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02/16/2005

新鮮な恐怖(2)―「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」―

(カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉

∇前回の記事「新鮮な恐怖(1)―「呪怨」(日本版)―」

今回とりあげる作品はこちら
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∇「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」
清水崇監督/2004年/アメリカ/99分
作品レビューはこちら
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「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」はアメリカ人にとって怖い。どんな恐怖なのか。

「身近にあったけど実はよく知らない異世界にまぎれ込んでしまった恐怖」

身近にある日本――車やテレビやビデオゲームといった日本製品はそこら中にある。普段それが日本製だと意識していない。それほど自然に日本製品はアメリカ人の日常生活の一部になっている。

では日本人はどうか。
髪型はちょんまげで顔には丸眼鏡をかけて首からはいつもカメラをぶら下げていつも集団でいる人たちでしょ。

……「ちょんまげ」を知っているだけマシかもしれないが、こんなイメージを持っている人もいるだろう。

日本人の典型的なイメージを強調したキャラクターは映画の中でもみることができる。例えば「Mr.インクレディブル」だ。Mr.インクレディブルがヒーローとしての活動を禁じられてから働いているのは保険会社で、彼の上司は日本人だ(おそらく)。なぜならその男性の上司はチビで眼鏡をかけていてMr.インクレディブルにこんなふうに言うのだ。正義がなんだ、おまえは歯車として会社の利益のための働け! ――と。

アメリカ人の抱いている日本人のイメージとは? そもそもイメージが浮かばない人のほうが多いだろう。

日本製品は身近にありながら、それを作った人達については実はよく知らない。日本文化に特別に興味がない人にとっては、知りたくもないし、知る必要もない。すくなくとも危険ではないという認識はある。

だが、身近にあって実は知らない世界がある。そこはあなたの知らない世界がある。知っていると思っていたところが、実は全くの異世界であり、あるときあなたがそこへまぎれ込んでしまったら? (「あなた」とはここではアメリカ人のこと)

ところで、作品では主要な登場人物がアメリカ人になっているのがポイントだ。言葉が通じない。字も読めない。そんな状況だけでも充分に怖いのだ。さらにもっと怖いことがある。それは理不尽な恐怖だ。

「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」ではある家に足を踏み入れたら幽霊に襲われる。これは日本に限ったことではなく、西欧にも古い洋館やお城に入ったら幽霊の襲われるという物語はある。

だがこれらと違いは、法則があるかないか、といことだ。西欧のお化け屋敷にはたいてい呪い等を解く方法がある。アイテムをみつけだしたり、幽霊の願いをかなえることで助かる方法があるのだ。

だが「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」では呪いを解く方法をみつようとする間もなく登場人物は次々と襲われて命を落としていく。主人公のカレンは生き延びて呪いの元となって出来事を知るのだが、だからといって助かる方法がみつかるわけではない。

ハリウッド映画では危機に陥った主人公は、助かるために必要な知恵や道具を獲得して、ときには友人や知り合いのサポートを受けて危機から脱出する。

危機から脱出する方法を自ら捜し求めてやっとみつけたヒントをもとに数々の苦難を乗り越えていくのだ。つまりハッピーエンドへ向かう段階があり、失敗や苦労をしながらもひとつずつクリアしてくと、成功の法則や方法を見つけることができるのだ。ハッピーエンドの典型例の映画作品↓
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ホーンテッド・マンション(THE HAUNTED MANSION)
ロブ・ミンコフ監督/2003年/アメリカ
作品レビューはこちら
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しかし「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」では、どうやっても法則や方法がみつからないまま死人だけが増えていく。主人公はいつまでたっても解決方法がみつからないままに映画が終わってしまう!

法則がないという恐怖を題材にした映画に「ファイナルディティネーション」(Final Destination/ジェームズ・ウォン監督/2000年/アメリカ映画/97分)という作品がある。これは死という運命がどこまでも追いかけてくるというもので、未来を変えられるかというお決まりのキャッチコピーもつく。

ハリウッド映画には「未来を切り開いていくのは自分だ。運命は変えられる」というお題目がある。これに対する「運命とは決ったものだから変えれない」というストーリーは一種の恐怖なのだ。なぜならそれはアメリカ的価値観と生き方を否定するものだからだ。
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運命は変えられない系ホラー映画作品
∇「ダークネス(DARKNESS)」
ジャウマ・バラゲロ監督 2002年 スペイン 作品レビューはこちら
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では「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」にみるアメリカ人が感じる恐怖をまとめてみよう。

○日常に潜む恐怖。身近にあった異世界へまぎれ込んでしまった恐怖。

○生き延びる法則や方法が存在しない恐怖

「THE JUON/呪怨(THE GRUDGE)」は続編の製作が決定している。お化け屋敷のようなビックリ演出で注目を集めた次は、登場人物のドラマによって内面を描くのかどうかに注目だ。

【まとめとポイント】………………………………………………………………………

●ドキドキすることや未知なものは遠くにばかりあるのではない

●身近にあって今まで気にもとめていなかったものほどインパクトは強い

●法則という名の常識を突き破ると、恐怖という名の驚きとインパクトを与えることができる

●注意を引くには、お化け屋敷的方法――びっくり――も効果的だ

●注意を引いたたら次は人間を描いて内面を伝える(会社なら事業内容や業績を知ってもらう。企業活動によって信頼を得る)

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