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08/30/2006

ラフ(ROUGH)


監督:大谷健太郎
日本/2006年/106分
原作:あだち充『ラフ』小学館/少年サンデーコミックス刊

今年もやってきた!「☆長澤まさみ祭り☆」プールでの綺麗な水中映像と、長澤まさみの想像を絶するスタイルの良さが特徴のアイドル映画。「タッチ」からの改善点は物語構築と演出。主演女優の魅力に尽きる1本。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
実家の和菓子屋がライバル同士で反発し合う仲の男女が、水泳を通してお互いに恋心を抱いていく。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
▽二ノ宮亜美
高飛び込み選手。和菓子「にのみや」の娘。

△大和圭介
競泳選手。競泳自由形)。和菓子「やまとや」の息子

△仲西弘樹
競泳選手(競泳自由形)。大学生。競泳日本記録保持者。
二ノ宮亜美の幼馴染。

▽小柳かおり
高飛び込み選手。高飛び込み女子日本チャンピオン。

△緒方剛
高飛び込み選手。大和圭介のルームメイトで親友。仲西弘樹


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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今年もやってきた!「☆長澤まさみ祭り☆」プールでの綺麗な水中映像と、長澤まさみの想像を絶するスタイルの良さが特徴のアイドル映画。「タッチ」からの改善点は物語構築と演出。主演女優の魅力に尽きる1本。

■ 今年もやってきた! 長澤まさみ祭り

昨年は「タッチ」。そして今年は「ラフ」。
どちらの作品も原作はあだち充の漫画である。

映画「タッチ」にしろ、今回の映画「ラフ」にしろ、いうなれば「長澤まさみ作品」といってもいい。

第5回東宝シンデレラグランプリの長澤まさみはとんでもない逸材である。しかも現在進行形の逸材だ。まだ19歳というから、東宝はこれから10年はゆうに「長澤まさみ」主演作品で食いつないでいけるだろう。

ドラマや映画やCMで活躍の長澤まさみは、映画「ロボコン」でその潜在能力の高さと役者としての伸びを予感させた。

映画「タッチ」では長澤まさみという「肝」をしっかり持ちつつも、ストーリー・演出による「心」が伴っていないために、まるで実寸大のプラモデルカーにF1エンジンを積んでしまったかのような作品になってしまったにもかかわらず、主演女優の魅力だけで走りきることができてしまったという、ある意味スゴい作品だった。

そんな前回作品を経て東宝は確実な舵取りを、と考えたようだ。

「ラフ」の映画化にあたり、監督には、原作漫画の雰囲気を忠実に再現できると太鼓判を押された感がある「NANA」の大谷健太郎。脚本に「電車男」の金子ありさを起用した。

さらに原作漫画「ラフ」はシンプルだがとてもよく出来た作品であることから、広く期待させることができると考えたのだ。

「タッチ」作品レビュー

「ロボコン ROBOT CONTEST」作品レビュー


■ 原作がいい

原作漫画は飛び飛びで読んだだけなのだが、やはり売れっ子漫画家というのは並大抵の才能の持ち主ではい。

まず、主人公ふたりの設定からしっかりしている。二ノ宮亜美と大和圭介の家はライバル同士である。因縁の両家
という設定だ。これをロミオとジュリエット設定という。

次に、仲西弘樹というライバルの出現。恋のライバルと同時に競泳のライバルであり、主人公ふたりの関係をダイナミックにする役割さえもった中西弘樹というキャラクターをつくった手腕は、まさに玄人技である。

主人公ふたり(二ノ宮亜美と大和圭介)の関係の前半部分は、両家がライバル同士とい設定によって恋のエレベーターは地下6階から地上5階まで上昇させることができる。

問題は5階から最上階の10階までどう持ち上げるかだ。

たいていはここで主人公たちに新たな局面が訪れる。ターニングポイントと呼ばれるものだ。

ところが「ラフ」においては「タッチ」と同じ手法が使われてる。それはサブキャラクターに大きな転機が訪れるというもの。

「タッチ」では上杉和也が、「ラフ」では仲西弘樹が交通事故にあう。

主人公達に直接的に転機が訪れるのではなく、ごく身近な大事な人に転機が訪れることで、主人公達にも間接的に転機が訪れるという図式だ。

間接的よりも直接的のほうがダイナミックになってよいのではないか、と思うかもしれない。だが、直接的にすると一見は派手になるが、じわじわと伝わる深みは与えられない。

間接的にすることで、主人公達は思い悩み、感情をぶつけ合い、自分がどうすべきかを真剣に考える過程という道筋をつくるころができる。真っ直ぐに行動する一連の流れを作り出すことだできるというわけだ。

こうした原作の「巧さ」を忠実に映像化できると考えたでろう東宝の読みは……そこそこ当たった。


■ 長澤まさみの「スタイルの良さ」は尋常じゃない

そもそも「タッチ」の野球よりも「ラフ」の水泳のほうがシンプルでわかりやすい。

野球のルールというのは、野球が好きな人にとっては当たり前でも、野球にあまり興味が無い人にとってはよくわからない。野球速報の文字を見ると、何かの暗号に見える人も多い。

水泳はだれが見てもわかりやすい。速く泳げばいいのである。高飛び込みは、より綺麗に飛び込めはいいのである。

だが水泳を題材とした青春作品でぜったいにおろそかにしてはならないものがある。

――「若さ」と「輝き」である。

水泳は水の中を泳いだり、水に飛び込んだりする。水着と水。

水の世界ではごまかしがきかない。水をはじく肌。というのはやはり若さの特権と象徴であり、こればかりはごまかしがきかない。もしCG処理でもしようものなら、逆に興醒めはなはだしくなってしまう。

水泳を題材とした映像作品「ラフ」は、出演者の若さと輝きにかかっているといってもいい。

この点、長澤まさみ以上に最適任な女優は思いつかないほどだ。

長澤まさみのスタイルの良さは尋常ではない。そんなこと言われなくてもわかっていると皆がいうだろうが、スクリーンの大画面で見たらほんとうにびっくりする。

そして速水もこみちも、長身の鍛えた体を披露している。

はじめ速水もこみちはちょっと大きすぎないかと思ったが、長澤まさみのスタイルの良さとバランスをとるためには彼ぐらいのインパクトのあるルックスとスタイルでなくてはならなかった、というのがわかる。

もっとリアルに水泳選手っぽい俳優を起用したら、競泳選手役としてはハマったとしても、長澤まさみの相手役としては貧相に映ってしまいかねないのだ。


■ 友情

大和圭介の親友でありルームメイトの緒方剛は、地味なようで重要なキャラクターだ。

高飛び込みのエースとして活躍する彼は、おそらくエースの重圧と戦いながらもがんばってきた。しかし家の事情で選手をやめ、寮を出ることになった。

ちょっと考えてみよう。ある分野で結果を出せるというのは奇跡に近いということを。

こんな高校生がいるとしよう。
夏に海でちょっと泳ぐぐらいしかしないA君は、高校では吹奏楽部に所属している。トランペットの腕前もなかなかで、パートリーダーもつとめている。

だが、A君が専門的なトレーニングを積んで競泳競技に出たら、日本記録を出せることが間違いない。

でも、A君は女の子と一緒でなければ海に行きたいとは思わないし、泳ぎたいとも思わない。普段だって風呂はシャワーで済ませる。湯船に浸かったのは中学のときに行った家族旅行の温泉ぐらいなものだ。

そんなA君は、泳げば日本記録を出せる。本格的なトレーニングをきちんと積めば、オリンピックで金メダルだってとれる。

でもA君は今日もトランペットを吹いている……。

ある分野で結果を出せるというのは、いかに奇跡に近いかがちょっとだけおわかりいただけたと思う。

緒方剛もある程度の才能はあって、エースとして活躍している。自分の才能に気づいてそれを伸ばそうとしているにもかからず、やまれぬ事情で選手をやめなければならない。そんな親友の言葉を受け止める大和圭介。

ここでも、サポートキャラクターのターニングポイントで主人公たちの気持ち・心に波を起こしているのである。

恋のライバル出現だけじゃく友情もきちんと取り入れているのだ。

さて、あなたにはどんな才能が眠っているだろうか。才能をみつけて伸ばすのはどうしたらいいのか。

▼『Mr.インクレディブル』が教えてくれる、子供の才能を限りなく伸ばす方法


■ 水のシーンに「力(りき)」が入っている

水泳のシーンはかなり綺麗に撮れている。相当気を使ってどうやったら綺麗に撮れるのかと考え抜いたのだろう。特に水中での選手の泳ぎや、高飛び込みで飛び込んだ後の水中での選手の様子などがとても綺麗だ。

ただ泳ぎ関しては、代役ひとりでもいいから、オーラのある泳ぎをする選手の映像が欲しかった。

水泳の一流選手ともなれば、力強さのほかに、艶かしいほどの水との一体感のようなものを醸し出す選手がいる。このオーラを出せるのは体調や調子の良し悪しによって、一流選手でも絶頂期のごく一時期だろう。だからそんな泳ぎを撮ることは不可能に近いのだが、たとえタイムがそんなに早くなくても、このオーラに近い雰囲気の泳ぎをする選手はいるはずだ。

バシャバシャと力で水を叩くようにかいて泳ぐのではなく、水と一体になって滑り流れるようにしなやかに。そんな泳ぎはほんとうに美しくて思わずハッと息をのむ。

残念ながらそうしたオーラを醸し出す泳ぎを見ることはできなかったが、水中で撮った映像は綺麗で見所のひとつとなっていることは確かだ。


■ ひとこと

スポーツ特待生たちが集う学生寮という設定はよい。寮生たちはそれぞれのスポーツ分野で活躍しながら寮生活をおくる。

これが同じ部活動の集団生活だとちょっと様子が違ってきて、おかしなスポコンものになってしまいかねない。そういうリスクを避けて様々なスポーツをする生徒たちが集まる寮というのがいいのだ。

なにも目標がないのにただ集められた生徒達が寮生活をすれば、かならずといっていいほど様々な歪が生じる。そういった負の部分を題材に物語を作るのもアリだが、さわやか青春物語という性格上、寮生活の綺麗なところだけを掬い取ったのは正解だ。

スポーツ青春物語と認識されるかもしれないが、そうではない。

ますます輝きを増していく長澤まさみのための、長澤まさみによる、長澤まさみを観にいく作品である。

これは前作「タッチ」と変らない。変ったところといえば、物語構築と演出が多少良くなったところだ。とはいっても、原作が良いからというのもあり、作品単体としてみれば、取り立てて誉められる作品ではない。

繰り返しになるが、長澤まさみだから、長澤まさみであることがメインの作品だ。観に行くならそこをきっちり認識することを忘れないでほしい。


俳優    ◎
ファミリー -
デート   △ 長澤まさみが魅力的すぎて……。 
フラっと  ○
脚本勉強 ○
演出    △
笑い    -
リアル   △
謎解き   -
人間ドラマ ○
社会    -
青春    ◎

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08/28/2006

スーパーマン リターンズ(SUPERMAN RETURNS)

監督:ブライアン・シンガー
アメリカ/2006年/154分

「赤マントの全身タイツ男 病院に担ぎ込まれる」の巻。父と子。ルーツ探し。新秩序の台頭の恐怖。アメリカ合衆国がよくわかる作品。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
故郷のクリプトン星を探して宇宙へ旅立ったスーパーマンが5年ぶりに地球に戻ってくると、かつての恋人ロイスは婚約しており、子供もいた。
そんななか、宿敵レックス・ルーサーが動きはじめる。
世界を救うためスーパーマンが立ち上がる。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△スーパーマン
 クリプトン星の生き残り。

△ロイス
女性。新聞記者。スーパーマンの元恋人。

△レックス・ルーサー
男性。新秩序確立を目指す。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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「赤マントの全身タイツ男 病院に担ぎ込まれる」の巻。父と子。ルーツ探し。新秩序の台頭の恐怖。アメリカ合衆国がよくわかる作品。

■ 父と子

スーパーマンはクリプトン星の唯一の生き残りです。クリプトン星の消滅のときに赤ん坊だったスーパーマンは父によって地球へ送られます。

父にとってはかけがえないのない唯一の息子を地球に遣わしたのです。

この設定はほぼそのまま聖書と同じですね。

父なる神が、子なるイエスを地上に遣わされたというものです。

人間を救うために地上に遣わされたイエスも苦悩して父なる神に祈ります(ゲッセマネの園での祈り)。

またイエスは荒野で40日40家断食して悪魔による誘惑にあいます(マタイによる福音書第4章1節~11節)。
聖書によると、神の子であるイエスは数々の奇跡を行いましたが、様々な試練にあわれて苦悩もしたのです。

スーパーマンは透視能力や怪力や空を飛ぶ能力などを持ったいわば超人ですが、自分のルーツを探したり、地球でどう生きるか、何をすべきかを考え・悩みます。

これは人間だれしもあることですが、特に様々な民族やコミュニティから成るアメリカ国民は、自分のルーツ探しというものにたいへん高い興味と関心を持っているといいます。

故郷のクリプトン星を探しに宇宙へ旅に出たことからわかることは、地球にあって異星人であるスーパーマンではるけれども、その気質や行動においてはアメリカ国民に近いものがあるこということです。

アメリカ国民的要素を併せ持ったスーパーマンは一度に無数の声・音を同時に聞き分ける能力もあります。自分の生き方に悩みつつも、助けを求める声を放っておくことはできないと助けに世界を飛び回ります。こうした行動はアメリカ合衆国の国際社会での振る舞いを表現しているといっていいでしょう。


■ 人は何によっていきるか

荒野で断食中に、空腹ならば石をパンに変えればいいと誘惑者に言われたイエスは「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言(ことば)で生きるものである」(新約聖書マタイによる福音書第4章4節)と言いました。

さて、超能力を持ったスーパーマンの地球での生活はバラ色かというと、そうでもありません。

5年ぶりに地球に戻ってみると、変わらないと思っていたものまで変ってしまっていました。結婚して主婦するなんて考えられないと言っていた元恋人ロイスが、社内の同僚と婚約して男の子まで誕生していたのです。

常人にはできないことができるスーパーマンでも、愛する人との関係はなかなか思い通りにはできないのです。スーパーマンは地球でどう生きるべきかを悩みます。

どんなに高い能力を持っていたとしても、スーパーマンは何によって生きるのか。そして私は、あなたは何よって生きるのか。

これが「スーパーマンリターンズ」のテーマであり、観客への問いかけです。


■ ヒーローを必要としていない?

なぜいまスーパーマンなのでしょうか?

スーパーマンをアメリカ合衆国と例えてみると、世界はもうスーパーマンを必要としていないのでしょうか?

こんな疑問をアメリカ国民の多くが持っているからこそ、今も世界はスーパーマンのようなヒーロー=強いアメリカ合衆国を必要としているのだという物語で皆を鼓舞したいし、そういう話をアメリカ国民も求めている。だからこそ、いまスーパーマンなのですね。


■ 自虐コントネタを真面目に

悪役レックス・ルーサーが海上に新たな大陸を出現させて、これまであった大陸を沈めてしまおうというのは、早い話が新しい勢力地図を作るということです。これを阻止するのがスーパーマンですね。

新秩序の出現。
従来の秩序を守る側にとっては、事の善悪は関係なく、問題・驚異なのは新秩序の台頭です。

悪役がアメリカ合衆国の海岸線の一部を沈めることで、それまでタダ同然だった土地に新たな付加価値をつけて金儲けしようとしたぐらいの規模なら、スーパーマンの程よい活躍の場ができるといったものです。

しかし今回、レックス・ルーサーが作り出そうとしていい新しい土地は「島」とった規模ではなく「大陸」の規模です。

大陸ともなれば、それは新秩序の誕生を意味します。しかもそれを作り出す元のクリスタルは、そもそもスーパーマンが地球にもたらしたものです。

レックス・ルーサーは、土地を作り出すクリスタルの存在を知らなければ、そもそもクリスタルが存在しなければ、大陸を出現させるという壮大(?)な計画を実行しようとまではしないでしょう。悪役といえども、頭脳明晰という設定ですからね。

レックス・ルーサーが世界を少し乱す程度の小悪党であるうちは、たまにスーパーマンに懲らしめられるぐらいでちょうど良かったのです。

なぜなら、世界が危機に陥らなければ、だれも助けを求めないので、スーパーマンの活躍の場もないのですから。

5年ぶりに帰ってきたスーパーマンが、墜落していく飛行機を救って野球場に不時着させることに成功したとき、球場の観客は大きな拍手で彼の帰還を称えます。

たしかに飛行機の惨事を引き起こした原因を作り出したのはレックスルーサーなのですが……。でもね、惨事の大元へとさかのぼって考えてみると、彼がスーパーマンのクリスタルを手に入れなければこの惨事は起きなかったのです。

スーパーマンがもたらした「力の元=クリスタル」を小悪党が手に入れたことで、もっと大きな悪事を引き起こし、それをスーパーマンが退治する。すると、やはり世界はスーパーマンを必要としているのだ、と声高らかにいう。

世界最大の武器輸出大国が世界に火種を撒き散らし、それを正義の名のもとに火消しに世界を飛び回る。そんな、どこかのお国そのままといったようにもみえますね。

こんな自虐コントみたいなネタを、けっこう真面目に表立ってやっているのが「スーパーマンリターンズ」なのです。

では、表があれば裏があるということで、裏でいうとどんな作品が?

実は有名なアニメショーン作品がこういった意味で「スーパーマン」と表裏一体なんですね。

で、それはどんなアニメ作品か?

これについては長くなりそうなのでまたの機会に。


■ スーパーマンを知っている人向き

スーパーマン? 
それってペンギン村の梅干大好きなコスプレおじさんのことでしょ。

スーパーマン? 
それって「Mr.インクレディブル」でおっきなマントを羽織って空を飛んでいたスーパーヒーローが飛行機のエンジンにマントが絡まって亡くなったっていう話の、その元になったヒーローのことでしょ。

こんな認識を持っている方は、いきなり「スーパーマンリターンズ」を観にいってもイマイチ盛り上がらないでしょう。

「スーパーマン」シリーズを全く観ていないならば「赤マントの全身タイツ男が病院に担ぎ込まれた154分にわたる物話」ときいたならば、それってどうなの? と思ってしまうかもしれませんね。

とはいえ、ペンギン村のスッパマンを知っているアナタは、もちろんスーパーマンもよぉ~く知っているでしょうけれど(笑)


■ ひとこと

「赤マントの全身タイツ男 病院に担ぎ込まれる」

「入院中のスーパーマンはナースコールを押すのか」

「ナースが脱がす!?スーパーマンの全身タイツ」

こんなキャッチフレーズなら、もっとお客さんを呼べそうですネ。


俳優ファン △
ファミリー △ 
デート   △
フラっと  △
脚本勉強 ○
演出    ○
笑い    ◎ 笑える目線で見ればかなり笑える
リアル   - 風刺ならマル。 
謎解き   - 
人間ドラマ ○ スーパーマンですが……。
社会    ◎ 
CG     ○    


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08/24/2006

「サイン」考察


M・ナイト・シャマラン監督の作品は、予告編だけで作品をぜひ観てみたいと思わせることにかけては凄腕のコピーライター100人が考えまくって搾り出したコピー以上の「惹きつける」匂いを放っている。


映画の宣伝を観ただけで、どうしても謎が知りたくて、その作品を観ないではおけない、そんな気にさせる才能を持っているのがM・ナイト・シャマラン監督なのである。


「サイン」公開当時、作品を観た観客の多くは、期待はずれだった、という感想を持つ人が多かったようだ。


こういった感想で明らかになったのは多くの観客が「期待していた」ということだ。


ご期待ください。と口で言うのは簡単だが、ほんとうに期待させる「仕込み」ができる才能と、宣伝の巧みさは見事である。


では、予告編・宣伝・マーケティングが上手いだけかというと、そうでもない。


作品づくりにおける手法と作品内容のが絶妙にリンクしたかのような通好みなところも見せてくれているのだ。


それに、M・ナイト・シャマラン監督の作品にはキリスト教文化が根底にあることが多い。


「サイン」における、もっともキリスト教文化的な部分とは?


それは「偶然」と「信念」である。


この世のどんな出来事も、一見するとバラバラにみえる事柄も、すべては神のご計画のうちである。という考え。


この考えが根底にあると、一見すると理解不能な数々の出来事も、それにはきっとなにかしらの意味があるのだと思えるのである。


これは映画の作品づくりなどのストーリー構築にも当てはまる。


物語内においては、すべてのシーン、すべてのセリフ、すべてのアクションは、なにかしらの意味があるように作られている。


なにひとつ意味がない箇所があったなら、それが作品をつまらなくしてる要因だと考えてまず間違いない。


一見すると意味のない、偶然の積み重ね。そこに作品を完成させるという確固たる「信念」が存在するとき、偶然がやがて必然へと変わることで、観客に「解決」というカタルシスを与えることができるのである。


映画や漫画などの物語づくりと、偶然・信念とはけっこう相性がいい。


そういった作り手側の面白さを、キリスト教文化的な要素とからめてくるあたりに、M・ナイト・シャマラン監督がマニア受けしやすい要因があるのだと思う。


信念は、ときとして「信仰」とも呼ばれる。


キリスト教的な要素がより色濃く出た、M・ナイト・シャマラン監督作品には「ヴィレッジ(THE VILLAGE)」がある。

これについてはまたの機会にお話することにしよう。

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08/23/2006

XPとは~「タイヨウのうた」~


XP(色素性乾皮症)とは~タイヨウのうたの真実~


映画とドラマになった「タイヨウのうた」で主人公・雨音薫の病名がXPと呼ばれるものです。


映画やドラマの中では、登場人物がXPについて簡略な説明をするセリフがあるのですが、より正確な情報というのは提示されていなかったと思います。


映画やドラマ内もしくは前後に、XPについての正確な情報を提示・提供するのが良いと思うのですが、ドラマ版での始まりか終わりかに、実際のXPとは異なる部分があります、といったような意味内容の一文が表示されているまでとなっているようです。


では、XPとはより正確にはどのようなものなのでしょうか。


「タイヨウのうた」によってXPが広く知られるきっかけになりました。これを補完する、より正確な情報があったほうがいいと思っていた矢先に、このレポートをみつけました。


XP(色素性乾皮症)とは~タイヨウのうたの真実~


このレポートと共に、映画・ドラマ「タイヨウのうた」をご覧になるとよいでしょう。

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08/21/2006

「ラブ★コン」ウェンツ瑛士出演シーン

「ラブ★コン(LOVELY COMPLEX)」作品レビュー

映画「ラブ☆コン」には、WaTの小池撤平クンの相方のウェンツ瑛士クンがチョットだけ出演しているのですが、それがどこだか分った方はいますか?

エンドロールにウェンツくんの名前が出たとき、観客席からは「え?どこに出てたの?」とざわざわしていました。

私もどこにウェンツくんが出ていたのかわかりませんでした。

音楽番組「HEY!HEY!HEY!」に出演したWaTの話によると、マイティ部応援団の一員として、バスケット対決の応援シーンにちょっとだけ出演しているとのことで、その映像をテレビで見ました。

う~む。あれはちょっと気づきませんね~。

ウェンツくんご本人も自分の出演シーンがどこか見逃したといってましたから(^_^)


それはそうと「ラブ☆コン」での小池徹平クンをはじめ、藤澤恵麻ちゃんら出演者たちのファッションがかわいいですね。

最近の高校生はみんな、あんなにおしゃれなのか!☆と思ってしまうほどです。(主人公を演じたふたりのタレントさんは撮影当時にすでに成人だったそうですが)


さて、この頃は漫画原作からヒット作へ。という流れが定着しましたね。

「ラブ☆コン」の原作も中原アヤ『ラブ★コン』集英社「別冊マーガレット」連載ということで、当然のように原作漫画のファンも多数映画を観にいき、その結果評判がいいというのは、原作ファンもけっこう納得の出来ということなのですね。

わたしは原作は未読なので、映画を観たら原作も読んでみたくなりました。

ほかに「のだめカンタービレ」という漫画もたいへん評判がよく、テレビドラマ化されるそうで、ぜひ読んでおきたいですね。


原作漫画たいてい時間がとれたときにまとめて漫画喫茶で読みます。最近の漫画喫茶は個室化が進んで、古くからの漫画喫茶が改装してリニューアルオープンしているところもあります。

古いほうがお得な料金設定があったのに、リニューアルしたらちょっと料金設定が高めになった。な~んてこともありますが、店側としては時間単価を上げてなるべく長居してもらいたいのだからいろいろと大変ですね。

改装した漫画喫茶の多くは、個室を増やして、靴を脱いで利用する方式にしているようです。日本で生まれ育った人の多くは、靴をぬぐとなんとな~くまったりモードになって腰を据えてしまいがち。

なかには座敷の個室もあって、自宅の和室でくつろぐ感覚になれるところもありますね。なかなか上手な作戦ですね。

漫画喫茶に行ったことない人は、はじめはちょっと気後れするかもしれません。でも一度利用すると、ちょっとした空き時間に使えるのでけっこう便利ですよ。

漫画だけでなく、ネットも雑誌もあります。漫画喫茶で仮眠している人もいますから、使い方はいろいろですね。

以前わたしが行った漫画喫茶で「逆境ナイン」が見当たらなかったので店員さんに訊いたら、まだ入荷していないとこのことでした。

そこで違う漫画本を読み始めて20分ほどしたら、さっきの店員さんが笑顔でやってきました。さきほどはなかった漫画本を手に持ってきたくれのです。

なんと! すぐに近くの本屋に行ってわたしが尋ねた漫画本を買ってきてくれのです!

もしかしたら、以前から入荷予定の漫画本だったのかもしれませんが、お客さんの希望にすぐに応えてくれるフットワークの軽さには驚きました。

そんなこともあり、その店を贔屓にしていたのですが、残念ながらしばらくして閉店してしまいました。

店内もきれいで店員さんもしっかりしていて、けっこうお気にいりだったんですけどね。

みなさんも、行きつけのバーじゃないですが、お気に入りの漫画喫茶があるとなにかと便利ですよ。

24時間営業のところもあります。そういえばタレントの若槻千夏ちゃんは、漫画大好きでかつて漫画喫茶からグラビアの仕事に出かけて、仕事が終わったら漫画喫茶に帰ってくるという生活を一時期していたそうです。

ご飯食べれるしシャワーあるしで、仕事から漫画喫茶に帰ってくると店員さんから「おかえりなさい」と言われたそうです^^;

それってメイド喫茶のさきがけみたいな☆

じっくり漫画を読みたいときはお店によってはお得な「○時間パック」というのがあるので、事前にネットで調べていくといいですよ。

暑い日中はじっくり読書やインターネット。涼しい夕方からは運動や散歩と、お盆休みもメリハリつけて楽しく過ごしましょう。

一度利用してみたいけど......という方は、漫画喫茶ってどんなところか勉強(笑)してからのほうがいいでしょう。

漫画喫茶を120%楽しむための超裏技!!

漫画喫茶をよく利用する人も、あなたの知らない使い方を発見するかもしれませんよ。


そうそう、漫画喫茶(ネットカフェ)を利用するのはなにも漫画やネットで遊ぶ人だけなく、株取引をしている人もいますね。

最近はネットトレーディングが流行りですから。

『株式投資を始めて90日で1人前のトレーダーになれる方法!』

株式投資の基本がわかりやすく書かれています。
まずは株ってなんにゃ? という初心者の方が一読するといいですョ。

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08/18/2006

暑く寝苦しい夜のお供に

お盆休みもほぼ終わり、暑い日が続いています。

暑く寝苦しい夜のお供といえばホラーです。

思い出すなぁ。夜中に部屋を暗くしてヘッドホンでプレイしたゲーム「かまいたちの夜」

突然の悲鳴に思わずビクっとなりました!^_^;

ゲームだけじゃなく、もちろんホラー映画だけじゃなく、どんな映画でも自宅でひとりで観るときは自分に合ったヘッドホンがあると何倍も作品を、そして寝苦しい夜をも楽しめます。

え? どうしても夜中にひとりヘッドホンをして心臓が止まるほど怖い思いをしたい?

あなたもチャレンジャーですね。
では「the EYE」ならきっと涼しい夜を過ごせるはずですよ。

○「the EYE」作品レビュー


そうそう、暑くて寝苦しい夜に最良パートナーになる、あなたに最適なヘッドホンをこちらでぜひみつけましょうね。

涼しくなりすぎて夜中に眠れなくなったら……とっておきの読み物を……

【深夜の課外授業】ゾンビでわかるアメリカ合衆国~けっして日没前には読まないでください~

あ、夜が明けてきたら読まないでね。くれぐれも!深夜によろしく。


それでも眠れないアナタには特別にこちらもご用意しました。

『「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」徹底解説~ハリウッドがジャパンホラーを買いたがる理由~』


そえから、私の無料レポートのレビュー集はこちらです。
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08/13/2006

ラブ★コン(LOVELY COMPLEX)


ラブ★コン (通常版) [DVD]
ラブ★コン (通常版) [DVD]中原アヤ

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監督:石川北二
日本/2006年/100分
原作:中原アヤ『ラブ★コン』集英社「別冊マーガレット」連載

出たッ! 日本映画のこれからの得意路線でカッ飛ばす、この夏イチバンの傑作! キャラクター、歌、キャッチフレーズ、細部、ストーリー構成、どれをとっても日本映画でトップレベル。ちょいと手を入れたらハリウッドリメイクも十分イケる。普段漫画もドラマもコントも一切読まない観ない人にはムリ。楽しむにも最低限の「反射神経」が必要な時代やから。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
それぞれに身長にコンプレックスを持つ男女が高校で出会い、はじめは「デカ女」「チビ男」と言い合う仲に。
しかし片方が次第に相手を意識しはじめ、やがてありえないと思っていた相手に恋をする。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
▽小泉リサ
高校生。

△大谷敦士
高校生。バスケ部キャプテン。

▽石原信子
小泉リサの友人。

△中尾平吉
大谷の親友。石原信子の彼氏。

▽田中千春
小泉リサの親友。

△鈴木涼二
田中千春の彼氏。

△舞竹国海
英語教師。イケメン長身。

▽小泉理恵
小泉リサの姉。

△臼井先生
担任教師。

▽神崎真由
大谷の中学時代の彼女。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
出たッ! 日本映画のこれからの得意路線でカッ飛ばす、この夏イチバンの傑作! キャラクター、歌、キャッチフレーズ、細部、ストーリー構成、どれをとっても日本映画でトップレベル。ちょいと手を入れたらハリウッドリメイクも十分イケる。普段漫画もドラマもコントも一切読まない観ない人にはムリ。楽しむにも最低限の「反射神経」が必要な時代やから。

【注】これより先、ネタバレ含

■ もう恋なんてしない。自分より身長が高い・低い相手とは

作品のセットアップみてみぃ。夜の公園。どでかい噴水の両端で小泉リサと大谷敦士はそれぞれ身長が理由でフラれんねん。

このセットアップだけで観客は主人公たちの生い立ちや家族構成をな~んも知らんでも、ふたりのコンプレックスを瞬時に理解して、この二人はこれからどうなんやろぉ? と気になるんよ。

セットアップがめっちゃ簡潔。そもそもセットアップつ~もんの役割って知っとるけ? 役割のメインはメインキャラクターの紹介やねん(メインでかけてるわけちゃうで)。そやから、ついあれもこれも入れとこうってごった煮みたくなんねんけど、なんやなべに草履はいってんで、こんなん食えるかぁアホぉ~なることもあんねん。

でもな「ラブ★コン」ではめっちゃスッキリしてるんよ。身長がコンプレックス。それがトラウマに。それだけや! 
まぁこれだけ伝わればええんよ。めっちゃ簡潔なのにポイントしっかり抑えとる。そんでもって、これからはじまる物語に興味津々にさせる。こりゃセットアップだけで期待がいやがおうにも高まるでぇ!


■ キャッチフレーズがヤバいで!

「キュン死」

キョンシー。お札くれ。ってちがうがな。読み方は「kyun jini」。もう彼の姿を見ただけで死んでしまうぐらい胸がキュン☆となんねぇ~ん。そんな状態を表現したことば「キュン死」って。これ、使わしてもらいまひょ。

それに「よろしQUEEN」って。このセリフをいう教師は男性やのにQUEEN(女帝 女王)でエエんかい! とツッコミどころまでご丁寧に用意されとるがな。

海坊主の「よろしゅうござんすか」って。思わずこの曲のCDが出てないか探しそうになったわ。ラッパー名が海坊主やで。それで曲名が「よろしゅうござんすか」。

今日から使える、おもろフレーズばかりやないかぁ。


 コンフリクト

お~い。牛乳パックを手に持ってるアンタ。コーンフレークやないでぇ~。コンフリクツってなんや西洋かぶれした言い方やけど、早い話が「葛藤」や。

ドラマいうもんはな。なにより迫力。勢いつーもんが大切や。そのためにはコンフリクツ(葛藤)がなきゃアカン。
登場人物たちに衝突・口論をさせてダイナミックな関係を作り出すんや。小泉リサも大谷敦士もはじめは相容れない。「このデカ女!」と大谷敦士がいえば「黙れチビ男」と小泉リサが返す。

こうしてふたりのダイナミックな関係がコンフリクツ(衝突)によって生み出されているんや。しかも! ふたりの関係性におけるコンフリクツが、同時にふたりのインナーコンフリクツにもなっているんや。こりゃえらいこっちゃで。

お~い。なにフォークと黒胡椒もってニヤけてんねん。ウィンナーちゃうがな。インナーでウィンナーってちょっと無理あるがな。インナーコンフリクツって早い話が「内的葛藤」や。

セットアップを思い出してみぃ。小泉リサも大谷敦士も、観客に自分の不安や心配事や悩みや一番みられたくないところ(フラれる)を見せてるやろ。なんでやと思う? 

それは、観客とそれを共有するためや。共有した観客はもう小泉リサと大谷敦士を応援してしまうんやで~。


■ スゴ技披露!

ふつうはな。インナーコンフリクツを表現するのに、どうしてもセリフに頼りがちになるんよ。でも映像作品では大事なことを口で言っちゃあおしめぇよ。ほな、どないしたらええん? そやなぁ。他人に語るっていう方法はどうやぁ?

別に人である必要はないんやで~。てか人にはいいにくいやろ。そんな自分の内面のことなんて。そやから、よう使われるのは動物や。

犬や猫やナマズとかやな。ナマズはあんまり身近におらんかもしれんな。まぁとにかくキャラクターの内語(心の内)を露呈させるには人間以外のものが便利なんよ。

もちろん人間以外やったら登場人物の関係性はダイナミックにはならへんよ。話した相手がナマズやったらそうやろ?人間ちゃうもん。

で、なるべく動きのあるインパクトの強い方法で主人公のインナーコンフリクツを表現せなアカン。ほなここでセットアップをもう一度思いだしてみぃ。

セットアップでは、身長コンプレックスちゅうインナーコンフリクツを、憧れの人への告白で簡潔にズバっと表現してるんよ! ほんでこれが元で、後に高校で一緒のクラスになる小泉リサと大谷敦士はお互いに影響を及ぼすようになるんや。お互いに身長コンプレックスのために恋人にはなりえない存在やからな。

セットアップは登場人物の紹介だけでなく、インナーコンフリクツを表現して、さらにこれからはじまる物語の、主人公たちの関係をダイナミックにしとるんや。

スゴっ!

こんな技はまぁめったに観れへんよ。セットアップでその作品がおもろいか、だいたいわかってまうのは、作り手の力量が一番詰ったのがセットアップだからや。ダチョウ倶楽部やないけどな、つかみはOKといきたもんやな☆(ダチョウさんやったら、野生児ジモンがめっちゃオモロイ☆)


■ 表にしてみまひょ

ほな、内容を覚えてるかぎりやけど表にしてみるでぇ(即席やから正確ではないけんど)。

●セットアップ
(キャラクター紹介。身長コンプレックス。関係ダイナミックへ)

展開
高校生活のはじまり。凸凹コンビ結成。

第1ターニングポイント
海坊主ライブチケット入手で大谷が小泉リサを誘う。

  (恋の)ヘルパーの出現
  大谷の元彼女・神崎真由が現れ、クリスマスパーティに大谷を誘う。
  (神崎真由は一見すると恋における障害だが、実はヘルパーでもある)
      ↓
  大谷は元彼女のパーティに出席することに。

●第2ターニングポイント
クリスマスの夜、大谷がパーティを欠席して小泉リサの前の現れる。

●展開大谷敦士に恋する小泉リサ

●第3ターニングポイント
縁日で神崎真由が再び登場をきっかけに、小泉リサが大谷敦士に告白。
(神崎真由のヘルパー役割終了)

●展開
鈍感な大谷敦士にストレスがたまる小泉リサ。告白(二度目)
     ↓
修学旅行で再びフラれる小泉リサ。

●第3ターニングポイント
舞竹国海の登場(ライバル出現)

●展開
小泉リサによるマイティ部創設。

●クライマックス
大谷敦士が舞竹国海とバスケ対決。

●レゾリューション(解決)
小泉リサと大谷敦士がコンプレックスを克服し、相思相愛になる。


■ デキる脚本担当は森三中・大島の旦那サマ

日本では漫画家ほど物語を研究しつくしている人はおらん。んで「ラブ★コン」は原作がいわゆる少女漫画やから、女の子の気持ちがめっちゃわかっとるんよ。

で、映画の脚本担当が放送作家の鈴木おさむ氏。お笑い芸人・森三中の大島美幸の旦那さんや。さすが売れっ子放送作家。いい腕してるで~。テレビでいろんな企画やコントにかかわっとるから、とにかくどこをどう組み込めばいいかわかっとるんやな。

キャスティングもええかんじやな。ラップミュージシャン海坊主役に寺島進。臼井先生役に温水洋一。イケメン教師・舞竹国海役に谷原章介。小泉リサの姉役に南海キャンディーズのしずちゃん。

みんなひとクセもふたクセもある、一度見たら忘れられんキャラクターばかりや。


■ くすぐる女心

家では普段なにしとるん?
仮想恋愛ゲームやってんよ。
へ? それってアキバのヲタがやようやるようなやつやろ?
そんなんちゃうわ!愛しのケイン様が登場する「ラブラブファンタジア2」やッ!

てな会話シーンは映画にはないんやけど、まぁ仮想恋愛ゲームってきけばすぐにアキバオタさまをイメージするっていうのはな、それは作られた幻想なんよ。

「夢見る少女じゃいられない」と歌とうたったのは相川七瀬やけど、たいがいの少女は夢見とるがな。少女漫画なんてそんな願望・妄想が凝縮さたもんやろ。それを仮想恋愛ゲームをするシーンを使ったところが映像の特性をわかってるんやなと思わされるところや。

考えてもみぃ。メルヘンチックな部屋のベッドの上でひとり小泉リサが少女漫画を読んでいるシーンやったら、画面がとまってまうやろ?

テレビモニタで仮想恋愛ゲームやってるからこそ、姉の小泉理恵(原作では弟)が出てきて、彼氏自慢のテレビ番組にチャンネル変えることができるんよ。このテレビ番組にはなんとオール阪神・巨人師匠ご本人が出てんねん!

あ、いや大事なところはやな、このテレビ番組には、たとえどんな変な彼氏であっても最高! といえる女たちが登場するところなんよ。

身長コンプレックスと恋に悩む小泉リサがラストでどう変わるかを予見させるもの、つまり前フリにもなっとるんやな。うまいもんでやでしかし。


■ 大谷敦士の内面を仰天の方法で描く!

少女漫画が原作ちゅうことで、物語は小泉リサの内面には入り込むんよ。その表現方法としては、女の子やからよくある風景として友人の石原信子に相談したり、内語をナレーションしたりといったもんがある。

ほな大谷敦士の内面はどう描くんや?

男同士で女子(←なつかしい言い方やなぁ)の話をすることもあるやろうけど、恋に鈍感なノーテンキ超ハイテンションお調子者の大谷敦士が男友達に恋の相談なんかせんというか、はじめは恋しとらん、もしくは恋に気づいておらんもんなぁ。

そんなんをどうやって大谷敦士の心情を多少なりとも表現したらええんや~?

フフ、心配いらんで。生き物の生態にちょー詳しいあのお方がおるやないの。そう、畑正憲氏。出たっ! 通称ムツゴウロウさんや~!

ムツゴロウさんが、だっこちゃん人形みたいな猿のぬいぐるみを体中にいっぱいつけて現れてな、大谷敦士の表情をもとに見事な分析をしてくれんねん。なんて贅沢な解説付なんやろう。めっちゃめちゃイケてる~!(笑)


■ 細かいところもしっかり

体育館で生徒たちが運動してるシーン。メインアリーナではみんな運動してるのはあたりまえやけど、ちゃんと体育館の2階でも卓球やってん。このシーンだけで、手ぇ抜いてないんやなってわかってまう。

ほかにもなぜか学校の教室の壁には鹿の頭のはく製が付いてん。クラスの教室にも、涙の告白シーンでの理科室にもあるんよ。

ほんで理科室のシーンでは、ちょうど学園祭をやっとるんで、窓の外の向こう側の校舎ではみんなワイワイしているんよ。学園祭やからなんやけど、ちゃぁんとそういう状況を演出しているんやね。

そんで、登場するカメラがどれもレトロ。

それからバスケ対決するときの中尾平吉と鈴木涼二のゼッケンの名前が、ついさっきマジックで急いで書きましたぁてなかんじの手書きでヘタクソやねん。急遽バスケ対決のメンバーに借り出された様子が文字に出ていると同時に、このふたりがバスケがあまり上手ではない(漫画ではそうでもないみたい)様子も伺わせているんよ。文字にもちゃんと気配りしてるんやな。

さらに小泉リサの部屋。ずいぶんメルヘンチックな部屋にみけるけんど、ベッドの後ろ脇の椅子に座っているウサギみたいなおっきなぬいぐるみがあるんや。調べたらこれは「うさドクロ」ちゅうらしい。すごいネーミングやな。
で、このうさドクロがはじめて登場したシーンでは、足と腕を組んでうつむき加減に座ってるんよ。それで二回目の部屋のシーンではなんと「シェー!」の格好をして座ってる。そんで三回目には画面から消えているんや。

小泉リサのメルヘンチックな部屋が彼女の内的な私世界を反映している、その象徴だった「うさドクロ」が姿を消したことは、身長コンプレックスによって内に入り込んでいた私世界から小泉リサが抜け出したことを暗示しているかのようでもある……って深読みしすぎやであんちゃん!


■ 曲が青春

ハリウッドの青春映画ではよく、舞台を80年代にしたら80年代の曲を使うとか、チョイ悪オヤジやないけど、チョイなつかし設定で気分を盛り上げることがあるんよ。

「ラブ★コン」でもジュディアンドマリーの「RADIO」や、リンドバーグやプリンセスプリンセスといった人たちの曲を使ってて、ちょっぴりセンチメンタルな気分にもさてくれるんよ。


■ もうひと工夫あっても……。

欲を言えば、テンションが一定やったかな。ノリはいいんやけど、強弱というか「間」が醸し出す奥行きがあまり感じられんかった。
それと、大人が出てこんのよ。教師は出てくるけど、小泉リサや大谷敦士の両親の影さえない。

子供向けアニメでは大人は声だけとか、足元だけとかしか登場しないのがあるんよ。子供世界を壊しかねない大人の登場を制限することで作品世界を保とうとするんやね。

おそらく「ラブ★コン」でもそういったことを考えてあえて大人を登場させていないんやろうな。

でもとりあえずそれそれでエエかも。

まずは恋か友情でおもろいものを作れるかどうかが大事や。慣れてきたら家族をテーマにしたらエエ。

そんでな、小泉リサにも恋以外のなにかがあったらどうや? 

大谷敦士は身長コンプレックスをバスケットボールをすること克服していったんよ。それもバスケ部のキャプテンになった。

小泉リサはスポーツ系も文科系もなんもやらん。ひたすら恋や。マイティ部を作っただって、そのきっかけは舞竹国海先生が仮想恋愛ゲーム「ラブラブファンタジア2」のケイン様にそっくりで、ゲーム同様に自分にとってイヤなことはなにひとついわない(しない)から。

それって某美少年アイドル集団を抱える大人気事務所のアイドルグループのおっかけと基本はおんなじ。アイドルたちはけっしていやなことはいわへんし、いつでも笑顔やもん。

夢中になれるものが仮想恋愛ゲームの延長でしかない小泉リサが現代ちっくでリアルといえばそうなのかもしれんけど、彼女にだってひとつ恋以外の「なにか」を持たせてひとプロット作ったらもっとよかったな。

「下妻物語」の竜ヶ崎桃子(深田恭子)が刺繍を通してだれかに必要とされる喜びを知って成長したり、白百合イチゴ(土屋アンナ)が先輩のために伝説の刺繍屋を探したりしたように、小泉リサも自分の恋ばかりじゃなく、友人を助けたり、スポーツをしたりすることを通して成長する姿を見せてほしかったんよ。

でもな。きっとあんたも十代の頃は「恋が世界のすべてや~!」って思ってたよね? ね?☆

てなわけで「ラブ★コン」を観て、未来への希望がわくというかんじは……薄いわなぁ。

「下妻物語」作品レビュー

『NANA』と『下妻物語』に共通する大ヒットの秘密とは?


■ ひとこと

タイトルが「合コン」みたいで「落ち着いたオトナ」を自負する輩には観にいきにくいかもしれんけど、勇者がどうのというアニメや、ドラゴンと魔法使いがどうのというアニメや、日本だか軍艦だがが沈没という作品よりも、盛り上がることは間違いなしや~!

「下妻物語」「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」が好きな人やったらめっちゃハマるで☆
これらの作品を研究や分析しまくってるんやろうな。静止画の使い方で笑いとるとこなんか特にな。

テロップの使い方はテレビで培った鈴木おさむ氏らしいかんじやね☆

大谷敦士役の小池徹平が参加するデュオ「WaT」の相方ウエンツ瑛士もちょっとだけ出演してるんやって。どこやろ? 見逃したわ~(>_<)

そうそう小池徹平クンって左利きやんやな。

「ラブ★コン」はハリウッドでリメイクされてもおかしくないで。
この路線こそ、日本映画が得意とするところやからな。

1回しか観てへんからストーリー構造の表はかなりテキトーに書いたけど、おそらく少し手直ししたらハリウッドの脚本エージェントの審査を十分に通るで。

そんで、こんだけベタ褒めしても、もうちょっと大人が観にいきやすいお勧め恋愛系の作品がないかという方にはこっちどうや。
「幸せのポートレート(THE FAMILY STONE)」 作品レビュー

フフ。この夏は「ラブ★コン」で決まりやな!

劇場一体が笑いでドッと包まれたのホンマにひさしぶりやったわ。それも何度も!☆

夏休みに意中の異性と初デートをもくろんでるアンタ。
初デートは映画というなら、これにしときぃ。盛り上がること間違いなしやで~!!

でもな、漫画やドラマやコントを普段全く観ないという人はやめたほうがエエ。
現代は「ラブ★コン」に限らずやけど、楽しむにもそれなりの「反射神経」が必要やから。


俳優ファン ◎
ファミリー -
デート    ◎
フラっと   ◎
脚本勉強  ◎ 
演出     ◎
笑い     ◎ 
リアル   ○
謎解き   - 
恋愛     ◎

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08/06/2006

ゲド戦記(TALES from EARTHSEA)

監督:宮崎吾郎
日本/2006年/115分
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記』

スタジオジブリの「悲劇」を露呈しつつも、ブランド力を知らしめた作品。名前・言葉・言霊の題材が興味深い。主人公の成長を意識的に描こうとする姿勢がいい。必要なのはストーリーづくりのノウハウ。これからでも遅くはないのでノウハウを作ることからはじめよう。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
多島海世界アースシーでは竜が現れたり家畜が次々に疫病で死んだりとさまざな異変が起こり始めていた。
エンラッドの王子アレンは父王を刺して国を出る。
一方、世界の災いの源をつきとめるべく旅に出ていた大賢人ハイタカは道中でアレンに出会う。ふたりは共に旅をする。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△アレン
エンラッドの王子。

▽ハイタカ
魔法使い。大賢人。

△テルー
少女

△クモ
魔法使い

△テナー
女性。農家でテルーと暮らす。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
スタジオジブリの「悲劇」を露呈しつつも、ブランド力を知らしめた作品。名前・言葉・言霊の題材が興味深い。主人公の成長を意識的に描こうとする姿勢がいい。必要なのはストーリーづくりのノウハウ。これからでも遅くはないのでノウハウを作ることからはじめよう。

■ はじめに

観客動員数は好調なのに、ネットや私の周りでは厳しい批評や意見が多かったのであまり期待していなかったのが功を奏したのか、監督の思いや気持ちはなんとなくわかるような気がして私はけっこう楽しめた。

――がしかし、いくつか大事なポイントが抜けてしまっている。さらにスタジオジブリのシステム上の問題についても考えてみよう。

その前に「なんとなくわかるような」というところから説明をはじめよう。


■ 映像には向かない「対話」

宮崎吾郎監督はハイタカとアレンのちょうど中間の年齢だ。アレンの心の闇もわかるし、ハイタカのように何かしら語るべき言葉も持っている。そんな両世代の端渡り的な位置にいる監督は、おそらくほぼ私と同世代だろう。

だからこそアレンの気持ちもなんとなくわかるような気がするし、ハイタカが若者に何かしらを諭す気持ちも少しずつ想像がつくようになってきている気がする。

原作の『ゲド戦記』は未読なのだが、聞くところによると第3巻では幾度もハイタカとアレンの対話があるという。
対話は小説において威力を発揮する。言葉の世界(小説)での対話は言葉で作った世界にさらなる深みと重さを持たせ、その内容を読者の心の隅々まで染み渡らせる効果がある。

しかし映像作品における対話は、物語を失速させる要因にもなりうる。


■ バックグラウンドをどこで描くか

映像作品制作の基本は、動き=アクションをつなげて物語を作るのだ。

登場人物は語れば語るほど物語は停滞する。そのため、いかに登場人物のバックグランドを観客に伝えつつ物語を前へ前へ進めようかと制作者は苦慮する。

たとえば映画「NANA」では作品の前半にはナナのバックグランドは明かされない。後半のコンサートのシーンに過去の映像を流すことで「進行するコンサート」と「登場人物の過去」の二つを同時に観客に提供するという技を使っっている。

これによりナナへの感情移入が強力に補完されて、観客は「NANA」という世界との一体感を味わうことができる。

つまり、ナナのバックグランドを描く場所をちゃんと提供しているのだ。すでに大ヒットしている原作漫画で皆がナナの過去についてある程度知っているにもかかわらず、映画ではバックグラウンドを描く場所をどこにしようかと考えたのだ。考えたからこそ、原作漫画では第一巻で描かれていた内容をあえて映画の冒頭にはもってこなかったのだと推測できる。


■ バックグラウンドを匂わしただけ

ところが「ゲド戦記」のアレンにしてもハイタカにしてもテナーにしても、彼らのバックグランドはどこにも描かれていない。匂わしているだけだ。

おそらく、日本では原作を読んだことがない人が多いであろう。そんな作品の登場人物のバックグランドをどこにも描かずに匂わすだけというのは……これを斬新というべきか。

「名探偵コナン」の江戸川コナン君が難事件を解決しようとするのはなぜか。それは天才高校生探偵(姿は小学生)だからだ。――探偵だからである。

もしふつうの男子高校生が見ず知らずの難事件を解決しようとしたら、観客の頭には疑問が浮かぶ。なぜこの男子高校生は難事件を解決しようとしてるのか――と。

観客が感情移入できるだけの理由を提供する。これが映画に限らず、物語の基本だ。

しかしながら「ゲド戦記」ではアレンがなぜ父王を刺して国を出たのかが描かれていない。

満ち足りた環境にありながらなにかが足りないと感じる、だから生きている実感を得るために、父王の世界から自由になりたい。というのがアレンの動機なのだろうが、映像作品ではたとえ短いシーンであってもきっちりと父と子の関係を描かなければならない。

そうでなければ、はじめて登場していきなり父王を刺すアレンにいったい誰が感情移入できよう。ただなんとなくそういう若者の心の闇の一端もわかるような気もするよ、とやさしい人は言ってくれるかもしれないし、はたまた物語の根底にはよく登場する「オイディプスコンプレックス」という言葉を聞いたことがある人には「おそらくこれはオイディプスなんちゃらってことで処理してほしいのだね」と寛大な理解を示してくれるかもしれない。

だが、観客にそんな気を使わせる作品でいいのだろうか?


■ テーマはいい。きっかけプロットをつくろう。

監督が伝えたいテーマはいい。
問題は、それをどう伝えるかだ。

小説で効力を発揮する対話ではなく、映像で効力を発揮する動き=アクションでそれを伝えなくてはならない。

アレンとハイタカが旅をするきっかけも曖昧だ。たいてい見ず知らずの二人が出会い、行動をともにするにはイベントが必要だ。力をあわせて危機を脱する→目的が同じ。もしくは目的は違うが協力したほうが有利という理由があってはじめて行動を共にする。

またアレンが本来の自分を取り戻すきっかけになるはずのテルーとのエピソードが主に「歌」だけというのもいただけない。たしかに歌はいいかんじだ。
けれど、歌がよくて涙を流して感動した。それで自分を取り戻すきっかけになった、というのだったらコンサートに行けばいいだけのことである。

きっかけのイベントがどれも静的なのだ(狼に襲われ倒れたアレンを助けたハイタカ。テルーの歌)。
アレンがはじめてテルーを助けるシーンにはアクションがあるが、なぜ無気力だったアレンがテルーを助けたのかはしっくりしない。

だれもが頷けるきっかけをアクションで魅せてほしかった。

とはいえ、主人公の成長を描こうとする姿勢は、「千と千尋の神隠し」や「魔女の宅急便」の流れを汲んでいてたいへん好感が持てる。


■ 名前

ハイタカの真の名はゲド。

真の名を知ることによって相手を支配することができるのが魔法だ(という設定)。

「千と千尋の神隠し」で千尋が「千尋」から「千」に名前を変えられたのも、真の名を忘れさせて思いのままに油屋で働かせるためだった。しかし千となった千尋は逆に油屋での働きを通して自分をしっかりもった千尋へと成長した。

そもそも世界は言葉できている。

これまで幾度か話した例だと思うが、あなたはなぜ赤信号で止まるのか、と考えてみればわかりやすい。冬眠から目覚めた熊が山から人里へ降りてきて、赤信号だからと横断歩道で止まるだろうか。

自然界に信号など存在しない。赤信号では止まる、というのは人間が作った約束事だ。人間たちが住みやすいように「赤信号では止まる」という言葉による約束事を守ることで成り立っている世界。それが人間の世界だ。

もちろん自然界にも約束事はあるが、すくなくとも人間がつくる世界は言葉で成り立っているのである。

また、人間の世界だけでなくすべての世界のはじまりは「ことば」ともいえる。


■ ことば

新約聖書のヨハネによる福音書第1章1節にはこうある。

「はじめに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった」

旧約聖書の創世記第1章3節にはこうある

「神は『光あれ』と言われた。すると光があった」

はじめにことばがあり、ことばを発することによって創造されていく様子が聖書に記されている。

ユダヤ教はことばを大事にしており、そのユダヤ12部族のうちの失われた部族が実は日本にきていたとする説がある。

さらに古ヘブライ語と日本語には似通った言葉がいくつもあるという。
たとえば「はや(HAYA)」と「はやい(速い)」はおなじ「速い」という意味。また「モノ(MONO」と「もの(物)」はおなじ「物」という意味といったぐあいだ。

その真偽はさておいても、日本にも「言霊」ということばがある。日本もことばを重視してきた伝統があるのだ。

「ゲド戦記」にかぎらす「千と千尋の神隠し」や「天空の城ラビュタ」などにも登場人物が名乗ったり、相手の名前を力強く呼んだりといった名前にまつわるシーンがいくつもある。これはスタジオジブリの特徴なのだろう。

特に「ゲド戦記」は名前が重要な意味を持つ。そのあたりはとても興味深く楽しめた。


■ ひとこと(おわりに)

宮崎吾郎監督の登場で踏み出した新たな一歩を、大いに応援したいと思う。

個人的には「ゲド戦記」はかなり楽しめた。だからこそもったいないように思えてしょうがないのだ。

なにがもったいないのか? その一部はこちらに。

▼「ゲド戦記考察~脚本講座の生徒でもふつうはこうする~」

最後に、この夏の大作アニメーション3作品のわたくし「たかのランキング」を発表しよう。

第1位 「カーズ(CARS)」作品レビュー
ぶっちぎり!

第2位 「ゲド戦記」
応援の意味を込めて

第3位 「ブレイブストーリー」作品レビュー

特別賞 「ワンマンバンド(One Man Band)」作品レビュー
アニメ業界の風刺的な面白さとピクサー精神を描く必見作。


俳優ファン △ 
ファミリー  △ 
デート    ○
フラっと   ○
脚本勉強  △
演出     -
笑い     - 
リアル    -
謎解き    - 
人間ドラマ △
社会     ○ 


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08/04/2006

説明する側にとって大切な『意識』

『社長!あなたの言ってること全然伝わってません!今日から使える、相手に確実に伝える方法 「だからあなたの説明わかりにくい!』


「今日から使える」って……どこかで聞いたような……。


あ! 私が作ったレポートに同じ言葉が!
それがこちら↓

『今日から使える!みるみる「わかりやすい文」になる12のリライト術(文章チェックリスト〈70項目〉付)』


しかし、今回ご紹介する「相手に確実に伝える方法」レポートは私が作ったものではありません。


どちらのレポートが先とか後とかわかりませんし、そんなことはどーでもいいんです。


注目すべきは「今日から使える」というコピーは、他の方もレポートに使うほどインパクトと利点において優れているということの証明だということです☆


タイトルは大事です。
そういえばこんなレポートもあります。

『クリック激増!3分で99倍惹きつけるタイトルのつくり方』
↑これもわたくし「たか」が作ったレポートです


さて、『社長!あなたの言ってること全然伝わってません!今日から使える、相手に確実に伝える方法 「だからあなたの説明わかりにくい!』を読んでみました。


このなかで紹介している方法の基本は、電話連絡の際にも効果を発揮するものですね。


相手になにかを伝えたいとき。


どう伝えたらいいか、何から伝えたらいいか、と考えて話す内容の順序を決めて、相手にしっかり説明できたと感じたとしましょう。なぜなら相手は「はい!わかりました」と元気よく返事したのだから。


でも、実際はじゅうぶんに伝わってはいなかった、ということがあります。


そういった場合、相手の理解力が足りないのではないかと疑う前に、自分の説明に原因の一部があるかもしれないと考えてみることも必要です。


説明する側である自分が持たなければならない重要な意識。それを持っているかどうか。


このレポートは具体的な方法とあわせて、こうした大事な意識の部分についても書かれていますし、どのように用いればいいのかの技術も教えてくれますよ。


『社長!あなたの言ってること全然伝わってません!今日から使える、相手に確実に伝える方法 「だからあなたの説明わかりにくい!』

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08/02/2006

「幸せのポートレート(THE FAMILY STONE)」

監督:トーマス・ベズーチャ
アメリカ/2005年/103分

笑い、涙、シリアスありのメリハリの良い、女性限定ではないファミリードラマ。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
ニューヨークのキャリアウーマンであるメレディスはクリスマス休暇を恋人の実家(ストーン家)で過ごすことになる。
しかしストーン一家になかなか馴染めず、なにをしても浮いて空回りする。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△メレディス
ニューヨークのキャリアウーマン。

▽シビル
エヴァレットの母親。

△エヴェレット
男性。メレディスの恋人。

△ベン
映画編集者

△サッド
聾者。ゲイ

▽エイミー
末娘

コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
笑い、涙、シリアスありのメリハリの良い、女性限定ではないファミリードラマ。

■ 男性でも楽しめる

作品タイトルと簡単な映画紹介文を読むと、あぁよくありがちな女性向け作品だな、と男性は思うかもしれない。

しかし女性に限らず男性でもじゅうぶんに楽しめる作品だ。

なぜなら、作品がだれにも媚びを売っていないからだ。

大抵の女性向けと言われる作品は、当然のように女性に受け入れられなくてはならないので、女性心というか乙女心にドンピシャリなキャラクターを主人公にして、一部の女性にとって居心地にいい作品を作り出すことに力を注ぐ。(例「アメリ」「かもめ食堂」)

「幸せのポートレート」はそのタイトルからして、そういった女性向け作品と同じ匂いを感じてしまうかもしれない。だがそうではない。

女性からみてもちょっと空回りしている主人公は、けっしてはじめから観客に受け入れられやすいキャラクターとはいえない。


■ 愛されない主人公?

主人公のメレディスはニューヨークのキャリアウーマンで、マナーもしっかりしているのだが、ストーン家の面々には好かれない。

ストーン家は養子をもらったりゲイを受け入れたりとリベラルでだれに対してもオープンな家庭を自負しているが、息子が連れてきたメレディスだけは、表面上は歓迎しても心から受け入れようとはしない。

ストーン家の顔ともいうべき母親のシビルは特に息子のエヴェレットがメレディスと結婚することに反対だ。

聾唖者のサッドを養子にしてたり、その彼のパートナーであるアフリカンアメリカンの男性を家族として受け入れたりしているシビルが、なぜキャリアウーマンで世間的には非のうちどころのないメレディスを受け入れられないのか。

そこにはある理由がある。

このあたりのシビルの事情の用い方に抑制が効いているのである。


■ いかにもお涙頂戴にしない巧さ

シビルの事情というのは、ともすればついつい観客の涙を誘おうと大げさにしてしまいがちだ。

たとえば、ほれ泣け、ほれ笑え、ほれ悲しめ、と何度も言われたとししたら、もそんな気持ちになるどころかかえって冷めてしまうことがあるだろう。

某韓流ドラマや映画におけるお約束の●●のように、作品を劇的にするために登場人物が次から次に●●に冒されいく、もしくは交通事故にあってしまうというのは、それがお約束だから。

観客や視聴者もそれを覚悟の上で観ているのだからまぁいいのだろうけれど、一般の観客にとっては「またか……」と思われしまうのはいたしかたない。

ところが「幸せのポートレート」では、シビルの事情はお約束ではない。あくまで、シビルがメレディスを受け入れられない動機のひとつなのだ。

これは、この作品が「女性向けというお約束」に終始するものではないこととも相まって、観客に好印象を残す要因にもなっている。


■ 笑いは「間」をつくる

家族を題材とした作品ではとくに、要所にコミカルなシーンを入れやすい。

そもそも笑いという「間」は家族(家庭)を舞台とした喜劇とは相性がいい。作品のテンポをコントロールする「間」を笑いが作り出してくれるため、微妙な家族間の関係や雰囲気を「間」で描き出しやすいからだ。

本作でも笑いのシーンが「間」をつくって和ませてもくれる。


■ クリスマスシーズンと家族

な家族(家庭)を一年で最も意識するのがアメリカ合衆国ではクリスマスだという。

日本に生まれ育った若い人のなかには、恋人と過ごせないクリスマスは惨めだという思いがあるという。

クリスマスに恋人と過ごさなければ!という思いはホテル業界が仕組んだキャンペーンだという説もあるとかないとか……。

クリスマス休暇は家族で過ごすという習慣が根付いているアメリカ合衆国において、家族を題材とした作品の時期設定がクリスマスシーズンというのはど真ん中ストライクなのだ。

そういうわけで本作は恋人限定のクリスマスストーリーではない。家族の物語なのだ。


■ ひとこと

はじめはストーン家の家族構成がわかりづらいかもしれない。しかしリベラルな家庭というキーワードを知っていればすぐにわかるようになる。

後半は多少ドタバタして(ほんとうにキッチンでドタバタするシーンがあってなかなイイ)そういうまとまり方はちょっとくるしい気もしたが、ありきたりな定番ハッピーエンドな収まり方をしていないのが「味」ともいえる。

いまのところ日比谷のシャンテ シネでしか上映していないようだが、多少時間をやりくりしても観にいく価値はじゅうぶんにある作品だ(夏シーズンの映画作品では他に評判のいいおすすめ作品が比較的少ないように思えるので)

作品内容とは関係ないが、それにしてもシャンテ シネは作品上映前の、他の映画関連の予告編上映時間が長い。たっぷり20分ぐらいはあるんじゃないだろうか。もしくはそれ以上か。予告編を観るのが辛くなるぐらいに多いような気がする。

単館系映画館はCMを入れないと運営がたいへんかもれないが、いつものことながらチト長い。近所の高級志向珈琲店のCMなどは地元の雰囲気が漂っていてなかなかなのだが……。

俳優ファン  ○ 「SEX AND THE CITY」のジェシカ・パーカー出演
ファミリー   ○
デート    ◎
フラっと   ○
脚本勉強  ○
演出     ○
笑い     ○ 
リアル     △
謎解き    - 
人間ドラマ  ◎
社会     ◎

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