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11/30/2004

ドラゴンヘッド

※この記事は映画「ドラゴンヘッド」公開以前に書かれたものです。記事の目的は、原作漫画を紹介しつつ、映画のヒットの可能性を探る(予測)するというものです。
映画「ドラゴンヘッド」はすでに劇場公開してDVDも発売しています(2004.11.30現在)
映画「ドラゴンヘッド」のレビューはありません(映画作品は未見のため)

●サバイバルという柱に、恐怖を描いている作品   

〔1〕Theme(テーマ)
―――――――――――――――――――――
恐怖


〔2〕ストーリ(Story)
―――――――――――――――――――――
修学旅行の帰りの新幹線がトンネル内で事故に遭う。生き残ったテルたちは暗闇と死体の山の中で精神的に追いつめられていく。トンネルが崩れ出し、テルたちは外へ脱出する。外は暗く荒廃した世界。テルたち東京へ帰ろうと歩き出す。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
■テル(妻夫木聡)

■アコ(SAYAKA)

■ノブオ


〔4〕・1 セットアップ
―――――――――――――――――――――
(セットアップの役割はストーリーを理解するのに必要なすべてのカギとなる情報を観客に与えること)

主人公はだれか      →テル
何についてのストーリーか →サバイバル・脱出・恐怖
どこを舞台としているのか →世紀末の日本、関東地方

どのような状況でストーリーが展開しようとしているのか。
→なにが起こったのか不明。

登場人物は何をしているのか
→なにが起こったのか知ろうとしている。生き延びるために行動している。


〔4〕・2 カタリスト(きっかけ)
―――――――――――――――――――――
(カタリストとは、ストーリーをはじめるための出来事のこと)

テルたちの乗った新幹線はトンネル内を走行中、なにかが起こった。テルは生き残るために決断を下す。

ストーリーをはじめる具体的な出来事がなんなのか
→不明


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
●サバイバルという柱に、恐怖を描いている作品

カタリスト(きっかけ)となる出来事が不明になっている。このため、読者(観客)は、いったいなにが起こったのか知りたい、という欲求を持ちつづけながら、次にどうなるのかとページをめくる(観つづける)。

トンネル内に閉じ込められた新幹線――。闇に包まれた車両には同級生たちの死体がある。こうした異常な状況下で生き残ったテルとアコとノブオは精神的に追いつめられていく。

ノブオはついに、狂ったとしか思えない行動をはじめる。やがて人間対人間の軋轢や葛藤や対立に発展していく。


カタリストが不明 (なにが起こったの知りたいという欲求)
   ↓
異常な状況   (異世界への興味・不安・恐怖)
   ↓
人間対人間の対立(人間についての興味・恐怖)


興味を持続させながら、特殊な状況に観客をとり込み、人間の変化が描かれる。こうしたなかでトンネルが崩れ出し、テルたちは脱出を試みる。

セットアップからインパクトが強く、観客を作品の世界に取りこみ、興味を持続させながら新たな対立構造(テルとノブオの対立)を描きつつ、トンネルから脱出する。この一連の流れが見事である。
 

〈ビジュアルバリュー 視覚的価値〉
テルたちの乗った新幹線はトンネル内で事故に遭った。電気は止まり、車内もトンネル内も真っ暗である。テルたちは懐中電灯をみつけ、車内や車外を調べる。懐中電灯の光だけで視界が限定されるため、恐怖心が煽られる。懐中電灯が照らし出すのは同級生の死体――。空腹と暗闇。そして汗。じっとしていても暑さで汗が滲み出る。いったい何がおきたのか。救助はくるのか。

映像の強みは光を自由に操れることである。暗闇、暑さ、を視覚的にうまく表現できれば、ひとつ世界を構築できる。その世界はビジュアル的に怖い雰囲気を漂わせることもできる。


〈恐怖〉
3つの恐怖

(1)音や光で作る怖い雰囲気
(2)特殊な状況下で露になる人間の恐怖心。
(3)人間の恐怖心が作り出す新たな恐怖

ビジュアル的にも精神的にも「恐怖」を描いている。映画が(1)番はもちろんのこと、(2)番から(3)番までをきちんと描くことができれば成功するだろう。
 
成功のための要素はいくつもある

・サバイバルの欲求
・特殊な状況下という世界観の構築(荒廃した街並)
・人間についての恐怖を描く(人間を描くドラマである)
・ホラー

たいていのパニックものは、主人公たちが通常ありえないような危機と遭遇して、いかにそこから脱出するかを描く。(例「ポセイドン・アドベンチャー」) 
「ドラゴンヘッド」で主人公たちは危機に遭遇するが、トンネルから脱出して終わりではない。そこから東京へ帰るために歩き出すことで物語はつづいていく。(トンネルから脱出で終わるのは「デイライト」

ここが従来のパニックものと違うところである。「ドラゴンヘッド」は脱出劇ではない。人間の「恐怖」を描くことが目的なのである。そいうった意味では本当の恐怖作品である。


〈キャラクター・配役〉
テル役に妻夫木聡さん。ウォーターボーイズではさわやかな青年を演じ、好感度の高い俳優さんである。「ドラゴンヘッド」の世界観のなかでテルの不安、恐怖、悲しみ、怒りなどをどのように演じるのか期待したい。

アコ役にはSAYAKAさん。出演した短編映画「おはぎ」がカンヌ国際映画祭で短編パルムドールを受賞。

どちらの俳優さんも知名度があるため、若い層に注目を集めるだろう。
 
原作は連載が94年から99年のため、20代から30代にも広く知られている。10代20代を中心に30代までは最も映画をよく観る層である。この層に広く知られている原作なだけに、日本国内での話題性はかなり高くなりそうだ。

企画・制作にかかわっているTBSは映画単体での収支を優先しているという。映画制作に企画から積極的に取り組んでいるTBS関連の映画という意味でも、気になる映画だ。

(原作漫画:週刊ヤングマガジン連載終了 連載期間94.9~99.12)

※セットアップ、カタリストは原作「ドラゴンヘッド」による。映画版「ドラゴンヘッド」のセットアップ等がどのようになるかは不明。


漫画(コミック)「ドラゴンヘッド」
「ドラゴンヘッド (1)」望月 峯太郎 講談社
ドラゴンヘッド (1)


映画「ドラゴンヘッド」飯田譲治監督
ドラゴンヘッド
ドラゴンヘッド


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