あなた自身の物語の作り方―「エターナル・サンシャイン」―
テストの時間。問題を解き終わって暇そうにしている生徒へ向けて先生が言います。
「提出するまえに見直しをしましょう」
めんどくさぁ~い。やっとテストが終わった(自分にとっては)のに、退出可能時間になるまでの間に見直しなんて、気がすすまないなぁ。
辛く長い中間試験(期末試験)が間もなく終わろうとしている。そんなときならなおさら面倒に感じますよね。
最後の問題を解いたら、試験のために覚えた熟語や公式は頭の中からすっぽり忘れ去ったっていい。でもほんとうに忘れ去りたいのは熟語や公式ではなく、それらを覚えるために費やした、長く辛い勉強の日々の記憶ですね。
でも、先生は勉強をがんばってしたからこそ、最後に見直しをしましょうといいます。
見直しってそんなに大事なの?
映画作品を例にみてみましょう。
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∇エターナル・サンシャイン(ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND)
ミシェル・ゴンドリー監督/2004年/アメリカ/108分
第77回アカデミー賞脚本賞受賞
〈Story〉
ジョエルは喧嘩別れした恋人が嫌な記憶を消してしまったことを知る。自
分も記憶を消そうと恋人が利用したラクーナ社(Lacuna Inc.)を訪れる。
この会社を利用すると一晩自宅で寝ている間に消したい記憶だけを消去で
きるという。
こうして喧嘩ばかりの日々を消していくのだが、その過程で恋人クレメン
タインへの愛を再確認したジョエルは記憶の中の恋人を守ろうとする。
「エターナル・サンシャイン」作品レビュー
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ヒロインのクレメンタインは、別れた相手のジョエルと、ジョエルに関する記憶を消してしまいます。それを知ったジョエルもクレメンタインに関する記憶を消そうとします。
ジョエルは脳内の記憶を消していく過程で、クレメンタインと一緒の時間を追体験します。
ふたりでいてもすれ違いや喧嘩ばかりをしていた記憶……。消してしまいたいと1度は思った記憶……。
でもやがて、ふたりの幸せなひとときの記憶を追体験していきます。
こうして辛い記憶と楽しい記憶の両方を改めて体験してみて気づいたこと。それは――クレメンタインを失いたくない! という気持。クレメンタインに関する記憶がすべて消されてしまうまえに彼女を助けたい!
そこでジョエルはクレメンタインを守るために奔走します。
子供に絵本を読み聞かせたことはありますか?
毎晩のように、同じ絵本を読んでくれとせがまれたことはありますか?
同じ絵本を何度も聞いてたのしいのかな? とふと思うかもしれません。
でも、自分が子供だった頃、パパやママにいつも同じ絵本を読んでもらっていたという方も多いでしょう。
子供は同じ絵本(物語)を何度も聞くことで、自分なりの物語をつくっていきます。
想像して、物語をつくる。これはだれでも行っていたことなのです。
何度も物語を聞い(観直し)て、新たな物語をつくるのです。
観直しとは、逆戻りではありません。輝く未来へと続く地図を手に入れることをいうのです。
数年前に映画館で観た作品がテレビで放映されるというので、何の気なしに観ていると、「こんなシーンあったかな?」とか「あぁこんな意味もあったのか」とか、いろいろと発見することがあります。
映画を観た人の数だけ物語があるのと同じように、映画を観た回数だけ物語が存在します。
数年前に映画館で観た作品でも、もう1度観直したときには、また新たな物語が誕生するのです。
【要点】……………………………………………………………………………
●観直しは逆戻りではない
●観直しは新しい物語をつくる作業
●観直した数 = 物語の数
●物語は無数に存在し、また作り出すことができる
☆絵本を読み返してみよう 意外な発見があるかも
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