映画「大奥」
監督:林徹
日本/2006年/126分
表向きの主役と裏向きの主役。アナタはどっち派?(笑)「美味でございますぅ~」の名(?)セリフを聞き逃すな!☆
ストーリー(概要)
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徳川家七代将軍家継の時代。大奥では天英院派と月光院派で対立していた。
そんな折、月光院の信頼厚く、若くして大奥総取締である絵島は、寺社詣の帰りに寄った歌舞伎演劇で役者・生
島新五郎に出会う。
それは、英院が老中が、間部と月光院を陥れるために仕組んだ罠だった。
主な登場人物の紹介
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▽絵島
大奥総取締。江戸の町人出身。
▽天英院
先代将軍の正室
▽月光院
将軍家継の生母。町人出身。
△生島新五郎
歌舞伎役者
△間部詮房
将軍家継の後見人
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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表向きの主役と裏向きの主役。アナタはどっち派?(笑)「美味でございますぅ~」の名(?)セリフを聞き逃すな!☆
■ 恋愛の圧力釜効果
ドラマシリーズで人気だった「大奥」の映画化で、今回は悲恋物語が中心になっています。
大奥総取締でありながら、歌舞伎役者に恋をする。禁断の愛。制限されるが故に燃え上がる想い。
いうなれば「恋愛の圧力釜効果」が活かされています。
■ 裏向きの主役は
物語の重要な鍵を握る、天英院派の女を演じる杉田かおるさんがセリフのない、いい演技をしています。
もともと杉田かおるさんは存在感もあるので、高島礼子と同じ画面に出ても全く見劣りしないどころか、セリフ少なめな様子がかえってじわじわと彼女の心の内を想像させていいかんじです。
杉田かおるさん演じる女性は、天英院派で大奥の中でもそこそこの地位にいるようです。でも、天英院や月光院や大奥総取締といった地位には就くことができないであろう、そんな絶妙な立場です。上も見えるし、下もみえる。かといってなんでも自分の思い通りにする力はない。
このポジションが絶妙で、観客はそれと意識しなくても、なんとな~く共感していきます。
表向きの主役は仲間由紀恵さんですが、裏向きの主役は杉田かおるさんですね。
■ みどころは
史実を基にした作品なので、脚色や演出はあっても物語に大きなサプライズはありません。
物語の出来を楽しむというよりも、やはり出演者の魅力を堪能するというのが映画「大奥」の楽しみ方でしょう。
なんといっても主役の絵島を演じる仲間由紀恵さん。いま最も注目される旬の女優さんだといわれています。
仲間由紀恵さんにはあまり恋愛の匂いは感じませんが、そこが大奥総取締の絵島の役柄にマッチしていて、違和感無く観ることができました。
また、注目のシーンといえばこのふたつです。
芝居小屋の火事のあと、祭りで混雑する道を手をとりあって進む絵島と生島が、人混みに阻まれるようになって一度手を離してしまいます。
ふたりの距離は2、3メートル。そこで見つめ合い、決心したかのように絵島のほうから生島へ手を差し伸べます。生島はその手を取り、再び人混みの中を歩きはじめます。
後日、生島と過ごしたあの時間があれば、あとは余生と思えます、と月光院に告げる絵島。
ほかにも名場面集に入れたいシーンはいくつもあります。皆さんも自分なりの名場面をみつけてみてくださいね。
■ ひとこと
生島新五郎役の西島秀俊さんも、時代劇もなかなかいいですね。
昨年末にフジテレビで深田恭子主演のドラマ「大奥スペシャル~もうひとつの物語~」が放映されていましたね。これは6代将軍・家宣の時代のお話で、映画「大奥」の時代の3年前という設定です。
このドラマを7割方観たので、映画もその流れで映画を観たのですが、これってまたまた「思う壺夫くん状態」ですね。
だってドラマ「大奥スペシャル」での名(?)セリフ「美味でございますぅ~」が耳に残っていたもので……(笑)
もちろん映画「大奥」でもこの名セリフがきけるシーンがちゃんとありますヨ。
それにしてもドラマ「大奥スペシャル」での深田恭子の女中姿は妙に似合っていました。
一方、映画「大奥」は、豪華なドラマの域を出てはいないかなってかんじはありますね。
ちなみに月光院役の井川遥さんは、ほぼイメージどおりの役どころですが、彼女のイメージを逆手にとったうまいキャスティングの映画はこちら。ネタバレになりますので、以下のレビューに詳しいことは書いてませんが、映画を観ればすぐにわかりますヨ。観た人は、あぁあのシーンね、とすぐにピンとくるはず。
デート ○
フラっと △
脚本勉強 -
演出 ○
リアル -
キャラクター ○
笑い -
ファン ○