映画で学ぶ、わかりやすくする方法
映画のはじまり10分ほどをセットアップということがあります。
例えば主人公Aがトレジャーハンターだとします。
森の洞窟の入り口に立つ主人公A。松明を手に暗い洞窟の奥へ入っていくとコウモリに襲われ足を滑らせて洞窟内の川へ転落。
たどり着いた先には宝の山!
しかし洞窟に住む熊に襲われて逃げる途中、古代人が仕掛けたトラップにかかって矢じりが飛んでくる中を落とし穴を避けて走り、洞窟が崩れ落ちる寸前に一髪脱出成功。
ホッと胸をなでおろし、懐から金の像を取り出す主人公A。
そこへ相棒がやって握手しますが、一瞬の隙をつかれて金の像を盗られてしまう。
金の像を取り戻すべく主人公Aの新たな冒険がはじまる……。
以上のセットアップはアドベンチャー映画の典型的なセットアップの例ですが、この十数分ほどにこれからはじまる物語に必要な情報がすべて詰っています。
ためしにどれでもいいですから数本の映画のセットアップだけを観てみてください。すると以下の事柄がセットアップに詰っていることがわかるでしょう。
・主人公の仕事は何で、何を大事にしていて、何をしようとしているのか。
・主人公の目的達成を妨げるのは障害となるものはなにか。
・これからどのような物語がはじまるのか。
これらをできる限り観客の興味をひきつつ、インパクトのある展開で、しかも当然浮かんでくるであろう疑問に丁寧に答えて、さらに次のストーリー展開を予告する。
これらすべてをわずか十数分に詰め込んでいるんです。
映画のセットアップとは、観客の興味をひきながら作品の世界にスムーズに招き入れて、必要な情報を提供しつつさらなる興味をそそるものなのです。
これはつまり「わかりやすくする」ための最も良き手本のひとつなのです。
映画を観る時間なんてないよ、という方でも、作品のセットアップだけでもじっくり観てください。
観るならハリウッド映画よいでしょう。
お勧めはピクサーのアニメーション作品群です。
なにも机の向かって書物を読むことだけが勉強ではありません。
ソファでお菓子を食べながらくつろぎながら映画を観ても学ぶことはたくさんあります。
わかりやすくするには、まずあなた自身が楽しむこと。
人は、お金にもならなく、楽しくないことに時間を割きたくないものです。
楽しませることは、わかりやすくする基本でもあるのです。
映画を観て学ぶならこちら。
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