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TBS迷走「MR.BRAIN」で顕著に

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ちょっと前に、TBSの視聴率低下に歯止めがかからず、番組改編を断行して危機脱却を狙っているという話を耳にしました。


TBSの迷走ぶりは、TBS ドラマ『MR.BRAIN』に顕著にあらわれていました。


『MR.BRAIN』を一話でも見た人はおわかりだとおもいますが、このドラマは豪華出演者陣を揃え、お金がかかっていそうなセットと機材など、気合の入れようはバンバン伝わってくきますよね。


でも、ドラマ自体はいただけません。


ヒトコトでいえば「散らかりっぱなし」です。


どんな連続テレビドラマであれ、そこには世界観が存在するのが普通です。レギュラーの出演メンバーたちでひとつの物語をつくっていくと、そこにはそのドラマならではの「世界」が誕生します。


つまり、連続ドラマは「雰囲気」が作れるかどうかが肝心なのです。


ドラマが醸し出す「雰囲気」に来週も浸りたいと視聴者に思わせることができなければなりません。


ところが『MR.BRAIN』は出演者が豪華で、なおかつ多すぎる。ドラマの主役もしくは重要な脇役をこなしてもおかしくない面々が、研究所の研究員のチョイ役で出ていたりするのですから。


お目当ての俳優が毎週テレビ画面にチョイとオマケ程度に出たところで「ウォーリーを探せ!」みたいなゲームならまだしも、ドラマではあまりうれしくもないでしょう。


ファンは、お目当ての俳優がドラマで活躍するところを見たいのすから。


豪華なセットに豪華な俳優陣がチラ見できえるだけでは、ドラマの世界に浸ることなんでできません。


そもそも「チラ見」だけでは、ドラマの雰囲気を作り上げることもできません。


ドラマの雰囲気が作れなければ、視聴者がドラマの世界に浸るなんてことはとうていできません。


それに、雰囲気は借り物では醸し出せません。


『MR.BRAIN』を観るとどうしても思い出させられるのは、キムタク主演のフジテレビのドラマ『HERO』です。


『HERO』がヒットした要因のひとつは、基本となる出演者たちの数が決まっていて、それぞれの出演者たちが演じるキャラクターが生き生きとしていたことにあります。


また『HERO』は大金をかけて豪華なセットを使っているようにはみせずに、比較的地味にみえるセットでキャラクターをじっくり育てていきました。その結果、ドラマに特有の雰囲気が醸し出されたのです。


さらに『HERO』特有の雰囲気のなかで展開する物語は、ドラマの定石のとおりに1話でひとつの事件が解決しました。こうした安定感と安心感に後押しされた視聴者は、ドラマが醸し出す雰囲気にまた浸りたいと願い、次週の回を楽しみにすることができたのです。


ところが『MR.BRAIN』はどうでしょう。


そもそもドラマ開始時期が他の同時期のドラマと比べれるとちょっと遅らせ気味であるばかりでなく、ひとつの事件が1話で解決せずに、次週の頭まで引っ張ったこともあります。2週に分けて前半と後編に分けるドラマはよくありますが、なんと一話が「一話+次週の四分の一(ぐらい)」で完結という超変化球を使いました。


もうこうなると収拾がつきません。「散らかりっぱなし」です。


『MR.BRAIN』というドラマ自体が、大金をかけたセットと豪華な多数の出演陣をいくら揃えても、どこまでも空回りの迷走ぶりを見事に表してしまっている。


かつては「ドラマのTBS」なんていわれていなかったでしょうか?


そもそもTBSはニュース部門の力が強いそうですが、ゴールデンタイムの19時にバラエティ色が濃い小林麻耶アナウンサーでニュース番組を放映しています。


報道志望が多い女子アナ。そんな例にもれずなのでしょうか、人気がある小林麻耶アナを局につなぎ止めておくためなのかはわかりませんが19時台にバラエティ色ムンムンの女子アナがニュースを読んだところで、この時間帯にニュースを見たい視聴者の多くは昔からの習慣でNHKにチャンネルを合わせることでしょう。


結局、TBSでそこそこ安定して視聴率がとれるのは再放送の「水戸黄門」と、借り物の韓流ドラマだけのようです。


どうしちゃったのでしょうかTBSは。


きっといいスタッフが揃っているでしょうから、TBSをうまく舵取りできる人が現れるといいですね。


今後に期待しましょう!

―――――――――――――――――
【補足】


『MR.BRAIN』はおもしろいんだよ。


ここでいうおもしろいっていうのは、ドラマづくりの方法とかマーケティングとかテレビ局ごとの性格と特徴とか、そういう意味ね。


『MR.BRAIN』の脳科学っていうのはすでにブームになっていた題材で、そのブームにのっかって(利用して)キムタクにキャラを付けようとネズミのペットを飼わせたりバナナを食べさせたりしたけど、どうもしっくりこない。


それに比べて「HERO」は「ラフな格好の中卒変わり者の検事」っていうインパクトがどーん! とあって、なんだそれ? って気になって観てるうちに、主人公の通販大好きキャラにどんどんハマっていくっていうしっかりした道筋があった。


フジテレビはなんだかんだいって今までみたこともないと思わせるようなものをおもいきって「どうだ!」って出してくるところがある。


TBSはなんだかんだいって今までどっかでみたことがあるように思わせるものをチョイチョイと料理して出してくるところがある。


どちらも作品づくりとしてはアリなんだけど「雰囲気づくり」という点ではどうしても新しいと思わせる題材や物語のほうがじっくり世界観を構築しやすいってのはあるだろうなとおもう。


ドラマづくりっていうのはどこも大変だとおもう。特に『MR.BRAIN』の科警研のセットは通常のドラマセットとは違った作り方をしたために、撮影に時間がかかって大変で、なおかつガラス張りの研究室なのでよくスタッフの姿が映り込んでしまって、時間が押してるのにもぉ! っていうことがよくあったそうだ。


またスタッフは睡眠時間が少ない中で何日にもわたって撮影し続けるため、ADが本番中に立ったまま寝てしまい、手に持っていた台本かなにかを落として音が出て、コラーッ! なんてこともあったとか。


まぁTBSは今はなにをしても空回り感があるけれど、この時期を乗り越えればきっと断然おもしろくなる可能性はじゅうぶんあるヨ。


そのためには、各部門のスタッフが自分が観たいものを気兼ねなく思いっきり作っているなと視聴者に思われることが必要かもしれないネ。


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