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映画「サンシャイン 2057(SUNSHINE)」

監督:ダニー・ボイル
アメリカ/2007年/108分

例えるなら、真田広之は100メートル競走の選手だった! マラソン競技はだれを応援すればヨカですか? 太陽のありがたみを、いま一度身近なものとして実感させなきゃ! 本編よりも、予告編のほうがいい出来だ。

ストーリー(概要)
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2057年。人類は、消滅しつつある太陽と運命をともにしていた。

太陽を蘇らせるため人類は8名の男女を宇宙へおくる。太陽にできるかぎり近づき、太陽消滅を止める装置を投下するため、各分野から選び抜かれた8名の男女が宇宙船イカロス2号の搭乗員となったのだ。

地球を旅立って数か月。地球との交信ができなくなるエリアに入ったイカロス2号は救難信号を受信する。それは7年前に行方不明になっていたイカロス1号からのものだった。

イカロス2号は、ミッション成功の確率を上げるため、イカロス1号とのドッキングへ向けて経路を変更する。


主な登場人物の紹介
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△カネダ
イカロス2号船長。

△キャパ
物理学者。

▽コラゾン
女性。生物学者。

△メイス
エンジニア

▽キャシー
女性。操縦士。

△ハーヴェイ
通信士。

△トレイ
航海士。

△サール
精神科医


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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例えるなら、真田広之は100メートル競走の選手だった! マラソン競技はだれを応援すればヨカですか? 太陽のありがたみを、いま一度身近なものとして実感させなきゃ! 本編よりも、予告編のほうがいい出来だ。

■ モットありがたがらせてもらってヨカですか?
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気温30度以上。灼熱の砂漠を5時間歩きつづけている。足は重く、流れ落ちる汗も枯れはてた。

――水筒からは一滴のしずくも落ちてこない。

容赦なく照りつける太陽を遮るものは帽子の鍔だけだ。

このままでは一行は倒れてしまう。そこで比較的元気な青年がラクダに乗り、先にオアシスまで行って救援隊を連れて戻ってくるようにした。

一行の命を託された青年は、ラクダに乗って砂漠を進みはじめた……。
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これは「サンシャイン 2057」の内容ではないけど、もしもこんなセットアップがあったらどぅ?

ちょ~う水がほしぃ~! 水がなけりゃぁマジやばいっしょ! と思うでしょ。

日本で生まれ育った人の多くにとって、水は「湯水のように使うもの」という感覚じゃないかな。

蛇口はひねれば水がでる。最近じゃぁ水道水は飲まないって人が多いけれど、洗面や風呂や洗濯には水道水をじゃんじゃん使っているのがほとんどでしょ。

キミが心の底から水が飲みたいと思ったのはいつだったろう? 中学校のマラソン大会? とにもかくにも、水のありがたみは頭ではわかっているけど普段はたいして気にもとめない。

では、太陽は?

陽のあたらない部屋に住んでいる人にっては、洗濯物や布団を持って屋上へ行かなくちゃならないので太陽は貴重かもしれないけど、一般的には太陽は、在って当たり前のもの。

でも今や太陽は消滅の危機に瀕していて、地球は雪や氷に覆われている。というのが「サンシャイン 2057」における2057年の地球の状況なんよ。

そうならそうと、セットアップで地球のちょ~寒い凍えまくりの状況を映像で見せてくれなきゃ!

できれば、主要登場人物の知り合いが太陽消滅の影響で危険な状態にあるといったような「身近」に実感しやすい設定がほしい。

さらには「人類の運命を託された人々がはやく宇宙へ旅立ってほしいなぁ」と観客が思う「間」も用意してほしい。

たとえ話を織り交ぜてすすめよう。

ヨン様はまだ現れないのかな。はよぅ会いたいわぁ。わッ、ヨン様や☆ って違うやん。あれはヨン様の真似をした明石家さんまの「さん様」やんか。

(さん様のほうが見てみたい気がするけど)本物のヨン様はそう簡単には姿を現さないよね。ほよぉ会いたいわぁ、と思わせる「間」もきちんと用意してあげる。それがショウビジネスのお約束ってもの。

つまり、太陽のありがたみを、いま一度身近なものとして実感できて、はよぉ宇宙船が飛びたさへんかなぁ、と思う「間」を用意してほしいのよ。


■ エキスパートちゃうの~?

各分野のエキスパートに人類の運命が託された。にもかからず、航海士が針路変更に必要な計算と設定をするのを忘れてしまう。

「お菓子(300円まで)持ってくるのを忘れたぁ。ピクニックなのにぃ、もぉぉ~(>_<)」というノリのじゃないんだからさ。

もぉ~、2007年現在の定番パソコンソフトだって入力ミスがあったらプログラムが問題の箇所を指摘してくれるのにぃ(←某金融期間のCM風)2057年の宇宙船のコンピューターはよぉしゃべるのに、計算ミスのときだけダンマリだなんて!(>_<))

まぁまぁSFですから。という人もいるかもしれないけど、SFだからこそ、そういう点はだれもが納得するようにしっかり作りこなければならないよ。そうでなければSFの世界観が成立しなくなってしまうからね。

計算ミスをして他の乗組員を危険に晒したことで、精神不安定になって医務室みたいなところに収容される航海士役がアジア系なのも、欧米映画にありがちな役回りで、こういうお約束だけは守るのね、とちょっと残念。


■ だれを応援すればヨカですか?

日本で生まれ育った人々の多くは、例えるならマラソン選手カネダ船長(真田広之)の応援にやる気満々でやってきて、よ~いドン! で走りはじめたと思ったら、すぐにゴールテープが見えた!

アレレ? と思っている間にカネダ船長はゴ~ぉ~ル! なんや100メートル走やったんかぃ! そうならそうとはじめに言っといてんかぁ。

なぬ? マラソン競技はこれからだって? ほな気を取り直してカネダ船長の応援をしようかのぉ。え? カネダ船長はさっきの100メートル走で足を痛めてマラソンは棄権やて? なんやねん!(>_<)

そうなると……マラソンはだれを応援すればヨカですか……?

せめて、地球の状況を知らしめるシーンがあって、そこで乗組員のだれかの事情が少しでも描かれていれば、そのだれかをカネダ船長の代わりに応援できそうなものなのにのぉ。


■ タイヨウの魅力

テレビ東京だったと思う。深夜にマニアの方々を呼んでお話を聞くという番組がある。

ダムマニアやマンホールマニアをはじめ、様々なマニアな方々が登場する。新たな発見を提供してくれるので何気に見てしまう。

たとえばダムマニア。

ダムは見たことあるし、いろいろな形があることも知っている。ダムの建設の是非は脇に置いても、建造物としての魅力はわからないでもない。

でも、ダムマニアでははない人が、ダムマニアの方々が集まるダム座談会に参加したらどうだろう。知的好奇心が刺激されるだろうけれど、ダム話の広さと深さにどっぷり浸かって皆とその魅力を堪能することはむずかしいだろう。

太陽については、比較的多くの人が魅力を感じているだろう。しかし、毎日太陽を見ていればほかは何もなくても満足だという人はどのくらいいるだろうか。

朝日も夕日も好き。陽のあたらない場所よりも、陽のあたる場所が好き。というぐらいの魅せられ度合いでは、ちょっとついていけない。それが「サンシャイン 2057」だ。

「サンシャイン 2057」には、太陽に魅せられた人々が登場する。その魅せられ度合いを理解できる人にはおススメだ。

だから、宇宙船が出てくればOKという人でも、ちょっと方向性に違和感をおぼえるかもしれない。


■ その他

ダニー・ボイル監督は当たり外れがあるとの噂もある。「28日後... 」はなかなか良かったのだが……。

上映時間108分とけっして長いほうではないのだが、作品鑑賞中に、まだ終わらないのかな、と思ってしまった。

本編よりも、予告編のほうがいい出来だ。

宇宙船は密室だ。圧力釜効果が期待できる。

しかし、強みである圧力釜効果をほとんど活かしていない。

ならば、思いきって宇宙を題材に笑って楽しみたい。そんなアナタに超おススメなのはこちら。

▼「ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest)」作品レビュー

▼「ザスーラ(ZATHURA)」作品レビュー


デート     × 映画館を出たあとイマイチ盛り上がりにくい。
フラっと    × 普通ならフラッと万馬券当たるワケない……か。
ファミリー   × パパぁ、金色のお化けみたいなのはなぁに?
脚本勉強   × レビュー参照のこと
演出      × レビュー参照のこと
笑い      - 
役者      △ 飲み会。真田広之殿は一次会で帰宅しました。
宇宙      ○ 宇宙が舞台ならそれでOKなら。
太陽      ○ 
       


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