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06/18/2006

マニア向け?謎解きのスッキリ感を得にくい「ジャケット」

「ジャケット」作品レビュー

さて、記事「目からウロコの『ジャケット』解説」において「シカゴ発 映画の精神医学」さんによれば、タイム・スリップという先入観を持たずに、死人の見た夢だと解釈すれば自然で首尾一貫している、というのを紹介した。

なるほど夢だとわかれば「ジャケット」はとてもよくできた非常におもしろい作品だという評価・感想になる。

つまり、作品を楽しむキーワードに気づくと、断然おもしろくなるということだ。

しかし「ジャケット」を一見すると、なんだかよくわからない作品という感想を持つ者が多いようだ。よくわからない部分をあれやこれやと考えはじめると、特に違和感を覚えるのは唐突に主人公たち(ジャックとジャッキーが)が愛し合ってしまうところだ。

なぜだろうと一生懸命に謎を解こうとがんばって考えれば考えるほど、仮説を立てれば立てるほど、次から次に辻褄の合わないことが起きてお手上げだと思いはじめる。

例えば、謎を解こうといろいろ考えていけばいくほど不可解な状況が次から次に起きて収拾がつかないのではないかという絶妙なタイミングに謎が明らかになる作品に「アイデンティティ」がある。

▼ 「アイデンティティー」

では「ジャケット」においては謎が解けるように丁寧に作られているかというと、そうでもない。

結局「ジャケット」は主人公の夢の話だとわかった者だけがそこそこ楽しめる作品なのだ。

実は「ジャケット」はこんな楽しみ方があるのだ、というのが口コミでじわじわと広がっていく頃には上映は打ち切られてしまった後の祭り、というかんじで日本でもあまり話題にならなかった。

つまり、明確な謎解きの楽しみが提供されないので、観客の多くに「?」という感想を持たれてしまうのだ。

タイムスリップでなく夢であった、ということに気づいたならば、物語の辻褄が合うので「なるほど!」と思う。しかし、結局はいわゆる「夢オチ」である。

小説作法や脚本作法の基本に、夢オチは避ける、というのがある。

どんなにすばらしい作品であっても、物語の終わりに「いろいろあったけどこれはすべて主人公の夢のお話でした」となれば、ドリフじゃなくてもズッコケるしかない。

そういった意味で、映画のヒットという視点から「ジャケット」を観るならば、成功には程遠い。

夢だと気づけた者には謎を解いた達成感という楽しみがある。しかしながら多くの人々が映画を観る動機の大部分は、ただ楽しみたいと思っているのであるから、謎解きという楽しみを広くわかりやすく提供してあげていないという意味で、やはり「ジャケット」はマニア向けといわざるを得ない。

「ジャケット」は、懲りすぎると観客が付いてこない(これない)作品例だ。

「謎」が重要な作品では「しかるべきタイミングでわかりやすい謎解き」がされることがヒットの秘訣である。


○謎を明確に解き明かす     → 広く一般のヒット狙い

○謎のヒントを提示してそのまま → マニア狙い


タブーの「夢オチ」に挑んだという意味では、チャレンジャー精神溢れる作品である。


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