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09/18/2004

ヴィレッジ(THE VILLAGE)

M・ナイト・シャマラン監督/アメリカ/2004年

B0001A7D0Eヴィレッジ
ホアキン・フェニックス M.ナイト・シャマラン エイドリアン・ブロディ
ポニーキャニオン 2005-04-22

by G-Tools

●愛とジェラシーの物語

テーマ(Theme)
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Story(ストーリー)
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深い森に囲まれた外界から隔絶した村。森に生息する「彼ら」との和解によっ
て村の人々は永遠の平和を手に入れた。しかし、和解はある日突然に破り去ら
れる。


Main Character(主な登場人物
―――――――――――――――――――――
△ルシアス・ハント
 青年。物静かであるが内なる情熱を秘めている。幼馴染のアイヴィーに思い
 を寄せる。
 
△アイヴィー・ウォーカー
 女性。ルシアスの幼馴染。村の指導者エドワード・ウォーカーの次女。
 幼い頃の病気で視力を失う。深い洞察力を持つ。勇敢で、男の子のように活
 発。

△ノア・パーシー
 青年。ルシアスとアイヴィーの幼馴染。子供の純粋無垢な心を持つ。

△エドワード・ウォーカー
 男性。村の指導者。教師。村の評議会のメンバー。アイヴィーの父親。

△アリス・ハント
 女性。ルシアスの母。村の評議会のメンバー。早くに夫を亡くす。

▽口に出してはならない存在(Those We Don't Speak Of)
 村を取り囲む森に住む「彼ら」。


時代背景、場所
―――――――――――――――――――――
1897年、ペンシルヴァニア州の村。この村は深い森に囲まれて外界から完全に
隔絶している。


作品と宗教
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作品を読み解くヒント。または、作品を作る上で参考にしたと思われる聖書の
物語。

・「赤いマーク」~過越し~(出エジプト記第12章)
・「ノア・パーシー」~ノアの箱舟~(創世記第6章)
・「誘惑の木の実と楽園からの追放」~アダムとイヴ~(創世記第3章)
・「都市と農村」~ソドムとゴモラ、ロトの救出~(創世記第19章)

この他、参考になる映画作品↓
「刑事ジョン・ブック/目撃者(WITNESS)」

この作品には、アーミッシュ(Amish)というキリスト教の一派が登場する。
アーミッシュの人々は、農村で穏和な人々がお互いに助け合いながら共同体を
営んでいる。平和主義者で、電気、水道、自動車などを使わない、大地に根ざ
した生活をしている。


小道具―――――――――――――――――――――
色(赤、黄色)。椅子。


Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
●愛とジェラシーの物語

おそらく、シャラマン監督の作品のを観た人々の感想や評価は、おおまかに2
つに分かれるだろう。――良いか悪いかだ。

両極端の感想を持つ人々がいるというのは、その作品が力(影響力、魅力等)
を持っていることを表してる。作品についてのリアクションの結果が「おもし
ろかった」または「おもしろくなかった」といった感想になるからだ。

そういった意味で「ヴィレッジ」も両極端な感想を持たれる作品だ。

シャラマン監督はインドで医師の家系に生まれ、幼少期にアメリカ合衆国のフ
ィラデルフィアの高級住宅地に移住している。いわゆる裕福層であり、当然に
キリスト教の教養を持っている。

そういうわけで作品においても、聖書の物語から刺激やヒントを得たと思われ
る要素が数多くみることができる。

これまでのシャラマン監督の作品は、西欧キリスト教の素養や、オカルトネタ
(死者、宇宙人)といったものを巧みに融合させた。そして「ヴィレッジ」で
もそうだが、作品の演出と宣伝にいたるまで計算しつくしている。

つまり、一見すると奇抜な作品に思われがちだが、そうではなく、むしろみん
なが良くって知るいる事柄(欧米人にとってのキリスト教の素養)と、興味を
引く事柄(オカルトネタ)を組み合わせるという、いたってまっとうで地道な
作業を行っているのだ。地味な作業は脚本から演出、宣伝方法に至るまで考え
つくされている。それは「ヴィレッジ」において、自らの過去の作品と似たも
のを期待しているであろう観客の目線を巧みにシフトさせることで、超常現象
の意味と、その力の大きさとすばらしさを表現していることからもわかる。

この「超常現象の意味」についてどう感じるかが、観客の感想を分けるポイン
トだ。

超常現象とは言いかえると「奇跡」だ。聖書には数々の「奇跡」が登場する。
上記「作品と宗教」で紹介した聖書の物語のように、多くの「奇跡」の物語を
読んでみるとよいだろう(聖書は永遠のベストセラーといわれている)。

シャラマン監督の作品は、その結末や内容についてくわしく書くと「ネタバレ」
になってしまうので、ストーリーについてコメントできないが、注目するとよ
いキーワードはこれだ。

・都市と農村
・椅子
・第1世代と第2世代

また、演出上の巧さで光るのは、アイヴィーが視力を失っているという設定に
していることだ。

盲目であるがゆえに、アイヴィーはみんなとは違う方法で世界が見えるという。
作品中でもアイヴィーは中心的キャラクターで、彼女の視線で物語が進行する
ことが多い。例えばある村人は知っている事柄を、アイヴィーがはじめて知る
シーンがある。そのとき、アイヴィーが「あるモノ」を前にしても、すぐにそ
れがなんなのかはわからない。視力を失っているので、なにかの気配は感じて
も、それがなんなのかはわからないからだ。このシーンで観客は完全にアイヴ
ィの立場になりきっているので、彼女と共に「あるモノ」がなんなのかに興味
を持ちつつも、なかなかその正体がわからずにハラハラドキドキするといった
仕掛けになっている。

また、アイヴィーが「彼ら」に遭遇するシーンがある。観客には「彼ら」が見
えていている。しかしアイヴィーはその「気配」を感じていても、見えてはい
ない。そのとき観客は、自分には見えている状況と、アイヴィーの状況の2つ
を感じることができる。こうした2つの視点をもたせることで、そのシーンが
より緊迫したものになっている。

愛によって支えられた勇気と行動力によって、アイヴィーは文字どうり、みん
な(第2世代)とは違う世界を垣間見ることになる。

物語の結末は一応ハッピーエンドではあるのだが、いくつもの余韻を残すもの
となっている。アイヴィーが垣間見た真実の一部と村の未来……。

(「余韻」とは、作品が終わっても、その先に思いが走る(イメージしたくな
る、知りたくなる)ということだ。)

「ヴィレッジ」の超常現象を受け入れられるかどうかが、観客の評価や感想の
分かれ目だろう。

話題性、宣伝、演出等、見どころが満載である。
映画制作にかぎらず、イベントやマーケティングや商品開発や顧客サービスな
どに、とても参考になるだろう。

「ヴィレッジ」は愛の物語である。
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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Tracked on 11/27/2004 at 02:45

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