映画「ダイアリー・オブ・ザ・デッド(DIARY of THE DEAD)」
監督:ジョージ・A・ロメロ
アメリカ/2007年/95分
社会風刺の鬼才ジョージ・A・ロメロが放つ、主観とネットと恐怖と笑いのゾンビ四重奏作品。シニカルな笑いやコミカルな笑いもますます冴える!
ストーリー(概要)
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――夜。
山奥でホラー映画を撮影していた学生のグループは、ラジオで、世界各地で死者が蘇っている、というニュースを耳にする。
学生たちはビデオカメラで撮影しながらネット上にその映像をアップしつづた……。
主な登場人物の紹介
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▽デブラ
△ジェイソン
△トニー
▽トレーシー
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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社会風刺の鬼才ジョージ・A・ロメロが放つ、主観とネットと恐怖と笑いのゾンビ四重奏作品。シニカルな笑いやコミカルな笑いもますます冴える!
■ ベーシックゾンビ
1968年の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」ではじまるゾンビ映画でもっとも有名な監督といえば、もちろんジョージ・A・ロメロである。
数々のゾンビ映画を世に送り出してきた彼は、2005年の「ランド・オブ・ザ・デッド(Land of the Dead)」ではアメリカ合衆国の歴史、ヒッピー文化、中東での軍事作戦を風刺するだけでなく、道具や武器を使い、水中にも潜る「進化するゾンビ」を登場させた。
では今作「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」ではどんな新型ゾンビが登場するのか?
そんな期待をいい意味で見事に裏切るのがこの監督の「粋」なところである。
今度のゾンビはいわば、ベーシックゾンビなのだから。
ゾンビが猛スピードでダッシュするわけでもなく、水中に潜るわけでもない。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」のゾンビたちと同じように、ただ生者の肉を求めてノロノロと襲ってくるゾンビなのだ。
動きがゆっくりなこともあり、今ここで起こっていることを記録しようと決意した学生たちは、襲い来るゾンビをビデオカメラで映しつづけるのである。
■ 主観撮影
学生たちの手持ちカメラで撮影される映像。
こうした主観撮影は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「クローバーフィールド/HAKAISHA」で注目を集めたことが比較的記憶に新しい。
「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」で特徴的なことは、学生たちは撮影した映像をウェブ上にどんどんアップしていくことだ。
だれもが手軽に撮影できて、世界中へ発信できる現在の社会を反映しているこの学生たちの行動は、ゾンビ発生・襲来という緊急事態のなかにあってもどこかしらコミカルにさえみえる。
学生たちはあたかもゾンビ発生という緊急事態を映像に収めて世界中に発信することで、有意義な行いをしている実感を得て、ますます輝いていくようでもある。
ベーシックゾンビがノロノロとした動きしかできないのをいいことに、学生仲間の女性がゾンビに追われている様子を男子学生はのんきに撮影し続ける。
「撮ってないで早く助けてよアンタッ!」みたいなことを散々女子学生に言われているのに、男子学生はぜんぜんおかまいなしでカメラを回し続けていたりする。
こうしたシニカルな笑いやコミカルな笑いをやってのけるのが、ジョージ・A・ロメロの愛嬌というかお茶目なところなのだ。
■ その他
ゾンビはいつも突然発生してあっという間に広がっていく。
それは一寸先は闇といえる現代社会の様相を呈しています。
さらに、だれでもどこでも情報を発信できる現代のネット社会による新種の恐怖をも描いています。
最後に、主観撮影はその使い方さえ間違えなければ、臨場感あふれる「画」を撮ることができますが、それとあまり意識させずにうまく使っている作品を紹介しておきましょう。
それは「トゥモロー・ワールド(The Children of Men)」です。
デート ×
フラッと △
演出 ○
キャラクター ○
笑い ○
映像 ○
ファミリー ×
風刺 ◎
社会 ◎
ユーモア ○
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