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フリーマガジン

〈カテゴリ:マーケティング〉

フリーペーパー、もしくはフリーマガジンと呼ばれる無料のチラシや雑誌が盛
況だ。

雑誌を買っても中身の半分ほどが広告ばかりで、なんだか広告を見せられるが
ためにお金を出したかのように感じたことがある方も多いだろう。

フリーマガジンはその名のとおり無料である。広告が載っていても損した気分
にはならない。それどころか飲み屋やカラオケ屋やレストランの割引クーポン
券が付いていたり、懸賞ページがあったりしてお得感がある。

なかには部屋のマガジンラックに飾っておきたくなるような、無料とは思えな
いおしゃれなフリーマガジンもある。

例えば「メトロミニッツ(metro min.)」というフリーマガジンがある。
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「メトロミニッツ(metro min.)」
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これは、東京メトロの主要23駅にあるメトロマガジン専用ラックで毎月20日に
無料配布されるフリーマガジンだ。

トピック主義を採用しており、ちょうど一駅の間(時間)で読めるトピックを
多数載せている。

東京メトロという地下鉄で配布されるフリーマガジンなので、ちょうと一駅で
読めるトピックをどうぞ、という構成だ。これはなかなかうまい編集だ。マガ
ジンの1ページの半分かそれ以上を写真が占めており、文章はひと駅間で読める
分量に収まっている。

駅で雑誌を買う目的のひとつは移動時間の暇つぶしだろう。都会では電車の乗
り換えが頻繁で、駅間距離も地方の在来線に比べれば短い。さらに地下鉄では
車窓から外の景色を眺めることはできない。例えるならば超ショートムービー
劇場に毎日たくさんのお客さんがやってくるようなものだ。2,3分で電車を降り
る人もいれば、30分ほど乗っている人もいる。乗客それぞれが興味あるトピッ
クをいくつか選んで読めるようになっているこのトピック主義は利便性を考え
たなかなか使える構成方法だ。

またこのフリーマガジンは電車の中で読んでも格好悪くない。というのは無料
とは思えないちょっとおしゃれなデザインをしているからだ。マガジンの表紙
のデザインの基本は毎号同じで、円形の写真のなかに一言二言コピーが載って
いるというシンプルかつスタイリッシュな作りになっている。
手に持ったときの紙質はけっして高級ではないのだが、程よいレトロ感があっ
てヨーロッパの街角の雑誌スタンドに置いてありそうな雰囲気を醸し出してい
る。部屋のマガジンスタンドに飾りたくもなるだろう。

けっこう人気があるらしく、いくつかの駅では配布日から数日もすると無くな
ってしまうらしい。

フリーペーパーやフリーマガジンが盛況というのは、無料だから人気があるの
ではない。
街頭のティッシュ配りをみればわかるように、たとえ無料でも興味
や必要のないものを人は欲しがらないのである。
無料だからこそ、読者の利便や嗜好にじゅうぶんに配慮するのだ。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●読者がどんな状況でどんな目的でマガジンを手にするかを想定する
 (電車に乗るとき、移動の暇つぶしに)

●利便性に注目する(ひと駅で読める分量にする)

●これらは読者の身になって想像しなければならない
 (イマジネーションマーケティング)

●フリーペーパーやフリーマガジンは内容(コンテンツ)よりも利便性が
 重視される(クーポンチケット、ひと駅で読める分量)

●「無料だからこんなもの」ではなく「無料なのにこれは使える、無料とは
 思えないマガジンだ」と、口コミされるようになろう

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