インパクトは静止画のイメージで残りやすい―「スウィングガールズ」―
〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉
夏の楽しかった思い出は? そう聞かれてなにを思い浮かべるだろうか。
例えば小学生のケイタくんが夏休みに家族で東京ディズニーリゾートに行った
としよう。そのときに撮った写真が机の上の写真立てに入っている。ケイタく
んはバズ・ライトイヤー(ディズニー・ピクサー映画作品「トイ・ストーリー」
のキャラクター)と一緒に笑顔で映っている写真だ。
これを見るたびに、ディズニーランドの楽しい思い出がいくつも蘇ってくるの
だ。
たとえ写真を撮っていないくて、楽しかったときのことはいくつかの断片的な
静止画として記憶していることがある。
強烈な印象を持つ出来事は動画としてではなく、静止画である場合が多い。
映画作品を例にみてみよう。
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「スウィングガールズ(SWING GIRLS)」
矢口史靖監督/日本/2004年/105分
作品レビューはこちら
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作品中に「イノシシ」が出てくるシーンがある。主人公の友子たちが山中で
イノシシに遭遇するシーンだ。
このとき、音楽にのせて、いくつかの静止画を一定間隔で切り替えていくと
いう手法がとられている。
友子たちにとってすれば、山中でイノシシに遭遇するという衝撃的な出来事を、
静止画を用いて表現しているのだ。
矢口監督の過去の作品である「ウォーターボーイズ」には「燃えるアフロ」
というシーンがある。ここではスローモーションが使われている。アフロヘア
が燃えるぐらいだから、当人にとってはかなりの衝撃的な出来事である。この
インパクトの大きさをスローモーションで表現しているのだ。
インパクトのある瞬間が静止画として人の記憶に残るとすれば、次に考える
ことはこれだ。
自社のイメージ、またはブランドイメージを一枚の写真に収めると、はたして
なにが写るだろうか。
もし何も写らないならば、それだけインパクトが弱いということだ。
成功しているブランドの多くは、たいてい「一言」で表すことができる。例え
ば「BMW」は「スポーティ」、「Audi」は「安全」といったようにだ。
「一言」によって喚起されるイメージは、人の脳内で一枚の静止画として浮か
ぶ。こうなればそのブランドは、他とは違う、際立った特徴をもつものとなる
のだ。
【まとめとポイント】-------------------------------------------------
●インパクトは瞬間の静止画として記憶に残る
●ブランドとしての静止画(写真)がはっきり浮かび上がるか
☆そのブランドは一言で表すことができるか
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