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05/17/2004

ドリームキャッチャー(DREAMCATCHER)

cover
「ドリームキャッチャー(DREAMCATCHER)」
ローレンス・カスダン監督/2002年/アメリカ
原作:スティーブン・キング/

●一本の映画作品にするため、プロット(物語の筋)を詰め込むことに手一杯
 で、キャラクター個々の内面や、キャラクター同士の絆や仲間意識を深く描
 くには至っていない

〔1〕プレミス(Premise)
   ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア

―――――――――――――――――――――
不思議な体験を共有した4人の少年が、20年後に大人になり、迫り来る恐怖
に立ち向かう。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
ジョーンジー、ヘンリー、ピート、ビーヴァーの4人は年に一度、北方の山小
屋で会い、旧友を温め合っていた。やがて森の動物達が大移動をはじまる。傷
を負った人をみつけて介抱するが、それがもとで奇妙な生物に遭遇する。4人
は20年前に助けた少年ダディッツに不思議な能力を授かっていたことから、
人類に迫り来る恐怖に立ち向かってゆく。
 

〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△ジョーンジー
 大学助教授
 
△ヘンリー
 精神分析医

△ピート
 車のセールスマン

△ビーヴァー
 大工

△ダディッツ
 不思議な能力を持つ少年

△カーツ大佐
 特殊部隊ブルー・ユニットの指揮官
 
△オーウェン・アンダーヒル
 カーツ大佐の副官


〔4〕エクスターナル・コンフリクツ(External Conflicts)
(主人公を危険や不安に陥れようとする敵や第三者によって作り出される困難)

―――――――――――――――――――――
主人公を危険や不安に陥れようとする敵や第三者とはなんなのか、作品の宣伝
では明らかにしていない。
 
「夢の番人、ドリームキャッチャー いま、ひとつの悪夢が、その網をくぐり
 抜けてしまった」

と「ひとつの悪夢」という表現をしているため、その悪夢とは具体的になんな
のかと知りたくなる。しかしこれは、原作を読んでいない人にあてはまること
である。予備知識なしで映画作品を観ると、敵や第三者がなんなのかわかった
時点で、期待していた作品の雰囲気や方向性との違いを感じる人もいることだ
ろう。たとえそうであっても、ここまでの時点で、登場人物たちに感情移入し
ていれば、 この「敵」に立ち向かって行くジョーンジーやヘンリーを応援す
るだろう。
 

〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
一本の映画作品にするため、プロット(物語の筋)を詰め込むことに手一杯で、
キャラクター個々の内面や、キャラクター同士の絆や仲間意識を深く描くには
至っていない。

主な4人の登場人物は、少年の頃に、その後の人生を変えることになる、ある
秘密を共有した。そのことで超自然的な能力を得たが、それによって名声を得
たり、富を得たり、といったことはない。むしろその逆である。

例えば、車のセールスマンであるピートは顧客が無くした、車のカギを見つけ
てあげる。だが、顧客からは気味悪がられてしまう。
精神分析医のヘンリーは、能力によって、患者の1人を失ってしまう。
 
超自然的な能力を持つことで、日常生活では孤独感や疎外感を感じてしまうこ
ともある。そうであるからこそ、ある秘密を共有した4人同士は、お互いの苦
しみや悩みがよくわかり、深く強い絆で結ばれているのだ。
 
4人が深く強い絆で結ばれている、ということが重要である。(残念ながら原
作を読んだことがないのだが)原作ではおそらく4人それぞれの現状がくわし
く紹介されているのだろう。小説の有利な点は、登場人物の内面を深く描くこ
とができるということである。超自然的能力のために登場人物は普段どのよう
な生活をおくり、どのように感じているのかが、読者の心にじっくりと伝わる
ことだろう。
 
映画の有利な点は、動き(アクション)を表現しやすいことである。短時間の
うちに数シーンで登場人物たちの内面を深く描くことは難しい。

こうしたことから、4人がいかに深く強い絆で結ばれているかが、しっかりと
観客に伝わるまでには至っていない。

また、なぜ4人の男たちが、人類の運命を背負って、危険や不安に陥れようと
する敵や第3者に立ち向かうことになるのか? なぜ、この4人の男たちなの
か? それは、少年の日にある秘密を共有し、それによって超自然的能力を得
たから。そしてそれは、すべてダディッツに関係することで、大人になったジ
ョーンジーが死にかけるほどの交通事故にあったことも、すべて、人類を救う
ために予めダディッツによって用意されたことだったのかもしれない、とされ
ている。

このあたりの細かいことは、原作を読めばよくわかるのだろう。だが映画作品
にこれらすべての事柄をわかりやすく映像の形で観客に説明するためには、長
い上映時間が必要だ。

スティーブンキングの小説は、巧みなプロット構成で人間の本質的な部分や人
間の内面をじっくり描くエンタティメント作品が多い。過去、多くのスティー
ブンキング作品が映画化されたが、ヒットした作品の多くは人間の心の内面を
じっくり描いた作品だ。(例「ショーシャンクの空に」 「グリーンマイル」

「ドリームキャッチャー」では、軍隊のヘリコプター部隊が「敵」に攻撃をし
かける等、映像的に派手な勢いのあるシーンが撮れるため、登場人物の心の内
面よりも、見た目の派手さが宣伝としてひとり歩きしてしまった。

「敵」の姿形は「エグい」系であるが、動きは意外と、ジョーク系もしくはギ
ャグ系である。
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「ドリームキャッチャー〈1〉」新潮文庫
  スティーヴン キング (著), Stephen King (原著), 白石 朗 (翻訳)
「ドリームキャッチャー」オリジナル・サウンドトラック
  ジェイムズ・ニュートン・ハワード
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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