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02/24/2005

Uボート 最後の決断(In Enemy Hands)

トニー・ジグリオ監督/2003年/アメリカ/98分

●潜水艦という題材を最大限に活かした良質な人間ドラマ。男の約束。夫婦の約束。勇気、信頼、名誉。潜水艦映画に異色の名作が誕生した。

Story(ストーリー)
―――――――――――――――――――――
1943年。大西洋。ドイツ軍潜水艦Uボートの脅威が薄まりつつある戦況。アメリカ軍潜水艦ソードフッシュはUボートを沈めるも、自艦の損傷激しく総員退去命令が下る。
わずかに生き残ったアメリカ兵はUボートの捕虜となる。やがて艦内で伝染病(髄膜炎)が蔓延。ドイツ軍兵が次々と倒れていく。海上からはアメリカ軍駆逐艦による攻撃を受け、Uボートは海中深く潜行する。弾薬不足、補給艦なし、艦の損傷、乗組員負傷・病伏、長時間潜行による酸素不足。Uボート艦長はついに、乗組員の生還のために捕虜のアメリカ兵と協力してUボートを動かすことを決意する。


Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ネイト・トラヴァース
 アメリカ兵。ソードフィッシュのチーフ

△トラヴァース夫人
 ネイト・トラヴァースの妻
 
△ヨナス
 Uボート艦長

△クレマー
 Uボート副艦長
--------------------------
▽U-429
 ドイツ軍潜水艦Uボート

▽ソードフィッシュ(Swordfish)
 アメリカ軍潜水艦


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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●潜水艦という題材を最大限に活かした良質な人間ドラマ。男の約束。夫婦の約束。勇気、信頼、名誉。潜水艦映画に異色の名作が誕生した。

潜水艦ものにハズレはない――と耳にしたことあります。たしかに過去の潜水艦映画を思いかえしてみても、まったくの駄作だと思った記憶はありません。

なぜ「潜水艦ものにハズレなし」という格言(?)があるのでしょう。なぜなら潜水艦では密室効果が大いに発揮されるからです。

限定された空間は人間の極限状況を作り出すにはもってこいです。それに密室が動いてほかの密室と戦うのです。密室なのに動きがあるんです。しかも潜水艦ってソナーを使って音で周囲の状況を知るんです。つまり目隠し状態なんですね。

限定された空間。制限された情報。動く密室。生死をかけた戦い。さらに男たちの勇気、信頼、名誉。

う~ん☆ヒットしそうな題材がてんこもりです。

「Uボート 最後の決断」っていう邦題にはUボートって書いていますね。すると思い出すわけです。あの名作「Das Bort」を。

そして今回の作品「Uボート 最後の決断(In Enemy Hands)」は従来の潜水艦映画と比べると、人間ドラマに焦点があてられています。人間ドラマを描くための箱として潜水艦が登場するのです。


‡人間のドラマ‡

潜水艦同士または駆逐艦との戦闘スペクタクルを描くといった作品ではありません。そういったシーンもありますが最近の潜水艦映画に比べるとずいぶん質素です。また、製作国のプロパガンダ映画という雰囲気もほとんどありません。

つまり戦争映画というよりも、男たちの人間ドラマである、また愛する妻との約束を守ろうとする夫の物語なのです。


‡約束の物語‡

主人公ネイトは潜水艦のチーフです。艦長でも副艦長でもありません。副艦長の下あたりでしょう。妻が帰りを待っています。生きて帰ると約束しました。潜水艦が轟沈して敵艦の捕虜になったネイトは、疫病と艦への攻撃とで何度も死を覚悟します。しかし妻との約束を思い出し、生還のために力を振り絞って行動しつづけます。

Uボート内で疫病が蔓延し、ついにドイツ兵だけでは艦を動かせなくなりました。Uボート艦長ヨナスはネイトに協力を頼みます。いっしょに艦を動かして部下を生還させよう――と。

これに応えてネイトはドイツ兵、アメリカ兵の区別なく乗組員の生還のを第一に行動することをお互いに確認して、基本となる事柄についてどうするかを決めるのです。こうして生還という目的のために約束をするのです。

ネイトはこの男同士の約束を守ります。そうすることで妻との約束も守ることができるのです。


‡登場人物が立体的‡

主人公ネイトだけでなく、Uボート艦長ヨナスや副艦長クレマーの内面もしっかり描かれています。
つまり、どちらか一方側だけの視点ではないのです。そもそもアメリカ側ドイツ側という分け方をしていません。ひとりの人間の内面をそれぞれしっかり描いているのです。

登場人物たちのセリフがまたいいんです。特にUボート艦長ヨナスの言葉には重みがあります。部下の尊敬を失ってまでも人を助ける強さを持ったヨナス艦長。彼の内面が行動となってよく表れています。


‡「アナログ感」と「潜望鏡の見方」‡

第二次大戦中という時代設定のため、潜水艦がレトロというかアナログなんです。これがすごくいい味を出しています。
「Das Bort」でもそうでしたが、急速潜行!というときには乗組員が皆船首へ駆けていくんです。いわゆる体重移動ですね。また艦の近くで爆発が起きると、パイプから水が噴き出したり火災が発生したりとものすごくアナログ感があります。それに魚雷装填も手動で、かなりの確率で不発もあります。コンピュータ制御があたりまえの現代ではかえって新鮮に映ることでしょう。

そしてちょっとばかり注目してほしいのは潜望鏡の見方です。潜望鏡の側面にせり出した取っ手のようなものを両手で掴んで覗き込むのだろうと思っていたのですが、ちょっと違うんです。そうではなく、取っ手の上に肘を乗せて、潜望鏡を抱きかかえるようにして覗くんです。おそらくこのやり方が一般的なのでしょう。潜望鏡の覗き方がわかっただけでもちょっと得した気分です。


潜水艦映画ファンはもちろんのこと、いままで潜水艦映画にあまり興味なかった方にもおすすめです。

派手な有名スターが出演していないこともあり、地味な作品っぽく思われるかもしれませんがいい役者さんを使ってます。主人公ネイトなんて一度観ら忘れない特徴ある役者さんで、きっとあなたもなにかの映画でこの俳優さんみたことあるなぁって思うハズ。

良質な人間ドラマです。おもわぬいい拾い物をしたい方はぜひ☆

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