夢と現実のバランス―「電車男」―
「電車男」がトゥルーストーリーかどうか。
そんな議論もあるとか。
たとえ実際にあったことを元にしたドラマや映画であっても、いくらかの脚色や演出はするでしょう。
では、映画版「電車男」はどのくらいリアルなのでしょうか。
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∇「電車男」
村上正典監督/日本/2005年/101分
元ネタ:2ちゃんねる掲示板のスレッド
〈物語〉
電車で酔っ払いからお嬢様系女性を助けたアキバ系青年。後日その女性からお礼の品が届く。青年(電車男)は彼女(エルメス)と親しくなりたいが慣れないことでどうしていいかわからない。
そこで馴染みのあるインターネットの掲示板で相談してみることに。すると数々のアドバイスや意見や叱咤激励が寄せられる。
電車男は掲示板に集う人々に助けられてエルメスとデートを重ねていく。
「電車男」作品レビュー
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映画版「電車男」では、まずはキャスティングに「夢」を持たせています。
電車男役は山田孝之さん。テレビドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」や「H2」に出演しています。
彼はいわゆるイケメンです。元の素材がいいんです。その山田孝之さんが衣装と演技で見事にオタク青年になっています。
電車男役をリアルなオタク青年にしてしまうと、なかなか一般ウケしづらかったでしょう。
その点、山田孝之さんなら「実は美男子」ということで、安心してみれるんです。
ドラマ版「電車男」ではそんなにイケメンの俳優さんでなくてもOKです。なぜなら、ドラマは毎週少しづつストーリーが進んでいきますので、視聴者は徐々に登場人物に感情移入していくことができるからです。
映画上映時間はせいぜい2時間ほどですので、なるべく早い段階で「つかみ」はOKといきたいところです。そこでイケメンの山田孝之さんの出番となったのでしょう。これは正解ですね。
「電車男」が実話だとしても、はたして電車男はどんな容姿をしていたのかはわかりません。
でも、彼はいわゆるオタク系青年だということですので、映画のキャスティングにはある程度の「夢」という名の演出を施しているのです。
さて、もっと注目してほしいのはヒロインのエルメスです。エルメス役は中谷美紀さん。
なぜ彼女なのか? それは、エルメスは中谷美紀似、という書き込みがあったからだといいます。
ここが電車男のスゴイところです。
オタク系青年が好む女性像は? と訊かれて、たいていの方が思い描くのは、現実に存在する女優やタレントさんではなく、マンガやアニメの登場キャラクターでしょう。
「○○○というアニメの○○○ちゃん」といったふうに。
でも電車男は、エルメスは中谷美紀似だというのです。
ここがポイントです。
中谷美紀さんなら、どんな男でもたいていは受け入れやすいでしょう。彼女はいわゆる一般ウケもするきれいな女優さんだからです。
もし「アニメ萌萌系少女とオタク青年の恋愛物語」だとしたら、ここまで電車男が話題になることはなかったでしょう。
「オタク系青年とお嬢様系美人との恋愛物語」
それは、なかなかありそうもないと思える話だからこそ、人々の注目と応援を集めることができたのです。
【要点】
●リアルにこだわりすぎない
●夢と現実のバランス感覚を養う
●あったらいいけど、まずありえそうもないと思える組み合わせを試し
てみる
●感情移入や応援をしてもらうには、時間のかけ方によって工夫が必要
そういえば今日7月7日は七夕ですね。
なかなか出会えそうもない二人が恋に落ちるラブストーリー。電車男と七夕はいい相性かもしれないですね。
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Comments
こちらもTBいただきました。
確か毒男のカキコに「○○というアニメの○○ちゃん似」という設定だったら、付いていけない人が続出だったでしょう!
Posted by: ももママ | 07/10/2005 20:17
>ももママさん
コメントありがとうございます。
電車男は実は一般ウケしやすい要素がたくさん入っているみたいですね。マニアックになりきらないあたりがうまいのでしょう☆
Posted by: わかスト@管理人たか | 07/11/2005 12:06