映画「リーピング(THE REAPING)」
監督:スティーヴン・ホプキンス
アメリカ/2007年/100分
「出エジプト記十の災い」の知識が必須の「信仰の物語」。作品の作り方としては素直。イスラエルの「過ぎ越しの祭り」の由来を知っている人はスグに観に行っても大丈夫。「いなご少女現る」って強烈コピーがたまらない(笑)。イナゴ大量発生シーンは迫力満点だ!
ストーリー(概要)
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超常現象を科学的に解明する大学教授キャサリンのもとに、ある日依頼がくる。それは、ルイジアナの奥深くの小さな町ヘイブンで起こる不可解な事件を調査してほしいというものだった。
ヘイブンの町では、ひとりの男の子が死に、川の水が赤色に変わったという。
調査をはじめたキャサリンは、町の人々に忌み嫌われている少女ローレンに出会う。
町では出エジプト記の十の災いにそっくりな現象が次々に起こりはじめていた。
主な登場人物の紹介
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▽キャサリン・ウィンター
大学教授。元聖職者。
△ダグ・ブラックウェル
ヘイブンの教師。
△ベン
キャサリンの仕事上のパートナー
▽ローレン
少女。ヘイブンの町に災いをもたらしたとして、町の人々に忌み嫌われている。
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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「出エジプト記十の災い」の知識が必須の「信仰の物語」。作品の作り方としては素直。イスラエルの「過ぎ越しの祭り」の由来を知っている人はスグに観に行っても大丈夫。「いなご少女現る」って強烈コピーがたまらない(笑)。イナゴ大量発生シーンは迫力満点だ!
■ だれがエジプトを出るのか
出エジプト記の十の災いってなに? という人は頭に「?」マークばかりが浮かんでしまうと思いますので、まずは出エジプトの経緯を簡略に説明しますね。
まずは「出エジプト」。だれがエジプトを出るのかというと、イスラエルの民がエジプトを出るときのお話だから「出エジプト記」なのですね。エジプトを出てどこへいくのか、約束の地「カナン」へいくのです。
その前に、なぜイスラエルの民がエジプトにいるのかを簡単に説明しましょう。
アブラハム→イサク→ヤコブの子であるヨセフは、兄たちの怒りにふれ、商人の一隊に銀二十枚で売られてしまいます。
ちなみにこのシーンは映画「グラディエーター」で主人公マキシマスが商人隊に連れられて砂漠を進むシーンに象徴的に用いられていますね。
商人隊はエジプトへ行き、そこでヨセフは奴隷として売られます。
奴隷となったヨセフは、やがて王の夢(7年間豊作が続き、次の7年間は飢饉が続く)を解き明かします。これによってヨセフはエジプトの総理大臣になります。
夢のとおりに7年間豊作が続き、次の7年間は飢饉がつづきます。でもヨセフが王の夢を解き明かしたことによって食糧をたくさん蓄えていたエジプトには、近隣からみんなが食糧を買いにきました。
そこでヨセフを頼って、ヤコブとその息子たちの家族がやってきてエジプトのゴセンに住みつきます。
ちなみに、その過程でヨセフはかつて自分を商人隊に売った兄たちと再会するわけです。何十年もたっているわけですから兄たちはエジプトの総理大臣がまさか自分の弟だとは夢にも思わないから気づかないんです。
そこでヨセフはしばらく正体を明かさずに、兄たちの様子をみるんですね。やがて正体を明かしたヨセフは、兄たちと和解する。ここにも「赦し」が表れています。「スパイダーマン」と「ゲゲゲの鬼太郎」が赦しの物語だというのはもう皆さんご存知だと思いますが、そういった「赦し」のテーマはヨセフの物語にしっかりとあるのですね。
■ 葦で編んだかごに入った赤ん坊
さて、ヤコブの一族がエジプトに住み始んでから何百年もたつと、イスラエルの民は増え続け、エジプトでとてつもない数になりました。これに脅威を感じたエジプト王は、イスラエルの民を奴隷として酷使します。そして、イスラエル人に生まれる男の子はすべてナイル川に投げ込めという法律を作ります。
そんなとき生まれたイスラエル人の男の赤ちゃんは、葦で編んだかごに入れられ、川に水浴びにやってきたエジプト王の娘のひとりに取り上げられます。
こうしてなんとか命拾いした赤ん坊は、イスラエルの王子として育てられます。彼はモーセと名づけられました。
青年となったモーセがある日、馬車に乗って出かけると、ひとりのエジプト人がイスラエル人の奴隷を打ち倒すのを見て、そのエジプト人を殺します。
■ 燃えているのになくならない柴
それがきっかけで砂漠に逃れたモーセの目の前で、柴が燃えはじめます。ところが火は燃えているのに、いっこうに柴はなくなりません。そのとき火のなかから神の声がきこえ、イスラエルの民をエジプトから導き出し、アブラハムの子孫に与えると約束した地に連れて行くよう言われました。
■ 出エジプト記の十の災い
モーセがエジプトの王に話をしにいくと、王はさらにイスラエルの民に重労働を課します。事態はますます悪くなる一方です。そこで神はイスラエルの民を救うためにエジプトに災いを起こしました。
(1)ナイル川を血に変える
(2)蛙の大量発生
(3)ふよの大量発生
(4)あぶの大量発生
(5)疫病の発生
(6)腫れ物
(7)雷の発生とひょうを降らせる
(8)イナゴの大量発生
(9)三日間、闇が包み込む
(10)長子の皆殺し
■ 聖書との相違点と類似点
ヘイブンの町でも出エジプト記の十の災いと同じ現象が順番どうりに次々と起こります。
唯一違うのは(10)の長男の皆殺しですね。
聖書では長男だけですが「リーピング」では長男だけでなく長女も殺されます。
また、聖書では死の天使がエジプト中を通り、すべての家の長男が死にますが、「リーピング」では天使の役割を持った登場人物がキーになりつつも、直接的には天から降る火によって長男長女たちが焼き尽くされます。
天から降る火は、おそらく「ソドム」と「ゴモラ」に、硫黄と火が雨のように降ったのを意識してのことでしょう。
ちなみにソドムとゴモラのイメージは、映画「バットマン ビギンズ(BATMAN BEGINS)」にもみることができます。聖書にはソドムとゴモラが硫黄と火によって滅ぼされたあとには「地の煙が、かまどの煙のように立ちのぼっていた」(創世記19章28節)とあります。ゴッサムシティのいたるところから垂直に高く噴き出す水蒸気の様子はこれを真似たものでしょう。
また「バットマン ビギンズ(BATMAN BEGINS)」での腐敗したゴッサムシティには幾人かの正しい者がいます。レイチェル・ドッドソンやジム・ゴードン、それに旧市街の子供たちなどです。彼らは、ソドムにいた良き人・ロトの家族を象徴しています。
さらにちなみにソドムとゴモラは映画「ヴィレッジ(THE VILLAGE)」においても、都市と農村の対比でキリスト教文化圏で生まれ育った人にはイメージされやすいものとなっています。
■ 過ぎ越しの祭りの由来
出エジプト記では(10)番目の災いから逃れる術があります。それは、家畜の中から健康なよい子羊か山羊を選び、それを殺してその血を家のかもいと柱にぬることです。
かもいと柱につけた血は、神に忠実であることしるしなので、死の天使が血のしるしがある家は過ぎ越してくださるのです。
こうしてイスラエルの民は10番目の災いの夜に神に守られたことを思い起こす祭りを行うのです。これがイスラエルの「過ぎ越しの祭り」です。
映画「ヴィレッジ(THE VILLAGE)」には、家の扉に赤いマークをつけておくと、口に出してはならない存在(Those We Don't SpeakOf)である、村を取り囲む森に住む「彼ら」が過ぎ越してくれるという設定があります。これはもちろん出エジプトの十の災いの10番目そのまんまですね。
■ 「いなご少女現る」って!
だれがつけたキャッチコピーか知りませんが……すんごいです。
タカはこのコピーを読んだだけで、観ようと決めました!
出エジプトの十の災いを題材にしているのを知ったのは、その後です。
そのぐらいヤバい(いい意味で)コピーですネ。
イナゴの大群のシーンは圧巻です。映像技術もこうして使われると本望(?)なのではないでしょうか。
■ その他
作品としていい線いってるようですが、出エジプトの十の災いをほとんど知らない人には、恐怖の意味が不明なため、頭に「?」が浮かぶでしょう。
私は小さな頃から何度も出エジプトの十の災いの話を聞いていたので、映画とはいえ災いが映像化されていることに、なんだかゾッとしました。
十の災いを知っている人は、災いの意味を知っているわけですから、物語のオチはなんとなく予想が付きやすいでしょう。そういったところでは予想どおりというかんじですが、ワッ! とびっくりさせる細かな演出はさすが職人技というかんじでマル印です。
デート ×抱きつくのを期待するならアリかも
フラっと ×聖書の知識が必要
脚本勉強 △けっこう素直なオチ
演出 ○驚かせる職人技アリ
笑い ×だけど「いなご少女」には座布団十枚!
役者 ○スワンクってやっぱり味がある
映像 ◎これぞ特殊映像技術の本領発揮!
キリスト教文化 ◎十の災いの知識が必要
ファミリー ×おとん、イナゴってうまいんかぁ?
キャッチフレーズ ◎「いなご少女現る」ってスゴっ!




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