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11/28/2004

タイムライン(TIMELINE)

タイムライン
リチャード・ドナー
アミューズソフトエンタテインメント
2004-07-23


by G-Tools
リチャード・ドナー監督/2003年/アメリカ/116分 原作:マイケル・クライトン

●家族愛がテーマの、ヨーロッパ中世(百年戦争[※1])を舞台にしたSF
 作品

〔1〕プレミス(Premise)ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア
―――――――――――――――――――――
14世紀に取り残された教授を助けにいく。


〔2〕ストーリー(Story)
―――――――――――――――――――――
フランス・修道院発掘中の遺跡。14世紀の地層で、発掘チームのリーダーであ
るジョンストン教授のメッセージがみつかった。発掘チームのメンバーはジョ
ンストン教授を助けるためにタイムマシンで14世紀へ行く。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△クリス
 発掘メンバー。

△ケイト
 女性発掘メンバー。

△アンドレ・マレク
 発掘メンバー。助教授。

△レディ・クレア
 フランス軍を率いるオルノー卿の妹。

△ジョンストン教授
 発掘チームのリーダー。クリスの父。

△ロバート・ドニガー
 巨大ハイテク企業ITC社長

△ゴードン
 ITC社員。ドニガーの部下。


〔4〕ペイオフ(Pay Off)
   (初めに提供されて後に劇的に使われる情報・小物など)

―――――――――――――――――――――
教授のメガネ。修道院地下のトンネルと壁画。発掘された石棺。ラ・ロック・
キャッスルをめぐる攻防戦でのフランス軍勝利についての文献。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
●家族愛がテーマの、ヨーロッパ中世(百年戦争[※1])を舞台にしたSF
 作品

キャラクターからみた作品の軸は3つ。
〈1〉クリスとジョンストン教授の親子愛
〈2〉クリスとケイトの恋愛
〈3〉アンドレ・マレクとレディ・クレアの恋愛

クリスは歴史(過去)にはたいして興味がない。にもかかわらず父・ジョンス
トン教授の発掘作業を手伝っている。お目当ては女性発掘メンバーのケイトだ。

ケイトはクリスに好意を持ちながらも、教授の息子だということでもう一歩踏
み出せないでいる。

そんな折、14世紀の地層からジョンストン教授の手紙が見つかる。クリスは父
を助けるために旅立つ決意をする。

14世紀にやってきたクリスたちに様々な危険が襲いかかり、仲間が倒れてい
く。そうしたなかで、アンドレ・マレクはレディ・クレアと出会い、恋に落ち
る。

主人公クリスが旅立つきっかけは家族愛から父を助けようとする、というもの
だ。冒険を通して男女の恋愛が育み、やがて新たな家族が誕生する。

このように、作品のテーマである「家族愛」がストーリーをはじめるきっかけ
であると同時に、ストーリーの結末にもなっている。

時代や場所に関係なく、愛する人と共に暮らせるところ。それが「HOME」
であり、「HOME」をもつことが何よりも大切だというメッセージがわかり
やすいストーリーで展開する。

どうわかりやすいかの例は、元ITC社員であったが14世紀に取り残され、やが
て14世紀イギリス軍の参謀のような地位に上りつめた男と、アンドレ・マレク
を対比しているところにみることができる。この参謀の男は、ここ(14世紀)
で自分の居場所を得たんだ、といった意味のことを言うのだが、彼には家族は
おらず、武力で参謀になったにすぎない。
彼とアンドレ・マレクとを対比することで、「HOME」の意味するところをわか
りやすく表現している。

タイムスリップを扱った作品は、ペイオフ(Pay Off 初めに提供されて後に劇
的に使われる情報・小物など)がいたるところにちりばめられていることが多い。
「タイムライン」においても、何気ない会話や小道具や行動や情報(歴史的事実
とされるもの)にペイオフをいくつもみることができる。

これらの提示の仕方がとてもわかりやすいので、ストーリーの先を予想しやすい。
これは、観客がストーリーの途中で迷わないということだ。観客を置いてきぼり
にすることなく、結末へ向けて引っ張っていく力になるのだ。

また、巨大ハイテク企業ITC社長であるロバート・ドニガーは、発掘チームの
安全を第1に考えているという態度を見せながら、実はタイムマシンのことで人
命が危険に晒されたことが公になって企業がダメージを受けないように奔走する
という、いかにも在りそうなキャラクターだ。家族ではなく、自分の会社(企業)
という形の自らの利益だけを守ろうとする者は悪役として最後にどうなるか――
いわゆる「お約束」の結末だが「お約束」はより多くの人々の願望が形となった
ものでもある。「お約束」に至る経路をさまざまに工夫することで無数のストー
リーが生まれるのだ。

映像の見所はイギリス軍とフランス軍の攻防戦(城攻め)だ。夜、巨大な投石器
を使って火炎玉を城めがけて飛ばしたり、両陣営から無数の火矢が夜空を飛び交
ったりと、その迫力はすさまじい。また夜矢(Night Arrow)という、矢に火を点
けないで夜空に放つシーンがある。闇夜にまぎれて矢が飛んでくるのだ。映画館
の大スクリーンに映し出されるこうした数々のシーンは迫力がある。
 
〈テーマ〉
 →家族愛

〈作品の場所〉
 →14世紀、ラ・ロック・キャッスルを中心とした周辺の村や森など

〈主人公の目的〉
 →ジョンストン教授を救出する

〈映像的見所〉
 →ラ・ロック・キャッスルをめぐる攻防戦

「タイムライン」はシンプルでわかりやすいストーリーだ。観客にやさしい作
品といえる。ここでいう「やさしい」というのはマイナスな意味ではない。ス
トーリー構造における繋がり(ペイオフ)を上手に取り入れることで、観客に
必要な情報を順序良く提供し、ストーリーを前へ推し進めていく。そしてペイ
オフが解消されたときには「驚き」と「感心」と「安心感」を与えることがで
きる。そういった意味で観客に「やさしい」作品なのだ。

タイムトラベルという性質の作品ではペイオフが複雑すぎると観客は理解する
のに時間がかかることがある。なるべくわかりやすいペイオフを用いるという
のは実は大事なことである。

どんな作品にも言えることだが、わかりやすいなかにあっても、観客に気づか
れにくく、なおかつ重大な要素をもったペイオフを用いることができれば、そ
れは劇的な解消となって作品に大いに貢献する。観客は意外な「驚き」と「発
見」に拍手をおくり、映画館を後にするときには、期待以上の作品だったと満
足することだろう。

「タイムライン」に劇的なペイオフの解消があるとはいえないが、「観客にや
さしい作品」であるといえる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1 英仏百年戦争(1337-1453)
  フランス・バロア朝のフィリップ6世が王位につくと、イギリス王エドワード
  3世が自身の王位継承を主張して、両国で戦争がはじまる。
  劣勢のフランスはジャンヌ・ダルクの出現によりオルレアンの包囲を破っ
  てカレーを除く領土を回復する。
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「タイムライン」(DVD)

「タイムライン〈上〉」 ハヤカワ文庫NV
 マイクル クライトン (著), Michael Crichton (原著), 酒井 昭伸 (翻訳)

「タイムライン」オリジナル・サウンドトラック
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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Comments

ベランダの鉢植えを並び替えるが如く数人が入れ替わったところでヲタ以外は興味持ってない。 芸者でなくて遊女の鞍替えだからな、太夫をはって女郎屋に利益をもたらしても衰えたらランクを落とされるのはしかたがないな 川島海荷も背が低い言われてるのに更にちっこいこの子が通用するのかね

Posted by: www.opusfx.coom | 08/25/2014 at 17:40

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