漫画を使うといいって?
〈カテゴリ:わかりやすく(読物)〉
そうです。漫画を使うとわかりやすくなります。
文と一緒に絵や図を使うと、幅広い年齢や国籍の人々に伝わりやすくなります。
例でお話しましょう。
キリスト教の歴史において、有名な出来事があります。
それは「宗教改革」です。
宗教改革は、1517年のマルチン・ルターによる95ヶ条の意見書ではじまりまし
た。ルターは当時腐敗していた教会(ローマ=カトリック)を批判し(特に免
罪符販売)、福音に基づく真の信仰を訴えたのです。
このときちょうどグーテンベルグの活版印刷術が発明されて、ドイツ語やフラ
ンス語の聖書が大量に印刷されるようになりました。いままで一部の聖職者や
有力者しか読むことができなかった聖書を多くの人々が読めるようになったの
です。これによって宗教改革が後押しされました。
というのが世界史の常識として語られています。
しかし、当時の民衆の大部分は字を読むことができませんでした。宗教改革は
多くの大衆の関心と支持を得て実現しました。
では、大衆はどうやってルターやほかの宗教改革者のメッセージを知ることが
できたのでしょうか。
答えは、「木版画パンフレット」です。
つまり、「チラシ」を見ることで知ったのです。
活版印刷術で大量に印刷されたのは「木版画パンフレット」、いわゆる「チラ
シ」です。一枚のチラシの全体に大きく絵が印刷されています。そして絵の下
などに1行から3行ほどの文が書かれています。
これなら、字が読めない人がチラシを見ても、それがなにを意味しているのか
大まかな見当をつけることができます。民衆のなかにも、やさしい内容の短い
文なら読める人はいたでしょうから、チラシになんて書いてあるのかその人に
訊いて、メッセージを知ることができたでしょう。
チラシなら同じ内容のものを大量に印刷することができます。
絵を見れば、それが何を意味してるのか想像できます。想像できれば、その絵
がいったい何を伝えようとしているのかは、ある程度見当がつきます。
さらに、短い文を読むことで、その絵が何を表しているか、それによって何を
伝えたいのかが、はっきりとわかるのです。
絵で人々の注意を集め、短い文でメッセージをしっかり伝える。
こうしたチラシは、メッセージを伝えるには、とても効果がある方法です。
★わかりやすくするには、文のほかに、絵や図を使うとよい
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∇参考文献
「ルターの首引き猫―木版画で読む宗教改革」
森田 安一 (著) 山川出版社
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