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04/10/2004

ダークネス(DARKNESS)

cover
「ダークネス(DARKNESS)」
ジャウマ・バラゲロ監督 2002年 スペイン

○カットを多用した映像表現でホラー性を高めた作品

〔1〕プレミス(Premise)
   ストーリーが発展していくための基礎となるアイデア

―――――――――――――――――――――
40年前の皆既日蝕の日に7人の子供が失踪した。次の皆既日蝕で再び事件が起
こる。


〔2〕ストーリー(Story)簡略に
―――――――――――――――――――――
スペイン郊外の森で7人の子供が失踪した。ひとりだけ発見された男の子は
「丸い家」「暗闇」といった言葉を呟くだけだった。
40年後、ある一家がスペイン郊外に引っ越してきた。すぐに家の電気が時々消
えるようになり、幼いポールは暗闇を怖がるようになる。父の病気も悪化して
いくなか、娘のレジーナは40年前にあった子供たちの失踪事件を知る。次の
皆既日蝕が近いことを知ったレジーナは家族を救おうとする。

 
〔3〕Main Character(主な登場人物)
―――――――――――――――――――――
△レジーナ
 高校生ぐらい。アメリカからスペイン郊外へ越してきた。神経症になっていた
 父の療養のためである。

△ポール
 レジーナの幼い弟。越してきてから暗闇を怖がるようになる。

△マーク
 レジーナの父親

△メアリー
 レジーナの母親

△カルロス
 レジーナのボーイフレンド。レジーナが家のことを調べるのを手伝う。

△アルベルト
 レジーナの祖父


4〕・1 モチーフ
     (繰り返されるイメージ、リズム、サウンドといったもの)

―――――――――――――――――――――
水、円形、緑の色鉛筆。
レジーナは毎日のようにプールで泳いでいる。またレジーナは、雨の日に家の
前に佇む老人を見かける。

レジーナたち一家が越してきた古い家は、たくさんの円形を取り入れた設計に
なっている。

幼いポールが色鉛筆で絵を描いていると、緑の鉛筆がひとりでに床を転がって
いく。色鉛筆の形も円形である。

こういったモチーフを繰り返すことによって、観客がある特定の要素に焦点を
合わせやすくなる。
 
水 →霊をシャットアウトするもの。
円形→永遠の象徴。
緑 →7を意味する。


〔4〕・2 反復と対比
―――――――――――――――――――――
▽反復
毎日のようにプールで泳ぐレジーナは、家にいると落ち着かない、とボーイ
フレンドのカルロスに話す。
何度も水に触れることで、家にまつわる霊的なものから身を守ろうとする様
子が描かれている。

▽対比(街と郊外)
レジーナたち一家が越してきた古い家は郊外にある。だが、車で10分ほど
行くと街にでる。街には医者である祖父のアルベルトが住んでいる。
街と郊外の家を対比することで、円形の家の不気味さを強調している。また、
レジーナは街に出ることによって円形の家の情報を得て、謎の核心に迫る。

また、街と郊外の対比は、ストーリーのクライマックスにおいて、観客をハ
ラハラさせるための伏線にもなっている。つまり、街と郊外の物理的な「距
離」を利用することで、緊張感を高める役割を果すことになるのである。


〔5〕Comments(論評、批評、意見)
―――――――――――――――――――――
カットを多用した映像表現でホラー性を高めた作品である。
 
40年前の皆既日蝕の日にいったい何があったのか。ひとりだけ発見された男の
子の曖昧な記憶――。それらが、父マークの発作時などに、断片的な映像とし
て挿入される。

また、レジーナの家族が住む家のシーンでも、失踪した子供達の姿がフラッシ
ュバックのように、繰り返し挿入される。

▽カットバック技法(交互モンタージュ)
別の場所で同時に行われているそれぞれのカットを、交互に並べること。
 
このカットバック技法はサスペンス映画の代表的なテクニックであり、「ダー
クネス」でも使われている。街と郊外の対比は、このカットバック技法を効果
的に使うための要素になっている。

「アザーズ」との比較
アメナーバル監督の「アザーズ」と比較するとわかりやすいだろう。
「アザーズ」は古典的な雰囲気を基調とした「静」の映像であったのに対し、
「ダークネス」はカットを多用した編集で「動」の映像であるといえる。

ストーリーの謎のわかりやすさという点では、「アザーズ」のほうが単純でわ
かりやすい。「ダークネス」では、なぜ7人の子供が失踪したのか、なぜひと
りだけ発見されたのか、といった謎が明らかになるのだが、その理由に「深み」
があるようでありながら、「アザーズ」と比較すると、少しわかりづらいかも
しれない。

▽スペイン映画ということ
ハリウッド作品にはたいてい共通したメッセージが込められていることがある。
それはどういったメッセージか――「運命は自分の力で切り開き、自ら望む方
向へ変えていくことができるのだ」――というものである。
(例 「ロック・ユー!(A knight's Tale)」

過酷な運命(障害)→立ち向かう→乗り越える→主人公の成長→望む自分になる
 
「AMERICANの文字にはCAN(できる)があるでしょ。だからアメリカ人はやろ
うと思えばなんでもできるのよ。YOU CAN DO IT ! 」

「オレ、MEXICAN」
 
「あのぉ、ワタクシはJAPANESE なんですがぁ……」

というようなコントをどこかで観た事があるような……(^_^;)

「ダークネス」では「闇」が圧倒的な力を持ち、賢い、とされている。闇=運
命とすると、レジーナは愛する家族を守るために闇に立ち向かう。
はたして家族を救うことができるのか。作品の結末をハリウッド映画と比べて
みるのも興味深いだろう。

作品は、レジーナを中心として描いている。レジーナは高校生ぐらいであり、
米国で学校を卒業したかったが、スペインの郊外に引っ越してきた。神経症の
父や新しい環境もあって、家の居心地がよくないという。
やがて円形の家がなんらかの原因であると確信して母親に話すが、相手にして
もらえない。難しい年頃でありスペインに越してくることに反対していたから、
家のせいだなどと変なことを言うのだろう、と母親に思われているのだ。

だがレジーナはボーイフレンドのカルロスに手伝ってもらいながら円形の家に
ついて調べていく。やがて謎が明らかになるにしたがって、レジーナは心から
家族を愛していることを強く自覚するようになる。こうした形でレジーナの成
長が描かれている。そして、この「家族への愛・愛する者」というのが作品の
キーポイントである。

作品の重要なキーとしての「愛する者、一番大せつなもの」の用い方としては、
日本の漫画作品『ベルセルク』(三浦健太郎著)との類似性がみられる。
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∇参考・用語引用図書 
「ストーリーアナリスト」 
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」 
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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