【のだめ式】キャラクターの作り方
ドラマ「のだめカンタービレ」(以下「のだめ」)を観たかな?
けっこう評判が良くて、視聴率も高かったようですね。
そこで今回は「のだめ」を例に、主要キャラクターの作り方をみてみましょう。
ドラマ「のだめカンタービレ」の主要キャラクターはふたり。
千秋真一と野田恵。
千秋真一は、いわゆるイケメンで、音大の女学生のアイドルで「千秋さまぁ~」なんて呼ばれてます。
野田恵は、くいしんぼうな変わり者で、友達から「のだめ~」なんて呼ばれています。
そもそも物語の舞台は音大。登場人物たちも音大生や音楽評論家や著名音楽家など、音楽に関わる人たちばかりです。
音楽の世界って、一般からしたらちょっと特殊な世界にみえますよね。
音大生というだけで、どこかゲイジュツの匂いを感じたり、アタイらパンピー(一般人)とは住む世界が違うお坊ちゃまお嬢ちゃまの集まりだろう? なんていう人もいるかもしれません。
音大を卒業してもプロのオーケストラに入れるのは一握りだというし、楽器の先生になったり、調律師になったりして音楽に関わる仕事に就ける者さえごく一部ともいいます。
短大や4大の経済系の学部を卒業するよりずっと就職には向いていないのが音大生というワケ。
それに有名な音楽の先生にレッスンをつけてもらうと、かなりの高額とか。新幹線や飛行機をつかってレッスンを受けに行くなんてよくあることだとか。
そんな知られざる音大生の生態とは? うーん、なかなか興味をそそられますね~。
そんなわけで「のだめ」にかなり変わり者のキャラクターが登場したとしても、パンピー(一般人)は、ある程度は納得してくれます。
だってあたいらとは住む世界が違うから(笑)というわけでもないですが、いわゆる一般人からしてみれば、音楽大学に通うというだけで、かなり普通ではないと思っているところがすくなからずあるからです。
それで、千秋さまは学園のアイドル「千秋さま」なんです。「千秋くん」ではありません。「千秋さま」です。
超イケメンでピアノが超上手の千秋さまは女学生たちの超人気者。でもそれは所詮、大学内でのお話。
学外ではちょっとうわさになっても、海外の留学経験もコンクール入賞経験もない千秋さまは、カッコイイ以外はほぼ無名の状態。
実は千秋さまはピアノだけでなく、ヴァイオリンも超上手で、目指しているのは指揮者なのです。そのため、もとからの音楽の才能はもちろんのことだけど、それに加えて幼い頃から猛勉強してきました。
超イケメンで音楽の才能がある千秋さまも、実は勉強の虫だったわけです。さらに、千秋さまには秘密があります。
それは飛行機恐怖症。
そのため海外に留学することができません。だったら船と鉄道で留学すれば? というツッコミはさておき、大事なことは音楽の才能に恵まれた者でも、弱点があるということです。
無名と飛行機恐怖症。この2つの弱点を克服するための強力なヘルパーが、世界的な指揮者フランツ・シュトレーゼマンとのだめです。
では野田恵こと「のだめ」はどうでしょう? 彼女はいつも友人のおべんとうを盗み食いしている、ピアノ科のおちこぼれだとみなされています。
愛嬌はありますが才色兼備とはいえず、部屋はゴミだらけでお風呂にはあまり入らず髪が臭う不潔系の天然娘といったかんじです。
千秋さまが完璧にみえる一方で、のだめはダメダメにみえるようになっています。
ところが、のだめは一度聴いた曲はすぐに暗譜して弾けてしまうという才能を持っています。
千秋さまは完璧(あこがれ)だけどひとつだけ弱点がある。
のだめはダメダメ(共感)だけどひとつだけ強点(?)がある。
ほら、主要キャラクターのふたりはそれぞれに視聴者が求める要素、つまり「あこがれ」と「共感」する面をもっているのがわるでしょう。
千秋さまへの……あこがれ8 共感2
のだめへの ……共感8 あこがれ2
千秋さまとのだめがお互いに足りない部分を補なっていく。その過程が物語となっています。
あこがれだけの完璧なキャラクターには共感しずらい。
共感だけのダメダメキャラクターにはあこがれることはできない。
だからちょっとずつアンバランスにして、ふたつのキャラクターでお互いを支え合ってバランスがとれるようにします。
バランスがとれる状態とは「調和」ともいいます。
調和をもたらすキャラクターを置くという方法もありますが、主要なキャラクターの関係性によって調和をもたらすよう物語っていく方法は青春モノや恋愛モノとは相性がいいのです。
ドラマ「のだめカンタービレ」は音大生が主人公です。それぞれの「音色」を持ったキャラクターたちがオーケストラによって交わり、物語に「調和」をもたらす音楽を奏でる。
う~む、なかなかうまいことできていますな☆