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09/02/2004

「ぼくセザール 10歳半 1m39cm(MOI CESAR 10ANS1/2 1m39)」

リシャール・ベリ監督/フランス/2003年/99分

ぼくセザール10歳半 1m39cm スペシャル・エディション
ジュール・シトリュック リシャール・ベリ マリア・デ・メディロス ジャン=フィリップ・エコフェ
角川エンタテインメント 2005-01-14


by G-Tools

●少年の目線で描いた日常がドキドキの冒険物語になっています。

Story(ストーリー)
―――――――――――――――――――――
セザールはモルガンの父親探しを手伝ってロンドンへいく。


Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△セザール・プチ
 男の子。10歳半、1メートル39センチ。ちょっと太め。甘いものが好き。
 
△モルガン
 男の子。セザールの親友。成績優秀。スポーツ万能。

△サラ
 女の子。学校一の美女。セザールが恋心を寄せる。


Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
●少年の目線で描いた日常がドキドキの冒険物語になっています。

セザール・プチ。10歳半。身長1メートル39センチ。ちょっと太めで甘いものが大好きな男の子です。

物語はセザール君の目線で進行します。そのため、撮影は一貫して1メートル39センチのカメラポジションで行われました。また、自己紹介や現状の説明や思っことや感じたことは、セザール君本人のナレーションによってなされます。

ナレーションという手法は、登場人物の感情を言葉で説明するので、映像とは相性がよくありません。言葉で説明するのならば、小説のほうがいいからです。

でも、一貫して子供(セザール君)の視点で物語を進めていくこの作品では、ナレーションをうまく使っています。セザール君の心情がナレーションされるので、早い段階で感情移入して子供の視点で世界をみることができるのです。

セザール君の日常での一番の感心事は、同級生で学校一の美女、サラです。

サラのような美人は、モルガンみたいな男の子と仲良しになるのだろう。だってモルガンは勉強もスポーツも優秀だから。それに比べて自分は甘いの大好き(学校のみんなには秘密だけど)だからちょっと太っちょだし、勉強はがんばればそこそこできるだろうけど、あまり成績が良過ぎてもみんなに嫌われるのでふつうぐらいがちょうどいいのだ……。とにかくサラと仲良くなりたい!

そんなセザール君の毎日はちいさな(プチ)冒険の連続です。やがてセザールとサラはモルガンの父親探しを手伝って親には内緒でロンドンへいくことに! 

テレビ業界では、視聴率が取れる企画の上位には必ずといってよいほと「ラーメン」が入っていると言われます。

映画やドラマ作りでは、主に次の3つを使うとヒットしやすいといわれます。それは、子供、動物、病気です。

この3つは、かんたんに観客をうなづかせてしまう魔法の杖です。「子供だから」「動物だから」「病気だから」と言われれば「それじゃしょうがないね」と言ってもらえるのです。

そのため、これら3つのどれかひとつでも題材にすればうまくいくだろうと思いがちです。

でも最近の観客はたくさんの感動作品を観てきていますから、ちょっとした思い付き程度で作られた作品では、感情移入してもらうどころか「わざとらしい」という印象を与えてしまって、そっぽを向かれてしまうことでしょう。

そうは言ってもこの3つのどれかを使えば、そこそこ観客が集まるのでつい使われがちです。

みなさんも、いままで感動した作品を思い浮かべてみてください。いくつか思い浮かんだなかで「子供」「動物」「病気」をメインの題材にしていない作品はありますか? もしあったとしたら、それはとても完成度の高いすばらしい
作品でしょう。

「子供」「動物」「病気」の3つは「オタスケマン」みたいなものです。自力でなんとかできそうもないとき、助けてくれるのです。助けてくれたからといってそれに甘えてはいけません。観客はオタスケマンを使っていることはわっていますから、それだけ作品にたいする目が厳しくなっています。

「ぼくセザール~」は「子供」という「オタスケマン」を使っているというよりも、「セザール君の目線で見た日常」という世界観を確立して物語っていまるといえます。オタスケマンを使っているようで(厳密には使っていると言えますが)、使っていることをほとんど意識させません。それは、作品が完全にセザール君の目線で物語られているためです。

登場人物に「子供」がいても、観客がその目線になりきってしまえば、それは「子供」ではなく、もうひとりの自分となるのです(感情移入)。

「ぼくセザール~」では感情移入のためにナレーションを使っていることは先にお話しましたが、こうしたことは、フランスというお国柄がけっこう影響しているのではないかと思います。

というのは、フランスは情緒的なものや心情風景の美しさに価値を見い出す傾向があります。これは日本と似ている点です。

よく、かつての日本の小学校の作文でよい点をとるには、ある事柄についてどう思ったかをきれいな言葉で書けばよい、といわれます。つまり、そのとき私はどう思ったか、を主観的な言葉で情緒的に美しく書くとよいというのです。

心情風景の美しさに価値があるとするのは、どこの国や地域でもあることでしょう。国や地域によって違うのは、心情風景の美しさを表現する方法です。

日本やフランスでは、登場人物の内語をナレーションすることで、心情風景を表わす傾向があるのです。

そういえば「アメリ」でも、ナレーションがたくさん使われていましたね。

そうそう、今後、青春時代を描いた『ぼくセザール 15歳 ~』、そして大人になった『ぼくセザール 20歳 ~』と3部構成で続編を作るらしいですよ。

(第12回フランス映画祭横浜2004観客賞受賞)

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ぼくセザール10歳半 1m39cm
Richard Berry Eric Assous 山田 蘭
角川書店
2004-07


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