ロード・トゥ・パーディション(ROAD TO PERDITION)
「ロード・トゥ・パーディション(ROAD TO PERDITION)」
サム・メンデス監督 2002年 アメリカ
○例えるならば、学科テストで平均点以上を確実にとり、運動もそこそこでき
る生徒、といったような作品
〔1〕テーマ(Theme)
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親子の愛
〔2〕ストーリー(Story)簡略に
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1931年ギャングの殺し屋マイケル・サリヴァンの息子が殺しの現場を目撃する。
そのことで妻と二男を殺されたサリヴァンは、息子を連れて復讐の旅に出る。
辛い旅を通して父と息子に強い絆が生まれる。
〔3〕Main Character(主な登場人物)
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△マイケル・サリヴァン
アイルランド系ギャングの殺し屋。街のギャングのボスであるルーニーの片
腕として働く。
△マイケル
サリヴァンの息子(長男)。ルーニーの息子の殺しの現場を目撃する。
△ルーニー
街のギャングのボス
△マグワイア
殺し屋。死体専門のフォットグラファー。依頼によりサリヴァンたちを追う。
〔4〕・1 キャラクター
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▽メイン・キャラクター
サリヴァン
▽サポーティング・キャラクター
マイケル
〔4〕・2 シーン
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サリヴァンとマイケルの会話
マイケルは父に打ち明ける。お父さんは弟にはやさしかったが、ぼくには冷た
い――と。
サリヴァンは言う。マイケルは自分に似ている。自分のようにはなってほしく
ないからだ――と。
こうして親子の誤解は解けて、絆が強まっていく。
このシーンは会話だけで単調になりやすい。逃亡中の二人がゆっくりと話す時
間を取ることも難しい。そこで、負傷したサリヴァンを農家でかくまってもら
い、傷の静養中のある晩に、眠れないマイケルが、調べものをしている父のも
とへやってきて会話がはじまる、という設定にしている。
観客は、サリヴァンが調べている事柄はなにか、なにか新たな発見があるのか、
と思っているところで、親子の会話がはじまる。会話が終わると、調べものか
ら新たな発見がある。
ゆっくり単調になりやすいシーンに「調べもの」という要素を取り入れること
で、単調にならなりように配慮し、新たな発見は次のシーンへと主人公をつき
動かす要素になっている。
〔5〕Comments(論評、批評、意見)
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例えるならば、学科テストで平均点以上を確実にとり、運動もそこそこできる
生徒、といったような作品である。
キャラクターの配置関係の基礎は「親子」である。(ルーニーとサリヴァンの
親子関係にも匹敵する師弟関係。サリヴァンとマイケルの親子関係。ルーニー
とその息子の親子関係)
親子は世界中にいる。そういった意味で観客を限定しない設定である。だが、
時代設定が大恐慌時代のアメリカでギャングものであり、愛する家族を殺され
男が復讐する、というのは、幾度となく使われてきたものである。ギャング、
復讐+新しい要素はなにか? 「売り」はなにか?
新しい要素 ⇒小さな息子を連れての逃亡(欧米作品においては新しい)。
売り ⇒アカデミー賞2年連続受賞のトム・ハンクス。ポール・ニュー
マン。ジュード・ロウの3大スター共演。
〈観客とのコネクション〉
サリヴァンは自分がギャングの殺し屋であることをずっと息子たちに隠してき
た。そして、子供達には自分のような生き方をしてほしくないと思っている。
それにもかかわらず、逃亡中、マイケルに銀行強盗の見張りや運転を手伝わせ
ることになる。息子にはギャングではなく、まともな生活をしてほしいと望み
つつも自分は殺し屋としてしか生きられない悲しさ。それでも、マイケルを守
りつつ家族の復讐を果たそうとするひとりの父。
こういった姿に共感して涙を流す人もいるだろう。つまり演歌である。こうい
った題材で涙を誘うという手法は、欧米ではあまり例がないのではないだろか。
(日本では常連の手法である)。そいういった意味で、東洋の興味深い作風を
欧米風にアレンジして、そのめずらしさから注目を集めることを狙ったのだろう。
親子という広い間口を用意しながら、演歌という手法を用いたために、結果的
に、一部の観客だけにカタルシスを与えることができる作品、になってしまった。
3大スターが共演しているため、宣伝も多く、広く配給されている。だが、こ
の作品はストーリーの構造と設定という点からみると、観客の間口を狭くして
いると言える。
〈短所〉
ツイスト(ひねり)が乏しい。ストーリーの先が予想できる。農家の老夫婦と
サリヴァンの家族と比較すると、サリヴァンの家族が薄く見えてしまう。これ
は、サリヴァンがどのようにしてルーニーの世話になるようになったのかとい
うバックグランドがほとんど描かれていないためである。
〈長所〉
サリヴァンが傷の静養をした農家の老夫婦には子供がいない。農家の老夫婦の
登場時間とセリフはとても少ない。だが、老夫婦のバックグラウンドや人生が
真実味のあるものとして伝わってくる。
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∇「ロード・トゥ・パーディション」 新潮文庫
∇「ロード・トゥ・パーディション - オリジナル・サウンドトラック」
ユニバーサルクラシック
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∇参考・用語引用図書
「ストーリーアナリスト」
1999フィルム アンド メディア研究所 愛育社
「ハリウッド・リライティング・バイブル」
2000 フィルム アンド メディア研究所 愛育社
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Comments
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