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映画「ラブソングができるまで(MUSIC AND LYRICS)」

B001F4C6ESラブソングができるまで 特別版 [DVD]
マーク・ローレンス
ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-10-08

by G-Tools

監督:マーク・ローレンス
アメリカ/2007年/104分

主役ふたり(アレックスとソフィー)の過去と現在が投影された歌姫コーラはキャラクター設定上ではヘルパーの役割も担っている。大仏様の内部はどうなっているかは、これを観れば鎌倉まで行かなくてもわかるかも?

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
80年代に大人気だったバンド「PoP」の元ボーカルのアレックスは、同窓会や遊園地で昔のヒット曲を歌う営業を行う日々を送る。

ある日、今をときめくカリスマ歌姫コーラから新曲の依頼がくる。コーラはアレックスの大のファンだったのだ。
しかし、新曲の依頼はほかにもいくつか出しているので、アレックスの作った曲が採用されるかどうかはわからない。しかも納期は1週間ほどしかない。

さっそく作曲にとりかかるが、アレックスは作詞をしたことがない。困っていたときに、家の植物の世話係のソフィーが口ずさむ歌詞を気に入り、ふたりで新曲をつくりはじめる。


主な登場人物の紹介
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△アレックス・フレッチャー
男性。歌手。80年代を制覇したニュー・ロマンティックバンド「PoP」のメンバーで2人いたボーカルのうちのひとり。

▽ソフィー・フィッシャー
女性。痩身グッズ会社勤務。ときどき鉢植え係のパートタイムジョブも。作家志望。

▽コーラ
女性。歌手。カリスマ歌姫。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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主役ふたり(アレックスとソフィー)の過去と現在が投影された歌姫コーラはキャラクター設定上ではヘルパーの役割も担っている。大仏様の内部はどうなっているかは、これを観れば鎌倉まで行かなくてもわかるかも?

■ 過去にすがる男と、夢をあきらめた女。

人気バンドのふたりいたボーカルのうちのひとりは、ソロで活躍してナイトの称号まで得て、香水販売も手がける、いわばビッグな人になった。

一方、もうひとりのボーカルだったアレックスは、学生時代の友人でもあり、バンド「PoP」のボーカル仲間でもあった友人(いまはビッグ)に出し抜かれ、俺もソロでガンガンに売れやる! と野心満々に作ったソロアルバムはまったく売れず、いまでは昔のヒット曲を同窓会や遊園地で歌う営業活動をこなす日々。その仕事もどんどん減っていく一方だ。そんなアレックスが本作の主人公のひとり。

もうひとりの主人公は作家志望のソフィーだ。
学生時代にあこがれの作家と付き合ったまではよかったものの、実は相手にフィアンセがいた!。しかもその元交際相手の作家は、ソフィーをモデルに実際とは違う悪い女というキャラクターを登場させた本を執筆してこれが大ヒット。ハリウッドで映画化もされるという。

そんな傷心ダブルパンチを浴びたソフィーは書くことに臆病になり、作家という夢への足をとめたままである。

アレックスもソフィーも、身近な友人や恋人だと思っていた相手に裏切られた過去を持つ。

それでもアレックスは歌うことをやめずにいるが、ソフィーは書くことをやめてしまっていた。

過去の栄光にすがる(ようにみえる)男と、夢をあきらめた(ようにみえる)女。

キャラクター設定はバッチリ。あとは二人を出会わせるだけ。そうすれば物語が動き出すのだ。


■ めずらしく邦題もいいカンジ

「なんじゃこりゃぁ~!」という邦題をつけている映画作品は多々ある。ところが本作品の邦題は悪くない。
というか、なかなかいい。

「ラブソングができるまで」

ラブソングとはつまり、アレックスとソフィーの愛が実るまでということであり、その過程がラブソングを作る共同作業によって表されている。

まさにラブソングとう名のふたりの愛が実るまでの紆余曲折の物語なのだ。

いいカンジの邦題の数少ない例のひとつだといっていいだろう。


■ コーラもブレイクの予感!?

アレックスとソフィーが出会うきっかけと、愛が実るまでのヘルパーの役割を果たしている歌姫コーラを演じているヘイリーベネットは、長編映画作品は初出演というが、でしゃばらすぎずに観客(特に若い女性)の心情を代弁するかのような役どころを絶妙に演じており、たいへん好感が持てる。

作品中では歌姫コーラも恋人と別れて傷心中であり、その心の内を歌にして人々に届けたい気持ちがある。それと同時に、セクシーダンスをとりいれてさらに過激にしなくちゃいけない、刺激的にしてファンを喜ばせなくちゃいけない、ファンをつなぎとめておかなくちゃいけない、ファンをもっと増やさなくちゃいけない、2位じゃなくて1位をとらなくちゃいけない、という思いに駆り立てられている。

音楽業界で生き残るためには「もっともっと」「2位より1位を」といった、いわば「イケイケドンドンコース」に乗ったら途中で降りることはできない。

コーラは自分が伝えたい気持ちと、観客が求めるものやヒット曲チャートランキングとの間のギャップに悩んでいる。それはインドの宗教に傾倒しているかのような衣装やダンスやステージセットにみてとれる。

日本の歌手・浜崎あゆみの曲でも、何処かの姫様を思わせる衣装やメイクで神話的な世界感をイメージさせるプロモーションビデオがあったようだ。

またエロチックなダンスをイケイケドンドン取り入れていかなくちゃいけない! というあたりは日本の歌手・倖田來未をイメージさせもする。

観客が求めるものを提供しようと媚を売る(またの名をサービス精神)コーラは、かつてのアレックスと同じ部分を持っている一方で、だれもが感じる心の痛みを歌うことでファンの声を代弁してひろく共感してもらうという「魂の叫び」を大事にしているところはソフィーと同じ部分を持っている。

アレックスとソフィー両者の過去・現在を体現した歌姫コーラは、先にも言ったとおりふたりの愛のきっかけと、愛の過程を描き出すヘルパーとしても機能している。

こうしてみると、歌姫コーラはたいへん難しい役どころだ。それを嫌味なくでしゃばらずにサラッと演じたるヘイリーベネットは将来の大物の予感さえもする。


■ その他

アレックスの部屋に来たソフィは毎回、脱いだコートやバッグをピアノの上に無造作に置くのだが、それをアレックスが手に取って他の場所に置くという仕草がある。

一見するとちゃらんぽらんの遊び人にみられることが多いアレックスも、ピアノを大事にしていることを、こういった仕草からうかがわせるのは、ひとつのシーンで複数の情報(会話の内容、キャラクターの性格など)を観客に与えることができる好例としてみることができる。

それから、歌姫コーラのステージセットはスゴい!

あくまでコメディだから世界三大宗教のひとつであっても目くじらは立てないだろうが、あのセットは「ありえない」からこそスゴい。

一言でいうと「鎌倉の大仏の中には何がある?」といったところか。

そうなのだ、鎌倉の大仏は、たしか10円だか30円だか払うと中に入ることがきる。中とはまさに大仏様の内部、人間でいうところのお腹というか、いわゆる内臓部分に入ることができるのだ。(もちろん拝観料は別にかかる。拝観料プラス数十円で大仏様の中に入ることができるというわけだ)。

鎌倉といえば銭洗い弁天にも足をのばしてもらいたい。トンネルを抜けて、いくつも連なった鳥居を抜けていくその道もまたいい。

銭洗い弁天に以前行ったときは、ガラス箱に入った白蛇を見たような気もする。

いつのまにか鎌倉観光案内みたいになってしまったが、デートで観るなら「ラブソングができるまで」で間違いナッシングである。

コメディとしても笑いっぱなしで、私は幾度も笑い声を出しそうになったが、観客の皆さまはお上品なのか、笑い声は聞こえなかった。きっと皆はずかしがり屋なので声を抑えて笑っていたのだろう。

キャラクター設定とキャスティング(ヒュー・グラント 、ドリュー・バリモア)をちゃんとすれば、笑いは約束されたようなもの。日本映画も目先のヒットばかりをちまちまと狙わずに「ラブソングができるまで」みたいにキャラクター設定をはじめとする基本かつお約束の職人技を使えるよう、良質お気楽エンタテインメント作品を作る訓練をしよう。きっと半世紀後にはずいぶん上手になっているにちがいない。

昭和時代を懐かしむだけの演歌ともいえるかのような映像や、勧善懲悪という継ぎ接ぎマントを羽織った庶民のガス抜き用映像を手を変え品を変えてせっせと作っている場合じゃないぞ。とはいいつつ、そんな作品は日本ではヒットする可能性が高いのだけどね。

そうそう、こういった恋愛ストーリーなら男性も楽しめるゾ。「ホリディ」がイマイチ楽しめなかった男性でも「ラブソングができるまで」なら大丈夫だろう。


デート     ◎ 最適 これなら男性も楽しめる 
フラっと    ○ たまのフラッともいいと思わせてくれる
ファミリー   ○ ちょっとオマセなお子様となら
脚本勉強   ◎ 100回観よ(ちょっと大げさ)
演出      ○ 
笑い      ◎ 最強に笑える
役者      ◎ 役者あっての作品でもある 
意外性     × 
ダンス     ○ 奥様方はヒュー・グラントの腰振りにキャー☆


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