25席の妖精―「ネバーランド」―
〈カテゴリ:マーケティング〉
ものの良さを伝えるには、まずはそのものの良さを感じることができる人に知ってもらうのが一番です。
なぜなら、良いと感じてくれた人はまわりの人にその良さを伝えてくれるからです。
映画作品を例にみてみよう。
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作品名「ネバーランド(FINDING NEVERLAND)」
マーク・フォースター監督/2004年/イギリス・アメリカ/100分
●名作「ピーター・パン」誕生の実話に基づいて描いたヒュー
マンドラマ
〈ストーリー〉
1903年のロンドン。新作が不評の劇作家ジェームズはある日、作品の構想を練るために公園にでかける。そこで、父を失った4人のデイヴィス兄弟とその母親シルヴィアに出会う。
ジェームズは彼らとの交流で作品のイマジネーションを膨らませて「ピーター・パン」の脚本を書きはじめる。
作品レビューはこちら
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サー・ジェームズ・マシュー・バリは少年たちと出会って「ピーター・パン」の着想を得ます。脚本を書き上げて舞台の稽古をはじますが、登場するキャラクターに犬や妖精がいるために役者は戸惑い、劇場主は作品の評判をますます気にして資金繰りに頭を悩ませます。
ジェームズはぜったいにうまくいく、と言って劇場の25席を確保します。
そして「ピーター・パン」初演の日。ぞくぞくと観客が集まるなか、確保した25席の客はひとりもやってきません。このままでは空席になってしまう、と開劇場主は開演時間真近に25席を売りに出そうとします。
そのとき、ジェームズが招待した観客たちがやってきます。それは孤児院の子供たちでした。孤児院が劇場から遠いところにあったため、開演ぎりぎりの到着となったのでした。
当時の劇場での公演はたいていは上流階級(有閑階級)の人々が観客です。初演で観客に受け入れられればその作品は成功するのです。
そんな上流階級(有閑階級)の観客に混じって子供たちが客席に座ったのです。それも観客席にまんべんなく散らばって座ったのです(25席分)。
さて舞台の幕開けです。すると部屋のなかに犬の着ぐるみを着た役者が四つんばいになって登場します。いったいなんだろう、と顔をしかめる大人がいるなかで、犬はクンクンと部屋の中をかぎまわっています。すると劇場のあちこちでクスクスッ、キャッキャという笑い声がします。子供たちが犬を見て笑っているのです。子供たちの楽しそうな様子があたたかい空気となって劇場を包み込みます。それまで険しい顔をしていた大人たちは子供たちと同じ目線になって劇を観はじめました。
するとどうでしょう! 大人たちも「ピーター・パン」の世界にグイグイ惹き込まれて少年少女の心を取り戻していったのです。
劇中では、ある夜、子供たちの寝室にピーター・パンがやってきて、さぁ信じれば君も飛べるよ、といいますが子供たちはなかなか飛べません。ピーター・パンはいいます。「そうだ! 魔法の粉を振り掛けるのを忘れていたよ」
ティンカーベルの魔法の粉を振りかけられた子供たちは次々に体が浮いてネバーランドへ飛び立ってきます。
サー・ジェームズ・マシュー・バリがピーター・パンだとすると、25席の子供たちは妖精です。
ジェームズは「信じればかならず行ける」と言います。そして25席の妖精たちは大人たちに魔法の粉を振りかけます。すると大人たちも子供の心を取り戻してネバーランドに旅立っていくのです。
【まとめとポイント】………………………………………………………………………
●ものの良さ(ピーター・パン)を伝えるためには、まずはそのものの良さを感じることができる人(子供たち)に知ってもらうのが一番
●良いと感じてくれた人(子供たち)は、その良さをまわりの人(大人)に伝てくれる
●伝えるとはつまり宣伝。やみくもにお金をかけるのではなく、まずは良さををよく理解してくれる人をみつけて、点と線のつながりではなく、面のつなりで広く伝わるように配置する(サポーターを配置する)
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