だれのために?
話のなかで、主題(主役)はだれなのかわからなくなることはありませんか。
例えば「猫と暮らせるマンション」販売開始のお知らせで考えてみましょう。
今回発売となった「猫と暮らせるマンション」には、猫と快適に暮らせる設備
が充実しています。たとえば、当マンションにはエレベーター2つあります。
これは、猫が苦手な人が来たときに重宝します。
注目してほしいのは「猫が苦手な人」というところです。
そのエレベーターは、だれにとって重宝するのでしょうか。
〈1〉猫にとって苦手な人間が来たときに、猫と猫好きな人だけが乗れるエレ
ベーターを用意しています。
↓ ↓ ↓
これはちょっとおかしな文ですね。なぜって、猫にとって苦手な人間とは
どんなかは猫に訊いてみなければわかりませんから。
この文での主題(主役)は猫です。猫の立場からの利点を述べています。
〈2〉猫のことが苦手な人間がマンションにやってきたときに、人間専用の
エレベーターを用意しています。
↓ ↓ ↓
この文での主題(主役)は人間です。人間の立場からの利点を述べていま
す。
「猫が苦手な人」というのは、二つの意味にとることができます。
「猫にとって苦手な人」と「猫のことが苦手な人」の二つです。
「猫と暮らせるマンション」の説明文では、人間と猫の両方にとって住み心
地がいい設備が揃っていることをアピールしたいわけです。
こういった場合、最終的にマンションを買う決定権を持っているのは人間で
すが、猫にとっていいかどうか、というのがマンション購入の際の重要項目
にする人が多いでしょうから、猫の立場になってよいかわるいかを説明する
こともあるでしょう。
そのときに、人間を主題(主役)にして説明しているのか、猫を主題(主役)
にして説明しているのか、話している(書いている)ほうはわかっていても、
聞いている(読んでいる)ほうはごっちゃになってしまうかもしれません。
★解決策は、「人間にとってここがよい」と「猫にとってここがよい」と、
はっきり分けて説明することです。
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