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スパイダーマン2(SPIDER-MAN2)

スパイダーマン 2 デラックス・コレクターズ・エディション
トビー・マグワイア
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2004-12-03


by G-Tools

サム・ライミ監督/2004年/アメリカ
原作:スタン・リー

●青年の恋を描いた青春と成長の物語

Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ピーター・パーカー
 大学生。スパイダーマン

△メリー・ジェーン・ワトソン
 舞台女優。ピーターの同級生。

△ハリー・オズボーン
 ピーターの同級生。

△Dr.オットー・オクタヴィウス(Dr.オクトパス)
 科学者。


Comments(論評、批評、意見)
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●青年の恋を描いた青春と成長の物語

∇主人公への感情移入
前作でグリーン・ゴブリンと戦ってから2年後、ピーターは大学生となった。
だが、ピザ屋や新聞社のカメラマンのバイトで忙しく、大学の授業に出席でき
ずにいる。

すでにスパイダーマンとして生きていく決意を固めたピーターは、愛する人
――メリー・ジェーン(MJ)――を守るために自分がスパイダーマンだとはだ
れにも明かさないようにしている。

そんな状況が作品のセットアップで見事に描写されている。
ピザ屋の宅配をするピーター。29分以内に必ず届けなければクビになってしま
う。時間的制約があるなかでピザを載せたスクーターで渋滞の道路をすり抜け
て疾走する。いよいよ時間がなくなると、スパイダーマンになってビルとビル
の間を飛んでいく。途中で、車に轢かれそうになっている子供を助ける。そう
こうしているうちにピザの宅配が遅れて、クビになってしまう。

アパートの家賃は滞納しており、お金が必要だ。そこでスパイダーマンの写真
を新聞社に売るが、まだお金は足りない。

そもそも、この新聞社は部数増加のためにスパイダーマンは悪者だという記事
を書いているのだ。

ピーターはスパイダーマンとしての正義の行動を邪魔するかのような新聞社に、
お金のために写真を渡して協力してしまっているという、なんともやりきれな
い思いだ。

さらに、親友のハリーは、父(グリーン・ゴブリン)を殺したのはスパイダー
マンだと思い込んで、復讐を誓っている。

そうした理由で、ハリーは父の仇のスパイダーマンを追っかけて写真をとって
いるピーターの行動を快く思っていない。

ピーターはハリーに「親友ならスパイダーマンの居所を教えてくれ」と頼まれ
る。

そして、愛するメリー・ジェーンの舞台を観にいこうとしても、途中で事件を
を聞きつけるとスパイダーマンになって悪を退治に行ったり、人々を助けたり
するので、遅刻して舞台をみることができない。

メリー・ジェーンはすれ違うばかりの恋を諦め、よく舞台を観にきてくれる男
性と婚約する。

すべてはスパイダーマンであるがために、大事な友人や愛する人を失っていく。
そんなピーターに観客は最大限の感情移入をする。

また、ピーターが持つ蜘蛛の特殊能力は、主人公の弱さである。常人にはない
特殊能力を持っていることがかえって弱さになっている。人より優れたものを
持っていることが、主人公の弱さになっているのだ。

観客は主人公の弱さに感情移入する。そして、観客は主人公の弱さの基でもあ
る特殊能力に魅せられる。特殊能力が映像的にすごいからだけでなく、その特
殊能力を正義のために使うことに声援をおくるのだ。

スパイダーマンとして活躍すればするほど、ピーターの大事な人は遠く離れて
いく――。

観客と主人公が一体となったとき、そこに真のヒーローが生まれる。

この作品は、観客の、主人公への感情移入がいかに大事かということを示して
いるよい見本だ。

∇笑い、ユーモア
要所におもわず笑ってしまうシーンがある。笑いやユーモアを取り入れる場所
や頻度や内容など、天性のセンスともいうべきものを持っているといっていい
サム・ライミ監督(※)の手腕が発揮されている。

∇細部
大学に通うピーターのディバッグのショルダー部分が千切れそうになっている
のだろう、そこに布だかテープだがを巻いて補修していた。
画面にはほんのちょっとしか映らないのだが、こうした細部は作品の雰囲気を
しっかり作り上げるのに大いに役立つ。
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※ サム・ライミ(Sam Raimi)
  映画監督。アメリカ・ミシガン州出身。83年「死霊のはらわた」のヒット
  で人気監督に。作品に「ダークマン」「ギフト」等。
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Spider-Man 2 [Original Soundtrack] オリジナルサンウンドトラック
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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Tracked on 01/25/2005 23:39

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前作ではスピードでしたが、今作ではパワフルなアクションシーンが展開されます。 車をも投げ飛ばすパワフルな4本の人工アームを使ったドック・オクとのバトルは、間違いなく前作以上の大迫力です。 また、メリー・ジェーンが婚約したことによりピーターの焦りや想いが一層... [Read More]

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