戦う白雪姫!映画「スノーホワイト」
▼「スノーホワイト(SNOW WHITE AND THE HUNTSMAN)」
監督:ルパート・サンダーズ
アメリカ/2012年/127分
観たかったのはこれだ! と思わせてくれた本作品は、斬新な映像と新展開を加味したのみならず、それらが物語という箱にスッときれいに収まっていくその様子は実に気持ちのいいものである。
スノーホワイト。いわゆる白雪姫の童話といえば誰もが知っている物語だ。
だれもが知っているからこそ「おいしい」のは、なにも映画の場合だけではない。
どんな商売であれ、だれもが知っていて誰もがずっと利用するような商品やサービスには、それだけ固定ファン・客がいるといういことだから成功の可能性はじゅうぶんにある。
もしも誰も見たことも使ったこともない商品やサービスを作り出したとしてもすぐには売れないだろう。まずはその価値を実感してもらわなければ財布の紐をゆるめることはしないからだ。
白雪姫なら誰もが知っている。題材としては申し分ない。ならば、考えるべきは「どう表現するか」である。
従来のまま観客のイメージどおりの白雪姫の物語を旬な俳優たちでリメイクしたところで、それら出演スターらのファンである観客以外にアピールできるところはほとんどない。つまり、単純なリメイク作品ということになる。
これをニュースに例えるならば、「見出し」と「タイトル」の違いである。
新聞に代表されるような見出しは、記事内容をなるべく過不足なく読者に伝えるよう作成する。だから(記事内容にもよるが)基本として誰が作ってもほぼ同じようなものになりがちだ。
むしろ機械が作ってもいい場合があり、そのほうがいいというケースもある。白雪姫でいうなら、単純なリメイク作品である。
一方で、ウェブ(モバイル含む)のニュースサイトでのタイトルは、話題(記事内容)の魅力を引き出してそれが広く知られるきっかけが提供できるよう作成する。白雪姫でいうなら、斬新な映像と新展開といったところである。
タイトルも「表現」できるところに特徴と利点があり、映画などのリメイク作品も基本は同じである。
もしもその「表現」が観客の好みに合えば、これほどおいしい作品もそうはない。
白雪姫が毒リンゴを食べるところをイメージしてほしい。童話のなかでの白雪姫がリンゴを口にするそれとはまったく違うシーンに、きっとあなたは心をグッと鷲づかみにされることだろう。
そして毒リンゴを食べた白雪姫がキスで目覚めるシーン。そこでもちょとした工夫がされている。「そうくるか!なるほど」とニクいかんじなのである。
お姫様と耳にすれば、上品でおしとやかのイメージがあるが、本作品ではまさに「戦う白雪姫」!
「ワイルドだろぉ~」と言いそうな(言ってないよ)この白雪姫をぜひご覧あれ。
スノーホワイト役のクリステン・スチュワートもいいし、継母ラヴェンナ役のシャーリーズ・セロンがこれまた「美」に関してこれほど適役もいないと思わせる変化の数々をみせてくれるこれは、いい意味で安心して楽しめる作品である。