映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
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▼「ベンジャミン・バトン 数奇な人生
(THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON)」
監督:デヴィッド・フィンチャー
2008年/アメリカ/167分
80代のおじいちゃんで生まれ、徐々に若返っていき、赤ん坊で亡くなる男――。
ふつうの人間とは逆の人生を送る彼は、映画のタイトルにあるように数奇な運命であるようで、実はそうでもない。
たしかに見た目と体の機能はふつうの人間の逆であるが、老いて死ぬとうことについては、ふつうの人間となんら変わらないからだ。
そもそもいわゆる人物の伝記ものの作品は、主人公がたいへん有名な人物である場合がほとんだ。
大富豪ハワード・ヒューズの伝記映画「アビエイター」。
スコットランド独立の英雄ウィリアム・ウォレスの伝記映画「ブレイブハート」。
しかし、ハワード・ヒューズって誰? ウィリアム・ウォレスって誰?という人にとっては箸にも棒に掛からない。
つまり、ある分野や世界におけるこれらの著名人を知らない人にとっては、その伝記映画はたいして魅力的ではないのだ。
ところが80代のおじいちゃんで生まれ、徐々に若返っていき、赤ん坊で亡くなる男の話ときけば、だれでも「おや?」と興味をそそられる。
このようにインパクトは強大だが、オチを真っ先にバラしてしまったようなものなので、作品の内容はオチの確認作業に終始しがちになる。
そういったわけで「数奇な運命」という言葉に過度な期待をすると、けっこうな長丁場の上映時間に少々あくびが出るかもしれない。
逆にいうと、愛する人との出会いを軸に展開する本作はどこにでもいる普通の人の人生と大差ない。
大差ないからこそ、観客はベンジャミン・バトンに自身の人生を重ねることができるのだ。
この「出オチのちょっと風変わりな男」が実は自分とたいして変わらないことに気づき、作品を観ているうちにいつの間にか映画の主人公とシンクロする妙な心地よさを感じることができるなら、きっと「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を楽しめるだろう。
邦題に使われている「数奇」は、運命を意味する「数」と、食い違うを意味する「奇」の組み合わせによって「ふしあわせ」「不運」をあらわすこともある。
80代のおじいちゃんで生まれ、徐々に若返っていき、赤ん坊で亡くなる男を「ふしあわせ」と受け止め、赤ん坊で生まれ徐々に年老いておじいちゃんで亡くなる男を「しあわせ」と受け止める人がいる一方、その逆に受け止める人もいるだろう。
人生が「数奇=ふしあわせ」かどうかは、その人の生き方によって決めることができるとするならば、原題の「CURIOUS CASE」の「CURIOUS」、つまり珍しくて不思議なことはたしかだが、あくまでそれだけであり、そこに「ふしあわせ」という意味はないことに注目しようではないか。
珍しいことによって周囲に偏見の目でみられ、それを「ふしあわせ」ととらえてしまうこともあるかもしれない。しかし、珍しくて不思議なことを天からのギフトととらえ、前向きに楽しく生きることだってできるのだ。
珍しくて不思議なことを、珍しくて不思議な能力とするならば、それは「天賦の才能」ともいえよう。
天賦の才能はときに妬み嫉みの対象ともなるが、その才能を活かして人の為、そして自分の為に生きることのすばらしさも間違いなく存在する。
あなたの人生はベンジャミン・バトンに比べたら平凡におもえるかもしれない。
けれども、あなたの人生はたったひとつしかない、たいへんユニークなものなのだ。
そしてあなたがこの世に生まれてきたという不思議のなぞは、あなたが自分の人生を前向きに歩み続けることでしか解くことはできないのだ。
珍しくて不思議な人生――それは、まぎれもなくあなたの人生なのだ。
ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットのファンは必見でしょう。
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