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09/01/2004

より良くしつづけること(改良)

〈カテゴリ:マーケティング〉

「顧客の満足度向上につながるサービスや製品の改良・改善のため、アンケー
トにお答えください。アンケートに答えてくださった方にはサービス券をもれ
なく差し上げます」

こんな文が書かれたアンケート用紙の記入をお願いされたことはないですか?
たいていはいくつかの項目(店員の対応はいかがでしたか? 製品の使いやす
さはいかがですか? 等」について「よい」「ふつう」「まあまあ」「わるい」
のどれかに丸を付けるといったもので、その他の欄に、お気づきの点やご希望
をご記入くださいという場合もあるでしょう。

こういったアンケートは、アンケートの作り手が想定した答えしか得られない
ことがほとんです。なぜなら、あらかじめ項目をつくると、項目以外の事柄に
ついては知ることができないからです。その他の欄があったとしても、オマケ
程度にとって付けたような欄では、顧客の希望を聞き取ることはむずかしいで
しょう。

また、このようなアンケートでは、ある項目についてなにが「よい」のか「わ
るい」のかわかりません。

そうすると、こういったアンケートは、ある種の「ポーズ」だと思われてしま
うかもれません。
どんな「ポーズ」なのか? それは「我が社では、お客様のご希望に添えるよ
うにしていますからね」というポーズだ。

もう一度、冒頭の文章を注意深く読んでみましょう。
「顧客の満足度向上につながるサービスや製品の改良・改善のため、アンケー
トにお答えください。アンケートに答えてくださった方にはサービス券をもれ
なく差し上げます」

よく読むと、アンケートに答えたからといってサービスや製品の改良・改善を
「する」とは書いていないことがわかります。アンケートをしたからといって、
それは改良・改善のための参考データにするのであって、改良・改善を実行す
るとは書いていないのです。

実行すると言っているのは、アンケートに答えたくれた人にサービス券を差し
上げる、ということだけです。これは「アンケートを実施した」という「形」
=「ポーズ」をとるために思いついたものだと思われてしまうかもしれません。

ここで、前号でご紹介した「DAHON」を例にみてみましょう。

「DAHON」――アメリカ合衆国の折り畳み自転車専門ブランド。
 
DAHONのカタログにはこう書いてあります。

「お求めいただいた後、さらに希望することがございましたら、ご遠慮なく
ご連絡ください。お客さまの満足度を高める為の改良をしたいと思います。」
(引用:「DAHON」 2003年カタログより)

アンケート用紙に記入をお願いするのではなく、客の希望を自由にお知らせ
ください、としています。

そして、実際にDAHONは毎年、自社製品(折り畳み自転車)を改良しつづけて
います。ほとんどの車種に共通する基本的なフレームの形状(中折り式)は変
わりませんが、ハンドル、ホイール、フォーク、サドル、ディレーラー等や、
フレームの細かな形状の改良を繰り返しています。

特に2003年には「バイオロジック・フレーム・ジオメトリー(BIOLOGIC FRAME
GEOMETRY)」と題して、ホイールベース、フレーム・アングル、フォーク、フ
レーム重量配分と、あらゆる点を1から見直し、それを基に設計をやり直し、
車輪のふらつきを無くし、直進性能が向上したフレームを完成させているとし
ています。

こうして2003年に大きな設計からのやり直しをしたにもかかわらず、翌年の
2004年モデルでもまた、さまざまに改良しています。

たいていは、こう思ってしまいがちですよね。つまり、一度大きな改良をした
ら、しばらくはそのままのモデルで売っていけば随分ラクできるだろう――と。

これについて、「DAHON」とは反対の例があります。
第二次大戦後のアメリカ合衆国のクルマメーカーは、売れつづけるために、色
とスタイルという見た目を変えるだけのモデルチェンジを毎年繰り返していま
した。中身はそのままでエンジンもプラットフォームも同ものを10年も使い続
けたのです。売れているときはこうしたやり方でよいと思い込み、新しい時代
の変化に対応できなくなっていました。

そのため、やがてオイルショックによって起こった、クルマを選ぶ基準の変化
に対応することができませんでした。オイルショック後は燃費という基準でク
ルマを選ぶようになり、環境運動が始まったからです。

「DAHON」は折り畳み自転車を毎年改良しています。
毎年改良されると、前年の製品を買った人のなかには、自分が買った製品が
「良くないモノ」だと感じてしまうかもしれません。でも、その年度では最良
のものにしようと考え抜いて発売された「良い製品」であることに変わりはあ
りません。

どんなものにも「完璧」はありません。できることは、いま「最良」だと言える
ものを提供しつづけること
です。そうすれば人々の信頼を得ることができるでし
ょう。なぜなら、あのブランドはより良くしていくために研究して、改良すべき
点を発見・認識して実行する、と実感すれば、応援したくなるからです。応援す
るのは、その対象(ブランド)が行動を通して示した理念や製品を、信頼してい
るから
なのです。
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∇参考になる映画作品
「マイノリティ・リポート(Minority Report)」
 スティーヴン・スピルバーグ監督/2002年/アメリカ
 作品レビューはこちら
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主人公ジョン・アンダートン(犯罪予防局チーフ)は、完璧なシステムは存在
しないが、よりよくしていくための努力と行動を惜しまず、少数意見にも耳を
傾ける、そんなキャラクターです。そういった意味での「理想」を追い求める
ことになるジョン・アンダートンに観客はヒーローの姿をみるのです。

ヒーローはなにも映画の中だけにいるのではありません。映画のヒーロを応援
するように、企業やブランドを応援することだってあるのです。

【まとめとポイント】-------------------------------------------------

●「形だけ」や「ポーズだけ」はすぐに見破られる。

●完璧はない。すべきことは、最良のものを提供しつづけていくこと。
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メールマガジン「ディズニー&ピクサーでみつけようゲスト感動のヒント 」

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