冷と熱のシフト・ヒロインの作り方―「NANA」―
![]() | NANA (1) 矢沢 あい by G-Tools |
漫画「NANA」(原作:矢沢あい)。
最新刊12巻まで読み終わりました。
「NANA」はふたりの女の子が主人公です。ナナと奈々(ハチ)。二十歳のふたりは同じ日に同じ電車で出会い、東京にやってきます。
そして、偶然に同じ部屋を借りようとして再会します。ふたりはルームシェアすることにします。
主人公がふたりということで、作品はふたりの視点をいったりきたりします。
しばらく奈々(ハチ)の視点でストーリーが進んだかと思うと、ある巻からはナナの視点に移り、またしばらくすると奈々の視点に移ったりします。
三人称の視点に固定するのではなく、適時に視点をシフトさせて、それぞれの心の中に入っていけるようになっています。
そうすることで、読者はナナと奈々(ハチ)のうち、自分が感情移入しやすいキャラクターに寄り添ってページをめくることができるのです。
そんな仕組みを持つ「NANA」のふたりですが、どちらかというと奈々(ハチ)のほうが感情移入されやすいようです。
というのは、奈々はナナよりも一般的なキャラクターだからです。
ナナはバンドのボーカルをしています。いつか音楽で飯を食っていけるよう、だれにも文句を言われないデッカいバンドにしてやる! という熱い思いと目標を持っています(実際にはバンドの売り出しや宣伝のために、気のすすまないことも受け入れなかければなりませんが……)
一方、奈々にはこれといって特技も目標もありません。あるのは、素敵な恋がしたい、だれかに愛されたい、という強い思いです。
奈々はナナのバンド活動を応援します。というよりも、NANAの生き方を応援するのです。
ナナと暮らすうちに、奈々は愛されることの他に、愛することの大切さも身にしみて感じ、学ぶようになります。
楽器を演奏するわでもなく、曲を作るわけでもなく、まして歌を唄うわけでもありませんが、奈々はバンドの練習に顔を出して、みんなの世話をします。
いつしかバンドのメンバーたちも、奈々の明るい存在に力づけられていきます。
バンドのみんなが集まることになれば、少しでもみんなのために、という思いから、料理本を買ってきていろいろと試行錯誤をしながら料理をせっせと作ります。
そうするうちに、奈々はいつのまにか料理の腕がメキメキと上がっていくのです。
だれかに誇れる特技なんてもっていなかった。ただだれかに愛されたいと強く思っていた娘が、だれかを愛することの大切さを知って、自分にできることを一生懸命する。
いつのまにか、料理が上手になっていて、玉の輿といわれるような結婚をする約束をするまでになった奈々。
それでも、いろいろと悩み、いつもバンドのメンバーのことを気にかけている奈々。
天然なところもあるけど、もちろん計算だってする。自分の都合にいいような振舞いで友人を傷つけていると自己嫌悪になる奈々。
こういった奈々は、けっして特別な存在ではなく、どこにでもいる平凡な女の子のひとりなのです。
ナナと奈々。ふたりのキャラクターを設定して、偏らない視点を保持しつつ、ふたりのキャラクターの対比によって、読者に親近感を持ってもらいやすい環境をつくりだしています。
「NANA」は映画になります(主演は中島美嘉・宮崎あおい)。
【要点】…………………………………………
●ふたりの主人公を設定して読者の間口を広げる
●選択肢を増やす → 商品ラインナップを増やす
●選択肢はそれぞれに関連するものにすること
●定期的に視点をシフトさせることで、偏らない冷静な観方を提供する
●冷と熱でメリハリをだす「冷静な観方 → ←熱い感情移入」
●メリハリをつけて、マンネリを避ける
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Comments
トラバありがとうございました。
すごく詳しく分析されてますね。読んで思わずナットク。
映画観たいなと思っています。
Posted by: Ryu | 07/31/2005 23:56
>Ryuさん
コメントありがとうございます。
漫画原作の映画化は難しいところもあるかとおもいますが、「NANA」の映画は観てみたいと思っています☆
Posted by: わかスト@管理人たか | 08/02/2005 23:23