« and | Main | 作務衣(さむえ) »

12/29/2004

お父さんの書斎―「Mr.インクレディブル」―

〈カテゴリ:マーケティング〉

お父さんの書斎は家のどこにあるだろうか。もしかしたらないかもしれない。あったとしても納戸に机と本棚を置いただけの窓がない小部屋かもしれない。

書斎だからといって、かならずしも本やパソコンが置いてあるとは限らない。ゴルフクラブやテニスラケットや将棋セットやテントやバーベキューセットやミニチュアカーのコレクションなどが所狭しと置いてあるかもしれない。

お父さんの書斎になにがあるだろうと考えてみることは、ターゲットに向けて何が売れるかということを考える際に役に立つ。

ピクサーの映画作品「Mr.インクレディブル」を例にみてみよう。
――――――――――――――――――――――――――――――
「Mr.インクレディブル(THE INCREDIBLES)」
ブラッド・バード監督/アメリカ合衆国/2004年/115分

[Story(ストーリー)]
スーパー・ヒローとしての活動が禁じられて15年、世界有数のスーパー・ヒーローだったMr.インクレディブルは妻と子供たちと一般市民として生活しています。

元ヒーローたちが次々と行方不明になっていたある日、Mr.インクレディブル宛に1通の手紙が届きました。スーパー・ヒーローとしての能力を必要としてるというその手紙に応え、Mr.インクレディブルは再びスーパースーツを身にまといます。しかしそれはスーパー・ヒーローを滅ぼそうとする者の罠だったのです。エラスティガール(インクレディブル夫人)と子供たちは、夫(父親)の危機を救おうとします。やがてインクレディブル一家は世界を救うために力を合わせてたたかいます。

∇映画作品レビューはこちら
――――――――――――――――――――――――――――――

Mr.インクレディブルの書斎は、やはり納戸のような部屋で、どうやら窓はないようだ。そんな部屋の壁一面には、自分がスーパー・ヒーローとして活躍した様子が載っている新聞や雑誌の切り抜きがたくさん張り付けてある。

Mr.インクレディブルのかつての仕事はスーパー・ヒーローであった。自分の仕事が好きであり、また誇りでもあるのだ。だが今はスーパー・ヒーローとしての活動を禁じられており、保険会社でオフィスワークをしている。

そんなある日、スーパー・ヒーローの能力を必要としている、という手紙が届く。Mr.インクレディブルは喜んでこの仕事を引き請けるのだ。

誇りを持っているかつての仕事。その能力を必要としてくれるのはうれしいものだろう。

たとえ仕事とは無関係であっても、自分の好みや趣味に合った人やモノとの出会いはうれしいものだ。

毎日仕事で夜遅くに帰宅して休日出勤もあるお父さん。息子や娘から見るとなんの趣味も興味もなさそうに見えるかもしれない。たまの休みはパチンコと酒で過ごす、そんなお父さんの書斎をちょっとみてみよう。

埃をかぶったスキー板や釣り竿が壁の隅に立て掛けてあるかもしれない。日焼けした表紙の小説全集が本棚の奥からそっと顔をのぞかせているかもしれない。

財布の紐はカミさんにしっかり握られているかもしれないが、これだけは好きで集めているモノがある、という人はけっこういるものだ。

たとえ書斎がなくて、あったとしてもただの物置になっていて、お父さんは晩酌のビールしか楽しみがないんじゃないかと思うかもしれない。それでも好きなものはビールだ、というのは確かだ。

趣味とよべるようなもはないお父さんは消費者としては弱いと思えるかもしれい。だがそれこそ最高の消費者(お客さんからやがては顧客)になる可能性を大いに秘めている。

たとえば毎晩のビールを欠かさないというお父さんにっては、ビールを飲むひとときこそが楽しみなのである。そのひとときをもっと楽しめるものがあったなら、大きな興味を持ってもらえるだろう。

晩酌をもっと楽しめるモノとしては、例えばかつての(いまでもかもしれない)ヒット商品に、小型の家庭用ビールサーバーがある。

消費のカギは女性が握っているとよく云われる。それもまた一理ある。だが、一見すると消費をまったくしなくなったように思える層に喜んでもらえるちっといいモノを提供できれば、それは口コミで広がっていく可能性はとても高いだろう。

口コミは女性が得意と思われがちだが(たしかにそのとおりではある)、男性、とくにお父さんたちが同僚や取引先でちょっとした世間話のネタにできるモノやサービスというのは絶大な口コミ効果を期待できるのである。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●お父さんの書斎をみてみよう

●普段買い物をほとんどしない層ほど、気に入ったモノには愛着をもってくれる

●男性の口コミ効果にも注目しよう

――――――――――――――――――――――――――――――――――
メールマガジン「ディズニー&ピクサーでみつけようゲスト感動のヒント 」

|

« and | Main | 作務衣(さむえ) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21326/2406630

Listed below are links to weblogs that reference お父さんの書斎―「Mr.インクレディブル」―:

« and | Main | 作務衣(さむえ) »