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05/21/2004

ドーン・オブ・ザ・デッド(DAWN OF THE DEAD)

B000FI9OZOドーン・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット [DVD]
ジェイムズ・ガン
ポニーキャニオン 2006-07-19

by G-Tools

ザック・スナイダー監督/2004年/アメリカ
『 ゾンビ―DAWN OF THE DEAD (1978)』のリメイク作品

●時代を象徴する「スピード感」に、セットアップとエンドロールの巧みさ
 が光るゾンビ作品

〔1〕ログライン(Log line)ストーリーを述べてある一文
―――――――――――――――――――――
突如、原因不明の病が世界を覆い、死者がゾンビとなって、生きている人間を
襲う。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
看護士のアナが朝目覚めると、近所に住む少女が寝室の入り口に佇んでい
た。血まみれだ。アナの夫が少女に駆け寄って様態をみようとする。その
とき少女が噛み付いた! 夫は血を噴き出して数分で亡くなる。――が、す
ぐによみがえり、アナを襲いはじめる。
アナはなんとか家の外へ避難する。ゾンビたちが町を暴れ回っているなか
を車で走り出す。途中で事故にあい、意識を失うアナ。
意識を取り戻すと、生きている人間たちに出会う。アナたちは町のショッ
ピングモールに避難する。
やがてもっと安全な場所を求めてショッピングモールを出ることにする。群
衆となって襲いかかるゾンビの山を、補強した2台のシャトルバスで突破し
て、港から船でゾンビのいない安全な島をめざす。


〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△アナ
 看護士


〔4〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
時代を象徴する「スピード感」に、セットアップとエンドロールの巧みさが光
るゾンビ作品。

ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ(DAWN OF THE DEAD)」では、ゾンビの
動きはゆっくりだった。足をひきずるようにしてゆっくりと徐々に近づいてく
るのだ。ゆっくりした動きは、異形なものが象徴する恐怖の対象への想像力を
刺激して、じわじわと外堀が埋めたてられていく感覚を味わうことができた。

これに対してスナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」では、すべての
ゾンビがアスリートにでもなったかのような猛烈なダッシュを披露する。それ
は十日間なにも食べていない肉食猛獣百匹がひと切れの肉をみつけて猛然と突
進するかのようだ。

時代を象徴する「圧倒的なスピード」。
ロメロ監督の「ゾンビ」をはじめとする当時のゾンビ作品は、なにか得体のし
れない異質なものが、自分たちの伝統やテリトリーをじわじわと侵してくるこ
とへの嫌悪や恐怖を描いていたという一面がある。嫌悪や恐怖はあくまで「じ
わじわ」とやってくるものだった。

これに対してスナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」のゾンビは、言
うなれば「ソッコウ(速攻)」である。ゾンビに噛まれた傷の大小により感染
(死)への時間的に早い、遅いの差はあるが、「死→ゾンビ→生者を襲う」と
いう段階がアッという間に進行するのだ。ゾンビになったら、たとえついさっ
きまで最愛の人だったとしても、一瞬の躊躇もなく頭を破壊するか炎で焼き尽
くすかしなければ、自分の身が危険になるのだ。

人の移動を例に考えてみても、かつては馬に乗っていたのが、モーターバイク
や車や電車にとって代わった。
データの移動を例に考えてみても、かつては人が配達していたのが、インター
ネットを使えばわずかな時間で地球の裏側へだって送ることができる。

現代を象徴するのは「スピード」だ。人類の歴史のなかでも最近100年の急激な
科学技術の進歩による、人間を取り巻く環境変化のスピードはおそろしく速い。
「速さ」「スピード」への反動として、本来、人間が自然とともに共存してい
たであろう、はるか昔の時間の流れを取り戻そうという考えが、例えば「スロ
ーライフ」といった言葉で表現されることもある。

恐怖とはなにか。それは時代や人によってさまざまだ。だが現代では、スピー
ドが恐怖の対象となっている。それは、ビジョンなく走り続ける人間がやがて
自然界から大きなしっぺ返しを受けるかもしれないという不安と自責の念が入
り混じった複雑な感情が基になっている。

ロメロ監督の「ゾンビ」とスナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」の
違いをもう1点挙げよう。それは恐怖の対象が人間かゾンビかという点だ。

ロメロ監督の「ゾンビ」をはじめとするゾンビ作品群は、ゾンビが襲ってくる
という内容であっても、強く描かれたのは「人間」――人間の本性といったも
のだった。

スナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」は、ゾンビが襲ってくるとい
う内容であっても、強く描かれたのは「時代のスピード」だ。

ショッピングモール内における人間関係での対立はいくつかあるのだが、それ
は人間のエゴや自己保身や傲慢や貪欲などの負の面をじっくり描くというより
も、愛する者を失うとわかっていてもそれでも愛さずにはいられない人間の正
の面を描くことに力を入れている。

アナたちはショッピングモールでそれぞれ自分たちなりに楽しみをみつけて生
き延びることができてはいるが、それはその場しのぎの気休めといったものに
過ぎない。
どこかにゾンビがいない安全な場所があるはずだと、港から船で新天地の島へ
出発しようとする。
閉塞感を打破して安らぎの地へ。ユートピアを求めて危険を承知で旅立つアナ
たち。はたして安らぎの地はあるのか。

この作品はセットアップから最後のエンドロールまできっちり観客をつなぎと
めておけるようになっている。
簡潔なセットアップ。興味を惹き続けるエンドロール。「掴み」と「余韻」。
これらは映像作品にかぎらず、いろいろなところに応用できるだろう。参考に
してもらいたい。

有名な作品のリメイクなので、ストーリーにどんでん返しや意外性はないが、
時代が変われば描き方がどう変わるかというよい例だ。

ちなみに「28日後(28 DAYS LATER)」のゾンビもダッシュで走る。
こちらはどちらかというと「人間」を描いている。主人公の青年ジムの変貌ぶ
り(内面・外見・行動力)がみどころだ。
また世界観もしっかりしている(制作にイギリスとオランダが参加している)。
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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Comments

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Tracked on 12/26/2004 at 23:35

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