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「ナイツ」に学ぶわかりやすい文章術

「ナイツ」に学ぶわかりやすい文章術
~「人気お笑い芸人」に学ぶ、わかりやすくする文章術~


文部科学省が日本漢字能力検定協会(通称「漢検」)本部の立ち入り調査をはじめました。


漢検が公益事業では認められない巨額の利益を得ていたというのがその理由です。


日本漢字能力検定協会は公益法人です。


公益法人としてはちょっとおかしいんじゃないの? と思われるのではないか。


もしもそんなふうに感じることができたなら、今回のような事態にはならなかったでしょう。


「公益法人としてまっとう」というラインがわかっていれば、ラインから離れていってしまうことはなかったはずです。


「ラインを見極める目を持つ」ことが大事です。


これはお笑いと似ています。


一般的にみておかしいんじゃないか、という「ボケ」ができるのは、一般的にみてまっとうなラインをわかっているからです。


まっとうなラインを離れてボケる。そしてツッコム。


観客もまっとうなラインがわかっているからボケに気づく。ツッコミにうなづきながらまっとうなラインに戻る様子に安心できるから笑えるのです。


日本のお笑い芸人の多くがコンビを組んでいるのは、ふたりでまともなラインを確認し合えるという意味で、とても良いことなのです。


もちろん、ひとりだってOKです。


ラインを見極める目を持つために、一般的にみておかしいかな? とちょっと想像してみればいいのですから。


日本語力を高めるにはどうすればいいか。


わかりやすい文を書くにはどうすればいいか。


その答えのひとつは、お笑い芸人の感性と技術を真似することです。

「ナイツ」というお笑い芸人コンビがいます。


ナイツは2008年のM-1グランプリで第3位になった実力派のお笑いコンビです。


ナイツの塙宣之(はなわ のぶゆき)さんは「ガッツ伝説」などでお馴染みの、ベースギターを使った歌のネタで有名な「はなわ」の弟さんとうのも知られるようになりました。


ナイツのネタは、だれにでも非常にわかりやすい題材を使い、数十個のボケをちりばめます。


はじめはたいしたボケじゃないなぁ、なんだか小粒なボケだなぁと思わせておいて、その小粒なボケがだんだん笑いのボディブローのように効いてきます。


漫才の理想のカタチとして後半に向かってどんどん面白くなっていくのが良いというのがありますが、ナイツの漫才はまさに小粒のボケのなかにも後半になるとさらに笑いを誘うボケをチョイチョイとしっかり仕込んでいます。


しかもひじょうにテンポがいい。リズム感が心地いい。


普段は寄席で活躍しているからなのか、いわゆる若者向けのパッと見の派手さやフレッシュさといったものは感じられませんが、おそらくあえてそれらを封印して地味そうにみせることが彼らの狙いなのでしょう。


地味そうだなぁという印象で笑いのメーターをマイナスにもっていかせておいて、漫才が終盤にさしかかるころには笑いのメーターはプラスへ一気に振り切れるようにしているのではないでしょうか。


そんなナイツのネタはヤフーをヤホーと言い違えるという有名なボケを筆頭に、話題のキーワードを軸にそれに関連した情報やエピソードの随所に駄洒落っぽいボケをいくつも仕込んでいくというものです。


一言でいえばオヤジの駄洒落なのですが、あるキーワードに語感が近くて置き換えるとおかしな意味にとれる絶妙なワードをボケとしてテンポよく連発していく様子は、まるで音楽を聴いているかのようです。

ナイツのネタづくりはこうです。


まず、ボケ担当の塙さんが話題のキーワードに関する紹介文の原稿のなかにボケを次々に書き込んでいきます。


次に、その原稿を受け取った相方の土屋さんがボケに対するツッコミを考えていきます。


正しい情報をズラしてボケる。ボケに反応して気の利いた一言を添えてツッコム。


ツッコミは「おかしなことを言うボケ」に対し、その間違いを素早く指摘して訂正する役割があります。


ツッコミは、それがどんなふうにおかしいかをわかりやすくしつつ、その間違いを素早く指摘して訂正します。


訂正して、本来の正しいとされるラインに引き戻します。

いかがですか?


これはわかりにくい箇所(ボケ)に気づき、それがどんなふうにわかりにくいかを分析し、指摘して訂正する「わかりやすくするためのリライト術」と基本は同じだとおわかりいたけたと思います。


メルマガでお伝えしてきた「わかりやすくするためのリライト術」は、ずっと昔からお笑いの世界で行われてきたことにたいへん似ています。


日本語の勉強や文章の勉強というと、机に向かって真面目にやらなければならないと思いがちです。


いやいや、そうではありませんね。


楽しみながら学んだっておおいに結構。


真面目はいいことですが、真面目すぎる話を聞いているとたいていあくびが出てしまいますよね。


人を楽しませることができれば、自然とあなたの話に耳に傾けてくれ人は増えていきます。


それに、人を楽しませるには自分が楽しむことが基本です。


お笑い芸人たちは、嫌々に芸人をやっているのでしょうか。


もちろん、芸人をやっていれば辛いこともあるでしょう。


でも、芸人をやっているのが楽しくてしょうがないから続けていけるのだとおもいます。


ナイツの漫才は言葉を使う芸の本質を表していますので、たいへん興味深く、楽しませてもらっています。


ぜひ、皆さんもナイツのネタをご覧になってみてくださいね。


ナイツの漫才「宮崎駿」

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