『Mr.インクレディブル』が教えてくれる、子供の才能を限りなく伸ばす方法<7ヶ条>
荒川静香さんがトリノ冬季オリンピックの女子フィギュアスケート金メダリストになった最初のきっかけとは?
自分の子供が将来の金メダリストになれるきっかけとチャンスは、アナタが作り出だしてあげることができるのです。
「『Mr.インクレディブル』が教えてくれる、子供の才能を限りなく伸ばす方法」
【子供の才能を限りなく伸ばすための<7ヶ条>】
〔1〕タラント(才能)を活かしなさい
〔2〕「チーム」の一員として活躍させなさい
〔3〕不安を払拭して、子のサポートに集中しなさい
〔4〕子供が「視点」を得れるようサポートしなさい
〔5〕遊びにいかせなさい
〔6〕「実際にはやり直しがきかない」ことを教えなさい
〔7〕チームワークで困難を乗り越えなさい
▼「『Mr.インクレディブル』が教えてくれる、子供の才能を限りなく伸ばす方法<7ヶ条>」
「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」
ブラッド・バード監督/アメリカ合衆国/2004 年/115 分
この物語の主な登場人物たちはスーパー・ヒーローです。彼等にはそれぞれに特殊能力があります。
夫のMr.インクレディブルは怪力。
妻のエラスティガールは伸縮自在のボディ(漫画「ワンピース」のルフィみたいな、もしくは「怪物くん」の伸びる手足)。
娘のヴァイオレットは特殊バリアーと透明になれるボディ。
息子のダッシュは目にもとまらぬ動き。
このように、登場人物それぞれに特徴となる特殊能力が振り分けられています。
しかし、インクレディブル一家やほかのヒーローにしても、一人でなんでもできる万能ヒーローというのは登場しません。みんなそれぞれが特殊能力を持っていますが、それ以外は普通の一般市民と同じなのです。
主人公はスーパー・ヒーローの一家ですが、彼らは日常でだれもが経験するような問題(ヴァリオレットの恋、ダッシュが自分の能力を活かせないもどかしさを感じている)を抱え、ひとりの人間として悩んだり考えたり行動したりしています。
そんな姉弟が父親を助ける過程で自分の能力を発揮して、新しい能力を発見します。自分の新たな可能性を見い出して自信が持てるようになるのです。
〔1〕タラント(才能)を活かしなさい
さて、ここまで読んでみて、Mr.インクレディブル一家と自分の家庭と似ているな、と思った方もいらっしゃるでしょう。
そうです、なにもスーパーヒーローの一家でなくても、だれにでもタラントが与えられているのです。ある人は5タラントかもしれないし、ある人は1タラントかもしれません。
ではここで、新約聖書のマタイによる福音書25 章14 節から30 節に載っているタラントのたとえ話をご紹介しましょう。
「タラントのたとえ話」―――――――――――――――――――――
ある人が旅に出るとき、3 人の僕(しもべ)にそれぞれの能力に応じて5タラント、2 タラント、1 タラントを預けた。
5 タラントと2 タラントを渡された者はそれで商売をして倍にした。
1 タラントを渡された者は地を掘って主人の金を隠しておいた。
僕(しもべ)の主人が帰ってきた。
5タラントと2タラントを渡されていた者はそれぞれ倍に増やしたことで主人に「良い忠実な僕よ」と、多くのものを管理するよう言われた。
1 タラントを渡されていた者は地に埋めておいたことで主人に「悪い怠惰な僕よ」と言われた。
1タラントは取り上げられ、10 タラント持っている者に与えられた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
この例え話からわかるのは、大事なのは与えられたタラントを活かすことだということです。
そもそもMr.インクレディブル一家では、子供たちに特殊能力を使うことを禁じていました。
なぜなら、自分の子には普通の子と同じように育ってほしいと願っていたからです。
子供のタラントが何であるかがわかっているにもかかわらず、そのタラントを活かしてはいけない、と言い聞かせていたのです。
そのため、息子のダッシュくんは運動会の競走で能力を最大限に使うことができずにいました。
ダッシュくんは思います。
大人はいつも「何事にもベストを尽くせ」と言うけど、ベストを尽くしちゃいけない(思いっきり走っちゃいけない)なんて……。
やがてMr.インクレディブル一家に危機が訪れたとき、母・エラスティガールがこんなふうなことを言います。
「いざとなったらおもいっきり走りなさい」
やがて、いざとなってダッシュくんがスーパーダッシュをします。そのスピードがものすごく速い! あまりの速さにダッシュくんは自分でも気がつかなかった能力を発見してしまうほどです。(なんと水上を走る!)
自分が得意だと思っていたことを思いきってやってみたら、自分の中に眠っていた、自分でも気づかなかった能力を引き出したのです。
こうして自分の能力を格段にアップさせたスーパーヒーロー達が力を合わせて困難を乗り切るのが「Mr.インクレディブル」という物語なのです。
ちなみに聖書で水上を歩くエピソードは新約聖書の4福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)のうちマタイ、マルコ、ヨハネそれぞれの福音書に記されています。
「水上を歩くイエス」――――――――――――――――――――――
湖に漕ぎ出した舟に乗ったイエスの弟子たちに逆風が吹きつけます。一生懸命に漕いでも舟は進みません。その様子を見たイエスは、夜明けの4時頃に弟子たちのところに向かいます。
月光の中、湖の上を歩いてこちらにやってくる人影を見た弟子たちは、それを幽霊だと思って恐れます。しかしそれがイエスだとわかると、
弟子のペテロは「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」と願います。
イエスに「おいでなさい」と言われたペテロは舟から降りて水の上を歩いてイエスのところに行きます。しかし風に恐れをなしておぼれかけます。
ペテロはイエスに手をつかまれて救われ「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われます。
そしてふたりが舟に乗り込むと風はやんでしまいます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
〔2〕「チーム」の一員として活躍させなさい
さて、スーパーヒーローたちが力を合わせるというのはつまり「チームとなる」ということです。
チームの一員となるには、それぞれがある分野における能力を持っていなければなりません。
さまざまな分野の能力を持った人たちが集まってお互いの不得意な部分を補い合うことで困難に立ち向かう。そのためのチームだからです。
現代社会は複雑です。すべての分野に精通してなんでもできる万能人間はいません。
スケートの金メダリストであると同時に体操と水泳の金メダリストであって、なおかつノーベル賞受賞者でF1レーサーという人はまずいないでしょう。
では「チーム」の一員として活躍するためには、いったいどうすればよいのでしょうか。
その答えは、ある分野のエキスパートになること、です。
そのためにはタラントを活かすことが必要です。
〔3〕不安を払拭して、子のサポートに集中しなさい
当初のインクレディブル夫妻は、自分の子供にどんなタラントがあるかわかっていながらも、他の子供たちと同じように生活してもらいたいという願いから、タラントを封印するように言い聞かせてきました。
しかし一家が困難に直面したときに、これを乗り越えることができたのは、個々のタラントを活かしたチームの活躍があってこそなのです。
ひとつの物事に集中している子供を見ると、親は不安になります。もっと幅広い教養を身に付けてほしいと思うからです。
では、そもそも様々な分野を広く浅く知る目的とはなんでしょうか?
広く社会を知ってもらいたいから?
では、広く社会を知ってどうしてほしいのでしょうか?
子供たちが様々な分野に目を向けることで、興味あるものや集中できるものを見つけてほしい。そんな願いの裏返しが「幅広い教養を身に付けてほしい」という言葉に込められているのではないでしょうか(広く浅く知るだけだったら大人になってからでもできますから)。
すでに集中できるものがある子供の場合に、親が言ってあげられることは「それをおもいっきりやりなさい」ということなのです。
〔4〕子供が「視点」を得れるようサポートしなさい
「ある道」をある程度極めてみると「そこから見える社会という視点」を手に入れることができます。
これは、人から聞いたり本を読んだりしただけでは手に入れることが難しい視点です。
社会を見渡すには視点が必要です。教室で書物を読んで世界を想像することも必要ですが、それに加えて教室を出て山に登り、頂上から周りの世界を眺めてみることも必要です。
Mr.インクレディブル一家の子供は(末っ子を除き)どんな能力があるのかがある程度わかっているにもかかわらず、当初はそのタレントを活かすことができませんでした。
ではあなたの子供はどうでしょう?
将来生まれてくるであろうあなたのこどもはどうでしょう?
もうどんな能力があるかわかっていますか?
もしまだわかっていないなら、いろんな野山(←たとえとしての野山)に連れていってあげましょう。
そうすれば、ある山に興味を示すかもしれません。そして、その山を登り始めるかもしれません。
でもすぐに登るのをやめて、ほかの山に登りはじめるかもしれません。
それでいいのです。
たとえ登頂(成功)できなくても、この山は自分が登るべき山ではないことを知ることができた、というのが大事だからです。
〔5〕遊びにいかせなさい
はじめは、親はもちろん子供自身だって、どんなタレントを持っているのかわかりません。
親にできることは、少しでも早く子供が自分のタレントを見つけられるようサポートをすることです。そしてタレントを伸ばす手助けをすることです。
トリノ冬季オリンピックの女子フィギュアスケート金メダリストの荒川静香さんがスケートを始めたのは5歳のときです。
たまたま遊びに行ったスケートに興味を持ち、ちびっ子スケート教室に入り、小学校に入学してから本格的にフィギュアスケートに取り組みました。
たまたま遊びに行ったスケート、というのがポイントです。
おそらく彼女は本やテレビでフィギュアスケートのことは知っていたでしょう。しかしそれだけではなく、実際にスケートをするために遊びに行った、というのが重要です。
そこで自分のタラントに気づいたことがフィギュアスケート荒川静香選手の原点なのです。
〔6〕「実際にはやり直しがきかない」ことを教えなさい
「人生はいつでもやり直しがきく」というのには、オマケが付きます。
正確には「人生は【心の持ち様・気持ち】によってはいつでもやり直しがきく」ということです。
実際は、やり直しがきかないと言っていいでしょう。たとえば還暦を過ぎてからヨットで世界一周を果たした人がいたとしましょう。でもその人はおそらく還暦を過ぎてはじめてヨットを含めたスポーツ関連のなにかを始めたわけでないでしょう。
比較的若い頃からなにかのスポーツをして体を鍛えて、船の操縦技術を学んで船舶免許も取ったのです。
そうした過程があるからこそ還暦を過ぎてからヨットで世界一周を果たすことができた、といえるでしょう。
〔7〕チームワークで困難を乗り越えなさい
さあ、Mr.インクレディブルをご覧になったことがない方はもちろん、観たことがある方も、もう一度観てみましょう。
そうすれば、各キャラクターが内的葛藤(Internal Conflicts)を持ちつつも、使うことを禁じられていた特殊能力(タラント)を思いっきり使って自信を持つことで内的葛藤を解消していく様子が、各キャラクターの「見せ場(ヴァイオレットの特殊バリアー、ダッシュのスーパーダッシュ)」を通して描かれていることにあらためて気づくでしょう。
ちなみに邦題は「Mr. インクレディブル」ですが、原題は「THE INCREDIBLES」です。
原題は「すばらしき人々」もしくは「インクレディブル家の人々」といったように訳せます。
つまり、インクレディブル家を中心として、相棒のフロゾンをも含めたすばらしき人々の物語という意味なのです。
(邦題では、Mr.インクレディブルというひとりのスーパー・ヒーローの伝記みたいに思えてしまうかもしれないですね)
つまり、タレント(能力)持った個人が家族というチームワークで困難を乗り越える物語なのです。
あなたの子供がチームの一員になれるかどうかは、タレントを見つけ、それを伸ばして活かせるかどうかにかかっています。
★人生を有利におくるには、少しでも早くタラントをみつけて、その能力を伸ばしつづけることが必要なのです。
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「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」作品レビュー
●アメリカ社会を映し出す魔法の鏡。映像技術、ストーリー、キャラクター、世界観構築をバランス良くまとめるストーリーテラーとしての卓越した技術。これを例えるなら「魔法」です。魔法で作ったエンタティメント作品であるとともにドキュメンタリーとしての映画の効力も併せ持っている、アメリカ社会を描く作品です。
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