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05/23/2007

映画「バベル(BABEL)」

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
アメリカ/2006年/143分

やるせなくも心の琴線に触れる物語。言葉だけがすれ違いの要因ではない。こういうのもたまには観ようネ。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
モロッコを旅行中のアメリカ人夫婦の妻が、バスで移動中に銃撃を受けて負傷する。
アメリカ人夫婦に雇われていた子守の女性は、自分の代わりの子守が見つからないので仕方なく、子供たちを連れて息子の結婚式に出席するためメキシコへ入る。
日本の東京では、聾唖(ろうあ)の女子高生が孤独な日々を過ごしていた。彼女の父親がかつて所有していたライフルがモロッコで事件に関わったことがわかる。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△リチャード
 男性。アメリカ人
 
▽スーザン
 女性。アメリカ人。リチャードの妻。

△サンチャゴ
 男性。メキシコ人。

△ヤスジロー
 男性。日本人。

▽チエコ
 女子高生。日本人。

▽アメリア
 女性。リチャード夫婦の子守。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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やるせなくも心の琴線に触れる物語。言葉だけがすれ違いの要因ではない。こういうのもたまには観ようネ。

■ 心の琴線に触れる

映画はひとときの夢を売る商売というなら、たいていの作品はなにかを忘れさせるものを題材にする。

映画館の客席に座っているときは、日常から抜け出した夢の世界にいたい。だから映画館だけではなく、ディズニーリゾートは大流行なのだ。

「バベル」はこの逆だ。

物語の登場人物たちの身に起こることは、どこまでもすれ違いで、どこまでも思い通りにはいかない。どんどん悪いほうへ転がっていく(一部心の通いはある)。

ぶっちゃけ、映画で夢のようなひと時を! と願っている人には、うってつけだ。だだし、映画で悪夢のようなひとときを! であるが……(>_<)

そんな作品、だれも観たくはないと思うだろう。

だが、どうしてこの作品はこんなに胸を打つのだろう。

それは、アナタの心の琴線に触れるものがあるからだ。

琴線に触れるとは、ここでも出たぞの「共感」を表している。


■ 一丸の意味

一丸となってがんばろう!

そんな言葉はきかれなくってもぅどれくらい経つだろう。

一丸に価値が置かれるのは、普段は個々がバラバラだからだ。バラバラだからこそ、共通の目的のもとではひとつになれるというわけだ。

ところが日本の多くの場所では、まだこの逆だと考えている部分があるようだ。

元はひとつ。いまはバラバラ。だから一丸となろう! というわけである。

ほんとうは、元はバラバラ、だからこのときばかりは一丸となろうといったところ。それは運動クラブやクラスの男子は全員丸坊主にしようという笑い話にもならない意味でのことではなく、目的のためには力をあわせようという意味だ。

とはいえ、聖書によると人類の言葉は、はじめはひとつで、あるとき神に近づこうと高い塔を建てはじめた人間に、神様が怒って人々の言葉をバラバラにしたとある。

だからバベルの塔以後、人類はその罪深さゆえに言葉が通じなくなったのだ。


■ 言葉だけがすれちがいの原因ではない

アメリカ人夫婦の妻スーザンが撃たれ、バスは近くの村に寄った。そのとき、同じバスに乗っていたアメリカ人らしき人々は、一刻も早くその場を離れたいと願った。

夫・リチャードは英語が通じる相手と口論になる。「俺たちをを置いていくな!」「いやもう限界だ! 俺たちまで危険になるからバスでこの場をいますぐに発つ」といったふうに。

言葉が通じない村のお婆さんは、スーザンを看病する。言葉は通じる通訳の青年は、リチャードに何を言われようと、できるかぎりの助けの手をさしのべる。

日本人の女子高生チエコは、仲のいい友人はいるものの、母は亡くなり、父親ともうまくいっていない。心にはぽっかりと穴があいたようになっており、聾唖のため、せっかくいい雰囲気になりかけたお気に入りの男の子には、とましいものを見るかのような目で見られる。同じ言語を使う者同士でありながら、どこまでもすれちがいが続く。


■ アメリカ人にって最恐のもの

アメリカ人にとって最恐のものは、すでにサム・ライミがみつけて作品をプロデュースしている、ハリウッド版「THE JUON/呪怨」を観ればそれは明らかだ。

つまり、右も左もわからない知らない土地で言葉も通じない、助かる方法がみつからない、そんな状況をなによりも恐れる傾向が顕著なのが、アメリカ人というのだ。

どんな外国映画であれ、英語(米語)でリメイクしてしたり、地球の隅々までどの国や地域へ行っても英語が通じると信じて英語でどこでも話しかけて英語が通じないと、シンジラレナ~イ! という顔をしたりと、世界のこまったちゃんたち、それがアメリカ人のステレオタイプだといってもいいだろう。

世界はアメリカの正義で貫かれるべきだと本気で信じている人はほとんどいないだろうが、建前としてそれは掲げておかなくてはならない。そうしないとまとまらないからだ。

だから、モロッコで撃たれ、いつまでも助けがこない状況というのは、考えたくもない最恐の事態なのだ。


■ その他

劇中の音楽が悲しさを一層かもし出している。タカは音楽がないほうがいいと思うが、雰囲気を出すには音楽は有効だ。

日本の女子高生チエコが住むのは、東京の高層マンションの最上階だ。バベルの塔の頂上を意識しての設定かな。
こういった作品はたいへん貴重なので、観るのは辛いかもしれないが、きっと心のどこかに触れるところがあるはずなので、たまにはこういう作品も観るのもいいでしょう。

観客が数人、気分が悪くなったというディスコ、いやクラブのシーンの映像は、印象に残るシーンです。

ただ、たしかに光のチカチカはすごい。でもそれがチエコの視点と心情をよく表している見どころでもあります。

デート     △ 
フラっと    △ 
脚本勉強   ○ 
演出      ○ 
笑い      × 
役者      ○ やはり菊池凛子は際立っていた。
力づよさ    ◎
貴重      ◎
やるせなさ   ◎


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