映画「007/カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)」
監督:マーティン・キャンベル
アメリカ/2006年/144分
自信過剰でお間抜けでおちゃめでガッツがあってスマートで。放っておけない、やんちゃ坊主。それが新生ボンドの魅力。正しい金庫破り(型破り)の方法とは?
ストーリー(概要)
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英国諜報部MI6スパイ「00」になったジェームズ・ボンドが、国際テロ組織の壊滅に任務につく。
主な登場人物の紹介
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△ジェームズ・ボンド
男性。英国諜報部MI6のスパイ。
▽ヴェスパー・リンド
女性。財務省職員。
△ル・シッフル
テロ組織の資金洗浄を行う。
△マティス
MI6の地域担当エージェント。連絡係。
▽M
イギリス諜報機関MI6のトップ
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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自信過剰でお間抜けでおちゃめでガッツがあってスマートで。放っておけない、やんちゃ坊主。それが新生ボンドの魅力。正しい金庫破り(型破り)の方法とは?
■ はじめて物語
007シリーズはいくつか観たことがあるが、どれを観たのかはっきり思い出せない。
それぞれに特徴があるのだが、ひとことでいえば「007」シリーズのどれか、で片付けられる。そんなかんじである。
たとえ007シリーズ作品をひとつも観たことがない人でも007という単語は聞いたことがあるだろう。007シリーズというぐらいだら、人気があると予想できることだろう。
例えるならガンダムだ。
ガンダムと名がつくシリーズはたくさんあるが、ガンダムの魅力を知るには、その原点となる、いわゆる1年戦争を描いたファーストガンダムを観ることからはじめなくてはならない。
これと同じように、007という言葉を聞いたことがある人は、その主人公ジェームズ・ボンドが「00(ダブルオー)」になってはじめての任務、いうなれば「ファースト007)を観ることからはじめてはいかがだろう。
さて、ジェームズ・ボンドがはじめて人を殺したときとはいったいどんなだったか?
あのジェームズ・ボンドのことだから、任務のためなら冷酷かつさぞかしスタイリッシュに遂行したのではないかと思う人も多いだろう(殺人にスタイリッシュもなにもないが…まぁ映画なので)。
ところがスタイリッシュどころか泥仕合の様相を呈している。そこが今作の「味」である。
■ 肉体アクションから知的駆け引きへ
身のこなしが曲芸師のように軽い組織の下っ端。それを追い詰めるボンド。体を張った肉体派アクションを魅せるボンド。
さらに空港で敵を追いかけるボンドの活躍も、スパイというよりも特殊部隊の一員といったかんじだ。
まずはこうした肉体派のアクションシーンで、型破りなボンドを披露。それからカジノでの息詰まるポーカー勝負へ。
肉体アクションから知的駆け引きへ。
そうした流れのなかで明らかになるボンドの性格とは?
■ 人間味溢れるボンド
冷静で、マジモードの恋愛をすることはない。そんなイメージがあったボンドだけど、今回は違う。
組織の下っ端を追い詰めるのに夢中で監視カメラに気づかずにばっちり写っちゃったり、マジモードの恋愛にハマり、なったばかりの「00」を引退する決意をしたり、高額資金を賭けたポーカーゲームに負けてマジヤバモードになったり……。
だれも知らないはずのMの自宅をつきとめて、彼女専用のパソコンを通じてデータを入手するという、まるで新入社員が部長宅に勝手におじゃまして高級ワインを飲みながら、帰宅した上司に向かって、庶務課のY子ちゃんとのデート見ましたよ~だから今後ともいろいろ俺のために便宜図ってね、といわんばかりの高慢さ。
ポーカー勝負の会場にやってきたときも、どうぜ正体はバレてるだろうと、堂々とジェームズ・ボンドと名乗る大胆さ。
自信過剰でお間抜けでおちゃめでガッツがあってスマートで。
放っておけない、やんちゃ坊主。
それが新生ボンドの魅力である。
■ 隣人
マット・デイモン主演の「ボーン・アイデンティティー」とその続編「ボーン・スプレマシー」を思い出してほしい。
これらスパイ映画も、冷酷なスパイが活躍するだけだったらヒットはしなかっただろう。記憶を無くした優秀なスパイが、悩み苦しみながらアイデンンティティを求めて活躍する姿に、観客は冷酷非情なスパイのイメージとはかけはなれた「身近さ」を感じることができた。だからヒットしたのだ。
「007/カジノ・ロワイヤル」もジェームズ・ボンドを、スーパーマンではなく、身近な隣人のひとりと感じることができる作品となっている。
■ 型破りのために
例えば金庫破り。
金庫破り犯がやっと金庫の鍵を開錠したと思ったら、なんと施錠してしまった。
実は金庫の鍵は、はじめから開いていたのだ!
なーんてオチは、仕掛けとしてはOKだとしても、キャラクターづくりにおいてはNGだ。
キャラクター作りにおいては、金庫の扉は閉じられて鍵がかかっていなければならない。
つまり、キャラクター作りにおいては、金庫破りのために、金庫の扉は閉じられて鍵がかかっていなければならないのだ。
ここでいう金庫の鍵がかかっている状態というのは、シリーズによって観客の脳裏に刻まれたジェームズ・ボンドのイメージだ。
イメージがしっかり出来上がっていること。それが金庫に鍵がかかっている状態だ。
「鍵がかかっている金庫」という「型」を破る、その金庫破りこそ、6代目新生ボンドである。
「型破りの新生ジェームズ・ボンド」が生まれたのは、偶然で運がよかったからではない。007シリーズがあるからこそ、なのだ。
これが正しい型破りの方法である。
■ ひとこと
そういえば少し前に、MI6のサイトと新聞広告で人材を募集していたとか。
君もスパイになれる……かも。
ファミリー -
デート ○
フラっと ○
脚本勉強 ◎
演出 ○
リアル -
キャラクター◎
笑い -
ファン ◎


