映画「007 スカイフォール(SKYFALL)」
▼「007 スカイフォール(SKYFALL)」
監督: サム・メンデス
イギリス/アメリカ/2012年/143分
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007シリーズ誕生50周年記念作。それが第23作『007 スカイフォール』だ。。
ダニエル・クレイグが抜擢された当初は従来のジェームズ・ボンドのイメージに合わないと一部では言われたというが、いまでは歴代のボンド役のなかでも高い人気を誇るまでになっている。
そんな主演のダニエル・クレイグは1968年生まれというから44歳。一般的にいっても、もちろん年寄りではない。
本作の諜報員としての年齢設定はよくわからないが、それでもMI6の諜報員としては若手ではない。どちらかというと古参。
そんなボンドは本作品で殉職する。もちろん彼は生きていたわけだが、ブランクを経て諜報員復帰のテスト受けるも結果は散々たるものだった。早い話が落第レベルなのだ。
そこであえてわかりやすく言おう。
老いぼれボンド。
そんな烙印を押されかねないのだ。おまけに今回の敵はハイテク機器を自在にこなしてクリックひとつでなんでもできちゃういわばデジタル人間である。
一方のボンドはどちらかというと古きアナログ人間で、敵のほうが計画も作戦も上手で翻弄されてしまい後手にまわる一方だ。
これは敵が元MI6諜報員だから手の内は読まれやすいという理由はあるとはいえ、どうしても「やっぱ老いぼれちゃったの?」と思わずにはいられないかのような気分にさせられる。
とはいえ、だからいいのだ。
人間的な弱さを垣間見せるのがダニエル・クレイグ演じるボンドの特徴であり、そこが観客に愛される最大のポイントだからだ。
もしも完璧すぎる主人公だったら観客は感情移入する隙がないので応援しにくいだろう。
人間的な弱さ。そこに肉体的弱さも加わったとき、さてどうなるのか。
ここでフォーカスされるのは、ボンドの強さとは何なのか? ということ。
諜報員復帰テストに落第するレベルだからボンドははたして弱いのか。
そんなことはない。たしかに体力勝負の場面では苦しそうな表情もみせるし射撃だって的を外す。
だからって弱いわけではない。むしろ強くなっているようにも見える。
その鍵を握っているのが上司Mとの関係だ。
ボンドが殉職(じつは生きてのだが)したきっけは上司Mによる狙撃命令だったのだが、それでもボンドはMI6の危機(Mの危機)を知ると駆けつけて自らの復帰を願い出た。
やがて追い詰められたボンドはMを連れて故郷スコットランドへ。
物語をとおして描かれるのは祖国、家、家族、信頼の崩壊と再生だ。
誰だって弱さを持っているし、誰だって歳をとる。
ジェームズ・ボンドは凄腕の諜報員だけれども、ひとりの人間(キャラ)としては、わたしたち観客の誰かであってもおかしくはないと感じさせてくれる。
早い話がやってること(任務遂行)は特別だが、そこには自分をリンクさせやすいドラマがあるのだ。
だからこそイギリスでは公開週(7日間)歴代1位を記録したのだろう。
昔からの007シリーズのファンも思わずニヤリとするシーンもあったりと、いい意味での「いい大人」が楽しめる数少ないアクション作品である。
ちなみにボンドの敵となるシルヴァのアジトの島という設定で、長崎県の端島(通称:軍艦島)がモデルとなってロケも行われたそうだ。
作品観ればそれはすぐにわかるとおもう。これまでにもミュージシャンのMVや、各種ドラマでも度々登場してきた軍艦島なのでその存在をご存知の方も多いだろう。
映画本編がはじまる前にも軍艦島がモデルになったことが観客に知らされるので該当する本編シーンにすぐに気づくにちがいない。
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▼ダニエル・クレイグ主演の007シリーズ
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