ストーリーはどこから生まれるのか
ストーリーはどこから生まれるのか。
その答えを、ピクサーの映画監督であるジョン・ラセターが提供してくれています。
アニメ作家のジョン・ラセターが新しい世界を作り出す要素として一番大切にしているのはキャラクターだそうです。
「ストーリーはそこから生まれる。そしてそこからユーモアも生まれる。
心、キャラクター、ユーモア、この3つの要素に素晴らしいストーリ
ーが加わることで、最高の映画になるんだ」(ジョン・ラセター)
どんな物語にもキャラクターが存在します。
物語ありきではありません。キャラクターが存在するから物語ができるのです。
作家によって作品づくりの手法はそれぞれですが、優れた作家といわれる人々のなかには、たとえ物語を先に思いついてもキャラクターのイメージがわかなければよい作品にならないという人もいます。
もちろん、ジョン・ラセターもそのような作家のひとりですね。
さて、映画やドラマにはスピンオフ作品というものがあります。
これは、元となる既存の作品と同じ世界観のままで、本編では脇役であったキャラクターを主人公として新しい作品をつくることをいいます。
スピンオフ作品は、キャラクターの魅力によって新たな作品が生み出される好例です。
本編では脇役であったキャラクターがひとり歩きをはじめ、作家の想像力を刺激して新たな作品を生み出させる。
これこそまさに、ストーリーがどこから生まれるのかの答えを提示していますね。
さて、スピンオフは元となる作品が存在します。でも物語づくりは作品が元になければできないわけではありません。
作品がなくても、タレントがいればOKです。
テレビや映画に出演するタレントをみて、物語がつくれそうかどうか考えてみるのです。
あるタレントがどんな役柄で登場する物語だったら観てみたいなぁ、と思うだろうか。
そんなふうに想像してみればいいのです。
実際、物語の大まかなイメージをもった作家がテレビでタレントをみてキャスティングを決めるなんてことはよくあるそうです。
想像力をかきたてられるタレントに出会えば、作家はどんどん物語を紡ぎ出していくことができます。
このとき、想像力をかきたてられるのは作家だけではありません。
観客も想像力をかきたてられるのです。
言い方を変えれば、観客の想像力をかきたてるタレント(キャラクター)でなければ、物語はできあがらないのです。
たとえば、天才外科医役にネプチューンの堀内健。
いかがですか?
バラエティ番組でみる通称「ホリケン」のイメージからはかけ離れていると感じませんか?
いったいどんな外科医役を演じるのだろう? と想像力をかきたてられたら、すでに物語づくりははじまっています。
これは「ホリケン」というキャラクターの下地があるからこそ、そこからどの方向へどのくらい飛躍させればおもしろそうかを考えることができる物語づくりの方法です。
そういった意味でも「キャラクター」は物語づくりの不可欠なものなのです。
よく「キャラクターが薄い」といわれる人が、それを悩むことがあるといいます。
ですが「キャラクターが薄い」もキャラクターです。
キャラクターが薄いように感じても、キャラクターが無いわけではありません。
どんな人もキャラクターがあるのです。
元のキャラクターを認識して、観客や視聴者が通常抱くであろうイメージをよい意味で裏切るキャラクターが浮かんでくれば、おもしろい作品げできる匂いがプンプンしてきます。
物語づくりとはなにも映画やドラマだけではありません。
会社のブランドづくりも商品の宣伝も自身のイメージもすべて、そこに物語を醸し出すことができれば、仕事もプライベートもうまくいくでしょう。