映画「300(スリーハンドレッド)」
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監督:ザック・スナイダー
アメリカ/2007年/117分
原作:フランク・ミラー『300』
半裸に赤マントのオヤジ系マッチョ軍団が大ハッスル! 新感覚アクション「早回し DE スローモーション」にド肝抜かれろ! 個人ヒーローを否定したかのようで、そうではない。「7人の侍」級のシンプル設計でわかりやすいゾ。
ストーリー(概要)
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紀元前480年。ペルシャ軍がギリシャに侵攻を開始。スパルタにペルシャの使者がやってきた。
服従を迫るペルシャの使者を、スパルタ王レオニダスが葬り去る。
しかし、神託と民会の賛同を得られないため軍を出動できないスパルタ王レオニダスは、スパルタ軍精鋭300の兵を率いて出立。
ギリシャ各国の部隊と合流し、テルモピュライという狭い山道でペルシャ軍を阻止すべく戦う。
主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△レオニダス
スパルタ王
▽ゴルゴ
スパルタ王妃
△クセルクセス
ペルシャ王
▽セロン
スパルタの政治家
△ディリオス
スパルタ戦士
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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半裸に赤マントのオヤジ系マッチョ軍団が大ハッスル! 新感覚アクション「早回し DE スローモーション」にド肝抜かれろ! 個人ヒーローを否定したかのようで、そうではない。「7人の侍」級のシンプル設計でわかりやすいゾ。
■ ファランクス(phalanx)
ファランクス(phalanx)は、古代ギリシアで用いられた重装歩兵による密集陣形のこと。
当時、最強といわれたスパルタ陸軍もファランクスを採用していた。
ファランクスで重要なのは、号令のもとに皆が同じ動きをすること。ひとりだけ勝手な動きをすることは、全体を危険にさらすことになる。
だから、ひとりのズバ抜けて強い戦士よりも、ほぼ均一な体力と強靭な体を持つある戦士が多数いたほうがよい。
これってなにかに似ていないだろうか?
■ 企業戦士
――企業戦士。
ひさしぶりに聞いたナ。と思われた方もいるだろう。
かつての優秀な企業戦士とは、いったいどんな者を想定していたのだろう?
なるべく頑丈で、なるべく文句言わずに命令に従って、なるべく会社のためにボロボロになるまで働くことに意義とプライドを持てるよう教育しやすい者がほしい。
かつて、運動部系出身の新卒者をたくさん採用したがる企業の営業部署が多かったのはそのためだ。
■ ファランクスを組めない者は……
ファランクスを組めない者は、戦士になれない。
ファランクスを組めない者は、ユニフォームを着れない。
ファランクスを組めない男は、参政権を得られない。
集団、組織、共同体のために命を落とすことこそ美徳である。
戦えない子供は谷底へ捨てろ。
7歳で母親と決別せよ。
空腹なら盗んでも生き延びろ。
情けを捨てろ、痛みを隠せ、恐怖を受け入れろ。
生き残った者だけが一人前の男になれる。
――それがスパルタ式だ。
■ タイトルの意味
「ボクは左利きなんで、右側に盾を持ちたいんですケド」
「俺は背は低いほうだが、小回りがきいて素早い攻撃がきるぞ」
こんな者は戦士として認められない。みんなと同じ体型と同じ体力と同じ動きができる者だけだ。
そんなスパルタ式は、集団・組織・共同体を強くする。
BC800年ごろからのギリシアは、そうした集団・組織・共同体の時代であった。
そんな時代では、ひとりのヒーローはいらない。集団こそがヒーローなのだ。
だから作品のタイトルが「300」という、ひとまとりまりの「数字」であり「単位」なのだ。
「ス○イダーマン」でもなければ「スー○ーマン」でもなければ、梅干食べて「スッパマン」でもない。300というひとまとりの数字がヒーローなのだ。
■ 冷戦かッ!
ギリシャ陣営 × ペルシャ陣営
ギリシャ陣営の先導はスパルタ。
これってなんだか米ソ冷戦の構図みたいだぞ。
スパルタを米国と仮定すると、テルモピュライの地でスパルタ軍と共に戦ったギリシャ各国兵はNATOで、ペルシャ軍はワルシャワ条約機構といったところか。
ペルシャ軍にヤギの道(いわゆる裏道)を知られて優位が失われたことで、ギリシャ各国兵が退却していくなか、スパルタ(歴史によると他国兵の一部も残った)が残る。このあたりまでくるとなんだか米国のイラク派兵っぽくなってくる。
そしてスパルタ軍は玉砕。
ここでの重要なポイントは、スパルタ軍がペルシャ軍に包囲されて絶体絶命の危機的状況になる直前に、スパルタ王レオニダスが、部下のスパルタ戦士・ディリオスを故郷に帰すところだ。
ディリオスは、スパルタ兵300が勇敢に戦ったことをギリシャ諸国に伝え広める使命を受けたのである。
「300」は、広く語り伝えられることで「英雄伝」となる。
これって米国がいつもやっていることじゃ? いや、米国だけではない。
全体からみれば一部だが、その一部の勇敢で犠牲的な行動が、皆を助けることになった。それを称えることで、集団・組織・共同体の団結を強めるというのは、まぁどこでにでもありそうな常套手段だ。
■ 個人ヒーローを否定したかのようで、そうではない。
今回はひとりの名前を使ったヒーローではないが、全体から見れば一部の「300」という数字がひとつの名として機能したヒーロー物語である。
アウトローをはじめとした強い個人がヒーローとして描かれてきた米国映画だが、全体からみれば一部である「300」をヒーローとして語り継がせることで、全体を鼓舞する。
こうしてみると「300」は題材はギリシャだが、やっていることはいつもの米国映画とほとんど変わりはない。
つまり、全体からみれば「300」という「個体」がアウトローとして活躍する、いつものパターンだ。その例として、ファランクス命! みたいなこと言ってるわりには、個人技のアクションシーンが目玉になっている。
もちろんそれはいい意味である。どんなに大きな戦いであっても、個々の戦いの集合であることから、全体を撮るよりも部分を撮ったほうが伝わりやすい。
体育祭での全校生徒の集合写真よりも、自分や友人が大きく写った綱引きの写真を見るほうが、思い出を鮮明に蘇らせることができるのと同じだ。
原作はフランク・ミラーのグラフィック・ノベル。漫画は風刺と相性がいいことからもわかるように、映画「300」も風刺も映像(画)も、そのあたりをちゃんと押さえているのだね。
■ 早回し DE スローモーション
スパルタがまるで米国みたいだ。というのは、実は「どぉーでもいいですよ(だいたひかる)」ってなものである。
「300」の見所は、いうまでもなくアクションだ。
なんでもかんでもCG使えばいいのではなく、世界観を生かしつつ、アクションも派手にしっかり魅せる。これがけっこう難しい。
下手な作品だと「ほら見てよ! CG使ってすごいでしょ」という制作サイドの声が画面から滲み出てしまったり、やたらカットを素早くつなげてスピード感を出そうとするも、なにが起きているんだかさっぱりわからないアクションシーンになってしまったり、といったことになる。石を投げればそんな作品に当たるご時世だ。
しかし「300」のアクションシーンでは、なにが起こっているのかが、観客にしっかりわかるように作られている。迫力とスピード感を失わずにそれができている。
最大の特徴は「早回し DE スローモーション」とでもいおうか、緩急を活かしたアクションがそれだ。これならなにがどうなっているのかバッチリ伝わる。逆に伝わりすぎてヤバい(いい意味で)映像だ。これを観ずして今後のアクションシーンは語れまい。
■ お約束を守ったシンプル設計
スパルタの神官みたいなのが数名登場する。スパルタ王でさえ、彼らに出陣のお伺いをたてなければならない。
この神官たちは金と女と地位を欲して腐敗しており、スパルタの若い女たちの中で一番の美女を連れてきて自分たちの欲望を満たしつつ、その女を通して授かるという形での、金で買える神託をもって私利私欲をこやす、百害あって一利なしという役どころだ。わかりやすくいえば既得権益にしがみついた害虫といったところか。
またスパルタの民会を牛耳る政治家のセロンも同じような役どころだ。
そんな悪役たちが障害(オブスタクル)になって、レオニダスはわずか300の兵力でペルシャの大軍を阻止するために出立しなくてはならないのだ。
このあたりも米国の議会や軍需産業云々などといろいろ解釈できそうだが、そんなことは「どぉーでもいいですよ(だいたひかる)」状態で、要はワルモノもちゃんといるゾというお約束を守ったシンプル設計だということだ。
だから小難しいことなどなぁんにも考えることなく、赤マントのマッチョ軍団がんばれッ! と声援を送るつもりで、たまにペルシャ軍のイロモノ舞台にヤンヤヤンヤといいながら観るのが正解だ。
■ その他
ペルシャ王クセルクセスの使者たちは、どこか「北斗の拳」の小ボス雑魚キャラを彷彿とさせるゾ。
クセルクセスは一見するとオシャレ系(?)井手らっきょだがレオニダスと並ぶと……デカっ!
フランク・ミラーのグラフィック・ノベルが原作の映画「シン・シティ(SIN CITY)」を観れる人なら「300」観ても大丈夫。
肉片や血飛沫が飛び散りまくりのため、観るならそこはご了承のほど。
半裸のスパルタ戦士よ、夜はマントで体を包まないと風邪ひくぞぃ。ってそもそもスパルタ兵って重装歩兵じゃなかったっけ? まいっか~♪(EAST AND×YURI)
デート △彼氏彼女の好みが同じなら
フラっと ◎ド肝抜かれる象(パオ~ン)
脚本勉強 ○シンプルに貫かれている
演出 ○あえて史実とは違う設定もイイ
笑い ○ペルシャ軍イロモノ部隊にツッコめ!
役者 ○マッチョさん集合!
映像 ◎クイックアンドスローの衝撃度とは!
ファミリー ×R-15
そっち系 ◎そっちってどっちだ
ほんわか ×
のほほん ×
のんびり ×もうエエわっ!



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