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03/30/2007

映画「ホリディ(the Holiday)」

監督:ナンシー・マイヤーズ
アメリカ/2006年/135分

ナンシー・マイヤーズ号の行き先は「乙女版ネバーランド」。女性の女性による女性のための作品。列車の事情は考慮せずにどんどん乗り換えちゃえばいいんじゃなぁ~い、みたいな。モテたい諸君は必見だョん。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
米国の都会で働くアマンダと、英国ののどかな田舎町にアイリスは共にクリスマス休暇前に恋の別れを告げる。気分転換にと、ふたりはホーム・エクスチェンジをする。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
▽アマンダ
 映画予告編製作会社社長。

▽アイリス
 新聞社の編集者。

△グラハム
 アイリスの兄。書籍編集者。

△マイルズ
 作曲家。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
ナンシー・マイヤーズ号の行き先は「乙女版ネバーランド」。女性の女性による女性のための作品。列車の事情は考慮せずにどんどん乗り換えちゃえばいいんじゃなぁ~い、みたいな。モテたい諸君は必見だョん。

■ この列車(作品)は女性用です

この列車ナンシー・マイヤーズ号の行き先は「幸せの国」です。この列車にお乗りいただけるお客様は、以前に「恋愛適齢期」号もしくは「ハート・オブ・ウーマン」号にご乗車されてご満足いただけた方のみ、となっております。

もちろん男性がこの列車(作品)にお乗りいただいてもかまいませんが、女性用ということをじゅうぶんにご理解いただき、ご了承のうえご利用くださいますようお願い申し上げます。

松浦亜弥のものまねで有名な、まえけん(前田健)さんも、振付師KABAちゃんもどうぞお乗りくださいませ。

申し遅れました。わたくし、ナンシー・マイヤーズ号の車掌をつとめさせていただきます、なんちゃってケイト・ウィンスレットと申します。

え? 君は列車を間違えているんじゃないかですって? 2004年アメリカ・イギリス製作の映画「ネバーランド(Finding Neverland)」号の車掌じゃないかですって?

ええ、そうだったかも。今度は乙女版ネバーランドへ行く列車の車掌もすることになったんです。

どんだけネバーランド好きやねん! ですって?

おホホ。あたたかいご声援をありがとうございますぅ~。もう冷たい海水に浸かるのはごめんですから~(←タイタニック?)

さぁ、列車が出発いたしまぁす。


■ 女性の女性による女性のための

女性監督ナンシー・マイヤーズは脚本も書いています。

代表作品「恋愛適齢期」「ハート・オブ・ウーマン」でおわかりのように、女性の女性による女性のための作品を作る映画作家、それがナンシー・マイヤーズです。

もしあなたが女性、もしくは女性(乙女)の心がわかるとおっしゃるなら、作品中に繰り広げられる、いっけんすると無駄と思えるようなセリフの数々にもおおいに頷けることでしょう。


■ 女の子はいそがしいんですぅ

どこかの人気女優さんがこのようなセリフをいうTVCMを観たことありませんか?

ほんと、女の子はいそがしいですよね。(←おまえ、だれやねん笑)

失恋したら、ブリちゃんみたいに坊主にしたり、友人宅におしかけて朝までぬいぐるみコスプレ自棄酒パーティしたり、インドへサイババに会いに行ったり、実家に帰って地元の友達と夜の県道を突っ走る車にハコ乗りしたり、ペットにイグアナを飼いはじめたりしなきゃ、なんですからいそがしいですよね☆

時はちょうどホリディシーズンだったから旅に出れてよかったものの、もしも通常の時期だったら、いきなり休暇を取られて、同僚たちは迷惑したかもしれませんネ。

アマンダもアイリスも、恋に別れを告げた(告げられた)からといって二十歳ぐらいの女学生みたいに実家に帰るってわけにもいかないんです。

仕事のキャリアもそこそこあって、社会的にもそこそこの地位がある女性が実家に帰ったら、まだ独りらしいわよ、な~んて話題をご近所さんに提供するだけ。

そのあたりを今回はサッとスルーさせるために、アマンダの両親は亡くなったことになっています。

なにはともあれ、実家に帰ったのではホームドラマ色が強くなる。それは避けたい。そこで登場するのがホーム・エクスチェンジ。

これは、条件が合う者同士が一定期間、家も車も交換するというもの。

ふたりそれぞれの様子を交互に描けば、観客に飽きられにくいとの計算があるのでしょう。そのかわり、上映時間は長くなります。


■ 出かけるときはご確認を

ご乗車ありがとうございます。次の駅は~。

え? 皆様は次の駅でお乗換えになる?

そんなこといわずに終着駅までわたしにご案内させてください。なにかお気に召さないところがございましたでしょうか?

列車の運行が遅れたから? 軽食や飲み物をワゴンに載せて運んでくる乗務員の一部がイケメンじゃないから? イケメン乗務員がほかの女性客に笑顔をふりまいたておもしろくないから?

ご迷惑と失礼があったようで、たいへん申し訳ございません。以後気をつけますので、どうか終着駅までこの列車をご利用ください。

だれがなんといおうと絶対に乗り換える? もうこんな列車には乗っていられない?

皆さん「幸せの国」へはこの列車が一番早く、確実に着きますよ。

え? 皆さんの行き先はそんなところじゃないですって?

目的地は「乙女版ネバーランド」?

では皆様、次の駅で列車をお乗換えください

そうそう、ご乗車の前にはよく行き先をご確認くださいネ。


■ 列車の事情は?

みんな初めは「幸せの国」へいこうとしていたんです。でも、自分が思い描くような旅にはならないかもしれない。そんなとき、別に乗務員が自分好みのイケメンじゃなくたっていい。自分好みのイケメンが自分以外の客に笑顔をふりまいたってどうってことないと思えたなら、終着駅「幸せの国」まで列車に乗り続けることができたかもしれません。

でもアマンダもアイリスも、乗っていた列車を降り、次の列車に乗り換えます。このとき、本人たちは気づいているかどうかわかりませんが、行き先が変更してしまっているんですね。「乙女版ネバーランド」にね。

普通の作品ですと「列車の事情」が考慮されます。
変電所の落雷があって安全確認のた運行時間に少々の遅れが出たとか、乗務員採用基準にジャニーズ系しかダメよという規定はないとか、すべてのお客様に心のこもった笑顔でおもてなしするよう教育していますとか、そういったフォローがあるわけです。

列車の事情もわかる。乗客の事情もわかる。両方の気持ちがわかるから、観客はいたたまれない気持ちになって、みんなを応援したくなる。みんなとは、言い換えれば「作品」です。その作品を応援したくなるぐらいに好きになるんですね。

ところが「ホリディ」では、列車(=アマンダの元カレ。アイリスの元カレ)の事情は描かれません。アマンダとアイリスは、ぱーぺき(完璧)に恋の被害者というわけ。そうとしか受け取りようのない作り方を、あえてしているんでしょうね。

なぜなら、そのほうがウケがいいから。

男にしてみたら、ちょっとした(?)ホラーかもネ。

グラハムにしてもマイルズにしても、そんな都合のいい男は乙女版ネバーランドにしか存在しませんから~。


■ その他

モテる男。それは容姿に恵まれているからだけではない。ときには、なんであんなブ男がモテモテやねん。と思うこともあるかもしれない。

モテる男はたいてい勉強・研究している。女性が何を求めているか、を――。

だから、女性雑誌をめくり、少女漫画を読み、ときにはナンシー・マイヤーズ号にも乗る。

キャバクラのおねえちゃんだって、NO.1は毎月コロコロ変わっても、NO.2やNO.3はいつも同じ娘だったりする。容姿については、化粧やダイエットではどうにもNO.1の娘には敵わない部分がある。けれど、男を気分よくさせる術は勉強・研究・実践することができるし、それでNO.2やNO.3の座は守りとおせるのだ。

デートで「ホリディ」を観に行って、「ほんとうにいい作品だったね」などと言う彼氏だったら、ちょっと気をつけたほうがいいだろう(笑)

わたしも「いい作品だと思う」ゾ。

その意味は、男としては「ど~でもいい作品」(笑)。マーケティングやヒットやモテたいという点からは「いつもながらうまいことつくってまんなぁ~。勉強になります! っていう作品」(苦笑)。

キャメロン・ディアス 、ケイト・ウィンスレット 、ジュード・ロウ 、ジャック・ブラックのどなたかのファンなら楽しめるだろう。
(キャメロン・ディアスの「どアップ」を見ると、さすがに老けてきたかなぁと思ってしまったりもする)

作品のタイプは異なるが、なんだか似ているなぁと思い出した作品はこちら。

関連作品
▼「恋愛適齢期(SOMETHING'S GOTTA GIVE)」レビュー


■ ひとこと

「ホリディ」のレビューを書き上げてからネットでいろんなブログの感想をサッと見てまわったら、みんなけっこうベタ褒めしてますね。

「ホリディ」のいいところは、とうてい現実にはありそうもない展開とエンディング。観客(特に女性)の願望を叶えることに集中しているいるところですね。ありえない「おとぎ話」楽しむのが映画とするなら、これこそまさにうってつけの作品です。

極端な例だが、井筒監督が「ブラックホークダウン」を観て怒っていた理由のひとつは、米軍の敵やそこに住む住人たちがほとんど描かれていなかったから。つまり、アメリカ映画だから米軍の視点が多いのはいたしかたないが、その比率があまりに偏りすぎているということ。

「K-19」がすばらしいのは、アメリカ/イギリス/ドイツ映画でありながら旧ソ連の物語を、よこしまな狙いなく、人間をしっかり描いているから。(「米・ソ連」の比率うんぬんを通り越して「人間」を描いているということ)。

▼「K-19:THE WIDOWMAKER」作品レビュー

「ホリディ」の比率はどうか。ここでいう比率とは、男女の視点の比率だ。あえてどちらかに大きく偏らせている。そのほうがヒットしやすいからだ。

なにはともあれ「ホリディ」を観にいこうかどうしようかと思っているアナタ。

素直な気持ちで観にいけば、きっと満足しますよ☆


デート     ○ 彼女に合わせるなら
フラっと    ×  
脚本勉強   △
演出      △
キャラクター  × 男性キャラが薄っぺら
笑い      × 
役者      ○ 主要キャストのファンなら
マーケティング◎ 

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Comments

ありがとうございました。
ふらっと、見てしまった普通の男です。
勉強になりました。

Posted by: KUMA0504 | 03/31/2007 at 23:33

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