映画「AVP2 エイリアンズVS.プレデター(Aliens vs. Predator: Requiem)」
監督:コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス
アメリカ/2007年/94分
「ひとんちの庭先でモンスターバトル2」南極で宇宙的サバイバル合コンの後は、コロラドの田舎町でどつき合い! エイリアンとプレデターに即席の吹き替えを付けたら? と想像して楽しもう。
ストーリー(概要)
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南極でのエイリアンとプレデターの戦いの後、プレデターの体内からチェストバスターが誕生。
宇宙船内のプレデターを次々に殺戮する。コントロールを失った宇宙船は地球のアメリカ・コロラド州の森へ墜落。無数のエイリアンがコロラドの森や町へ飛び出していく。
その一方で、墜落した宇宙船の情報を得たエイリアン駆逐専門のプレデター「ザ・クリーナー」は地球へ向かう。
こうしてエイリアンたちとプレデターの戦いが再びはじまる。
主な登場人物の紹介
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∵エイリアン(プレデリアン)
プレデターの性質を受け継いだ新種エイリアン
∵プレデター(ザ・クリーナー)
エイリアン駆逐専門のプレデター
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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「ひとんちの庭先でモンスターバトル2」南極で宇宙的サバイバル合コンの後は、コロラドの田舎町でどつき合い! エイリアンとプレデターに即席の吹き替えを付けたら? と想像して楽しもう。
■ 天から大魔王が降ってきた!?
オラ見ただぁ。空から宇宙船が降ってきたぞぉ。「こりん星」からだれかやってきたちがいねぇ。
アレレ? ゆうこりん(テレビ朝日アナウンサー青木裕子サンのほうではない)じゃなぁいぞぉ……。
たくさんの怪物が宇宙船から出てきただぁ。
■ こりん星爆発!?
天から降ってきた宇宙船。中から出てきたのがゆうこりんやデーヴならおもしろいのに……。
ゆうこりんのこりん星キャラ。本人も最近はこのキャラを途中で投げやり気味になるようだけど、まさか、こりん星爆発! なんてことにはならないよね?
そもそもゆうこりんが……え? ゆうこりんの話じゃぁない。そんな話はオヨビでない? コリャマタ失礼しました! (植木等より)
■ ひとんちの庭先でモンスターバトル2
さてさて、AVP2のレビューをしようと思ったんだけど、はっきりいって「ひとんちの庭先でモンスターバトル2」の一言で終わっちゃうのよね。
地球に宇宙船が墜落してエイリアンが人類に襲い掛かる。それを追ってプレデターがやってくる。コロラドの町(ひとんちの庭)を舞台に両者のバトルが繰り広げられる!
どんだけ~(豊田一幸)ならぬ、そんだけ~。
■ トライアングル完成せず
例によってエイリアンもプレデターもしゃべらない。エイリアン向けやプレデター向きならそれでもいいけど、地球人向けの作品だから地球語も使わなきゃっていうんで、地球の人間も登場する。
元不良の兄貴とチョイ悪弟。弟の元恋人のグラマー美人。いじめっこ系でやんちゃな同級生たち。マジメな保安官。軍人のママとその幼い娘。
ほかにも店のウェイトレスに下心アリアリの料理人オヤジなんかも出てくるけど、人間たちは勝手に襲われたり、勝手に反撃したりする。
前作「AVP」にあったような、宇宙初!プレデターと人間のタッグはみらないんだ。
エイリアンは人間を襲い。プレデターはエイリアンを狩る。人間たちは逃げ惑い、ときどき反撃。
エイリアン、プレデター、人間の三角関係にはならない。あくまでエイリアンとプレデターの戦いなんだ。
それもそのはず。だってタイトルが「AVP2」なんだから。
■ プロレスで例えると
とはいえ前作「AVP」では、路傍の石ほどの扱いもされなかった人間のひとりが参戦するというサプライズがあった。
プロレスで例えるなら、戦いはリングの中だけじゃなく、リングサイドのセコンドや放送席の解説者をも巻き込ん行われたんだね。プロレス会場全体が戦いの舞台というワケ。
だからあくまでエイリアンVSプレデターなんだけれども、そこに人間も絡んできてグッとおもしろくなったんだ。プロレス会場の観客は観ているだけじゃなくて参加している。そんなプロレス会場を1歩ひいて観ている映画の観客は、この先どうなるんだろう、と興味がわく。
ところが「AVP2」ではプロレス会場の観客は勝手に逃げ惑って騒いでいて、リング上ではレスラーたちだけで盛り上がっちゃってる。そんなプロレス会場を1歩ひいて観ている映画の観客は、歯車の噛み合わないプロレス会場の様子にしばしばあくびが出ちゃってる。
■ 前作はイメージが広がった
前作「エイリアン VS.プレデター」では人間のひとりがエイリアンとプレデターの戦いに絡んでくることで、世界が広がった。
人間世界とプレデター世界が「戦い」を通して触れ合ったその瞬間、意志の疎通が試みられた。それまでプレデターに全く気にもとめられなかった人間がエイリアンを倒したことで、ひとりの戦士として認識されるという流れがあった。そのときに、エイリアンを倒すために協力しちゃう? ってなかんじのコミュニケーションが生じたんだ。
プレデター世界と人間世界が出会った瞬間がそこにあった。
たしか「プレデター2」でも人間の男がラストにプレデターに戦士として認められシーンがあったと思う。
そして「AVP」でも戦いを通して、いわば未知との遭遇があったんだね。異世界・異文化との交流だ。
そんな交流があるとイメージが膨んでくる。例えば、プレデター世界の「戦士」の掟みたいものに接触した人間がいた。それで今度は人間世界の「愛」に触れるプレデターがいた! なぁんてことになって、プレデターのひとりが人間愛に触れて心が揺らぎ、冷酷な戦士として戦えなくなっちゃう。そんなプレデターが登場するかも! などと次回作を想像(妄想)しやすかったのが前作「AVP」だ。
「AVP」を観ていろんな想像が膨らんで書いた「南極で開催されたサバイバル合コン」に例えた「AVP」のレビューはなかなか好評だったヨ。
「エイリアン VS.プレデター(ALIEN VS.PREDATOR)(AVP)」作品レビュー
■ 意外にリアル?
人間の愛に触れたプレデターの苦悩。そんなものがあってもおもしろいかもしれない。
でも、プレデターと人間の交流による、プレデター世界の変革。そして人間世界への順化といったことになったら、ありがちなアメリカ映画になってしまうところだった。
「AVP2」では、戦いにしか意味を見出せず戦いにしか生きられないプレデターをどうすることもできない。
人間たちは襲われ、逃げ惑い、反撃してもあまり効果なく、そして同胞である人間にさえ裏切られる。
それが現実(現状)だ! とでもいわんばかりの、エイリアンやプレデターとはどこまでいっても歯車はかみ合わない。
それが逆にリアルなかんじでいいかもしれない。
宇宙は地球人(人間)の愛で変革できる。宇宙を変えられるんだ! みたいな作品だったらもぅコントにしかならないのだから……。
■ その他
戦うことしか知らない種族・宇宙人との遭遇で思い出すのは、日本のアニメ作品「超時空要塞マクロス」です。
マクロスでは地球人が宇宙人と遭遇します。宇宙人は巨人で、男と女は別々の艦に乗っています。彼ら(彼女ら)は戦うこと意外に興味も存在意義もないと思っています。
そんな宇宙人は地球人と遭遇することで文化に触れます。彼らのいうところの失われた「デ・カルチャー」は破滅をもたらすものとして宇宙人に恐れられています。
異文化の遭遇というテーマはすでに80年代にSFアニメ作品「超時空要塞マクロス」でばっちり取り上げられていたんですね。
マクロスはいま観てもじゅうぶんに見応えあります。テーマが深く、主人公の青年と同世代の恋人と年上のお姉さんとの三角関係、先輩後輩の絆、友情。そして作品中で歌手が歌を歌うなど、当時としては先進的な試みも行われてます。
マクロスにしてもガンダム(1年戦争)にしても、子供向けというより、大人向けといってもいいほど奥が深いんですね。
ガンダムでは地球連邦軍が正義でジオン公国軍が悪だといいきれない。どちらにも正義があって、その戦いで若い命が散っていく……。
ガンダム人気の秘密(でもなんでもないけど)は、奥深いテーマと立体的なキャラクターによる人間ドラマがしっかりあるところなのです。
ドラゴンボールだってスゴくおもしろいですが、強い敵が現れてそれを倒すと仲間になって、するとまたもっと強い敵が現れて……という単純明快な少年漫画の基本どおりなわけです。ピッコロはかなりいい奴(キャラ)に変化しましたが、それも基本どおりといえばその範疇です。
そういった範疇に収まりきれないマクロスやガンダム。名作といわれる所以はそのあたりにあるのです。
さて「マクロス」のスゴさをあらためて教えてくれた「AVP2」。広くおススメはできませんが、頭空っぽにモンスター同士のどつき合いを楽しみたい方や、エイリアンシリーズ・プレデターシリーズのファンの方、そしてプレデターに想像上でフキダシのセリフを付けて楽しめる方にはいいでしょう。
新種のエイリアンは風貌がプレデターに似てきたので「ドレッドヘアがプレデター」と頭の中で唱えながら見ないと、戦いの最中にどっちがどっちだかわからなくなってしまいそうです。
せめて色分けでもしてみる? 赤いエイリアンと白いプレデター。これぞ「宇宙的紅白どつき合い合戦!」なんちて。
ヤンヤヤンヤやいいながら、エイリアンとプレデターに即席の吹き替えを付ける。そんなコンテストがあったら超おもしろそうですネ☆
デート ‐
フラっと × シリーズのファンならいいけど
脚本勉強 △
演出 △
キャラクター ○ 定番キャラ
映像 △
お涙 -
笑い ○ プレデターってなんか笑える
ファミリー ×
アクション △
SF △ SFというよりモンスターパニック