは、出来事をセットアップするために使われる視覚
 的手がかりやダイアローグ、もしくは後のストーリーでペイオフされる情報
 のこと)

作品の冒頭で626号(スティッチ)が流刑にされそうになるときのことだ。626
号が宇宙連邦の大尉の手を噛むシーンがある。噛まれた大尉は「バイキンが伝
染らないだろうなぁ」といったような意味のことをつぶやく。

その後、ハワイのシーンで、リロがダンス教室の生徒とケンカして相手を噛ん
でしまう。噛まれた女の子は「バイキンが伝染らないかしら」といったような
意味のことをつぶやく。

こららのシーンは2つのことを表現している。
《1》626号は暴れん坊である/
   リロはケンカもするけど、それは、ほんとうは友だちがいなくてさびし
   い心の表れでもある。
《2》噛まれた大尉と女の子のリアクションで、626号とリロがまわりの人
   たち(宇宙人含)にどのようにどのように思われているのかがわかるよ
   うになっている(626号とリロの境遇の共通性を表現する)。


〔4〕・3 神話
―――――――――――――――――――――
癒しの神話(Heeling Myth)
主人公が調和やバランス、愛を獲得するストーリー。
 
家族を失い、友だちもいないリロと、はじめから家族がいないスティッチが出
会うことで、お互いに愛を獲得し、新たな家族を得る(調和、バランスを得る。


〔4〕・4 キャラクター・アーク(Character Arc)
―――――――――――――――――――――
(ストーリーの中でのキャラクターの経験を通して起こる、キャラクターの性
 格や価値観の変化)

626号(スティッチ)は神話のアーキタイプ(あるパターンやタイプを持った人
物)で言うと、「トリック・スター」である。「トリック・スター」は混乱を
ひき起こし、平和や秩序を乱す。機知に富み、狡猾である。
 
スティッチはリロと出会い、ハワイの気候風土のなかでエルビス・プレスリー
の曲を奏で、サーフィンで海に出ることで、苦手だった海(水)に入りたがる
ようになる。また、リロの絵本(アヒルが家族を得るストーリー)をみて、ひ
とりぼっちの自分をいつか家族が迎えにきてくれることを望むようになる。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
テーマ・コンセプトを観客に伝える意欲と行動力に溢れている。そのために必
要なこと(宣伝方法、作品の世界観、キャラクター等)を確実に行っている、
という印象の作品だ。
 
ハワイ観光局とウォルト・ディズニー・スタジオは「リロ&スティッチ」でグ
ローバル提携している。両者はこの提携を相互のグローバルマーケティング活
動に最大限に活用することができる、としている。

ディズニー社は世界を代表するファミリー・エンタテインメント・ブランドで
あり、ハワイは世界でもっとも人気のある家族旅行先のひとつである。
 
両者に共通するテーマ・コンセプトは「オハナ=家族」である。主人公が調和
やバランス、愛、家族を獲得する過程を描いたこの作品は、ハワイを舞台とし
ている。ハワイは癒しの島、パラダイスとして観光に力を入れている。

なぜリロはスティッチを家族として受け入れたのか。
リロがはじめて626号と会ったとき、626号は「ハロー」と挨拶する。それは、
626号は追っ手から逃れるためにリロを利用しようとしたからでだ。。そんなこ
とは知らないリロは、この子が「ハロー」と挨拶したのよ、私の天使だわ、と
626号を家で飼うことにする。リロはいつも星にお願いしていたのだ。「お星さ
ま、お願いです。お友達をください。いちばんステキな天使をください」――と。

リロは626号にスティッチという名前を付ける。名前は変わっても中身は暴れん
坊のエイリアンなので行く先々でトラブルを引き起こす。それでもリロはステ
ィッチが愛を知らないためにさびしくて暴れるのだろうと思い、オハナ=家族
として受け入れる。
名前を付けたというのには大きな意味がある。新たな名前(スティッチ)を得た
ことで、徐々にではあるが、暴れん坊の626号からオハナ(家族)としてのス
ティッチに変化していくのである。

「リロ&スティッチ」は、結末が決まっている作品の、結末に至るまでの様々な
要素(時代設定、舞台設定、キャラクター等)について、なにか思い切ったこと
をしようと知恵を絞ったということが伝わってくる作品だ。
たいていのディズニー作品はしっかりとしたテーマ・コンセプトをもっている。
それは「愛・家族」といったものだ。このことは、ディズニー作品にはお決まり
のパターンがあることの基になっている。あるパターンとは、ストーリーはいつ
もハッピーエンドになる、ということである。つまり、なにかが欠落し、恵まれ
ないと感じる主人公が、出会いや冒険を経て大切なもの「愛・家族」をみつけて
ハッピーエンドとなる、というストーリーである。
ストーリーの結末が決まっているので、ハッピーエンドまでどのように話をもっ
ていくかが勝負である。ディズニーはこういった作り方をずっとしてきたのだ。
ディズニーというブランドイメージがあるためか、奇抜で斬新なことをするのを
ためらう部分がいままではあったのかもしれない。だが最近のディズニーは、さ
まざまな試みをしているようだ。(アニメ作品だけでなく実写作品も手がけてい
る『キッド』『救命士』等)。
 
「リロ&スティッチ」はテーマ・コンセプトをディズニーの基本である「家族」
にしっかりと焦点を定めている。作品の舞台をハワイにすることでハワイ観光局
と提携している。
さらに、宇宙のエイリアンという「SF」を組み合わせ、主要キャラクターに暴
れん坊の宇宙のおたずね者を据えることで「斬新さ」をもたせている。
宇宙船同士の飛行戦闘シーンもスピード感に溢れ、ハワイのゆっくりとした癒し
の島のイメージとのコントラストを強調している。これが意外とマッチしている
のだ。一見、異質に思える要素の組み合わせとして成功している。
キャラクター、アクション、情報の提示方法、演出など、ディズニーが長年培っ
てきた技術がしっかりと盛り込まれており、作品のペースも程良く、職人芸のう
まさが光っている。

〈キャラクター~~スティッチについて~~〉
スティッチはほとんどしゃべらない。設定上ではスティッチはスーパーコンピュ
ータ以上の知能を持ち、話すことができる。だが追っ手から逃れるために犬のフ
リをすることにしたスティッチはしゃべらないようにする。そのかわりよく動く
のだ。暴れん坊なので家の中の物はなんでも壊し、飛び回って動きまわる。こう
いった大きな動きはディズニーアニメーションの得意とするところである。コミ
カルで大きな動きで笑いを誘ったり、愛くるしいキャラクターを表現する。

もし、飼っている犬がある日とつぜんしゃべりはじめたらどうだろう。「もっと
エサをくれ」「ウザい近寄るな」「散歩行くぞ!ほら仕度しろ」等々。いままで
感じていた「愛くるしいわんこ」という印象は崩れ去るかもしれない(最近は犬
語翻訳機があるらしいが……)。
スティッチはほとんどしゃべらない。そのため、暴れん坊からやがて愛を知るよ
うになる過程を観るうちに、観客はスティッチが愛くるしい存在と思えるように
なる。それは、ぐずって泣く赤ん坊が、ふと笑顔を見せるのに似ているかもしれ
ない。
 
積み木遊びで、小さな子どもが、せっかく作った家や街並を壊すのをみたことが
ある人も多いだろう。また、かつて自分が幼い子どもだった頃に、積み木を崩し
て遊んだ経験がある人もいるだろう。
スティッチもリロに「たまにはなにかを作ったらどう」といった意味のことを言
われ、部屋の中にある本や小物などをいろいろ使ってせっせと街並を作る。完成
するとすぐにスティッチは「ゴジラ」(野球選手ではなく怪獣)のように街を破
壊するのだ。
子どもの積み木遊びにみるように、破壊は人間のコミュニケーションのひとつで
ある。スティッチは手に触れるものをすべて壊してしまうのだが、街並みを作っ
てから壊したことには重要な意味がある。つまり、スティッチはただ破壊するだ
けではなく、なにかを作りあげることができる、ということである。
このシーンは、やがてスティッチがなにかをつくりはじめるだろうということを
観客に予感させるものとなっている。実際、ストーリーが進んでいくうちに「愛」
を知ったスティッチは、リロやナニたちとオハナ=家族としての関係をつくりあ
げていくようになるのである。

家族がテーマの作品の描き方については「海辺の家(LIFE AS A HOUSE)」でも、
古い家を壊す⇒新しい家を建てる(つくる)というストーリーをみることができる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
テレビゲーム(ビデオゲーム)機種:PlayStation2

リロ&スティッチ ~スティッチの大冒険~
エレクトロニック・アーツ
2003-03-27


by G-Tools

「リロアンドスティッチ―たっぷりよめる!」
DLデラックス―ディズニーおはなしえほん (250) 森 はるな
―――――――――――――――――――――――――――――――――― 
∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ネットでかりてポストでかえす「オンラインDVDレンタル」ぽすれん
――――――――――――――――――――――――――――――――――
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メールマガジン→「ディズニー&ピクサーでみつけようゲスト感動のヒント」

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03/26/2004

千と千尋の神隠し

B00005S8LI千と千尋の神隠し (通常版)
柊瑠美 入野自由 内藤剛志 沢口靖子
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2002-07-19

by G-Tools
宮崎駿監督 2001年 日本

○独自の世界観が構築された舞台で少女が成長していく姿を描いた物語
  
〔1〕コンセプト(Concept)
  ストーリーの中心となるアイデア(着想)やトピック(出来事)

―――――――――――――――――――――
不思議な世界(霊々の世界)に迷い込んだ少女が様々な人(お化け)に助けら
れ、成長していく。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
霊々の世界に迷い込んだ千尋は、両親を豚にされ、危ないところを少年(ハク)
に助けられる。ハクの助言で湯婆婆のもとで働くことになり、周囲の霊たちに
助けられて仕事をおぼえていく。ある日、傷ついたハクを救う。やがて霊たち
の信頼を得るようになり、両親を助けて元の世界にもどる。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△荻野千尋(千)
 女の子(10歳)

△ハク
 少年(10~12歳ぐらい)。魔法の修行中。

△湯婆婆
 魔法使いの婆さん。油屋(湯屋)の当主。町の支配者。

△リン
 少女(14歳ぐらい)。千となった千尋に油屋の仕事を教える。

△釜爺
 油屋のボイラー室をとり仕切る爺さん


〔4〕・1 セントラルクエスチョン 
―――――――――――――――――――――
・千となった千尋は自分の名前を取り戻すことができるのか
・千尋は豚となった両親を元の姿に戻すことができるのか
・千尋は元の世界に戻ることができるのか。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
独自の世界観が構築された舞台で少女が成長していく姿を描いた物語である。

物語には舞台が必要だ。観客がはじめに知りたいと思うことは主に以下の2つ。
1、物語の時間(TIME)と場所(LOCATION)はどこなのか。
2、主人公はだれなのか。どんな人物なのか。

湯婆婆がとりしきる霊々の世界は、観客のイマジネーションをかきたてる。
少年や少女は不思議なものやことに興味があり、それを楽しむことができる。
かつて少年や少女だった人達も、この作品を観ることで、かつての少年少女
時代の感覚を思い出し、様々なイマジネーションをはたらかせて作品を楽しむ
ことができる。

「千と千尋の神隠し」以前の宮崎駿監督作品やスタジオジブリ作品においては、
作品の最初と最後では主人公たち(少年・少女)に大きな変化はみられない。
たいていは清らかな優等生といった印象の主人公が、クセはあるが根はいい人
たちに出会って物語がすすんでいく、というものだった。こういった「清らかさ」
が売りであったとも言える。

「千と千尋の神隠し」の最初では、主人公の千尋は、けして悪い子ではないの
だけど、かといって「清らかな優等生」ではない。こういった、観客に受け入
れられる「弱さ」を持った主人公を設定することで、霊々の世界にまぎれこん
でしまった千尋の変化(成長)が描きやすくなる。もちろん観客の心をしっか
り掴むこともできる。

油屋で働く霊たちは金に踊らされて大騒ぎになったりする。だが霊ひとりひと
りはけして悪い霊ではなく、懸命に働く千(千尋)を助けてくれたりもする。

この作品では対比が効果的に用いられている。
対比の対象は「千尋」と「霊たち」である。千尋は人間である。霊たちは霊で
ある。この大前提があると話がわかりやすくなる。カオナシが出す金に踊らさ
れて大騒ぎになる油屋の霊たちのなかで、千(千尋)ははっきりと「金はいら
ない」と言う。このシーンでわかることは、名前さえ奪われて油屋で働く身と
なった千尋だが、自分の考え方や生き方をしっかりもった人になっている、と
いうことである。

霊たちと人間である千尋という対比関係を設定することで、千尋の成長(自分
の価値観をもって生きることを学ぶ)がわかりやすく描かれている。

誰に向けて作った作品か(ターゲットとする層はどこか)。少年・少女に向け
て作った作品である。そして、少年・少女に伝えたい、しっかりしたメッセー
ジをもっている。
また、少年・少女に観てもらうために、不思議な世界(霊々の世界)を舞台に
している。

物語のテーマ、メッセージを伝えるための舞台設定を考え抜いた作品である。

少年・少女だけでなく、かつて少年・少女だった人達もたのしめる作品――親子
で楽しめる作品――は、ヒットする可能性が最も高いといえる。

ヒットに必要なものの1例
〔完成度の高い世界観+弱さをもった主人公の成長+親子でたのしめる〕

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4198614067
千と千尋の神隠し
宮崎 駿

天空の城ラピュタ となりのトトロ もののけ姫〈上〉 魔女の宅急便 もののけ姫〈下〉
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4198100063
The art of spirited away―千と千尋の神隠し
スタジオジブリ

The art of the Princess Mononoke―もののけ姫 千と千尋の神隠し―Spirited away 千と千尋の神隠し スタジオジブリ絵コンテ全集〈13〉 The art of Totoro The art of Laputa
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4192100088
千と千尋の神隠し 全5巻セット ―フィルムコミック
宮崎 駿

千と千尋の神隠し―Spirited away The art of spirited away―千と千尋の神隠し ハウルの動く城 (3) ハウルの動く城 (4) シュナの旅
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03/23/2004

ファインディング・ニモ (FINDING NEMO)

ファインディング・ニモ
小山力也 郷里大輔 山路和弘 アルバート・ブルックス トーマス・ニューマン 二又一成
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
2004-06-18


by G-Tools

アンドリュー・スタントン監督 ジョン・ラセッター製作総指揮 
2003年 アメリカ

○CGアニメーションだからこそ表現できる世界で繰り広げられる、親子愛と
 冒険の物語

〔1〕テーマ(Theme)
―――――――――――――――――――――
親子愛


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
オーストラリア・グレートバリアリーフ。魚(カクレクマノミ)の子供(ニモ)
が人間にさらわれる。父(マーリン)はニモを探しに冒険に旅立つ。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△マーリン
 カクレクマノミ。心配性。ニモの父親。

△ドリー
 ナンヨウ・ハギ。お人好し。物忘れがヒドイ

△ニモ
 カクレクマノミ。マーリンの子。元気いっぱい

△ジル
 ツノダシ。ニモが入れられた鑑賞用水槽のボス
-------------------------------------------
その他登場生き物一覧
△サメ
△アンコウ
△マグロ・カツオ
△クラゲ
△亀
△ペリカン
△鯨


[4]・1 プロット・ドリヴン(Plot Driven)
―――――――――――――――――――――
外的なコンフリクト(葛藤)や敵を克服することによって進展していく
ストーリー。

父マーリンが息子ニモを探すためにさまざまなコンフリクトを克服していく。
こうして相棒ドリーと冒険するうちに、マーリンの子供に対する考え方や接
し方が変化していく。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
CGアニメーションだからこそ表現できる世界で繰り広げられる、親子愛と
冒険の物語。

人は何に感動するか。映画作品では物語に感動するのだ。物語に感動するに
はキャラクター(登場人物等)が確立していなければならない。キャラクタ
ーの造形色彩美に心を奪われても、それは一瞬の出来事である場合が多い。
完璧なプロモーションをもつといわれるマネキン人形を1時間、2時間と眺
めて感動する人は……少数派だろう。

テレビゲームソフトに「ドラゴンクエスト」という作品がある。当初、任天
堂の初期ファミリーコンピューター用ゲームソフトであり、大ヒットした冒
険モノである。当時のテレビゲーム機の描画能力では、ゲームのキャラクタ
ーは粗いドットの集合体であり、かろうじて人の形をしているのがわかる程
度だった。それでも多くのTVゲームプレイヤーは「ドラゴンクエスト」の
冒険にハラハラドキドキしたという。

つまり、綺麗でリアルな人間を描けるに越したことはないが、それだけでは
キャラクターは確立しない。逆を言うと、ゴムボールにマジックで目と口を
書いただけでも、動機や行動をしっかり描くことでキャラクターが確立し、
観客に感動を与えることができるのだ。

「ファインディング・ニモ」の主人公は魚だ。ほかの登場キャラクターは魚
類等がほとんどで、ほかに鳥類、それに哺乳類も登場する。魚なんて表情が
ないし、まったく話にならないんじゃないかと思うのが普通だろう。しかし
CGアニメーションで描き、しっかりと動機をもって行動する魚たちには、
表情豊かで感情深いキャラクター像をみることができる。

過保護な父マーリン。過保護なのには理由がある。愛する妻と卵たちをカマ
スに食べられてしまい、ひとつだけ残ったのがニモだから。

ニモは過保護な父の下で育った。小学校に初登校した日、新しくできた友人
たちと、人間のボートにタッチできるかと競い合う。そのとき、父マーリン
に頭ごなしに思われるような強い命令口調で、ボートから離れて今すぐ戻っ
て戻って来い、と言われたニモは、父を嫌ってボートにタッチする。そこに
人間のダイバーが現れて……!
 
というように、父マーリンの過保護にはその理由となるバックグランドが存
在している。またニモがボートに近づき、人間にさらわれるいきさつにも、
ちゃんとバックグランドが存在する。こうした出来事(プロット)が、キャ
ラクターの反応(父マリーンはニモを探す冒険に出る。ニモは鑑賞用水槽に
入れられ、ジル(水槽のボス)の下で一人でやりとげることを学ぶ)に繋が
っていく。

ニモを探しに出たマーリンには相棒ができる。それはドリーだ。お人(魚)
しで物忘れがヒドいドリーはバディ(相棒)であると同時にマーリンを助け
るヘルパーでもある。
 
〈1〉ニモを探し出す手助けをする。
〈2〉ドリーはマーリンに、他人(他魚)を信じることの大切さを教える
  (無意識ではあるが)

〈2〉番は大切なポイントだ。つまり、相手がたとえ子共(ニモ)でも、ひ
とりの人間(魚)として信頼し、ときには物事を任せることの大切さを実感
として教えてくれるのがドリーなのだ。

「ファインディング・ニモ」はアメリカ合衆国のCGアニメーションスタジ
オであるピクサー(※1)の作品だ。なので当然にアメリカ合衆国的な「ノ
リ」や「考え」が反映さてれている。例えば、息子をみつけるためにサメに
もアンコウにもクラゲにも負けずにがんばるマリーンは、いつしかほかの魚
類や鳥類たちの間で噂話になる。これのおかげで、マリーンがニモがいるシ
ドニーに到着したときには、見ず知らずの鳥たちの協力を得ることができる
のだ。だれか困った人がいるときはできるかぎりのことをしてたすけてあげ
よう。そういったメッセージは世界共通だ。こうしたことはできそうでなか
なかできないからこそ、美談として語られるときはより大きく広く知れ渡っ
て感動の物語となる――。特にアメリカ合衆国は様々な人種、民族、宗教を
もった人々の集まりなので、友人・知人・仲間を助けるというときに一致団
結する、という話が格別に好きであり、またそれを必要としているのだろう。

また、マーリンとドリーが鯨に呑まれ、もうダメだと思っていたら無事に目
的地に着いたというのは、旧約聖書のヨナ書に倣ったものだろう。
こうした、聖書にまつわる有名な話をモチーフにすることはアメリカ映画には
よくあることだ。

しかしながら、「親子の愛」というのは万国共通だ。ひろい観客層をとり込
みつつ、アメリカ合衆国的な「ノリ」や「考え方」を観ることができる。
ドキュメンタリーとしての映画といった観方もちゃんとできるようになって
いる。

ストーリーの構成は2視点(マーリンとニモ)で交互に進行する。マーリン
はニモを助けるためにサメやアンコウやクラゲといった障害(オブスタクル)
を克服していく。ニモは鑑賞用水槽から脱出する方法を模索する。それも水
槽の持ち主(人間)の、姪の女の子・ダラがやってくるまでに脱出しなけれ
ばならない。なぜなら、ニモはダラへのプレゼントになる予定だからだ。ダ
ラはもらった魚が入ったビニール袋をぐるぐる振りまわして魚を死なせてし
まったことがあるのだ。

マーリンは次から次に連なる障害(オブスタクル)を克服していき、ニモは
タイムリミットが近づくなか、水槽の仲間と協力して脱出を試みる。
マーリンだけでなく、ニモにもクリアしなければならないハードルが設定さ
れる。こうしてマーリンとニモの場面それぞれアクションが豊富に起こるの
で、ストーリーが停滞することはない。

ピクサーの作品はどれも実写では撮影が困難な世界を舞台としている。おも
ちゃの世界。蟻の世界。モンスターの世界。そして海の世界――実写よりも
CGアニメーションのほうが有利な土俵を選んでいる。
「ファインディング・ニモ」では海が舞台だ。CGで水を描くのは難しいと
いわれるが、コンピュータの性能の向上と、高度なCG技術が、新たな海の
世界を我々に披露してくれた。
ピクサーがひとつの作品を完成させる期間は4年間。そのうち半分の2年間
をストーリーとキャラクターづくりに費やすという。ハード(高性能のコン
ピュータと高度なCGアニメーション技術)とソフト(ストーリーとキャラ
クターづくり)を併せ持ったこのスタジオの作品がヒットするのには充分に
頷ける。
 
日本のアニメーションスタジオであるスタジオジブリについては、大雑把な
言い方をするならこうだ。自分たちの好きな作品づくりをずっと続けていた
ら、時代がやっと追いついてきて大ヒットした――と。「トトロ」でキャラ
クターの力をあらためて実感し、「千と千尋の神隠し」は世界戦略を大き
く意識した、といった印象だ。「千と千尋の神隠し」は主人公のキャラクタ
ーについて、それまでのスタジオジブリ作品とは明かに違う点がある。それ
は、多くの観客に身近なものとして受け入れられやすいように主人公のキャ
ラクター設定をしている、ということである。これが、それまでのジブリ作
品と違とは違う点だ。
 
人間以外を中心とした世界観のなかで人間を描く場合には、どのように人間
を登場させるかがポイントだ。例えば子供の世界だけの作品では、大人は声
だけの出演だったり、手や足許だけの出演だったりという場合がある。
「ファインディング・ニモ」といった、人間以外の生物が中心の世界で人間
の姿をハッキリ描くと、視点のズレが生じる。というのは、人間の視点はす
でに観客の視点として存在しており、観客の感情移入は魚(マーリンやニモ)
に移っている。そこにCGで描かれた人間がはっきりとした形で登場すると、
観客はたとえ一瞬でもそのCGで描かれた人間に意識が奪われる。これが声
や影や手や足だけならば、生物のひとつの種としての人間というレベルにと
どまるが、はっきりと顔が出てしまうとそうもいかない。魚の視点で感情移
入していたのが一瞬、人間の視点に戻されて違和感を覚えることがある。
姿を表さない演出のほうがよい場合がある。そのほうが想像力を刺激するか
らだ。「ファインディング・ニモ」といった作品では、人間の姿をはっきり
描かないほうがよかっただろう。

ヒットの法則
○親子で楽しめること
○わかりやすいこと
○新たな世界を披露すること
○血がかよったイキイキとしたキャラクターが登場すること

親が子供につきあって映画館に行って、観客席でイビキをかいてしまうので
はなく、親も楽しめること――これがキーポイントだ。
 
ピクサーのテーマは「友情」から「親子愛」へ。
ピクサー作品はハードとソフトがバランス良く融合した傑作ぞろいだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1 ピクサー
 ピクサー・アニメーション・スタジオ。CGアニメーションスタジオで、前身
 はルーカスフィルムのコンピュータ部門。これまで短編CGアニメーショ
 ンを8本製作。長編CGアニメーションを5本製作( 『トイ・ストーリー』
『バグズ・ライフ』
『トイ・ストーリー2』 『モンスターズ・インク』 『ファインディン
 グ・ニモ』)。長編作品すべて全米年間興収ランキングTOP5に入っている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

ファインディング・ニモ
ゲイル ハーマン Gail Herman 橘高 弓枝
偕成社
2003-11


by G-Tools

ファインディング・ニモ
森 はるな
講談社
2003-11


by G-Tools
ファインディング・ニモ オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
サントラ
エイベックス・ディストリビューション
2003-11-27


by G-Tools
ファインディング・ニモ
ユークス
2003-12-06


by G-Tools

―――――――――――――――――――――――――――――――――― 
∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社

「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ネットでかりてポストでかえす「オンラインDVDレンタル」ぽすれん
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03/05/2004

名探偵コナン~天国へのカウントダウン~

名探偵コナン~天国へのカウントダウン~
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風鈴 緒方賢一 山口勝平
ポリドール
2001-12-21


by G-Tools
こだま兼嗣監督 2001年 日本

●奇抜な設定と、おもしろみのあるキャラクターが特徴であるコナン
 シリーズの1作

〔1〕プレミス(Premise)
―――――――――――――――――――――
(ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア)

黒の組織の薬によって小学生の姿になってしまった高校生探偵の工藤新一が、
殺人事件を解決する。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
高層ツインタワービルの関係者が次々と殺害される。ツインタワービルのパー
ティに招待されたコナンたちは爆発事件に巻き込まれる。コナンは事件の犯人
をつきとめる。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△江戸川コナン(工藤新一)
 高校生探偵として数々の難事件を解決する工藤新一が、黒の組織によって薬
 を飲まされ、小学生の姿(江戸川コナン)になってしまう。
 
△毛利蘭
 工藤新一の恋人(高校生)

△毛利小五郎
 私立探偵。蘭の父

△阿笠博士
 発明家 コナンのために数々の発明をする

△よしだあゆみ
 つぶらやみつひこ
 こじまげんた
 コナンの小学校の同級生 少年探偵団

△はいばらあい(みやのしほ)
 元・黒の組織の研究員 姉の死をきっかけに組織を抜け出す
 そのとき、薬を飲んで小学生の姿になる
 阿笠博士のもとに身を寄せる

 以上がコナンシリーズのレギュラーメンバー
―――――――――――――――――――――――
 以下が今回の作品の主な登場人物

▽常磐美緒(ときわ みお)
 TOKIWA財閥令嬢 TOKIWA社長 ツインタワービルをつくる

▽沢口ちなみ (さわぐち ちなみ)
 TOKIWA社の社長秘書

▽原佳明(はら よしあき)
 TOKIWA専務、プログラマー

▽如月峰水(きさらぎ ほうすい)
 日本画家 常磐美緒の絵の先生 冨士山画で有名

▽大木岩松(おおき いわまつ)
 西多摩市市議会議員

▽風間英彦(かざま ひでひこ)
 建築家 ツインタワービルの設計者


〔4〕・1 キャラクター・ディベロップメント(Character Development)
―――――――――――――――――――――
★登場人物の機能的な側面

△メインキャラクター:江戸川コナン
-----------------------------------
体は小学生でも頭脳は大人(高校生)。子供のフリをしながら子供(少年探偵
団)と目暮警部の両方からいろいろな情報を得て事件を解決する。

△サポーティングキャラクター:阿笠博士
-----------------------------------
コナンの体の小ささをカバーするために様々な品を発明する。腕時計型麻酔銃、
蝶ネクタイ型変声機、キック力増強シューズ、ターボエンジン付スケートボー
ド、赤外線望遠機能付犯人追跡メガネ、腕時計型ライト付探偵バッジ(DBバッ
ジ)等。

△深みを加えるキャラクター:毛利小五郎・少年探偵団
-----------------------------------
私立探偵の毛利小五郎は難事件を解決するので有名人である。しかし、ほんと
うはおっちょこちょいのただの人である。コナンが腕時計型麻酔銃で毛利小五
郎を眠らせ、背後に隠れて蝶ネクタイ型変声期を毛利小五郎の声にセットして、
あたかも眠りながらしゃべっているかのように見せかけて難事件を解いてみせ
る。そのため、毛利小五郎は「眠りの小五郎」と呼ばれている。本人はまった
くわけがわからぬまま事件が解決するが、天才ゆえの能力として納得してしま
うオチャメな人物である。

少年探偵団も子供の視点で事件解決の手助けをする。大人ではできないような
行動をとったり、大人ではできないような質問をしたりする。これらが、事件
解決のためのヒントになる。

△権力を誇示すキャラクター:黒の組織の人間(ジンなど)
-----------------------------------
黒の組織は強大である。組織の人間であるジンたちは、組織のためにはどんな
悪事をも遂行する。


〔4〕・2 ペイオフ(Pay off)初めに提供されて後に劇的に使われる情報
―――――――――――――――――――――
冨士山。ツインタワービルA塔からは正面に冨士山を見ることができる。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
推理作品は数多い。「名探偵コナン」は奇抜な設定とおもしろみのあるキャラ
クターで勝負している。子供なのに頭脳は大人(高校生)。黒の組織に命を狙
われないように、子供のふりをしつづけている江戸川コナンとはいばらあい
(元・黒の組織の研究員)。阿笠博士の発明品の数々。
これらの設定と小道具は、ストーリーへの興味を膨らませてくれる。

そもそも、主人公が高校生探偵である――。それがさらに小さく、小学生探偵
になる。周囲には(一応?)私立探偵の毛利小五郎や、目暮警部や鑑識さんな
どの大人がいる。小学生の少年探偵団もいる。発明家の阿笠博士もいる。元・
黒の組織の研究員だったはいばらあい(みやのしほ)もいる。
 
様々な年齢と立場の人間たちの視点からかき集めた情報と、自ら小さな体を動
かして得た情報を整理して、コナンは推理する。

こういった多面的なものの見方をして事件解決のヒントを得る、という作品で
は、登場人物の数が増えることになる。

増えた登場人物には、役割と特徴と魅力が必要だ。この3つを兼ね揃えたキャ
ラクターが作品を豊かなものにする。

この作品は、ストーリーの設定とキャラクターがスムーズに連携している。
推理作品に不可欠なヒントの出し方も親切である。シーン(背景や効果音)に
注意を払えばより作品を楽しめるだろう。

コナンシリーズの今回の作品では、はいばらあいをとりまく少年探偵団の友情
も見所である。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

名探偵コナン : 天国へのカウントダウン ― オリジナル・サウンドトラック
サントラ
ポリドール
2001-04-11


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コミック「名探偵コナン 天国へのカウントダウン 上
劇場版 少年サンデーコミ ックス ビジュアルセレクション」
小学館

名探偵コナン天国へのカウントダウン
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∇参考・用語引用図書 
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2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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