愛・帰属意識―「モンスターズインク」―
〈カテゴリ:映画で読み解くマーケティング〉
こんな話を一度は聞いたことがあるだろう。
「人」という字はヒトとヒトがお互いに寄り掛かり合っている。だから、人は
ひとりではなく、お互いに支え合いながら生きていくものなのだ――。
人は人とのつながりを求めている。人と人のつながりによって、親友との出会
ったり、家族を持ったりするようになる。やがてグループやコミュニティを形
成していく。
「モンスターズインク(Monsters Inc)」の主人公サリーはモンスターズ
インクという会社のトップ社員だ。モンスターズシティのみんなから尊敬され
ている人気者でもある。
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「モンスターズインク(Monsters Inc)」作品レビュー
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自分が属するコミュニティや世界(モンスターズシティ)で英雄的地位にいな
がら、みんなに親しまれているサリーは「愛・帰属意識」の欲求は完全に満た
されている。
だが、人間の女の子ブーと出会うことでサリーは、自分の輝かしいキャリアと
地位を失う危険にさらされる。それは相棒のマイクのキャリアにも関係するこ
とで、それまで良き相棒関係を続けてきた二人の友情を壊してしまうかもしれ
ない。それでもサリーは、ブーを人間の世界に帰してあげようとする。
観客はそんなサリーに深く感情移入して、応援したくなるのだ。
自分がどのコミュニティに属するのか、コミュニティの中でどのようなポジシ
ョンにいるのか、というのはたいへん重要に思えるものだ。モンスターのサリ
ーだってそうなのだから、人間ならなおさらのことだろう。
グループやコミュニティや共同体は、人に安心感を与えてくれる。だが依存す
ればするほど、たとえコミュニティの方針などが、自分の良心や信念と違って
いると感じたとしても、その思いは心の奥底に深く押し込んで蓋をしてしまい
がちだ。
かつての日本では、より大きなコミュニティに属することが良いことだと言わ
れていた時代があった。コミュニティがどういう性格のもので、どういった考
えと方向性を持っているかは重要視せず、ただ大きくて、みんなによく名前が
知られているコミュニティが良いとされていたのだ。
こういった基準では、それが自らの意思と行動で属したコミュニティと言える
だろうか。
自らの意思と行動で属したコミュニティが、自分の良心や信念と違った方向へ
行こうとしていると感じたならば、コミュニティを良くしようとなんらかの働
き掛けをするだろう。そうした行動が全く無駄だと感じたなら、自分の良心と
信念に合うコミュニティに入りなおせばよい。
コミュニティについて参考になる映画作品こちら↓
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「ザ・ファーム 法律事務所(THE FIRM)」
シドニー・ポラック監督/1993年/アメリカ合衆国
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「刑事ジョン・ブック 目撃者(WITNESS)
ピーター・ウェアー監督/1985年/アメリカ合衆国
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大事なことは、良心と信念に従い、自らの意思と行動で、よりすばらしいコミ
ュニティに属することだ。
そうは言っても、自分に合うすばらしいコミュニティにそうそう出会えるわけ
ないと思うかもしれない。
だが、幸いなことに、みなさんはもうすでに、すらばしいコミュニティに属し
ている。
そう、「地球」というすばらしいコミュニティに属しているのだ。
前号で少し触れたが、人は、そこそこ満たされ「欲望」の上限がみえてしまう
と、人は新たな種類の「欲しい」という感情が生まれる。
それは、必要最小限のモノだけがあればいい、という考え方だ。シンプルで機
能的で耐久性のあるよいモノが欲しいということになる。
こういった条件を満たしたモノがあれば、すこしぐらい高価に感じても「欲し
く」なるのだ。
条件を満たした上でさらに、もうひとつモノに「意味」があるとなおよい。こ
の「意味」とは人間の欲求――愛・帰属意識――に関するものだ。
ある製品(モノ)を買うことによって、すでに属している、より大きなすばら
しいコミュニティに貢献できるとしら??
製品(モノ)を買うことに、こうした「意味」が付け加えれるならば、その製
品を使いつづけるかぎり、コミュニティに貢献している実感を持つことができ
る。
そのためには、機能的で実用的で耐久性があるしっかりした製品(モノ)でな
くてはならない。
「製品(モノ)の良さ」と「意味」の2つが必要なのだ。
【まとめとポイント】-------------------------------------------------
●人は人と関わって生きている。
●人は、より偉大で信頼できるコミュニティに属したいという欲求がある
(愛・帰属意識)。
●信頼できるコミュニティに貢献している実感を持つことができる製品やサー
ビスを提供する。
★「製品(モノ)の良さ」と「意味」が必要。
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