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11/04/2005

ドミノ(DOMINO)

監督:トニー・スコット
韓国/2005年/127分

例えるなら、江戸時代中ごろに藩のお姫様に生まれながら脱藩、男装して赤穂四十八番目に名を連ねた伝説の女サムライの物語。吉良邸討ち入りのクライマックスには1000両箱をめぐって藩、野党団、用心棒の3つ巴の戦いが!(幕府役人たちはみているだけ) 日本ではセレブリティへの憧れのためドミノに感情移入しづらいが、綿密な脚本は玄人好み。

ストーリー(概要)
―――――――――――――――――――――
名優の父とスーパーモデルの母というセレブリティの家に育ったドミノは満たされない思いと刺激を求めて賞金稼ぎになる。
ある日、1000万ドル強奪事件の犯人を捕まえる仕事を難なくやり遂げるが、ちょっとした手違いからマフィアに命を狙われるようになる。


主な登場人物の紹介
―――――――――――――――――――――
△ドミノ
 女性。セレブリティの家に育ち、モデルから賞金稼ぎになる。

△エド
 男性。ベトナム帰還兵で賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)チームのリーダー。

△チョコ
 男性。賞金稼ぎ。

△マーク・ハイス
 男性。TVプロデユーサー

△クレアモント
 男性。保釈金保証人

△タリン
 女性。FBI捜査官


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
例えるなら、江戸時代中ごろに藩のお姫様に生まれながら脱藩、男装して赤穂四十八番目に名を連ねた伝説の女サムライ。吉良邸討ち入りのクライマックスには1000両箱をめぐって藩、野党団、用心棒の3つ巴の戦いが!(幕府役人たちは見ているだけ) 日本ではセレブリティへの憧れのためドミノに感情移入しづらいが、綿密な脚本は玄人好み。

■ 一見するとバラバラなようで実は……。

物語はドミノたちバウンティ・ハンターが片腕のない血まみれの男を連れて、ショットガンを撃ちまくる中年女性の家に乗り込むことからはじまります。

そこからドミノがどうしてバウンティ・ハンターになったかという生い立ちやいきさつが遡って語られたり、運輸局で受付の順番を待つ大学生のシーンがあったりと、一見するとバラバラに思えるシーンがスピーディにテンポよく展開していきます。登場人物も多く、いったい誰がどうなって何がどうなるんだろうと思いつつ、もしかしたらストーリーらしきものはないんじゃないかと一瞬思わせられるかもしれません。でもそれは意図してそうしているのだということが、クライマックスに近づくにつれてわかってきます。


■ すべてがクライマックスへ集約する玄人好みの脚本

すべてはバウンティ・ハンター、マフィア、ホテル王の三つ巴(これにFBIも関与する)のクライマックスへと集約される、綿密に計算された脚本をもつこの作品の監督はトニー・スコット(リドリー・スコットの弟)。、「トップガン」で名を馳せて「トゥルー・ロマンス」「エネミー・オブ・アメリカ」という作品の監督もしています。

「トゥルー・ロマンス」は脚本がクエンティン・タランティーノで、これもまた三つ巴のクライマックスが特徴的な作品です。おそらくトニー・スコット監督は、スピーディーな映像を得意として、すべてがクライマックスに集約する緊張感あふれる物語が好きなのでしょう。「ドミノ」も、監督の得意な面を最大限に活かして、実在の人物を元に作り上げられています。


■ 賞金稼ぎのお友達っている?

監督の持ち味がじゅうぶんに活かされた、綿密な構成の脚本をもつ「ドミノ」ですが、日本の観客に受け入れられかどうかについては……かなり難しいでしょう。

その主な理由のひとつは、主人公に感情移入しずらいことです。

あなたのお友達に賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)っていますか? 日本ではあまり聞いたことがない職業ですよね。

バウンティ・ハンターとしてのドミノの仕事は主に、保釈中の犯罪者が逃亡したときにこれを追ってつかまえてくることなんです。そうすることによって保釈金の一部を受け取る商売なんです。
危険度高し。でもスリル満点。そう思ったドミノはモデルからバウンティ・ハンターに転職するんです。

モデルもバウンティ・ハンターも、なろうと思ってもそうそう簡単になれるものじゃありません。
あなたの知り合いにモデルさんはいるかもしれないけれど、セレブリティっています?

日本では「セレブ」といったらIT社長と思われがちですが、海外のセレブリティには歴史があります。最近お金持ちになった方々はいわゆる「成金さん」ですね。

日本国内一般では「セレブ」という響きに新鮮さ憧れがあります。わたしもいつかはIT社長夫人になってセレブの仲間入りよ! そんな声もありそうです。

そんな、もしかしたら手が届きそうなイメージとして「セレブ」が一人歩きしているようですが、欧米は階級社会ですので、庶民がセレブになることを夢見るというのは、おとぎ話の中にあるぐらいでしょう。

セレブリティにはそれなりの伝統と格式と苦労があり、庶民にはそれなりの気ままさとお気楽と苦労があるのです。

日本国内ではセレブリティについては、まだ憧れと羨望の段階ですので、セレブリティのドミノがバウンティ・ハンターになろうと思った心境を想像することは難しいために共感しづらいでしょう。


■ アウトローへの憧れとサムライ

一方アメリカ人にはアウトローへの憧れという一面があります。例えば西部劇における基本というのは、腕の立つガンマンが町に現れて悪党と対決するというものです。悪党一味は複数ですが、主人公はひとりか、わずかの仲間がいるだけです。
定住して手下を多数かかえる牧場主よりも、ひとりまたは少人数で移動するアウトローが正義の主人公となっていることからもわかるように、精神的にも肉体的にも強いアウトロー的な人物をヒーロー視する傾向があります。
そういうわけで、アメリカ人は日本の「サムライ」に、幕府や藩に所属しながらもその「武士」としての生き方に「アウトロー」のような精神的強さを感じているのかもしれません。

「ドミノ」を日本風に例えるなら、藩のお姫様に生まれながらにして脱藩して用心棒になった「サムライ魂をもっているかもしれない女性」――そうすると少しは身近(?)に感じるかもしれませんね。


■ ひとこと

実話を元にしていることと、アメリカンドラマ「ビバリーヒルズ高校白書・青春白書」の出演者であるブライアン・オースティン・グリーンとアイアン・ジーリングを登場させることで、優等生的な「ビバビル」の虚像と、ドミノの泥臭い現実を対比させて、リアリティを演出するという、これまた凝った手法を使っています。

「ドミノ」を観ると「オーシャンズ11」が子供の学芸会に思えるのは私だけ……?

アメリカ合衆国と日本とのギャップにより、セレブリティからバウンティ・ハンターへというドミノの生い立ちや心境に感情移入しづらいこと、また一見するとバラバラとも思える映像の数々に戸惑いを覚える方もいるでしょう。

でも、クライマックスへ収束していく玄人好みの脚本と、凝った撮影・演出・編集の数々にニンマリできる方にとっては満足度の高い作品です。

ファミリー 不向
デート   不向
フラっと  不向
映画通   向
脚本勉強  向
こだわり  向


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Comments

こんにちは。TBありがとうございました。
わかりやすいですね。面白いレビューでした。
個人的には脚本の上手さと映像のつなげ方には、うなりました。実際は見ていて非常に疲れましたけど。
万人うけはしないでしょうが、作り手側からすれば満足なさっているのでしょうね。

Posted by: charlotte | 11/04/2005 at 23:25

>charlotteさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
私も途中でちょっと疲れ気味に。それは寝不足のせいだったのか独特の映像のためだったのか…。
クライマックスへの怒涛の展開はかなりの腕がないとできませんね。
また寄ってみてくださいまし。

Posted by: わかスト@管理人たか | 11/04/2005 at 23:41

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