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09/27/2007

ファンタスティック・フォー:銀河の危機(FANTASTIC FOUR: RISE OF THE SILVER SURFER)

監督:ティム・ストーリー
アメリカ/2007年/92分

日米F4の比較でわかる、FLAME ON!で萌えろ!(←漢字違うヨ)F4、人気のワケ。普遍的な苦悩を軸にバランスのとれたキャラクター設定と配置で展開する、安定感バツグンのヒーロー物語。

ストーリー(概要)
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世界各国で異常気象が起きるなか、ファンタスティック・フォーのリードとスーの結婚式が執り行われようとしていた。
そのとき、銀色のサーフボードに乗る未知の生命体が現れる。


主な登場人物の紹介
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△リード・リチャーズ
天才科学者。ファンタスティック・フォーの一員(実質リーダー)。体をゴムのように収縮させて自由に変化させる能力を持つ。

▽スーザン・ストーム
女性科学者。リードの婚約者。ジョニーの姉。ファンタスティック・フォーの一員。自分や相手を透明にしたり、透明バリアをはる能力を持つ。

△ジョニー・ストーム
宇宙船パイロット。スーザンの弟。ファンタスティック・フォーの一員。炎を操る。FLAME ON!のかけ声で全身を発火させて高速で飛行できる能力を持つ。その状態は「ヒューマン・トーチ」と呼ばれる。

△ベン・グリム
宇宙パイロット。ジョニーの先輩。リードの親友。ファンタスティック・フォーの一員。岩のような頑丈な体と怪力の能力を持つ。

△ビクター・バン・ドゥーム
天才科学者。ファンタスティック・フォーの宿敵。メタル状の全身と破壊光線を指先から発する能力を持つ。かつて世界征服を企むがファンタスティック・フォーに撃退された。

△ノリン・ラッド/シルバーサーファー
サーフボードに乗った銀色の生命体。彼が現れた惑星は8日で滅亡する。宇宙パワーを吸収してエネルギーに変換したり、治癒したりする能力を持つ。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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日米F4の比較でわかる、FLAME ON!で萌えろ!(←漢字違うヨ)F4、人気のワケ。普遍的な苦悩を軸にバランスのとれたキャラクター設定と配置で展開する、安定感バツグンのヒーロー物語。

■ ファンタスティック・フォーとは?

原作はマーベル・コミックの「ファンタスティック・フォー」。

宇宙実験で宇宙放射線を浴び、遺伝子が変化して超能力を持つことになった4人が結成した、非営利目的のヒーロー集団のこと。またその集団が活躍する作品のこと。以下「F4」と表記する。

ちなみに題名にフォーとあっても4作目ではない。映画2作品目である。


■ F4といえば……

多くの人々にとってF4ときいてすぐに思う浮かぶのは英徳学園高校のF4だろう。この場合のF4は「Flower 4」つまり花の四人組を名乗る道明寺司・花沢類・西門総二郎・美作あきらたち4人のことだ。

これは日本の漫画「花より男子」の登場人物たちであり、テレビドラマになってヒットしたので名前だけでも聞いたことがある人も多いだろう。

というわけで日本でF4といえば「ありえないっちゅ~の!」でお馴染みとなった牧野つくしが叫ぶ「どうみょうじ~!」こと道明寺司をはじめとする4人の男子高校生のことがまず頭に浮かぶ。

ところが米国では「スパイダーマン」「X-メン」「ハルク」でお馴染みのマーベル・コミックの作品「ファンタスティック・フォー」のことである。


■ 日米F4人気のワケ

英徳学園高校の幼馴染F4がなんだかんだいってもお互いに助け合い協力し合って牧野つくしという女生徒を守るのと同じように、マーベル・コミックのF4も親友や姉弟や恋人や同僚と様々な関係を持つ4人がお互いに助け合い協力し合って街の人々を、人類を、地球を守る。

英徳学園高校のF4は超お金持ちでいわば強者。女生徒の牧野つくしは超庶民で後に超貧乏になる弱者。望むと望まないに関わらず、財力という持って生まれた能力を使って庶民代表の牧野つくしを守りつづけていくF4に読者は拍手をおくる。だから「花より男子」は人気漫画であり、そのドラマ化作品は続編が作られるほどヒットした。

マーベル・コミックのF4も望むと望まないに関わらず宇宙放射線を浴びて超能力を得ることになる。その能力を持ったことで一変した生活に戸惑い、静かに暮らしたいと望みながらも、4人のチームワークで一般人(庶民)を守るために活動するF4に読者は拍手をおくる。だから「ファンタスティック・フォー」は人気コミックなのだ。


■ キャラクターのバランスが良い

F4は与えられた能力(タラント)に戸惑いながらもそれを活かしていく道を歩む。その4人の関係は、恋人、家族(姉弟)、友人、同僚(先輩・後輩)とバランスよく配置されている。

また紅一点のスーザンがシルバーサーファーの心をも動かす非常に重要なキャラクターとなっている。

キャラクターの性格、位置づけ、キャラクター同士の関係性。これらが幅広いために、観客の多くは登場人物のだれかに、またはその状況に共感しやすい。

たとえば、Aさんという観客はだれかの姉であり、だれかの恋人であり、だれかの友人であり、だれかの同僚である。そんなAさんはF4の置かれた状況と苦悩が身近なことのように思えるのである。


■ 普遍的な苦悩

与えれたタラント(能力)をどう活かすか。

これは人が生きるうえで、昔から苦悩しつづけてきた大きな問題だ。

聖書にはタラントの例え話があることからもわかるとおり、人は与えられたタラントに応じてそれぞれがタラントを活かさなければならず、どのように活かすのかと思い悩む。

天(神)から与えられたタラント(能力)をどう活かすか。

これは宇宙放射線を浴びて超能力を持ったF4が平穏な生活を望みながら、人類のためにその能力を活かしていく生き方にひとつの指標を与えてくれる。

どんな指標か。

それは、チームでタラント(能力)を活かすことだ。

ピクサー作品「Mr.インクレディブル」でもそうだし「X-メン」でもそうだが、ヒーローたちはその超能力のために周囲から浮いてしまう。ひとりではその能力のために弱者にもなってしまうことがある。

けれども能力を持った者たちが集まってチームで目的を達成するために動きはじめれば、その能力は最大限に活かされるのだ。

だから、まずは自分にどのような能力があるのかを見極めて、それを伸ばしていくこと。いつかチームとしてその能力が発揮されるその日まで――。

ではどうやったら自分の能力を発見できるのか。その方法はこちら。
▼『Mr.インクレディブル』が教えてくれる、子供の才能を限りなく伸ばす方法


■ その他

シルバーサーファーが現れた惑星は8日で滅亡する。これは世界が7日で作られたとする旧約聖書創世記の記述を連想させますね。

神が7日で作ったものを、8日で滅亡させるというのですから、シルバーサーファーが悪の迫る予兆として現れたことをわかりやすく提示している、というわけです。

それと、予告編でもよく流れていたジョニーの「ヒューマン・トーチ」とシルバーサーファーとのおっかけっこをはじめとする、シルバーサーバーの動きはCGならではの見所ですね。

でもCG映像はたしかにスゴいんだけれども、それよりもはやり、F4のチームワークが観ていて気持ちイイ。

F4の理想的な関係性と活躍を安心して観ていられる。

そんな安心・安定感バツグンの作品ですね。

逆にいうと、ファンタスティック・フォーが何なのかさっぱりわからない人や、とにかくビックリ・ドッキリしたい人には向きません。

前作「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」を観た人にはおススメです。

それと、今をときめくジェシカ・アルバのファンは、もちろん必見ですヨ。


デート         ○ お互いにF4知ってることが前提
フラっと        × 基礎知識入れてからにしてね。 
脚本勉強      ○
演出         ○
キャラクター      ◎
映像         ◎
笑い         ○
ファミリー      ○
お初         ×
 

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09/11/2007

ピクサーのスゴさの秘密

「レミーのおいしいレストラン」がCGアニメーションとしてヒットしつづけているのはなぜか。

今回はCGアニメーションに焦点を絞って考えてみよう。

そもそも、ピクサー作品のCGアニメーションがスゴいというときの「スゴさ」とは何だろう?

ピクサーはこれまで、CGでは難しいとされる対象をあえて描いてきた。毛におおわれた生き物、水。

そして「レミーのおいしいレストラン」では料理を題材に描いた。だからスゴいといえば全くそのとおりなのだが、実はもっと重要な点をうまくやりとげている。

重要な点とは「人間」である。

高度なCGアニメーション技術があるからといってすぐに人間を登場させなかったことが重要であり、成功の要因だ。

たいていのCGアニメーション作品の場合、はじめから人間を登場させて「CGアニメーションの底無し沼」にハマってしまう。

人間をCGで描く意味と必要という名の沼にハマると、抜け出そうともがけばもがくほど深く沈んでいく。スクエア(現スクエアエニックス)が映画「ファイナルファンタジー」深い底まで落ちて浮かんでこれなかったようにである。

ところがピクサーの初期作品は人間以外を主人公にして、必要ならば人間も少し登場させてきた。そして徐々にスーパーヒーローや料理人へと、CGアニメーションで登場させるキャラクターにおける人間の比率を増やしてきたのだ

さらに最新作「レミーのおいしいレストラン」でさえ、主人公はねずみのレミーと人間のリングイニのふたりだ。まだ人間だけが主人公とまでにはしていない。

これがピクサーのうまいところである。

モンスターやおもちゃや魚を主人公にして「人間」を描きつつ「レミーのおいしいレストラン」では、さりげな~く主人公のひとりを人間にしている。

こうして、例の沼にハマることなく、人間をサラっと主人公にできているのだ。

ハマるとわかっている沼は避けてとおる。

あたりまえといえばそれまでのことを確実に行ってきた。それができるスゴさがピクサーにはあるということだ。

▼映画「レミーのおいしいレストラン(RATATOUILLE)」 作品レビュー


さて「ベクシル」はチャレンジ精神にあふれる作品だが、やはりこれも人間の顔をどのように表現するかで苦悩している様子がうかがえる。

技術的にはリアルな顔にすることができるのだが、あえて2Dちっくな、いうなれば従来のアニメちっくな「絵」に近いものとしている。

「CGアニメーションの底無し沼」があることはわかっているのだから、あえて無視するかのような態度もとってみるという、いい意味でのいやらしさ、もときには必要だ。

「ベクシル」は真面目に頑張っているのでぜひとも応援したいが、真面目におちゃらけてみるのもどうだろうか。新しい発見があるかもしれないゾ。

▼映画「ベクシル」作品レビュー

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