ラフ(ROUGH)
監督:大谷健太郎
日本/2006年/106分
原作:あだち充『ラフ』小学館/少年サンデーコミックス刊
今年もやってきた!「☆長澤まさみ祭り☆」プールでの綺麗な水中映像と、長澤まさみの想像を絶するスタイルの良さが特徴のアイドル映画。「タッチ」からの改善点は物語構築と演出。主演女優の魅力に尽きる1本。
ストーリー(概要)
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実家の和菓子屋がライバル同士で反発し合う仲の男女が、水泳を通してお互いに恋心を抱いていく。
主な登場人物の紹介
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▽二ノ宮亜美
高飛び込み選手。和菓子「にのみや」の娘。
△大和圭介
競泳選手。競泳自由形)。和菓子「やまとや」の息子
△仲西弘樹
競泳選手(競泳自由形)。大学生。競泳日本記録保持者。
二ノ宮亜美の幼馴染。
▽小柳かおり
高飛び込み選手。高飛び込み女子日本チャンピオン。
△緒方剛
高飛び込み選手。大和圭介のルームメイトで親友。仲西弘樹
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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今年もやってきた!「☆長澤まさみ祭り☆」プールでの綺麗な水中映像と、長澤まさみの想像を絶するスタイルの良さが特徴のアイドル映画。「タッチ」からの改善点は物語構築と演出。主演女優の魅力に尽きる1本。
■ 今年もやってきた! 長澤まさみ祭り
昨年は「タッチ」。そして今年は「ラフ」。
どちらの作品も原作はあだち充の漫画である。
映画「タッチ」にしろ、今回の映画「ラフ」にしろ、いうなれば「長澤まさみ作品」といってもいい。
第5回東宝シンデレラグランプリの長澤まさみはとんでもない逸材である。しかも現在進行形の逸材だ。まだ19歳というから、東宝はこれから10年はゆうに「長澤まさみ」主演作品で食いつないでいけるだろう。
ドラマや映画やCMで活躍の長澤まさみは、映画「ロボコン」でその潜在能力の高さと役者としての伸びを予感させた。
映画「タッチ」では長澤まさみという「肝」をしっかり持ちつつも、ストーリー・演出による「心」が伴っていないために、まるで実寸大のプラモデルカーにF1エンジンを積んでしまったかのような作品になってしまったにもかかわらず、主演女優の魅力だけで走りきることができてしまったという、ある意味スゴい作品だった。
そんな前回作品を経て東宝は確実な舵取りを、と考えたようだ。
「ラフ」の映画化にあたり、監督には、原作漫画の雰囲気を忠実に再現できると太鼓判を押された感がある「NANA」の大谷健太郎。脚本に「電車男」の金子ありさを起用した。
さらに原作漫画「ラフ」はシンプルだがとてもよく出来た作品であることから、広く期待させることができると考えたのだ。
■ 原作がいい
原作漫画は飛び飛びで読んだだけなのだが、やはり売れっ子漫画家というのは並大抵の才能の持ち主ではい。
まず、主人公ふたりの設定からしっかりしている。二ノ宮亜美と大和圭介の家はライバル同士である。因縁の両家
という設定だ。これをロミオとジュリエット設定という。
次に、仲西弘樹というライバルの出現。恋のライバルと同時に競泳のライバルであり、主人公ふたりの関係をダイナミックにする役割さえもった中西弘樹というキャラクターをつくった手腕は、まさに玄人技である。
主人公ふたり(二ノ宮亜美と大和圭介)の関係の前半部分は、両家がライバル同士とい設定によって恋のエレベーターは地下6階から地上5階まで上昇させることができる。
問題は5階から最上階の10階までどう持ち上げるかだ。
たいていはここで主人公たちに新たな局面が訪れる。ターニングポイントと呼ばれるものだ。
ところが「ラフ」においては「タッチ」と同じ手法が使われてる。それはサブキャラクターに大きな転機が訪れるというもの。
「タッチ」では上杉和也が、「ラフ」では仲西弘樹が交通事故にあう。
主人公達に直接的に転機が訪れるのではなく、ごく身近な大事な人に転機が訪れることで、主人公達にも間接的に転機が訪れるという図式だ。
間接的よりも直接的のほうがダイナミックになってよいのではないか、と思うかもしれない。だが、直接的にすると一見は派手になるが、じわじわと伝わる深みは与えられない。
間接的にすることで、主人公達は思い悩み、感情をぶつけ合い、自分がどうすべきかを真剣に考える過程という道筋をつくるころができる。真っ直ぐに行動する一連の流れを作り出すことだできるというわけだ。
こうした原作の「巧さ」を忠実に映像化できると考えたでろう東宝の読みは……そこそこ当たった。
■ 長澤まさみの「スタイルの良さ」は尋常じゃない
そもそも「タッチ」の野球よりも「ラフ」の水泳のほうがシンプルでわかりやすい。
野球のルールというのは、野球が好きな人にとっては当たり前でも、野球にあまり興味が無い人にとってはよくわからない。野球速報の文字を見ると、何かの暗号に見える人も多い。
水泳はだれが見てもわかりやすい。速く泳げばいいのである。高飛び込みは、より綺麗に飛び込めはいいのである。
だが水泳を題材とした青春作品でぜったいにおろそかにしてはならないものがある。
――「若さ」と「輝き」である。
水泳は水の中を泳いだり、水に飛び込んだりする。水着と水。
水の世界ではごまかしがきかない。水をはじく肌。というのはやはり若さの特権と象徴であり、こればかりはごまかしがきかない。もしCG処理でもしようものなら、逆に興醒めはなはだしくなってしまう。
水泳を題材とした映像作品「ラフ」は、出演者の若さと輝きにかかっているといってもいい。
この点、長澤まさみ以上に最適任な女優は思いつかないほどだ。
長澤まさみのスタイルの良さは尋常ではない。そんなこと言われなくてもわかっていると皆がいうだろうが、スクリーンの大画面で見たらほんとうにびっくりする。
そして速水もこみちも、長身の鍛えた体を披露している。
はじめ速水もこみちはちょっと大きすぎないかと思ったが、長澤まさみのスタイルの良さとバランスをとるためには彼ぐらいのインパクトのあるルックスとスタイルでなくてはならなかった、というのがわかる。
もっとリアルに水泳選手っぽい俳優を起用したら、競泳選手役としてはハマったとしても、長澤まさみの相手役としては貧相に映ってしまいかねないのだ。
■ 友情
大和圭介の親友でありルームメイトの緒方剛は、地味なようで重要なキャラクターだ。
高飛び込みのエースとして活躍する彼は、おそらくエースの重圧と戦いながらもがんばってきた。しかし家の事情で選手をやめ、寮を出ることになった。
ちょっと考えてみよう。ある分野で結果を出せるというのは奇跡に近いということを。
こんな高校生がいるとしよう。
夏に海でちょっと泳ぐぐらいしかしないA君は、高校では吹奏楽部に所属している。トランペットの腕前もなかなかで、パートリーダーもつとめている。
だが、A君が専門的なトレーニングを積んで競泳競技に出たら、日本記録を出せることが間違いない。
でも、A君は女の子と一緒でなければ海に行きたいとは思わないし、泳ぎたいとも思わない。普段だって風呂はシャワーで済ませる。湯船に浸かったのは中学のときに行った家族旅行の温泉ぐらいなものだ。
そんなA君は、泳げば日本記録を出せる。本格的なトレーニングをきちんと積めば、オリンピックで金メダルだってとれる。
でもA君は今日もトランペットを吹いている……。
ある分野で結果を出せるというのは、いかに奇跡に近いかがちょっとだけおわかりいただけたと思う。
緒方剛もある程度の才能はあって、エースとして活躍している。自分の才能に気づいてそれを伸ばそうとしているにもかからず、やまれぬ事情で選手をやめなければならない。そんな親友の言葉を受け止める大和圭介。
ここでも、サポートキャラクターのターニングポイントで主人公たちの気持ち・心に波を起こしているのである。
恋のライバル出現だけじゃく友情もきちんと取り入れているのだ。
さて、あなたにはどんな才能が眠っているだろうか。才能をみつけて伸ばすのはどうしたらいいのか。
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■ 水のシーンに「力(りき)」が入っている
水泳のシーンはかなり綺麗に撮れている。相当気を使ってどうやったら綺麗に撮れるのかと考え抜いたのだろう。特に水中での選手の泳ぎや、高飛び込みで飛び込んだ後の水中での選手の様子などがとても綺麗だ。
ただ泳ぎ関しては、代役ひとりでもいいから、オーラのある泳ぎをする選手の映像が欲しかった。
水泳の一流選手ともなれば、力強さのほかに、艶かしいほどの水との一体感のようなものを醸し出す選手がいる。このオーラを出せるのは体調や調子の良し悪しによって、一流選手でも絶頂期のごく一時期だろう。だからそんな泳ぎを撮ることは不可能に近いのだが、たとえタイムがそんなに早くなくても、このオーラに近い雰囲気の泳ぎをする選手はいるはずだ。
バシャバシャと力で水を叩くようにかいて泳ぐのではなく、水と一体になって滑り流れるようにしなやかに。そんな泳ぎはほんとうに美しくて思わずハッと息をのむ。
残念ながらそうしたオーラを醸し出す泳ぎを見ることはできなかったが、水中で撮った映像は綺麗で見所のひとつとなっていることは確かだ。
■ ひとこと
スポーツ特待生たちが集う学生寮という設定はよい。寮生たちはそれぞれのスポーツ分野で活躍しながら寮生活をおくる。
これが同じ部活動の集団生活だとちょっと様子が違ってきて、おかしなスポコンものになってしまいかねない。そういうリスクを避けて様々なスポーツをする生徒たちが集まる寮というのがいいのだ。
なにも目標がないのにただ集められた生徒達が寮生活をすれば、かならずといっていいほど様々な歪が生じる。そういった負の部分を題材に物語を作るのもアリだが、さわやか青春物語という性格上、寮生活の綺麗なところだけを掬い取ったのは正解だ。
スポーツ青春物語と認識されるかもしれないが、そうではない。
ますます輝きを増していく長澤まさみのための、長澤まさみによる、長澤まさみを観にいく作品である。
これは前作「タッチ」と変らない。変ったところといえば、物語構築と演出が多少良くなったところだ。とはいっても、原作が良いからというのもあり、作品単体としてみれば、取り立てて誉められる作品ではない。
繰り返しになるが、長澤まさみだから、長澤まさみであることがメインの作品だ。観に行くならそこをきっちり認識することを忘れないでほしい。
俳優 ◎
ファミリー -
デート △ 長澤まさみが魅力的すぎて……。
フラっと ○
脚本勉強 ○
演出 △
笑い -
リアル △
謎解き -
人間ドラマ ○
社会 -
青春 ◎




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