ローリングサンダー(ROLLING THUNDER)
「ローリングサンダー(ROLLING THUNDER)」
ジョン・フリン監督 1977年 アメリカ
○アメリカ合衆国にとってベトナム戦争とはなんだったのか。
〔1〕ログライン(Log Line)ストーリーを述べてある一文
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ベトナム帰りの少佐が、家族の命を奪った強盗に復讐する。
〔2〕ストーリー(Story)簡略に
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七年ぶりにベトナム戦争から帰国したレーン少佐は、家に押し入った強盗グル
ープに妻と息子を殺される。
レーン少佐は、強盗たちを探しはじめる。やがて、強盗たちの居場所を突きと
めたレーン少佐は、ベトナムの戦友と共に家族の復讐を果たす。
〔3〕Main Character(主な登場人物)
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△レーン少佐(チャールズ、チャーリー)
ベトナム戦争から7年ぶりに故郷のテキサス州に帰ってくる。ベトナムでは
捕虜収容所に捕らえられていた。
△リンダ・フォルシェ
街の酒場で働く女。レーン少佐のお守りの腕輪を付けていた。レーン少佐と
共に、強盗たちを探すのを手伝う。
△ジョン・ボーデン
レーン少佐の戦友。レーン少佐に協力し、強盗たちのアジトに乗り込む。
△クリフ
レーン少佐の妻と同居していた。
〔4〕・1 インターナル・コンフリクツ(Internal Conflicts) 内的葛藤
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(矛盾または未解決な問題)
7年ぶりに帰国したレーン少佐の妻には、すでにクリフという男がいる。クリ
フは、レーン少佐にがベトナムに行っていた間になにがあったのかを正直に話
そうとする。レーン少佐は、戦争のせいでいたしかたないことだとして、妻や
クリフを責めようとはしない。
故郷には自分の居場所がないと実感しながらも、それがだれのせいであるわけ
でもないことを十分にわかっているがゆえに、どうしていいかわからないでい
るレーン少佐。彼は、ベトナムに長くいたため、まともな生活を送ることはで
きないと感じている。
〔4〕・2 エクスターナル・コンフリクツ(External Conflicts) 外的葛藤
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(主人公を危険や不安に陥れようとする敵や第三者
によって作り出される困難)
レーン少佐の家に強盗グループが押し入り、銀貨を盗まれる。さらに妻と息子
を殺される。
〔4〕・3 モチベーション(Motivation) 動機
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レーン少佐:妻と息子を殺される。
ジョン :戦友のレーン少佐を助けたい。
〔5〕Comments(論評、批評、意見)
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映画はドキュメンタリーである。
アメリカ合衆国にとってベトナム戦争とはなんだったのか。こういった問いか
けに応えるべく、多くのベトナム戦争映画が製作された。
レーン少佐は7年ぶりに帰国する。ベトナム戦争と捕虜収容所での拷問という
経験のため、普通の社会生活を送ることはできないと感じている。
だが、レーン少佐は息子だけは手放したくない。息子が一歳半のときベトナム
にへ出発したレーン少佐。帰ってきたときは7歳になっていた息子との失われ
ていた時間を取り戻していきたいと思っている。
そんなときに、息子は強盗グループによって殺されてしまう。
レーン少佐は一番大切であった息子の、仇をとるために行動を起こす。
ベトナムで多くの戦友を失い、帰国して妻を失い、さらに息子までも失う。
レーン少佐のこういった状況をみて、ジョン・ボーデンは戦友であるレーン少佐
のために立ち上がる。
いちばん大切な人のために行動する。友人(戦友)のために行動する。
緊迫した極限状況において、レーン少佐とジョン・ボーデンは、このいちばん
確かな動機によって動いている。
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∇脚本のポール・シュレイダー(Paul Schrader)が脚本担当した他作品で、
ベトナム戦争関連の作品↓
「タクシードライバー(TAXI DRIVER)」
マーティン・スコセッシ監督 1976年 アメリカ
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∇参考・用語引用図書
「ストーリーアナリスト」
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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