ついに出た!飛び級の変化球―映画「デスノート」―
映画「デスノート」が公開3日間で観客動員数約97万5000人、興行収入約12億円に達した。
公開3日間は3連休だったので、通常の土・日とは違うが、「LIMITOF LOVE 海猿」の9億6500万円)を抜いたとみていい。
ここで、両作品の公開までの道のりをふりかえってみよう。
「LIMIT OF LOVE 海猿」は三部作から成る。
第1作は映画「海猿」。第2作は連続テレビドラマ。そして第3作が映画「LIMIT OF LOVE 海猿」。
フジテレビと東宝を中心とした伊藤英明、加藤愛主演の「海猿」は、映画2本によって真中のドラマを挟む、いわばサンドイッチ型だ。
映画「LIMIT OF LOVE 海猿」公開までに、映画とドラマを通して作品世界と登場キャラクターにじゅうぶんに馴染んでもらうといった、観客熟成タイプの方法でヒットさせた。
映画「デスノート」は二部作から成る。
第1作は、映画「DEATH NOTE デスノート 前編」。これは6月に公開されたばかりで、まだDVD・ビデオになっていないが、10月27日に日テレ系の金曜ロードショーで放映された。
通常よくある、
(1)映画公開→(2)DVD・ビデオ→(3)有料放送→(4)テレビ放映
の順序を、一気に(1)の次に(4)へと飛び級した格好だ。
こうして映画「DEATH NOTE デスノート 前編」がテレビで放映された約1週間後に、映画「DEATH NOTE デスノート the Lastname」を公開した。
まだDVDにもなっていない前編がテレビで放映され、後編の公開が近いために、視聴率は良かったようだ。
そして、ひとたび前編を観れば、当然のように続きが観たくなる。
例えば大好きな連続ドラマが週1回の放映で、次週が待ち遠しいときに、ドラマ全巻が揃って手元にあれば、明日の仕事が朝早くても、つい次の回のドラマを観たくなってしまうもの。いわば推理ものタイプでヒットさせたのが映画「デスノート」なのである。
つい先を知りたくなる。まさにそんな気持ちにさせるのが、後編公開1週間前に前編をテレビで放映するという「変化球技」なのだ。
ということは「デスノート」は連続ドラマ向きなのだ。(実際に2006年11月8日現在、日本テレビで深夜に「デスノート」のアニメ版が放映されている)
例えば全12巻のDVD作品というのが最も適した形だが、それを前編・後編に分けて映画にする「変化球技」を使ってまで、欲しかったもの。
それは「映画のヒット」だ。
「踊る大捜査線」シリーズや「海猿」シリーズや漫画・アニメ「ワンピース」でヒットを飛ばしつづけるフジテレビを尻目に、他のテレビ局はなんとしてもヒット作がほしい。
どうしたらヒットさせることができるか。
その答えのひとつが日テレが投げた「飛び級の変化球」だ。
これには賛否両論あるだろうが、なんでもやってみるのもひとつの道だ。
視聴率さえ取れれば、ヒットさえさせれば、なんでもOKの風潮は、なにもテレビ局に限った事ではない。
ユーザーが増えれば、会員数が増えれば、アクセスが増えれば、なんでもOKといったようなことは、どこの業界にもある。
大事なのは、その質である。
「デスノート」前編・後編の観客が、次の日本テレビ関連の映画だからという理由で、映画館に足を運ぶかどうか。
たとえ、原作が面白いから、話題作だからという理由で映画「デスノート」を観た人たちであっても、面白い原作をさらにおもしい映画にするところといえば日テレ、という認識を彼らに持ってもらえたかどうかだ。
その答えは、日本テレビが関わる次回作で明らかになるだろう。
★なんでもやってみるのもひとつの道
★たとえ入り口は作品自体の魅力のみであったとしても、出口では、
作品をどこが作ったのかを意識してもらえるようにする。
→【ブランディング】
The comments to this entry are closed.
Comments